
交通事故で怪我が完治せず、体に痛みや機能障害が残った場合、被害者にとって重要なのが後遺障害等級の認定です。
中でも後遺障害12級は、むち打ちや骨折後の関節機能障害などで認定される可能性があり、賠償金に大きく影響する重要な等級です。
後遺障害12級が認定されるかどうかで、受け取れる賠償金に数百万円以上もの差が生じることもあります。
しかし、後遺障害12級の認定ハードルは決して低くありません。
知識不足のまま進めた申請では、証拠不足として認められないケースも多くあります。
本記事では、以下のポイントを徹底解説します。
- 後遺障害12級の症状と認定基準
- 14級との決定的な違いと賠償金の差額
- 認定率を高めるためにすべきこと
ぜひ参考にしてください。
| 【30秒でわかる!後遺障害12級認定のポイント】 |
|---|
|
・対象となる症状 むち打ち、骨折後の関節可動域制限、神経症状(痛み・痺れ)、視力・聴力低下、顔や体の傷跡など ・認定の決め手は医学的証明 ・14級との違い ・賠償額の差は大きい ・認定率を上げる3つのポイント |
目次
後遺障害12級の全体像|早見表あり
まずは、後遺障害12級がどのような位置づけにあるのか、全体像を把握しましょう。
後遺障害12級の定義
後遺障害等級は最も重い1級から14級までありますが、12級はその中間よりもやや下の等級です。
法律(自賠法施行令別表第二)では、局部に頑固な神経症状を残すものや関節の機能障害など、日常生活や仕事に明確な支障をきたす全14種類の症状が定められており、認定されれば相応の補償が受けられます。
具体的には、以下のような状態が想定されます。
- むち打ち・ヘルニア等:MRI画像等で神経圧迫の異常が医学的に証明できるもの
- 関節の機能障害:骨折後、関節の可動域が4分の3以下に制限されたもの
- 感覚器・外貌の障害:視力の低下、顔に残った傷跡など
ひと目でわかる!後遺障害12級の慰謝料と労働能力喪失率・認定条件
後遺障害12級の慰謝料と労働能力喪失率・認定条件を一目で理解できるようまとめました。
| 項目 | 内容・数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 後遺障害慰謝料 | 290万円 | 弁護士基準(裁判基準)の場合 (自賠責基準だと94万円) |
| 労働能力喪失率 | 14% | 逸失利益(将来の減収補償)の計算に使用 |
| 認定の必須条件 | 医学的証明 | 画像(MRI・CT)や検査数値等による他覚的所見が必要 |
後遺障害12級を獲得するメリット
後遺障害12級が認定される最大のメリットは、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の両方を請求できることです。
特に、逸失利益(将来得られたはずの収入の補償)は、「年収 × 14% × 労働可能な年数」で計算されるため、若年層や高年収の方であれば、この部分だけで数千万円になるケースもあります。
後遺障害12級と14級の決定的な違い
交通事故の被害者が直面する最大の疑問のひとつが、「自分は後遺障害12級なのか、それとも14級なのか」という問題です。
特に、むち打ち(頚椎捻挫)や腰椎捻挫では、この違いが賠償額に大きく影響します。
後遺障害12級と14級の認定ハードルの違い|証明か説明か
実務上、両者の違いは以下のように定義されています。
- 12級13号:障害の存在が【医学的に証明】できるもの
- 14級9号:障害の存在が【医学的に説明(推定)】できるもの
後遺障害12級に必要な証明とは、第三者(審査機関)が画像や検査結果を見ただけで、「ここに異常があるから痛いのだ」と客観的に断定できる状態です。
一方、後遺障害14級に必要な説明とは、画像上の断定まではできないものの、「事故状況や治療経過から見て、痛みが残っていてもおかしくない」と医学的に推測できる状態です。
画像所見(MRI・CT)の有無が後遺障害12級と14級の分かれ道
上記の【医学的な証明】において決定的な役割を果たすのが、MRIやCTなどの画像所見です。
- 12級になるケース
MRI画像などで、神経の圧迫や変性が明確に確認でき、その場所と患者が訴える症状(痛みや痺れの場所)が一致している。 - 14級になるケース
画像上は明らかな異常が見当たらない(あるいは軽微な経年変化のみ)が、自覚症状が一貫して続いている。
つまり、画像に映る異常所見があるかどうかが、12級認定の最大のポイントです。
後遺障害12級と14級の賠償金額の差|数百万円近く変わる理由
後遺障害12級と14級で、受け取れる金額には大きな差が生まれます。
【表:後遺障害12級と14級の慰謝料比較】
| 等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 後遺障害12級 | 94万円 | 290万円 |
| 後遺障害14級 | 32万円 | 110万円 |
このように、弁護士基準では慰謝料だけで180万円もの差が生じます。これに加えて逸失利益(将来の減収補償)の差額も加算されるため、最終的な受取総額では数百万円以上の開きになることも少なくありません。
後遺障害12級の各症状と認定基準|部位別完全ガイド
ここからは、法律で定められている12級の全症状(1号〜14号)について、部位別に解説します。
ご自身の症状がどこに当てはまるか確認してください。
①神経症状(むち打ち・ヘルニア等)|12級13号
MRIやCT等の画像検査で神経圧迫などの異常が明確に証明できる重い痛みや痺れが対象です。
| 症状 | 定義 | 対象 | 認定のポイント |
|---|---|---|---|
| 神経症状(むち打ち・ヘルニア等) | 局部に頑固な神経症状を残すもの | むち打ち(頚椎捻挫)、腰椎捻挫、骨折後の慢性的な痛みや痺れ | 他覚的所見(MRI等)による医学的証明が必要 ジャクソンテストやスパーリングテスト等の神経学的検査結果と画像所見の一致が重視 |
【等級の壁】
上位11級は、脊髄損傷など不可逆的な重傷が対象です。
下位14級は、画像所見なしで痛みの説明が可能な場合が対象です。
②外貌醜状・傷跡|12級14号
顔面や首などの日常的に人目に触れる部分に、一定以上の大きさの傷跡が残ったものが対象です。
| 症状 | 定義 | 対象 | 認定のポイント |
|---|---|---|---|
| 外貌醜状・傷跡 | 外貌に醜状を残すもの | 顔面、頭部、頸部(首)など日常的に露出する部分に残った傷跡 | 傷跡の大きさや長さで判定 顔面は10円硬貨大以上の瘢痕または長さ3cm以上の線状痕 頭部は鶏卵大以上の瘢痕または鶏卵大以上の頭蓋骨の欠損 頸部(首)は鶏卵大以上の瘢痕 |
【等級の壁】
上位9級は、長さ5cm以上の線状痕が対象です。
下位14級は、上肢・下肢(手足)の露出面の傷跡が対象です。
③腕や足の関節可動域制限|12級6号・7号
骨折等の影響で、腕や足の関節の動く範囲が健康な方と比べて4分の3以下に制限されたものが対象です。
| 症状 | 定義 | 対象 | 認定のポイント |
|---|---|---|---|
| 関節可動域制限|6号上肢・7号下肢 | 上肢(下肢)の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの | 肩・肘・手首、股関節・膝・足首 | 怪我をした側の関節可動域が、怪我をしていない側と比較して4分の3以下に制限されていること |
【等級の壁】
上位10級は、可動域が2分の1以下に制限されている場合に対象です。
なお、数値上は制限があっても、痛みで動かせないだけ(疼痛による可動域制限)では認められない場合があります。
骨の変形や癒着など、動かない原因となる器質的変化が画像で確認できる必要があります。
④指の欠損・機能障害|12級9・10・11・12号
手や足の指を失った場合や指の用を廃した(動かなくなった)場合が対象です。
| 症状 | 定義 | 対象 | 認定のポイント |
|---|---|---|---|
| 手の小指の欠損|9号 | 一手の小指を失ったもの | 片手の小指 | 片手の小指を第一関節~第二関節の間で切断した |
| 手の指の機能障害|10号 | 一手の人差し指、中指、薬指の用を廃したもの | 片手の人差し指・中指・薬指 | 片手の人差し指・中指・薬指いずれかの骨の半分以上を失った 指自体は存在するが、第2関節から先の可動域が2分の1以下、または感覚が失われている状態 |
| 足指の欠損|11号 | 一足の第2指、または第2指を含む2本、あるいは第3指以下の3本を失ったもの | 片足の第2指、または第2指を含む2本、3本 | 足指を付け根(中足指節関節)から失った状態 |
| 足指の機能障害|12号 | 一足の第1の足指または他の4本指の用を廃したもの | 片足の親指、または親指以外の4本指すべて | 親指(または他の4本指)の可動域が2分の1以下になった状態など |
【等級の壁】
上位(欠損の本数と場所):親指を失うと10級、親指を含む2本以上を失うと9級になります。
下位(欠損か機能障害か):小指の場合、失えば12級(9号)ですが、動かないだけなら13級(6号)となります。 指先の一部欠損(骨の一部のみ)などは14級となります。
⑤眼・まぶた|12級1号・2号
片目のピント調節機能が大幅に低下した場合や、まぶたの開閉に著しい支障が残った場合が対象です。
| 症状 | 定義 | 対象 | 認定のポイント |
|---|---|---|---|
| 眼球の調節機能障害|1号 | 1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの | 片目のピント調節機能 | 調節力(ピントを合わせる力)が怪我をしていない側の2分の1以下に低下していること (加齢による低下は除外) |
| まぶたの運動障害|2号 | 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの | 片目のまぶたの開閉機能 | 開く時:目を開けても瞳孔が隠れる 閉じる時:目を閉じても角膜を完全に覆えない状態 |
【等級の壁】
上位11級は、両眼の調節機能障害(1号)や、まぶたの欠損(組織自体がない)(3号)が対象です。
調節機能が低下していても、2分の1以下でなければ非該当または14級(神経症状扱い)となることがあります。
⑥歯|12級3号
事故で歯を失うなどして、差し歯やインプラントなどの補綴(ほてつ)治療を7本以上行った場合が対象です。
| 症状 | 定義 | 対象 | 認定のポイント |
|---|---|---|---|
| 歯の欠損・補綴 | 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの | 事故により喪失した歯、または著しく欠損した歯 | 事故により欠損または損傷した歯に対し、クラウン・ブリッジ・入れ歯・インプラントなどの補綴治療を行った歯が合計7本以上あること |
【等級の壁】
歯の障害は、以下の本数基準で等級が決まります。
- 11級:10本以上
- 12級:7本以上
- 13級:5本以上
- 14級:3本以上
治療した歯が2本以下の場合は、後遺障害等級(歯の障害)としては認められません(非該当)。
⑦耳|12級4号
聴力障害ではなく、片耳の軟骨部分(耳介)の大部分を失った見た目の欠損が対象です。
| 症状 | 定義 | 対象 | 認定のポイント |
|---|---|---|---|
| 片耳の耳殻欠損 | 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの | 片耳の耳介(外に出ている軟骨部分) | 大部分の欠損とは、耳の軟骨部の2分の1以上を失った状態 ※聴力ではなく、外貌(見た目)の問題として扱われる |
【等級の壁】
12級には難聴(聴力低下)の項目はありません。
聴力障害には、例えば以下のものが挙げられます。
- 11級5号: 両耳の聴力が40dB以上(1m離れて小声が聞こえない)
- 14級3号: 片耳の聴力が40dB以上70dB未満(1m以内の小声なら聞こえる)
【外貌醜状との関係】
耳の欠損は12級4号として独立していますが、もし顔面の傷跡なども併発している場合、それらを合わせて外貌醜状(12級14号や7級12号)として評価されることもあります。
⑧骨の変形|12級5・8号
骨折等により特定の骨が変形したなど、骨の形状変化が対象です。
| 症状 | 定義 | 対象 | 認定のポイント |
|---|---|---|---|
| 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨または骨盤骨の変形|5号 | 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの | 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤 | 肉眼ではっきりわかるレベルであること |
| 長管骨の変形|8号 | 長管骨に変形を残すもの | 頚椎・胸椎・腰椎の圧迫骨折、破裂骨折など | 骨折は治癒済みでも、レントゲンやCTで変形が確認できること |
【等級の壁】
手足: 骨がくっつかず、グラグラ動いてしまう場合(偽関節)は8級や7級になります。
背骨: 変形が非常に大きい場合や、背骨の動きが悪くなった(可動域制限)場合は11級や8級になります。画像上の変形が不明確で、骨挫傷(打撲)程度の変化であれば、14級(神経症状)になる場合があります。
後遺障害12級の適正な認定につながりやすい3つのポイント
後遺障害12級の認定を受けるためには、医学的証拠(医証)の質が重要です。
特に、神経症状において後遺障害12級が認定される要件は、①画像所見、②神経学的検査、③自覚症状の3つが整合していることです。
したがって、次の3つのポイントを押さえ、矛盾のない証拠作りを心がけましょう。
- MRI・CTによる早期画像検査
- 神経学的検査で客観的証拠を補強
- 後遺障害診断書の自覚症状は具体的に
以下、詳しく解説します。
MRI・CTによる早期画像検査
MRIやCT等の画像検査は、事故から時間が経てば経つほど事故との因果関係の証明が難しくなるリスクがあります。また、レントゲンは骨折の有無を確認する検査のため、神経や靭帯の状態は映りにくいことがあります。
- レントゲン:骨折の確認に有効だが、神経・靭帯は映らない
- CT:骨の微細な骨折や、脳出血・臓器損傷の把握に有効
- MRI:椎間板ヘルニア・神経圧迫などの確認に有効
早期に主治医と相談し、医師の判断に応じてMRIやCT等の精密検査を受けておくことが望ましいでしょう。
神経学的検査で客観的証拠を補強
画像所見に加え、神経学的検査を行って症状を客観的に示すことが、評価の裏付けとして重視されます。
- ジャクソンテスト・スパーリングテスト(首の神経圧迫の確認)
- 腱反射テスト(膝・肘の反射確認)
- 筋萎縮検査(筋肉の減少を測定)
これらの結果がカルテに記載されていると、症状の信憑性が高まり、後遺障害12級の認定基準を満たしやすくなります。
後遺障害診断書の自覚症状は具体的に
後遺障害診断書の自覚症状欄は、被害者が医師に伝えている症状がどのようなものかを示す重要な部分です。
後遺障害12級の認定には、症状が一時的ではなく常時続いていること(常時性)が必要です。遠慮して症状を軽く伝えてしまうと、診断書に記載されず審査で不利になります。
「いつ」「どこが」「どのように」痛むかなど、実際の症状を正確に医師へ伝えることが大切です。
後遺障害12級の慰謝料・逸失利益の計算ガイド
後遺障害12級が認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の2つの大きな賠償金を請求できます。
- 後遺障害慰謝料:後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
- 後遺障害逸失利益:事故により後遺障害が残らなければ将来得られたであろう利益
ここでは、算定基準ごとの慰謝料額の違いと、年収別の逸失利益の目安をわかりやすく解説します。
後遺障害12級の慰謝料額は算定基準で大きく変わる
交通事故の慰謝料には、次の3つの算定基準があります。
- 自賠責基準:国が定める最低限の補償
- 任意保険基準:保険会社が独自に設定
- 弁護士基準(裁判所基準):過去の裁判例に基づく基準
このうち、弁護士基準(裁判所基準)により算定した慰謝料が一番高くなる傾向があります。

後遺障害12級の慰謝料は、適用される基準により以下のような相場の違いが生じます。
| 基準 | 12級の慰謝料額 | 補足 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 94万円 | 国が定めた最低限の補償(2020年4月以降の事故の場合) |
| 任意保険基準 | 100万円前後 | 保険会社が独自に定めた基準(非公開だが、一般的には自賠責基準より高く、弁護士基準より低い) |
| 弁護士基準 | 290万円 | 裁判例に基づく相場(比較的高額になりやすい) |
弁護士が介入すると、弁護士基準をもとに交渉が行われるため、増額が認められるケースがあります。
【年収別】後遺障害12級の逸失利益|一目でわかる一覧
後遺障害が残ることで、事故前と同じように働けず、将来の収入が減少する場合があります。
このような損害を補償するのが後遺障害逸失利益です。
後遺障害逸失利益の計算方法は、次のとおりです。
| 基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
後遺障害12級の労働能力喪失率は14%です。
以下は、40歳(67歳まで27年間就労)の被害者をモデルケースとした逸失利益の概算です。
※実際の金額は年齢(労働できる残り年数)・職種・具体的な支障の程度により大きく変動します。
| 年収 | 逸失利益(10年間のモデルケース) ※神経症状が長期にわたり労働に支障を及ぼすと評価された場合 |
逸失利益(67歳までのモデルケース) ※重い機能障害で長期の労働制限が想定される場合 |
|---|---|---|
| 400万円 | 約480万円 | 約1,026万円 |
| 600万円 | 約720万円 | 約1,539万円 |
| 800万円 | 約960万円 | 約2,052万円 |
神経症状(むち打ち)の場合は、労働能力喪失期間が制限される可能性があります。
むち打ちは、他の後遺障害と比較すると、徐々に症状が軽くなると考えられており、裁判実務でも長期の労働能力喪失が認められにくい傾向があります。
裁判実務上、神経症状(むち打ち)の場合は等級に応じて、下表のとおり労働能力喪失期間が制限されるのが一般的です。
| 後遺障害等級12級13号のケース:10年程度 後遺障害等級14級9号のケース:5年程度 |
後遺障害12級の申請方法で結果が変わる?|事前認定と被害者請求
後遺障害等級認定の申請方法には、次の2つがあります。
- 事前認定|加害者側の保険会社が手続き
- 被害者請求|被害者または代理人弁護士が手続き
後遺障害12級の認定を目指すなら、被害者請求がおすすめです。
その理由と具体的な流れを、比較表とともに整理します。
事前認定と被害者請求の違い|メリット・デメリット
まずは、2つの申請方法の違いを比較しましょう。
| 項目 | 事前認定 | 被害者請求 |
|---|---|---|
| 申請者 | 加害者側の保険会社 | あなた(または代理人弁護士) |
| 手間 | あまりかからない | 資料収集が必要(弁護士が代行可能) |
| 提出書類 | 最低限のみ提出 | 有利な資料を自由に追加できる |
| 透明性 | 低い(提出内容が見えない) | 高い(書類すべてを把握できる) |
なぜ被害者請求がおすすめなのか?
事前認定は、加害者側の保険会社が手続きを代行してくれる便利な制度ですが、提出資料の自由度が限定されるため、資料を追加・補強したい場合には不向きです。
- 事前認定の役割
あくまで迅速かつ公平に手続きを進めることが目的です。
そのため、基本的には医師が作成した診断書と画像をそのまま提出する形になり、追加資料を積極的に提出することは、難しいケースが多いのが実務上の特徴です。 - 被害者請求の強み
被害者請求はあなたの権利を最大限に立証することが目的です。
審査に必要な医学資料や生活状況資料を整理し、客観的に状況を伝えることが可能です。
12級という高いハードルを超えるためには、後者のアプローチがより有効です。
被害者請求で弁護士ができること
被害者請求では、弁護士があなたの代理人として、損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所に書類を提出します。
- ① MRI・CT画像の精査と選別
画像所見について、医師の診断内容や症状との関連性がわかるよう整理した書面を添付する場合があります。 - ②医師への照会・意見書
診断書の記載があいまいなままでは、症状が適切に評価されない可能性があります。
弁護士は必要に応じて医師へ照会を行い、回答を依頼することができます。- 神経学的所見(反射・筋力低下)が画像と一致するか
- 症状固定日まで症状が持続した客観的理由は何か
- 今後想定される就労への支障(医学的観点からの意見) など
- ③日常生活・仕事での支障を文書化
画像だけで説明できない部分を、次のような書類で補強します。- 家事・育児・仕事での支障の詳細
- 就労に影響が出た経緯(配置転換・残業不可など)
- 痛み・痺れの推移記録
審査機関は医証を最優先としますが、数値に表れない生活上の不利益も、症状の信用性を高めるための重要な補強材料として評価の対象となります。
後遺障害12級に関するよくある質問(FAQ)
後遺障害12級に関するよくある質問をまとめました。
むち打ちで12級は認定されますか?
一定の条件を満たす場合に限り、12級13号が認定される可能性があります。
ただし一般的にはハードルは高めです。
むち打ち(頚椎捻挫)は14級または非該当になるケースも多いですが、以下の条件を満たす場合、12級13号(頑固な神経症状)が認定される可能性があります。
- MRIで神経圧迫などの明確な異常が確認できる
- 画像の異常部位と、訴える痛み・痺れの部位が一致する
- 神経学的検査(反射・筋力低下・感覚障害)が一致している
12級は医学的証明(画像+検査)が求められるため、認定を受けるには画像の精査や検査結果の充実が重要です。
仕事への影響が少なくても逸失利益はもらえますか?
状況によっては認められることがあります。
保険会社の中には「現在、収入に影響が出ていないから逸失利益は認められない」と主張するところもあります。
しかし、逸失利益は、将来の収入減少を補填することを目的とした制度であり、現時点の収入だけで判断するものではありません。
【主張できるポイント】
- 痛み・痺れにより作業効率が落ちる
- 将来の昇進・昇格で不利になる可能性
- 力仕事・長時間労働ができず配置転換のリスクがある
- 転職市場で不利になる可能性
これらを医学的資料や就労状況報告書で説明することで、逸失利益が認められる可能性があります。
弁護士にはいつ相談するのがベストですか?
症状固定(治療終了)前、特に治療中に相談しておくことが望ましいです。
後遺障害は、診断書の書き方や検査の内容、MRI撮影のタイミングで認定結果が大きく変わります。
【早期相談でできること】
- 必要なMRI・神経学的検査のアドバイス
- 画像と症状が一致しているかのチェック
- 医師に依頼すべき検査・記載事項の助言
- 症状固定日を適切に設定するサポート
できるだけ早期に相談することで、弁護士がサポートできる幅も広がります。
12級と14級のどちらになるか自分で判断できますか?
自力での判断は困難です。専門家による画像・検査の精査が必要です。
- 画像に異常がある → 12級の可能性
- 画像に異常がない → 14級の可能性
というシンプルな話ではなく、
- MRIの撮影角度
- 神経学的検査の一致
- 症状の一貫性
- 日常生活上の不利益の内容(※補強材料として)
など医学的所見を中心に総合判断します。
まとめ|後遺障害12級は“医学的証明”と“適切な手続き”が鍵
後遺障害12級は、今後の賠償額に大きく影響する重要な等級です。
認定には、画像所見や神経学的検査などの他覚的所見が重視される傾向にあり、14級より審査が厳しくなる傾向があります。
後遺障害12級を目指すうえで特に重要なのは、次の3点です。
- 症状と所見の整合性を示すこと|画像・検査結果・具体的な症状の記載
- 必要な資料を的確にそろえること|診断書・検査記録・経過
- 適切な手続き方法を選ぶこと|被害者請求は資料を準備しやすい
これらが揃うほど、より適正な等級が認定される可能性が高まります。
後遺障害の認定は、治療経過や資料の内容によって結果が変わることもあります。
不安がある場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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初回の相談は30分無料です。ぜひ一度ご相談ください。
