交通事故の慰謝料はいつ入る?振込までの流れと早めに受け取る方法

交通事故に遭った場合、けがの治療や通院等で多くの出費がかさみます。

これらの支払いは、基本的にその都度加害者から支払われるわけではなく、被害者が立て替えをし、示談成立後に一括で支払われます。

仕事を休んでいる場合には、その分の収入が減ることになり、「いつ慰謝料をもらえるのか?」と不安になりますよね。被害者からしたら、できるだけ早く慰謝料をもらいたいと考えるでしょう。

この記事では、主に次のことについて解説しています。

  • 交通事故の慰謝料が支払われるタイミング
  • 交通事故の慰謝料の振り込みまでの期間が長くなるケース
  • 交通事故の示談成立前に慰謝料を受け取る方法

ぜひ参考にしてください。

交通事故の慰謝料はいつ入る?

交通事故の慰謝料が支払われるまでの期間について、見ていきましょう。

示談成立後2~3週間程度

交通事故の慰謝料は、示談成立後2~3週間程度で振り込まれます。

基本的に、交通事故の慰謝料は示談が成立した後に支払われます。

示談が成立して初めて、加害者・被害者双方の合意のもと、全ての損害額が確定するからです。

示談が成立した後、慰謝料が振り込まれるまでの流れは、次のとおりです。

①保険会社から被害者に対して示談書または免責証書が送付される
②書類の内容を確認し、問題がなければ署名押印して、返送する
③保険会社が書類を確認後、支払いの手続きに移行する
④保険会社から、被害者の指定した口座に、慰謝料が振り込まれる

示談成立から2週間以上経過しても示談書等が届かない場合(①)や、示談書の返送をしてから1週間以上経過しても慰謝料が支払われない場合(②)には、一度保険会社に問い合わせてみましょう。

示談成立までは数か月から数年かかる場合も

示談成立までの期間は事故態様等によって異なり、示談成立まで数か月から数年かかる場合もあります。

例えば、後遺症なしの人身事故の場合、示談交渉は、けがの治癒または症状固定後に開始します。なぜなら、治療段階では治療費等の損害額が確定しておらず、全ての損害額を把握できないからです。

示談は、一度成立するとその内容を変更することは難しいことから、全ての損害額が確定してから開始します。

示談交渉を開始するタイミングは、下表のとおりです。

死亡事故

相続人確定後、かつ一般的に四十九日の後

後遺症なしの人身事故

けがの治癒または症状固定後

後遺症ありの人身事故

後遺障害等級認定の結果確認後

物損事故

物的損害の損害額確定後

死亡事故

死亡事故の場合は、事故発生時に損害が確定しているため、損害額の算定が済めばいつでも示談交渉を開始できます。

ただし、賠償請求の主体は通常は死亡した被害者の相続人になるので、相続人が確定してから示談交渉を開始するのが一般的です。

当然に相続人が確定している場合であっても、一般的に四十九日が終わってから示談交渉が開始されることが多いです。

相続人確定(1~2か月)+示談交渉(2~3か月)+示談金の振込(2~3週間)

示談交渉開始から成立までは、おおむね2~3か月程度です。

ただし、被害者遺族の気持ちの整理がなかなかつかない場合や処罰感情の強い場合は、それ以上かかることがあります。

後遺症なしの人身事故

後遺症なしの人身事故の場合は、けがの治癒または症状固定後(治療を継続してもこれ以上の症状改善が見込めない状態。)に示談交渉を開始します。

治癒または症状固定(受傷状況による)+示談交渉(2~3か月)+示談金の振込(2~3週間)

示談交渉開始から成立までは、おおむね2~3か月程度です。

ただし、けがの程度が重い等の場合は、それ以上かかることがあります。

後遺症ありの人身事故

後遺症ありの人身事故の場合は、症状固定後に後遺障害等級認定の申請を行います。

したがって、後遺障害等級認定の結果が出た後に示談交渉を開始します。

症状固定(受傷状況による)+後遺障害等級認定の申請準備・認定(2~3か月)+示談交渉(2~3か月)+示談金の振込(2~3週間)

示談交渉開始から成立までは、おおむね2~3か月程度です。

ただし、後遺障害等級認定の結果に納得がいかない等の場合は、それ以上かかることがあります。

物損事故

物損事故の場合は、事故による物的損害の損害額が確定した後に示談交渉を開始します。

損害額確定(1~2か月)+示談交渉(2~3か月)+示談金の振込(2~3週間)

示談交渉開始から成立までは、おおむね2~3か月程度です。

ただし、修理費や車両の買い替え差額等について当事者間に争いがある場合は、それ以上かかることがあります。

◆補足|事故発生から示談までの流れと日数の目安

事故発生から示談までの流れと日数の目安については、下表を参考にしてください。

交通事故の慰謝料の振り込みまでの期間が長くなる5つのケース

交通事故の慰謝料の振り込みまでの期間が長くなるケースとして、次の5つが挙げられます。

  • けがの程度が重症のケース
  • 後遺障害が残ったケース
  • 過失割合に争いのあるケース
  • 調停・訴訟に発展するケース
  • 加害者が無保険のケース

以下、詳しく見ていきましょう。

けがの程度が重症のケース

けがの程度が重症のケースです。

人身事故の示談交渉(後遺症が残ったケースを除く。)は、けがの治癒または症状固定後に開始されます。

したがって、けがの程度が重症であればあるほど、示談交渉が開始されるまでの期間も長くなります。

けがの症状固定の期間の目安は、下表のとおりです。

打撲

数週間1か月

むちうち

3か月

骨折

半年

これらはあくまでも目安であり、症状固定は医師の判断が尊重されます。

慰謝料を早く欲しいからと言って、ご自身の判断で治療をやめることは、結果として十分な慰謝料を受け取れないことに繋がりますから、おすすめしません。

けがの程度が重症であるほど、けがの治癒または症状固定までの期間が長くなることから、慰謝料を受け取るまでの期間も長くなるでしょう。

後遺障害が残ったケース

後遺障害が残ったケースです。

事故後の治療によっても、一定程度の症状が残ってしまうことがあります。

これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態症状固定と言います。

慰謝料は、原則として事故日から症状固定日までが対象となるため、それ以降の請求はできません。

後遺障害が残った場合には、交通事故による後遺障害として認定されることで、後遺障害慰謝料逸失利益を請求できるようになります

したがって、後遺障害が残ったケースでは、後遺障害等級認定の結果が出た後に示談交渉を開始します。

後遺障害が残るようなけがですから、治療期間だけで数年かかることもあるでしょう。

後遺障害等級の申請準備から認定までは2~3か月程度を要します。

さらに、後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合に備えて、異議申立ての制度が存在します。

したがって、後遺障害が残ったケースでは、慰謝料を受け取るまでの期間も大幅に長くなるでしょう。

過失割合に争いのあるケース

過失割合に争いのあるケースです。

交通事故の過失割合とは、発生した事故に対する加害者・被害者双方の責任や不注意の度合いのことです。

被害者にも過失がある場合には、その分賠償額が減額されることになります(過失相殺)。

示談交渉では、当事者双方の合意で過失割合を決めることから、その話し合いが難航することも少なくありません。

特に、損害額が高額になるケースでは、過失割合によって加害者が支払うべき賠償額も大幅に変動することから、過失割合について争いになる傾向が高いでしょう。

以下の計算式では、損害額500万円と仮定した場合の過失割合による賠償額の差を示しています。

過失割合が加害者8:被害者2の場合

被害者の過失割合が2割の場合、加害者が支払うべき賠償額は400万円になります。

500万円×8/10=400万円

過失割合が加害者5:被害者5の場合

被害者の過失割合が5割の場合、加害者が支払うべき賠償額は250万円になります。

500万円×5/10=250万円

このように、過失割合によって加害者の支払うべき賠償額に差がでることから、過失割合について争いのあるケースでは、示談成立までに時間がかかるでしょう。

訴訟に発展するケース

訴訟に発展するケースです。

示談の内容に双方が納得できない場合には、訴訟手続きを利用して慰謝料額を決めることになります。

訴訟の場合には、早くても1年程度はかかるでしょう。控訴がされた場合には、さらに半年以上かかることになります。

したがって、示談がまとまらず訴訟に発展するケースでは、慰謝料を受け取るまでの期間も大幅に長くなるでしょう。

加害者が無保険のケース

加害者が無保険のケースです。

加害者が任意保険に加入している場合には、示談交渉の相手は保険会社になります。

しかし、加害者が任意保険に加入していない場合には、加害者本人と直接示談交渉をする必要があります。

当事者本人同士の話し合いは、専門的な知識がなく、必要書類の準備や手続き等にも時間がかかるでしょう。

感情的な争いにも発展しやすいことから、保険会社や弁護士が示談交渉をする場合よりも大幅に長引く傾向にあります。

保険に加入していないということは、加害者の資力がない可能性が高く、一括での支払いが難しい場合やそもそも支払いがきちんとされない場合もあるでしょう。

交通事故の示談成立前に慰謝料を受け取る4つの方法

交通事故の慰謝料は、基本的に示談終了後に支払われます。

しかし、治療期間が長引いたりすると、被害者にとって大きな負担になるでしょう。

そのため、示談成立前に慰謝料の一部を受け取る方法があります。

以下、詳しく見ていきましょう。

【加害者の自賠責保険】被害者請求をする

加害者の自賠責保険に被害者請求をする方法です。

被害者請求とは、加害者が加入している自賠責保険に対して、被害者が直接賠償金を請求する制度です。

被害者請求で定められている賠償金の限度額は、下表のとおりです。

傷害の場合

120万円

後遺障害の場合

等級に応じて75万~4,000万円

死亡の場合

3,000万円

被害者請求の場合は、申請から1か月程度で保険金が受け取れます(警察や医療機関への照会を要する場合などを除く)。

なお、被害者請求を利用すると、保険会社の一括対応がされなくなることから、賠償額が確定するまでの治療費を立て替える必要があります。

【加害者の自賠責保険】仮渡金制度を利用する

加害者の自賠責保険の仮渡金制度を利用する方法です。

仮渡金制度とは、損害額が確定するまでの間に治療費等が必要な場合に、被害者が加害者の加入している自賠責保険に対して、賠償額の一部の支払いを請求できる制度です。

仮渡金額は、けがの程度により、下表のとおり定められています。

死亡の場合

290万円

傷害の場合

・入院14日間以上で、かつ治療期間が30日以上の負傷

・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる負傷

・内臓の破裂で腹膜炎を併発した負傷

・大腿骨や下腿骨の骨折

40万円

傷害の場合

・内臓の破裂を被った負傷

・上腕骨や前腕骨の骨折

・脊柱の骨折

・入院を要する治療期間30日以上の負傷

・14日以上の入院を要する負傷

20万円

傷害の場合

・治療期間11日以上の負傷

5万円

仮渡金額は、けがの程度により決められていることから、申請から1週間程度と比較的早く受け取れます。

なお、仮渡金制度を利用すると、保険会社の一括対応がされなくなることから、賠償額が確定するまでの治療費を立て替える必要があります。

【加害者の任意保険】内払いの交渉をする

加害者の任意保険会社に内払いの交渉をする方法です。

加害者が加入している任意保険会社に対して、治療費や休業損害等の一部を内払い・仮払いできることがあります。

すべての保険会社が対応しているわけではなく、あくまでも任意の制度ではありますが、保険会社に内払いの対応が可能かどうか確認してみるのもよいでしょう。

【被害者の任意保険】人身傷害保険・搭乗者傷害保険を利用する

ご自身の加入する任意保険の人身傷害保険・搭乗者傷害保険を利用する方法です。

人身傷害保険

人身傷害保険は、交通事故により負傷した場合に、保険金額を上限として、治療費等の実際の損害額を受け取れる保険です。

契約車両の事故により負傷した場合のほか、被保険者とその家族は契約車両以外の事故の場合も対象になります。

過失割合に関係なく、損害に対して約定に定める基準に基づいた保険金を受け取れる特徴があります。

搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険とは、契約車両の事故により負傷した場合に、負傷状況によって契約であらかじめ定められた一定の保険金が支払われる保険です。

契約時にあらかじめ定められた金額が支払われることから、人身傷害保険よりも比較的早く保険金を受け取れるという特徴があります。

その他、被害者が使える保険については、以下の記事をご参照ください。

交通事故で被害者が使える保険の種類とは|健康保険や生命保険は使える?

交通事故の慰謝料を早めに受け取るには弁護士への依頼がおすすめな理由

慰謝料を早めに受け取るには、次の2つが重要なポイントになります。

  • 示談交渉をできるだけ早く進める
  • 必要書類の準備・手続きをスピーディーに行う

弁護士に依頼することで、これらの実現が可能になり、結果として慰謝料を早期に受け取れるでしょう。

迅速な示談交渉が望める

弁護士に依頼することで迅速な示談交渉が望めます。

保険会社は、交通事故の示談交渉を日々行っていることから、交渉力に長けています。

保険会社と対等に交渉するには、事故の状況や被害の程度を適切に把握し、法的根拠に基づいた主張・立証を行う必要があります。

ご自身ですべて対応するには、過去の裁判例を調べたり、主張の根拠となる証拠を集めたりと多くの負担がかかるでしょう。

弁護士であれば、法的根拠に基づいた示談交渉をできることから、争いが生じる可能性は低く、保険会社も早期に示談に応じる可能性が高いでしょう。

必要書類の準備・申請手続きのサポートが受けられる

弁護士に依頼することで必要書類の準備・申請手続きのサポートが受けられます。

例えば、後遺障害が残ったケースでは、後遺障害等級認定のための申請を行う必要があります。

申請は、被害者本人が行えますが、レントゲンの画像を医療機関から取り寄せる等、資料の準備や申請書類の作成には手間と時間がかかります。

弁護士に依頼することで、申請手続きの代行をしてもらえるだけでなく、適切な認定が受けられるような治療方法・通院頻度・治療期間・検査方法等のアドバイスをもらえるでしょう。

そのほかにも、示談交渉では様々な書類の提出を求められるため、書類の収集・授受等を弁護士に任せることで、ご自身の負担軽減に繋がるでしょう。

まとめ

慰謝料は、基本的に示談成立後2~3週間程度で支払われます。

けがの治療が長引いたり、仕事を休んだりしていることから、慰謝料の一部を示談成立前に受け取りたい場合には、次の制度の利用も検討しましょう。

  • 被害者請求
  • 仮渡金制度
  • 任意保険会社の内払い
  • 人身傷害保険・搭乗者傷害保険

どの制度を利用できるのか・自分に合った制度はどれか迷った場合には、一度弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談することで、示談交渉から解決までのサポートを受けられます。

ネクスパート法律事務所では、交通事故事案の解決実績を豊富にもつ弁護士が在籍しています。ぜひ一度ご相談ください。

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