交通事故の被害に遭ったとき、相手方への損害賠償請求や各種保険金の請求には様々な書類が必要となりますが、多くの場面で提出を求められるのが交通事故証明書です。
この記事では、交通事故証明書の概要や必要性、入手方法等について解説します。
目次
交通事故証明書とは
ここでは、交通事故証明書の概要を解説します。
事故発生の事実を証明する書面
交通事故証明書は、交通事故が発生した事実を証明する書面です。
交通事故を警察に届け出ると、警察による現場確認が行われます。警察から提供された証明資料に基づき、自動車安全運転センターが交通事故証明書を作成し、交通事故の当事者の求めに応じて交付します。
交通事故証明書に記載される内容
交通事故証明書には、主に以下の内容が記載されます。
- 事故の発生日時
- 事故の発生場所
- 事故の当事者の住所・氏名・運転車両の車両番号
- 自賠責保険加入の有無・加入保険会社の名称・証明書番号
- 事故時の状態(運転・同乗・歩行・その他の別)
- 事故類型(車両相互、車両単独、踏切、不明・調査中の別)
- 照会記録簿の種別(人身事故・物損事故の別)
2023年1月現在発行されている交通事故証明書の見本は以下のとおりです。
出典:交通事故に関する証明書|自動車安全運転センター (jsdc.or.jp)
交通事故証明書は何に使う?証明書が必要になる場面とは
ここでは、交通事故証明書が必要になる場面を紹介します。
交通事故証明書は、交通事故により生じた損害について相手方に対し損害賠償を請求したり、各種保険の補償を受けたりする場合に必要です。
具体的には、次のようなシーンで交通事故証明書が求められます。
- 実況見分調書等の刑事記録を取り寄せるとき
- 相手方保険会社に損害賠償金を請求するとき
- 自賠責保険会社に損害賠償金の支払いを請求するとき
- 自分が加入する保険会社に保険金の支払いを請求するとき
- 健康保険を利用して事故による怪我の治療を受けるとき
- 労働基準監督署長に労災保険給付を請求するとき
実況見分調書等の刑事記録を取り寄せるとき
人身事故が発生した場合、警察は当事者から事故状況を聴き取り、交通事故現場で実況見分を行って、実況見分調書を作成します。
実況見分調書には、主に以下の事項が記載されているため、事故態様の立証方法として有力なものです。
- 実況見分の日時
- 実況見分の場所
- 運転車両の車両番号
- 実況見分の立会人(住居、職業、氏名、年齢)、立会人の説明
- 実況見分の経過、現場の位置
- 現場付近の模様(見通し状況、道路の幅員、路面状況、交通規制、信号機の状況等)
- 事故車両の状況等(車両の大きさ、登録番号、年式、損傷箇所等)
- 天候
特に、過失割合について当事者に争いがある場合には、事故態様を正確に把握するために実況見分調書や供述調書等の刑事記録の入手が不可欠です。
実況見分調書等の刑事記録を警察署または検察庁から取り寄せる際には、交通事故証明書の提出が必要です。
相手方に損害賠償を請求するとき
事故の加害者が任意保険に加入している場合は、通常、加害者側の任意保険会社と事故により生じた損害の賠償や過失割合について話し合いをします。
保険会社は、被保険者(加害者)から事故の報告を受けると、すぐに交通事故証明書を取り寄せるので、基本的には、示談交渉に際して加害者側の保険会社に交通事故証明書を提出する必要はないでしょう。加害者側の保険会社から交通事故証明書の写しを交付してもらえることもあります。
ただし、以下のような場合には、被害者側から積極的に連絡をするなどの対処が必要になることもあります。
- 事故現場で加害者から氏名・連絡先・加入している保険会社を教えてもらえなかった
- 加害者が保険会社への報告を怠り、保険会社から一向に連絡が来ない
- 加害者が任意保険に加入しておらず、加害者本人と連絡をとる必要がある
交通事故証明書を入手すれば、加害者の氏名・連絡先や加入保険会社を確認できるので、加害者側の対応が遅い場合には、被害者側からアクションを取りやすくなります。
交渉による解決が見込めない場合には、加害者本人や保険会社に対して、調停・ADRや損害賠償請求訴訟による解決を図ります。これらの手続きには、交通事故証明書の提出が求められます。
自賠責保険会社に損害賠償金の支払いを請求するとき
自賠責保険は、自動車の運行によって死傷した被害者がその人身損害の全部または一部の賠償を受けられるなど被害救済が図れるように、原則としてすべての車両に契約または加入が義務付けられた強制保険です。
交通事故の加害者が任意保険に加入していない場合でも、人身事故であれば、被害者は加害者側の自賠責保険会社に直接損害賠償金の支払いを請求できます。これを被害者請求といいます。
被害者請求は、交通事故証明書の提出が必要です。
なお、加害者が任意保険に加入している場合、保険会社から原本証明印を押印した交通事故証明書の写しを送付してもらえれば、原本に代えて写しを提出する方法もあります。
自分が加入する保険会社に保険金の支払いを請求するとき
交通事故の被害者は、加害者が加入する保険だけでなく被害者自身が加入している自動車保険からも保険金を受け取れることがあります。
交通事故により生じた被保険者等の損害を補償する代表的な保険は、以下のとおりです。
- 人身傷害補償保険
- 無保険車傷害保険
- 自損事故保険
- 搭乗者傷害保険
- 車両保険
- 弁護士費用等補償特約
被害者が加入するこれらの任意保険に保険金を請求する際には、交通事故証明書の提出が必要です。
健康保険を利用して事故による怪我の治療を受けるとき
以下のような場合には、事故による怪我の治療費を被害者自らが一旦立て替えて負担しなければならないことがあります。
- 加害者が任意保険に加入していない場合
- 加害者側の任意保険会社が治療費の内払いに応じない場合
- 加害者側の任意保険会社から治療中に治療費の内払いを打ち切られた場合
交通事故による怪我の治療でも健康保険を利用できます。
健康保険を利用して治療を行うときは、第三者行為による傷病届に交通事故証明書を添付して保険者に提出しなければなりません。
労働基準監督署長に労災保険給付を請求するとき
交通事故が業務災害か通勤災害に該当すれば、第三者行為災害として、労災保険給付を受けられます。
労災保険給付に係る請求を行う際には、所轄労働基準監督署長に労災保険給付の請求書とともに交通事故証明書を提出しなければなりません。
交通事故証明書の取得方法や申込用紙の書き方
ここでは、交通事故証明書の取得方法や申込用紙の書き方を紹介します。
証明書を申請できる人
交通事故証明書を申請できる人は、以下のとおりです。
- 事故の当事者(加害者、被害者)
- 事故に関して損害賠償の請求権を有する親族(死亡事故の場合など)
- 事故に関する保険の受取人
- 事故の当事者から委任を受けた人(代理人弁護士等)
- その他、交通事故証明書の交付を受ける正当な利益がある人
代理人が申請する場合は、申請者本人の委任状が必要です。
ゆうちょ銀行・郵便局での申請の場合、弁護士による代理人申請であれば、通信欄に職印を押印することで委任状の提出が省略できることもあります。
申込用紙の入手方法
申請用紙は、下表に記載した場所に備え付けられています。
申請用紙の種類 |
入手場所 |
窓口申請用紙 |
自動車安全運転センター事務所 |
交通事故証明書申込用紙(払込取扱票及び振替払込請求書兼受領証) |
・自動車安全運転センター事務所 ・警察署 ・交番及び駐在所 |
申請方法に応じて、最寄りの入手場所で取り寄せましょう。
参考:所在地一覧|自動車安全運転センター (jsdc.or.jp)
申込用紙の書き方
窓口申請用紙
自動車安全運転センター事務所の窓口で申請する際の申請用紙には、以下の事項を記載します。
- 事故の種別(人身事故・物件事故の別)
- 事故の発生日時
- 事故の発生場所
- 取扱いを受けた警察署(高速隊)
- 当事者の氏名
- 申請数通
- 申請者と当事者の続柄
- 昼間連絡先電話番号
事故の相手方の氏名が分からない場合は、無記入でも発行してもらえます。
2023年1月現在利用されている申請書の様式は、以下のとおりです。
交通事故証明書申込用紙(払込取扱票及び振替払込請求書兼受領証)
ゆうちょ銀行・郵便局で申込みする際の申込用紙には、以下の事項を記載します。
- 事故の種別(人身事故・物件事故の別)
- 事故の発生日時
- 事故の発生場所
- 取扱いを受けた警察署(高速隊)
- 当事者の氏名
- 申請数通
- 申請者と当事者の続柄
- 昼間連絡先電話番号
- 申請者側の車両番号
- 払込人の氏名・住所
住所以外への送付を希望する場合には、[通信欄]に送付先住所を記載します。
事故の相手方の氏名が分からない場合は、無記入でも発行してもらえます。
2023年1月現在、東京都で利用されている申請書の様式は、以下のとおりです。
申請方法
窓口申請|自動車安全運転センター事務所の窓口での申請
自動車安全運転センター事務所の窓口で、窓口申請用紙に必要事項を記入し、手数料を添えて申込みます。
交通事故資料が警察署等から届いていれば、原則として即日、交通事故証明書が交付されます。
警察署等から交通事故資料が届いていない場合や他府県での事故の場合は、後日、申請者の住所又は郵送希望宛先に郵送されます。
郵送申請|ゆうちょ銀行・郵便局での申請
申込用紙の見本の記入例に従い、必要事項を記入して、最寄りのゆうちょ銀行・郵便局に手数料を添えて申込みます。ATMでも手続きできます。
申請後10日程度で、申請者の住所または郵送希望宛先(通信欄に記入した住所)に交通事故証明書が郵送されます。
交通事故証明書はインターネットでも申請できる?
ここでは、交通事故証明書のインターネット申請について解説します。
インターネット申請の利用条件
以下の条件をすべて満たす場合には、自動車安全運転センターの申請ぺージから、交通事故証明書の交付を申請できます。
- 交通事故の当事者本人からの申請であること
- 交通事故発生時に警察へ届け出た住所に、現在も住んでいること
- コンビニ決済・金融機関のペイジーまたはネットバンクで交付手数料を支払えること
- 申請受付後のメール受信([or.jp]からのメール)を許可すること
- 手数料等を申請から7日以内に支払うこと
インターネット申請の場合は、入金確認後10日程度で申請者の住所に交通事故証明書が送付されます。交通事故証明書に記載された住所(事故発生時に警察に届け出た住所)以外への郵送は依頼できません。
参考:交通事故証明書の申請方法など | 自動車安全運転センター (jsdc.or.jp)
インターネット申請の方法
自動車安全運転センターの各種証明書のネット申請のページを開き、[各種証明書のインターネット申請]をクリックします。
出典:各種証明書のネット申請|自動車安全運転センター (jsdc.or.jp)
[交通事故証明書]の[お申込みの流れ]の末尾にある[お申込み]ボタンをクリックします。
出典:交通事故証明書の申請方法など | 自動車安全運転センター (jsdc.or.jp)
[交通事故証明書申請メールアドレス確認入力]の画面が開いたら、交通事故証明書申請URLを送付するメールアドレスを入力します。
申請受付後メールが送信されるので、受信拒否設定をしている場合は[jsdc.or.jp]からのメール受信を許可してから、メールアドレスを入力して[送信]ボタンを押しましょう。
指定したメールアドレスに交通事故証明書申請URLが届いたら、アクセスします。
出典:交通事故証明書の申請方法など | 自動車安全運転センター (jsdc.or.jp)
表示された内容をよく読み、[はい]・[いいえ]を選択して、[同意して次へ]をクリックします。
[申請項目の入力]のページに移動したら、記載された内容に従い、以下の情報を入力します。
- 申請者の氏名・フリガナ
- 申請者の郵便番号・住所
- 申請者の連絡先電話番号
- 申請者のメールアドレス
- 事故種別(人身事故・物件事故の区別)
- 申請数通
- 事故発生年月日
- 事故発生時分(24時間表示)
- 届出年月日
- 事故発生都道府県方面
- 事故発生場所
- 取り扱い警察署名(高速隊名)
- 事故の相手方の氏名・フリガナ
[※]が付されている欄以外については、詳細不明の場合は未入力でも差支えありません。
すべての事項を入力したら、プライバシーポリシーを確認の上、[内容確認]のボタンをクリックします。
[申請項目の内容確認]のページで入力内容を確認し、間違いがなければ末尾の[送信]ボタンを押して登録を完了します。
登録結果のページに記載されたURLまたは入力したメールアドレス宛に支払い方法が送られます。
希望する決済方法を選び、7日以内に料金を支払いましょう。申請日から7日を経過すると自動的にキャンセルされます。
交通事故証明書の料金(交付手数料)はいくら?
ここでは、交通事故証明書の交付手数料を紹介します。
1通につき800円
交通事故証明書の交付手数料は、1通につき800円(消費税非課税)です。
窓口申請以外の場合は払込手数料もかかる
自動車安全運転センター事務所の窓口申請以外の方法で、交通事故証明書の交付申請を行う場合には、払込手数料として以下の費用がかかります。
- ゆうちょ銀行・郵便局の窓口での申請の場合:払込料金として203円
- ゆうちょ銀行・郵便局のATMでの申請の場合:払込料金として152円
- インターネット申請の場合:払込手数料として1通につき132円
インターネット申請で、ペイジーまたはネットバンクでの支払いを選択した場合は、各金融機関が定める費用も別途かかることがあります。
交通事故証明書に関するQ&A
ここでは、交通事故証明書に関してよくある質問とその答えを紹介します。
交通事故証明書の申請期限はいつまで?
交通事故証明書の交付には、以下のとおり期限が設けられています。
- 人身事故の場合:事故発生から5年
- 物件事故の場合:事故発生から3年
上記期間を経過したものは、原則交付されません。
交通事故証明書の交付手数料は相手方に請求できる?
交通事故証明書の交付手数料も、必要な額につき損害として認められるため、加害者に請求できます。
まとめ
交通事故証明書は、自動車安全運転センターが、交通事故の当事者が適正な補償を受けられるよう、その求めに応じて、交通事故の事実を確認したことを証明する書面として交付するものです。
警察への届出のない事故については、交通事故証明書は発行されませんので、事故が発生したら、必ず警察に届けましょう。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、交通事故証明書の取寄せも一任できます。
交通事故の被害に遭い、加害者側との示談交渉にお悩みの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。