交通事故の示談は、交渉開始から2~3か月程度で成立するケースが多いです。
しかし、事故の状況や怪我の程度によっては、示談交渉が長引くこともあります。
示談交渉が長引く場合には、その理由に応じて対応する必要があります。
この記事では、交通事故の示談交渉が長引く理由と対応策について解説します。
交通事故の示談交渉が思うように進まずに悩んでいる方は、ぜひご参考になさってください。
交通事故の示談交渉が長引く理由6つ
ここでは、交通事故の示談交渉が長引く可能性がある6つのケースを紹介します。
被害者の症状が重篤で治療に長期間を要する
人身事故の場合は、治癒または症状固定後に示談交渉を開始します。
被害者の症状が重篤な場合など治療が長期間にわたっている場合は、示談交渉を開始できないので、示談成立までの期間が長引きます。
示談交渉を早めるために、本来必要な治療期間を短縮することは、慰謝料減額に繋がるためおすすめしません。
治療期間が長引く場合は、治療中に弁護士に相談して治療終了後速やかに示談交渉を開始できるよう準備をしながら、医師の指示に従い治療に専念しましょう。
後遺障害等級の認定結果に不服がある
後遺障害が残る場合には、後遺障害等級の認定を受けてから示談交渉を開始します。
自賠責調査事務所(損害保険料率算出機構)の業務の状況にもよりますが、後遺障害等級認定の申請手続きには2か月程度かかります。
認定結果に納得がいかず異議申立てを行うとさらに時間がかかるため、示談交渉の開始が遅れる分、示談成立までの期間が長引きます。
後遺障害等級認定を申請した結果、非該当となったり、適切な等級を獲得できなかったりした場合でも、示談交渉を早く始めたいからといって、異議申立てを諦めるのはおすすめできません。
後遺障害慰謝料の額は、後遺障害等級に応じて変動します。本来認定されるべき等級を獲得し、適切な賠償額を請求するためにも必要な期間として、焦らずに対応しましょう。
早期に適正な後遺障害等級の認定を受けたい場合は、弁護士に後遺障害等級認定の申請手続きや異議申立てを一任することをおすすめします。
当事者間で過失割合に争いがある
当事者間で過失割合の主張に争いがあると、示談交渉が長引く傾向にあります。
過失割合は、示談金の額に大きな影響を及ぼす要素であるため、損害額が高額になるようなケースでは、加害者側が被害者の過失割合を過大に主張することがあります。
被害者側にとっても過失割合は譲れない要素であるため、一度もめると示談が長引きやすくなります。
過失割合を争う場合は、事故態様を詳細に把握しなければなりません。事故態様を把握するうえで有効な資料には、刑事事件の記録等がありますが、弁護士であればそれらの資料を迅速かつ適切に入手できるので、示談交渉をスムーズに進められます。
加害者が保険に加入していない
加害者が任意保険に入っていなかったり、自賠責保険の期限が切れていたりすると、示談交渉が長引く可能性が高いです。
加害者が無保険である場合は、加害者本人と示談交渉をしなければならず、保険会社と交渉する場合に比べて、手続きや書類の用意に時間がかかるからです。加害者本人に資力がないために損害賠償金の支払いに消極的になったり、連絡を無視したりするケースも少なくありません。
弁護士に依頼すれば、被害者側の本気度が示せるため、示談交渉に消極的な加害者の態度を改めさせられることもあります。加害者の資力に問題がある場合は、示談金の分割払いを検討したり、履行の確保のために執行認諾文言付きの公正証書にしたりするなどの対応策が考えられます。
遺族の気持ちの整理に時間を要する
死亡事故の場合は、被害者の遺族(相続人)が損害賠償請求の主体となります。
遺族の気持ちの整理に時間を要する場合や、加害者への処罰感情が強く話し合いがまとまらない場合は示談交渉が長引く可能性があります。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、保険会社とのやり取りや刑事事件などの対応を一任できるため、遺族の精神的負担を軽減できます。
保険会社が譲歩しない
保険会社が提示する示談金の額は、自賠責基準と同程度に低いことが多いです。
提示された慰謝料の増額を図るべく交渉すると、保険会社からは「大幅に譲歩しているので、この金額以上は支払えない」などと突っぱねられることもあります。
保険会社が強固な態度を示し続けると、被害者が対応にストレスを感じてしまい、交渉が停滞することも少なくありません。
弁護士が示談交渉に介入すると、保険会社の態度が軟化することがあります。弁護士は、保険会社を上回る法的知識と医学的知識を武器に、保険会社を納得させられる根拠のある主張を行えるからです。
交通事故の示談交渉が長引く場合に気をつけるべきこと
ここでは、交通事故の示談交渉が長引く場合の注意点を解説します。
消滅時効に注意
示談交渉をする際は、消滅時効に注意しなければなりません。
不法行為に基づく損害賠償請求権の時効
不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効と起算日は、以下のとおりです。
|
時効 |
起算日 |
---|---|---|
物損事故 |
3年 |
事故発生日の翌日 |
人身事故(傷害のみ) |
5年 |
事故発生日の翌日 |
人身事故(後遺障害) |
症状固定日の翌日 |
|
死亡事故 |
死亡日の翌日 |
自賠責保険への被害者請求権の時効
自賠責保険への被害者請求権の消滅時効と起算日は、以下のとおりです。
|
時効 |
起算日 |
---|---|---|
人身事故(傷害のみ) |
3年 |
事故発生日の翌日 |
人身事故(後遺障害) |
症状固定日の翌日 |
|
死亡事故 |
死亡日の翌日 |
治療費の打ち切りへの対処法
治療を開始して一定期間が経過すると、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。
特に、むちうち等で治療長期化している場合で、他覚的所見から症状の改善が判然としないようなケースでは、保険会社が治療費の内払いを継続することに難色を示す傾向にあります。
治療を継続する必要があるかどうかは、主治医が判断すべきことです。保険会社から治療費の打ち切りを打診されても、ご自身の体に症状が残っている場合は、主治医に治療継続の必要性を確認しましょう。
治療を継続する必要があると医師が判断した場合は、保険会社に診断書等を提示して、治療費の内払の延長を求めます。
保険会社が内払いの延長に応じない場合には、健康保険に切り替えて治療費を自費で支出し、自己負担分を後日の示談交渉時に損害として請求できます。
訴訟に発展すると解決までの期間がさらに長引く
双方の言い分に極端な違いがあり、当初から話し合いが難しい場合や、損害額についてどうしても折り合えない場合には、訴訟を選択するケースもあります。
しかし、早く解決したいという理由だけで訴訟を提起することはおすすめできません。
訴訟に発展すると、多くの場合、解決まで1年以上かかります。
和解が成立した場合は、半年程度で終了することもあります。しかし、和解にあたっては紛争の早期解決の趣旨から弁護士費用や遅延損害金を損害額に計上しないのが通例であるため、適正な損害の回復を実現できない可能性もあります。
訴訟において、示談交渉時の提示額が維持されるとは限らないため、訴訟を提起するかどうかは慎重に検討しなければなりません。
泣き寝入りや妥協をする前に弁護士にご相談ください
被害者の方が自ら示談交渉を行う場合は、解決までの期間が長引く傾向にあります。
保険会社とのやりとりに疲れて妥協してしまったり、知らず知らずのうちに不利な条件で示談を成立させてしまったりするケースも少なくありません。
弁護士に示談交渉を任せると、ご自身で対応する場合と比べて早期に示談が成立するケースもあります。
示談が長引いていることにお悩みの方は、諦める前に弁護士に相談しましょう。
交通事故の示談交渉が長引く場合は弁護士に相談を
ここでは、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットを解説します。
示談交渉を短縮できる可能性がある
保険会社は、交通事故の示談交渉を日常的に業務として行っているため、被害者と比べて高い交渉力や専門知識を持っています。ご自身で交渉に挑むと、保険会社の主張や提示額が適正かどうか判断するだけでも、多大な時間や労力がかかります。
弁護士に依頼すれば、保険会社を上回る法的知識や医学的知識を武器に適正な主張を行えます。訴訟を見据えた示談案を提示できるため、訴訟に持ち込まれるリスクを天秤にかけた保険会社が、早期に示談に応じることも少なくありません。
示談金の増額が望める
弁護士に示談交渉を依頼すれば、示談金の増額が望めます。
損害額の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準の3つがあります。任意保険基準は、自賠責保険の上乗せというものの、慰謝料や入院雑費等の賠償基準については、弁護士(裁判)基準と比較して低額であると言わざるを得ません。
弁護士が交渉を行う場合は、弁護士(裁判)基準で損害額を算定するため、保険会社の提示額よりも高水準で示談を成立させることが期待できます。
訴訟を検討すべきかどうか判断してもらえる
当初は示談交渉で解決できる見込みがあったとしても、交渉途中で状況が変化し暗礁に乗りあげることもあります。そのような場合でも、弁護士であれば示談交渉を継続すべきか、他の手続きを利用すべきかを適切に判断できます。
示談交渉以外の解決手段・手続きには、以下のとおり複数の選択肢があります。
- 調停
- 裁判外紛争解決手続(ADR)
- 訴訟
弁護士に依頼すれば、各手続きの概要やメリット・デメリットを説明してもらえるので、最適な解決方法を選択できるでしょう。
まとめ
交通事故の示談交渉は、以下のような様々な理由により長引くことがあります。
- 被害者の症状が重篤で治療に長期間を要する
- 後遺障害等級の認定結果に不服がある
- 当事者間で過失割合に争いがある
- 加害者が保険に加入していない
- 遺族の気持ちの整理に時間を要する
- 保険会社が譲歩しない
弁護士に示談交渉を依頼すれば、示談にかかる期間を短くしたり、面倒な交渉や手続きの手間を減らしたりできます。
示談交渉が長期化して終わりが見えずに悩んでいる方は、弁護士への依頼検討してみましょう。