仕事やプライベートでタクシーに乗る機会が多い人もいらっしゃるでしょう。タクシー乗車中、事故に巻き込まれたらどうすればよいでしょうか?
この記事では、タクシー乗車中の事故の対処法と注意点について解説します。
目次
タクシー乗車中、事故に遭遇!すべきことは?
ここでは、タクシー乗車中に事故に遭ってしまった場合、すべきことについて解説します。
必ず警察に通報し、その場で示談に応じない
交通事故を起こした場合、事故の程度に関係なく、運転者その他の乗務員には警察へ連絡する義務が課せられています。タクシー乗車中であれば、タクシー運転手に警察への通報義務があります。
しかし、車両に目立った損傷もなく、乗客が大きな怪我を負っていない場合、タクシー運転手が、行政処分を受けることや会社からの評価が下がることを回避するために、その場で示談を申し入れてくることがあります。
運転手に、「警察に報告せずにこの場で示談して欲しい」と促されても、絶対にその場で応じないようにしましょう。警察へ連絡しなければ、交通事故証明書を発行してもらえません。交通事故証明書がなければ、事故の被害に遭った証明ができないため、損害の賠償を受けられなくなるおそれがあります。
事故当時は何も怪我がないと思っていても、後日症状が出ることはよくあります。そうした場合を考えて、タクシー運転手が警察へ連絡するのを拒んだら、ご自身で警察に連絡をしましょう。
タクシー運転手など当事者の連絡先を確認する
タクシー乗車中に事故に遭ったら、タクシー運転手の連絡先を必ず確認しましょう。タクシー内の運転席近くには、タクシー車両のナンバー、運転手の氏名、タクシー会社の名前が掲示してあるので、それらをスマートフォンで撮影してもよいです。
相手車両がいる事故の場合は、相手車両のナンバーも控え、運転手に運転免許証を提示してもらい、氏名や連絡先を確認しましょう。
事故当日に病院を受診し診断書をもらう
できれば事故に遭った当日に病院を受診して、診断書を発行してもらいましょう。事故にあってから病院を受診するまで時間が空くと、症状と事故の関連性が証明しづらく、損害賠償請求で不利益になることがあります。
事故直後は平気だと思っていても、後日なんらかの症状が出ることはよくあります。早期に治療するためにも、なるべく事故当日に病院を受診しましょう。
実況見分に立ち会う
実況見分とは、交通事故の現場に警察官と事故の当事者が立ち会って、事故が発生した時の状況を確認・記録する捜査です。立会人の指示説明を含む実況見分を基に作成される実況見分調書は、後の損害賠償請求において重要な資料となります。
実況見分は任意捜査として行われる検証なので立ち会いを拒否できますが、立ち会いを拒否すると、事実と異なる内容で実況見分調書が作成されるおそれがあります。
正当な被害の回復を実現させるためにも、実況見分に立ち会って、事故当時の様子を冷静に説明し、正確な実況見分調書の作成に協力しましょう。
タクシー乗車中に事故に遭ったら、誰に慰謝料請求するか?
ここでは、タクシー乗車中に事故に遭ったら、誰に慰謝料を請求できるかについて解説します。
タクシー乗車中の事故は、事故の過失がどちらにあるのかによって慰謝料を請求する相手が異なります。
タクシー会社だけに過失がある場合
乗車していたタクシーだけに過失がある場合は、慰謝料の請求先はタクシー運転手とタクシー会社(通常はタクシー会社が加入する共済)となります。タクシーの単独事故の場合や、タクシーが、停車中の車に追突したケースなどがこれにあたります。
相手車両に過失がある場合
事故の相手車両だけに過失がある場合は、慰謝料の請求先は相手車両の運転手または運転手が加入する保険会社になります。停車していたタクシーの後ろから相手車両が追突してきたケースなどがこれにあたります。
タクシーと相手車両の両方に過失がある場合
交通事故は、当事者双方に過失があるケースが多いです。この場合、乗客はタクシー運転手およびタクシー会社(またはタクシー共済)と相手車両の運転手の双方に慰謝料を請求できます。どちらか一方への全額請求も可能です。
タクシー乗車中の事故で慰謝料以外に請求できるものは何か?
ここでは、タクシー乗車中の事故で慰謝料以外に請求できるものについて解説します。
治療関係費
交通事故が原因の怪我で入通院した場合、治療を開始してから、症状固定に至るまでの間の治療関係費を相手方に請求できます。具体的には、治療費、入院費、入院に伴って必要になった雑費、通院に要した交通費などです。
事故と傷害との因果関係や治療の必要性・相当性を証明しなければならないので、診断書、診療報酬明細書や領収書をきちんと保管しておきましょう。
事故による減収の補償
交通事故で怪我を負ったことにより、治療または療養のために仕事を休まなければならない場合があります。それによって給料が減った場合、休業損害を請求できます。
休業損害は職業を問わず請求できますが、事故時において現に就業による収入を得たことと、現に休業して収入減が生じていることが必要です。
専業主婦(夫)も休業損害を請求できます。
無職の場合は、原則として休業損害は生じませんが、次のような場合は、休業損害が認められることがあります。
- 就職が内定しているなど就労開始が具体的に予定されている場合
- 就労開始のために準備していた場合
- 就職活動中など労働能力と労働意欲があって近い将来就職する蓋然性が高い場合
物的損害の補償
タクシー乗車中の事故で、所持していた物が壊れてしまった場合、物的損害として修理費用または時価相当額を請求できます。例えば、事故によりかばんや腕時計が壊れた場合、修理が可能であれば修理費用を、修理が不能であれば買換費用を請求できます。
買換費用を請求する場合は、減価償却等の方法による事故当時の時価額を損害額とするのが一般的です。
ただし、事故によって破損した証拠がなければ、補償を受けられないことがあります。
タクシー乗車中の事故で、乗客がシートベルトをしていなかったらどうなる?
ここでは、タクシー乗車中の事故で乗客がシートベルトをしていなかったらどうなるのか、解説します。
2008年に道路交通法の改正で、車の後部座席に乗る人を含め、すべての座席でシートベルト着用が義務付けられました。そのため、ドライバーは、助手席や後部座席に乗る人に対して、シートベルトを着用するように促す義務があります(道路交通法71条の3第2項)。タクシーの場合、乗客は後部座席に座りますが、その際に運転手は乗客に対してシートベルトを着用するように声をかけなければいけません。
シートベルト未着用で問題となるのは、過失割合を考えるときです。過失割合とは、交通事故の当事者双方がどの割合で責任を負うのか、数値化したものです。過失割合の数値は、損害賠償請求に直結する非常に重要なものですが、過去の裁判例で、タクシーの乗客がシートベルト未着用だったため、1割の過失相殺をすべきだと判断したものがあります。
「タクシーの運転手から、シートベルトを着用するように言われなかった」と不満に思う人がいるかもしれませんが、先に述べた判例では、シートベルト着用をお願いするステッカーを車内に貼る方法で十分だと判断しています。理由としては、タクシー運転手はサービス業の性質上、客に対してシートベルト着用をお願いするのは限度があり、ステッカーを貼って促す方法が妥当という考え方からです。
最近は、タクシーに乗車するとシートベルトを着用するように声をかけてくる運転手も増えました。さらにシートベルトを着用するまでブザーが鳴り続けるタクシーもあります。自分の身を守るためにも、シートベルトは必ず着用しましょう。
タクシー乗車中の事故について弁護士に相談・依頼するメリット
ここでは、タクシーに乗っていて事故にあった場合、弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。
弁護士が対応することで難しい示談でも良い結果が得られる可能性がある
タクシーの乗客として事故に遭遇した場合、示談が難しくなることが往々にしてあります。弁護士に対応を依頼することで、難しい状況下でも納得のいく結果が得られる可能性があります。示談交渉を弁護士がすることで、相手に緊張感を与えられる効果もあるでしょう。
弁護士に依頼することで精神的負担が軽減される
交通事故に遭遇すると、身体の負担はもちろんのこと精神的にも負担を抱えることがあります。事故当時を思い出すことによって、精神的に不安定になることもあります。
そのような状態で、相手方と示談交渉を行うのはとても難しいです。弁護士に依頼し、示談交渉を任せることによって、身体や精神状態の回復に専念ができます。
まとめ
タクシー乗車中の事故により損害を被った場合、タクシー共済が示談交渉の相手になることが多いです。タクシー共済は、タクシー運転手やタクシー会社の利益を守るための団体であるため、示談交渉において強硬な態度をとることもあります。
タクシーの乗車中に交通事故に巻き込まれたら、まずは示談交渉を弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士であれば、適正な損害の回復を図るべく、共済担当者を上回る知識や交渉力を用いて、粘り強く交渉できます。
ネクスパート法律事務所では、交通事故の案件を数多く手がけている弁護士が在籍しています。ぜひお気軽にご相談ください。