交通事故で後遺障害5級と認定された場合、どのような補償を受けられるのでしょうか。
この記事では、後遺障害5級について、主に以下の3点をご説明いたします。
- 後遺障害等級5級の認定基準
- 後遺障害等級5級の保証
- 後遺障害等級5級で弁護士に相談するメリット
交通事故で機能障害や運動障害が残ってしまった方は、ぜひご参考になさってください。
目次
後遺障害等級5級とは?
後遺障害等級5級と認定されるには、以下の8項目のいずれかに該当しなければなりません。
1号 |
一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの |
2号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
3号 |
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
4号 |
一上肢を手関節以上で失ったもの |
5号 |
一下肢を足関節以上で失ったもの |
6号 |
一上肢の用を全廃したもの |
7号 |
一下肢の用を全廃したもの |
8号 |
両足の足指の全部を失ったもの |
1号:一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
事故が原因で、片方の目が失明し、もう片方の視力が0.1以下になった状態です。
失明とは、下記の状態をいいます。
- 眼球を亡失(摘出)したもの
- 明暗を区別できないもの及びようやく明暗を区別できる程度のもの
※光覚弁(明暗弁)または手動弁が含まれます。
光覚弁(明暗弁):暗室にて眼前で証明を点滅させ、明暗を識別できる視力
手動弁:確認者の手のひらを眼前で上下左右に動かした時に動いた方向を識別できる視力
引用:眼(眼球及びまぶた)の障害に関する障害等級認定基準|厚生労働省
2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
事故が原因で、脳の機能や神経系統に障害が残り、労働能力喪失率が79%以下になった状態です。
脳に障害が残り記憶や言語に関する能力が一定程度失われたり、手足に麻痺などの障害が残り労働能力が失われたりした場合などが該当します。
労働能力が79%とは、何を基準にしてのパーセンテージなのかが明確ではないため、後遺障害診断書を作成する医師の判断で差が出ます。
3号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
事故が原因で、胸腹部の臓器機能に障害が残り、労働能力損失率が79%以下になった状態です。
肺や気管に障害が残り酸素を十分に供給できなくなったり、泌尿器などに障害が残り人口肛門や人工膀胱になったりした場合などが該当します。
上記の2号と同じく、労働能力損失率については後遺障害診断書を作成する医師の判断によります。
4号:一上肢を手関節以上で失ったもの
事故が原因で、片方の肘関節から手関節までの間を切断などで失ってしまった状態です。
5号:一下肢を足関節以上で失ったもの
事故が原因で、片方の膝関節から足関節までの間を切断などで失ってしまった状態です。
6号:一上肢の用を全廃したもの
事故が原因で、片方の上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節について用を廃した状態、かつ、手指の全部の用を廃した状態です。
関節の用を廃した状態とは以下の状態です。
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の最大他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1 以下に制限され、かつ筋力が半減以下のもの
- 筋力が著減又は消失しているもの
手指の全部の用を廃した状態とは以下の状態です
- 指の末節骨の長さの2 分の1 以上を欠くもの
- 中手指節関節又は近位指節間関節(おや指にあっては、指節間関節に著しい運動障害(自動可動域が健側の自動可動域の2分の1 以下に制限されたもの)を残すもの
7号:一下肢の用を全廃したもの
事故が原因で、片方の下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節について用を廃した状態、かつ、足指の全部の用を廃した状態です。
関節の用を廃した状態とは以下の状態です。
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の最大他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1 以下に制限され、かつ筋力が半減以下のもの
- 筋力が著減又は消失しているもの
足指の全部の用を廃した状態とは以下の状態です
- 指の末節骨の長さの2 分の1 以上を欠くもの
- 中手指節関節又は近位指節間関節(おや指にあっては、指節間関節に著しい運動障害(自動可動域が健側の自動可動域の2分の1 以下に制限されたもの)を残すもの
8号:両足の足指の全部を失ったもの
事故が原因で、両足の足指すべてについて指の付け根の関節から失ってしまった状態です。
引用:障害認定基準|国土交通省
後遺障害等級5級の補償 ①慰謝料
後遺障害5級慰謝料の算出基準には、以下の3つがあります。
【基準別|後遺障害5級の慰謝料】
- 自賠責基準:618万円
- 任意保険基準:700万円(損害保険ジャパン株式会社の例)
- 弁護士基準:1,400万円
自賠責基準の慰謝料額
自賠責基準とは、交通事故の被害者に対して最低限の補償をするための基準です。3つの基準の中で最も低額です。
令和2年4月1日以降に発生した事故について、自賠責基準における後遺障害5級の慰謝料は618万円です。
参考:自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準|国土交通省
任意保険基準の慰謝料額
任意保険基準とは、保険会社が独自に定めている基準のことです。
例えば、損害保険ジャパン株式会社が定めている後遺障害の慰謝料基準は、以下の通りです。
後遺障害者等級 |
父母・配偶者・子のいずれかがいる場合 |
左記以外 |
第1級 |
1,850万円 |
1,650万円 |
第2級 |
1,500万円 |
1,250万円 |
第3級 |
1,300万円 |
1,000万円 |
第4級 |
900万円 |
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第5級 |
700万円 |
|
第6級 |
600万円 |
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第7級 |
500万円 |
|
第8級 |
400万円 |
|
第9級 |
300万円 |
|
第10級 |
200万円 |
|
第11級 |
150万円 |
|
第12級 |
100万円 |
|
第13級 |
70万円 |
|
第14級 |
40万円 |
参考サイト:損害保険ジャパン株式会社 Web約款|損保ジャパン公式サイト
弁護士基準の慰謝料額
弁護士基準(裁判基準)とは、裁判例をもとに算出された慰謝料のことです。
弁護士基準による後遺障害5級の慰謝料は1,400万円となっており、他の基準と比較すると高額です。
後遺障害等級5級の補償 ②逸失利益
ここでは、逸失利益の詳しい内容について解説します。
逸失利益とは
交通事故で障害が残ってしまうと、健常な時よりも労働能力が低下してしまうので、それに伴い生涯収入の減少が予想されます。
減少が予想される部分の収入のことを逸失利益といいます。
また現在就業中のサラリーマンや自営業の人だけではなく、収入がない専業主婦(主夫)やアルバイトをしていない学生にも逸失利益は認められます。
後遺障害が残ったものの収入の減少がない場合は、逸失利益を請求できないケースがあります。
逸失利益の計算方法
逸失利益の計算方法は以下の通りです。
1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
1年あたりの基礎収入には、事故が起きる前の年収を用います。
労働能力喪失率とは、交通事故の後遺障害によって低下した労働能力の割合のことです。後遺障害5級の労働能力喪失率は79%となっています。仕事への影響程度によって、79%よりも上下する可能性があります。
最後に労働能力喪失期間とは、症状固定の日から原則67歳になるまでの期間のことです。
労働能力喪失期間に対して、一般的にライプニッツ係数が用いられます。ライプニッツ係数とは、将来の収入を現在の価値に換算する際に使われる係数です。
(※地域によっては新ホフマン係数を使用するケースもあります)
例えば、30歳の時に症状固定をし、労働能力喪失期間が37年と認められた場合のライプニッツ係数は22.167です。
計算例)令和2年4月1日以降の事故 30歳/会社員/年収350万円の場合
3,500,000×0.79×22.167=61,291,755円
※事例や労働損失の程度なども考慮されるため、必ずこの金額を受け取れるとは限りません。
参考サイト:就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省
後遺障害等級5級を得るためにやるべきこと
後遺障害5級を得るには、医師による適切な検査と正しい内容の診断書が必要です。
後遺障害等級5級を得るために必要な検査を受ける
後遺障害5級となる障害が残ると認められるには、それぞれに該当する専門医によって診察・検査を受けなければなりません。
障害の程度が具体的に診断書に記載されていなければ、認定されない可能性が高いです。
加えて、後遺障害の症状に応じてどの検査を受けるべきなのか適切に判断する必要もあります。
後遺障害診断書に必要な内容を記載してもらう
後遺障害5級と認定されるには、後遺障害診断書に必要な内容を記載してもらわなければいけません。
後遺障害5級の申請をする際には、以下の2点を必ず確認しましょう。
- 交通事故によって生じた障害が認定基準を満たしている
- 診断書に後遺障害を得られるような記載がなされているか
後遺障害等級5級で弁護士に相談するメリット
ここでは後遺障害5級で弁護士に相談するメリットを4つ解説します。
相手方との交渉を全て任せられる
後遺障害の認定手続きには様々な手続きが必要になります。弁護士に依頼することで、これらの手続き全般を代理人として任せられます。
交通事故の分野に精通した弁護士であれば、後遺障害認定についての手続きにも詳しいので、適切な認定結果が得られやすく、保険会社とのやりとりもすべて任せられるので、精神的な負担も軽減されます。
後遺障害に認定される確率が高まる
後遺障害診断書は、医師によって作成されます。ただ、医師は後遺障害の認定手続きに精通しているわけではないため、記載が不十分なこともあります。
後遺障害5級は、目や神経系統の障害、胸腹部臓器の障害、上肢下肢の一部欠損など、医学的な評価によって判断されるため、医師の記載内容によって差が生じる可能性があります。
最悪の事態を防ぐためにも、申請前に弁護士に診断書の確認をしてもらいましょう。
弁護士であれば、診断書の記載が十分かどうか判断できます。
慰謝料を増額できる可能性がある
示談交渉の際には、保険会社の担当者と交渉します。
保険会社の担当者は交渉の経験が豊富です。そのため法律や保険に詳しくない一般の方が交渉をすると、不利な条件で示談を終えてしまう可能性があります。
弁護士に依頼すれば、有利な条件での和解を引き出せるので、慰謝料の増額が期待できます。
専門知識が必要な手続きを任せられる
損害賠償請求をするには、以下の書類を作成しなければいけません。
- 内容証明郵便
- 示談書
- 訴状
弁護士に依頼すれば、専門知識が必要な書類の作成を任せられます。
まとめ
後遺障害5級に認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取れます。しかし後遺障害はただ申請すれば必ず認められるものではありません。
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