【交通事故】むちうちの慰謝料相場|入通院期間・重症度別早見表

交通事故でむちうちになった場合、慰謝料はどのくらい請求できるのでしょうか。

この記事では、交通事故によるむちうち損傷と慰謝料について、以下の点を解説します。

  • むちうちで請求しうる慰謝料の種類
  • むちうちの入通院慰謝料の相場
  • むちうちの後遺障害慰謝料の相場
  • 慰謝料の具体的な計算方法と増額事由

交通事故でむちうちになった方は、ぜひご参考になさってください。

交通事故のむちうちの慰謝料の種類と慰謝料の基準

ここでは、交通事故でむちうちになった場合に請求しうる慰謝料の種類と慰謝料の基準について解説します。

むちうちの慰謝料は2種類ある!

むちうちで請求しうる慰謝料には、次の2種類があります。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
  • 後遺障害慰謝料

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

むちうちの治療のために、入通院を余儀なくされた方は、入通院慰謝料を請求できます。

入通院慰謝料とは、交通事故による怪我や入通院によって生じた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。入通院するほどの怪我を負ったことへの意味合いとして、傷害慰謝料とも呼ばれます。

後遺障害慰謝料

むちうちの治療後に後遺障害と認定された方は、後遺障害慰謝料が請求できます。

後遺障害慰謝料とは、交通事故による怪我で後遺障害が残ったことで受ける痛みや精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

交通事故による後遺障害は、自賠責保険法で規定されており、1~14級の140種類、35系列に分類されています。

休業損害を請求したい方へ

むちうちの慰謝料を決める3つの基準とは

交通事故の慰謝料を算定する基準には、次の3つのものがあります。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判基準)

慰謝料の基準と慰謝料の計算

自賠責基準

自賠責基準とは、自動車損害賠償保障法で定められた慰謝料の算定基準です。

強制加入保険である自賠責保険は、被害者が交通事故により被った最低限の損害を補償するものであるため、3つの慰謝料の算定基準の中で一番低い基準で計算されます。

傷害部分の支払限度額は120万円までと定められているため、慰謝料、治療費その他の損害額の合計が120万円を超えるときは、120万円が上限となります。

任意保険基準

任意保険基準とは、各保険会社が独自で定めている慰謝料の算定基準です。弁護士が介入していない場合、各保険会社はこの基準又はこれより低い金額で示談金の提示をしてくることが多いです。あくまで保険会社内部の基準であるため、具体的な金額は非公開ですが、3つの基準のうち中間的な数値になります。

弁護士基準(裁判基準)

弁護士基準とは、過去の判例をもとに定められた慰謝料の算定基準です。弁護士が交通事故の示談交渉で用いるほか、裁判実務でも参考にされる基準であるため、裁判基準とも呼ばれます。

中立的な立場である裁判所の考え方を基にしているため、3つの基準の中で最も高い数値となります。

【交通事故】弁護士基準で慰謝料はいくら増額する?増額する理由とは

むちうちの入通院慰謝料は総治療期間や実通院日数によって異なる

むちうちの入通院慰謝料は、通常、次のいずれかを用いて算定します。

  • 総治療期間:事故発生日から治療最終日までの期間
  • 実通院日数:実際に入院・通院した日数(実治療日数)

具体的な慰謝料の算定方法は、後述にて説明します。

むちうちの後遺障害慰謝料は後遺障害等級によって異なる

むちうちの後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級によって異なります。

むちうちで認定されうる後遺障害等級は、主に次の2つの等級です。

  • 12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級9号:局部に神経症状を残すもの

後遺症の認定手続きの流れ

通院期間ごとのむちうちの入通院慰謝料相場早見表

ここでは、通院期間ごとのむちうちの入通院慰謝料の相場を解説します。

怪我がむちうちのみの場合は入院しないことが多いため、以下を条件として相場をまとめます。

  • 入院期間:0か月
  • 総治療期間:1~6か月
  • 実通院日数:1月あたり10日

通院期間

自賠責基準

弁護士基準

2020年4月1日  以後に発生した事故

2020年3月31日  以前に発生した事故

軽傷の場合

重症の場合

1か月

8万6,000円

8万4,000円

19万円

28万円

2か月

17万2,000円

16万8,000円

36万円

52万円

3か月

25万8,000円

25万2,000円

53万円

73万円

4か月

34万4,000円

33万6,000円

67万円

90万円

5か月

43万円

42万円

79万円

105万円

6か月

51万6,000円

50万4,000円

89万円

116万円

後遺障害等級ごとのむちうちの後遺障害慰謝料相場早見表

ここでは、後遺障害等級ごとのむちうちの後遺障害慰謝料の相場を解説します。

後遺障害等級ごとの後遺障害慰謝料の相場は、以下のとおりです。

後遺障害等級

自賠責基準

弁護士基準

2020年4月1日 以後に発生した事故

2020年3月31日以前に発生した事故

12級

94万円

93万円

290万円

14級

32万円

32万円

110万円

【交通事故】入通院・後遺障害・死亡慰謝料相場|増額されるケースとは

むちうちの入通院慰謝料の具体的な計算方法

ここでは、自賠責基準と弁護士基準の入通院慰謝料の具体的な計算方法について解説します。

自賠責基準は認定日数1日につき4,300円

自賠責基準の入通院慰謝料は、認定日数に以下の金額を乗じて計算します。

  • 2020年4月1日以後に発生した事故:4,300円
  • 2020年3月31日以前に発生した事故:4,200円

認定日数は、次のいずれか少ない方の日数です。

  • 実通院日数(実治療日数)×2
  • 総治療期間(事故発生日から治療最終日までの期間)

例えば、2020年4月1日以後に発生した事故による治療で、実通院日数が36日、総治療期間が91日の場合の入通院慰謝料の額は、以下のとおりです。

①       実通院日数の2倍=36日×2=72日

②       総治療日数=91日

上記①の方が少ないので、72日×4,300円=30万9,600円

弁護士基準は他覚所見の有無によって異なる

弁護士基準の入通院慰謝料は、通常、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称、赤い本)の基準を用いて算定します。

むちうちの場合は、以下のとおり、他覚所見の有無によって用いる表が異なります。

  • 他覚所見がある場合:別表Ⅰ
  • 他覚所見がない場合:別表Ⅱ

他覚所見とは、以下のとおり医師が客観的に認識できる症状のことです。

  • レントゲンやMRI画像で客観的に症状を証明できる場合
  • スパーリングテストや筋萎縮検査、深部腱反射テスト等で異常が確認できる場合
  • 医学的な見地から医師が異常を認識・証明できる場合

他覚所見がある場合

むちうちで他覚所見がある場合は、下表(赤い本・別表Ⅰ)を用いて慰謝料を算定します。

1月あたり30日として考えます。通院のみの場合は、通院のみの欄(赤枠部分)の金額を慰謝料とします。

入院と通院の双方がある場合は、入院月数を上欄から求め、通院月数を左欄から求めて、両者が交わる欄の金額(万円単位)が慰謝料の基準額となります。

他覚所見がない場合

むちうちで他覚所見がなく、自覚症状だけの場合は、下表(赤い本・別表Ⅱ)を用いて慰謝料を算定します。

1月あたり30日として考えます。通院のみの場合は、通院のみの欄(赤枠部分)の金額を慰謝料とします。

入院と通院の双方がある場合は、入院月数を上欄から求め、通院月数を左欄から求めて、両者が交わる欄の金額(万円単位)が慰謝料の基準額となります。

なお、通院が長期にわたる場合は、症状・治療内容・通院頻度を踏まえて、実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあります。

後遺障害の認定は主に、医師が発行する後遺障害診断書により行われます。

むちうちで後遺障害慰謝料を請求できるのはどんなケース?

残った症状が、12級に該当するか、14級に該当するか、非該当となるかによって、受け取れる慰謝料の額が異なります。では、どのような場合に後遺障害が認定されるのでしょうか。

ここでは、自賠責保険と裁判実務における後遺障害認定について解説します。

自賠責保険における後遺障害認定

むちうちは、医学的に正式な傷病名はなく、一般的に外傷性頚部症候群(頚椎捻挫、頚部挫傷)などと診断されます。

自賠責調査事務所では、頚椎の脱臼や骨折、頚椎損傷を伴わない外部性頚椎症候群については、将来においても回復が見込めない症状であることを医学的に証明・説明できる場合には、神経系統の機能または精神の障害として評価します。

外傷性頚部症候群で後遺障害が認められるかどうかは、以下の2点を前提に判断されます。

  • 症状の存在を医学的に証明できるか
  • 受傷時の状態・治療の経過などからその妥当性が判断できるか

外傷性頚部症候群で後遺障害が認定される場合、該当する等級は次のいずれかです。

  • 12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級9号:局部に神経症状を残すもの

12級13号の局部に頑固な神経症状を残すものとは

外傷性頚部症候群に起因する頭頚部や上肢、背部に残存する症状が、神経学的検査所見や画像所見などの他覚的所見により、医学的に証明できるものです。

例えば、めまいの症状があり、労働には通常差支えなくても、眼振その他平均機能検査の結果に異常所見が認められる場合は、12級13号として取り扱われます。

14級9号の局部に神経症状を残すものとは

外傷性頚部症候群に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見などから証明できないが、受傷時の状態や治療の経過などから連続性・一貫性が認められ、医学的に推定されるものです。

例えば、めまいの自覚症状があり、他覚的には眼振その他平均機能検査の結果に異常所見が認められないものの、単なる誇張ではないと医学的に推定されるものは、14級9号として取り扱われます。

裁判実務における後遺障害認定

自賠責保険による後遺障害等級認定の結果の影響は大きく、裁判に至った場合にも、自賠責保険による後遺障害等級認定結果に沿った認定がなされるケースがほとんどです。

ただし、自賠責保険の後遺障害等級に該当しない程度の障害でも、後遺障害慰謝料が認められることもあります。裁判では、自賠責保険が重視する要素のほか、被害者ごとの個別具体的な事情も踏まえて慰謝料を算定するからです。

むちうちの慰謝料が相場より増額・減額されることはある?

ここでは、慰謝料の増額・減額事由について解説します。

増額されるケース

慰謝料が増額される可能性がある具体的な事情としては、以下のようなものがあります。

  • 加害者の事故態様が悪質だった
  • 加害者の事故後の対応が著しく不誠実だった
  • 交通事故により休業・失業・転職を余儀なくされた
  • 交通事故により留年したり内定が取り消されたりした
  • 他の部位にも症状が残り、後遺障害等級に認定された

むち打ちの損害賠償金の種類と増額させるためのポイント

減額されるケース

慰謝料が減額される可能性がある具体的な事情としては、以下のようなものがあります。

  • 被害者の既往の疾患により損害が拡大した
  • 被害者の心因的要因により損害が発生・拡大した
  • 持病や他の交通事故の影響等が混在している
  • 交通事故の発生に被害者にも過失があった

 

交通事故のむちうち慰謝料相場に関するQ&A

ここでは、むちうちの慰謝料相場に関してよくある質問とその答えを紹介します。

あんま・マッサージ・指圧師、鍼灸師、柔道整復師の施術も通院期間として認められる?

自賠責保険では、保険会社から事前の承諾が得られれば、以下の施術についても、通院期間として認められます。

  • 有資格のあんま・マッサージ・指圧師
  • 鍼師、灸師(鍼灸院)
  • 柔道整復師(整骨院)

ただし、自賠責基準の入通院慰謝料の日数の認定においては、以下のような取り扱いとなります。

  • あんま・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師:実施術日数(2倍しない)
  • 柔道整復師:実施術日数×2(医師・歯科医師の治療日数と同様に2倍する)

医師以外の治療を受ける場合は、次のポイントを押さえましょう。

  • 医師の指示を受ける
  • 事前に保険会社の承諾を得る

保険会社から治療費を打ち切られたらどうすればいい?

むちうちの場合、治療期間が3か月程度経過した時点で、加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを宣告されることがよくあります。治療が長引くほど治療費や入通院慰謝料は高額になるため、加害者側の保険会社はなるべく費用の支払いを抑えたいからです。

治療を継続する必要があるかどうかは、主治医が判断すべきことです。そのため、保険会社から治療費の打ち切りを打診されたら、ご自身の体に症状が残っているようであれば主治医に今後の治療の必要性を確認しましょう。

治療を継続する必要があると医師が判断した場合は、保険会社に診断書等を提示して、治療費打ち切りの延長を求めます。

保険会社に治療費を打ち切られても、治療を終了する必要はありません。治療費が打ち切られても、医師に治療の継続が必要と判断された場合は、以下の方法で治療を継続できます。

  • 自賠責保険に治療費を請求する
  • 健康保険を利用して治療終了後に保険会社に請求する
  • 労災保険を利用する(業務災害、通勤災害の場合)

通院期間が長ければ長いほど慰謝料は増えるの?

治療が長引くほど入通院慰謝料は高額になりますが、原則として、医師に症状固定(これ以上治療を継続しても症状が良くならない状態をいいます。)の診断を受けるまでの期間しか治療費や慰謝料は請求できません。

一般的に、自覚症状が中心のむちうちでは、受傷から3か月程度、他覚所見がある場合は6か月程度の治療が必要と言われています。

主治医の判断に従い、必要な期間治療を行い、適切な慰謝料を請求しましょう。

治療打ち切り・症状固定と言われてしまった方へ

まとめ|むちうちで適切な慰謝料を得るには弁護士に依頼を!

交通事故によってむちうちになった場合に、請求できる入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は、慰謝料の算定基準や障害等級によって大きく異なります。

少しでも多く慰謝料を受け取りたい方は、弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。弁護士であれば、弁護士基準(裁判基準)を用いて適正な慰謝料の額を算定できます。

交通事故でむちうちになった方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

交通事故で弁護士に依頼する10個のメリットと弁護士選びのコツを紹介

 

ページの上部へ戻る