
【結論|逸失利益の目安額】
「逸失利益はいくらになるのか?」という疑問に対し、この記事では年齢・年収・等級別に具体的な金額の目安を示しています。 |
交通事故の逸失利益は、損害賠償の中でも高額になりやすい重要な項目です。
しかし、実際に計算しようとすると、基礎収入・労働能力喪失率・労働能力喪失期間・ライプニッツ係数など専門用語が多く、最終的に「いくらもらえるのか」が分からず困る方も少なくありません。
そこで本記事では、難しい計算式を覚えなくても「自分の年収と年齢ならいくらになるか」が一目で分かる早見表をご用意しました。
後遺障害(12級・14級)が認定された方や、ご家族を亡くされた方(死亡事故)向けに、弁護士基準(裁判基準)の目安額をまとめています。
示談交渉の参考にしてください。
目次
逸失利益の計算方法|早見表で確認
逸失利益の計算方法は次のとおりです。
| 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数 |
|---|
逸失利益の計算には、等級ごとの労働能力喪失率や専門的なライプニッツ係数(中間利息控除)を調べる必要があり、一般の方が正確に算出するのはなかなか難しいです。
そこで、この記事では、複雑な計算をすべて済ませた状態の早見表を作成しました。
ご自身の年齢と年収を照らし合わせることで、逸失利益の大まかな金額を把握することが可能です。
この記事では、交通事故の被害者の方に多いケース(会社員・一家の支柱)をモデルケースとして、年齢・年収別の目安額を算出しています。
後遺障害12級の逸失利益早見表【会社員・年齢と年収で確認】
後遺障害12級が認定された場合の逸失利益早見表です。
【前提条件】
- 後遺障害等級:12級
- 労働能力喪失率:14%
- 就労可能年数:67歳まで
※昇給などは考慮しない簡易計算です。
30歳・会社員の年収別逸失利益
| 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数 =年収×14%×22.167 |
|---|
年収別の逸失利益の目安は下表のとおりです。
| 年収 | 逸失利益(目安) |
|---|---|
| 300万円 | 約931万円 |
| 400万円 | 約1,241万円 |
| 500万円 | 約1,552万円 |
| 600万円 | 約1,862万円 |
| 700万円 | 約2,172万円 |
| 800万円 | 約2,483万円 |
40歳・会社員の年収別逸失利益
| 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数 =年収×14%×18.327 |
|---|
年収別の逸失利益の目安は下表のとおりです。
| 年収 | 逸失利益(目安) |
|---|---|
| 300万円 | 約770万円 |
| 400万円 | 約1,026万円 |
| 500万円 | 約1,283万円 |
| 600万円 | 約1,539万円 |
| 700万円 | 約1,796万円 |
| 800万円 | 約2,053万円 |
50歳・会社員の年収別逸失利益
| 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数 =年収× 14%×13.166 |
|---|
年収別の逸失利益の目安は下表のとおりです。
| 年収 | 逸失利益(目安) |
|---|---|
| 300万円 | 約553万円 |
| 400万円 | 約737万円 |
| 500万円 | 約922万円 |
| 600万円 | 約1,106万円 |
| 700万円 | 約1,290万円 |
| 800万円 | 約1,475万円 |
むちうち・神経症状(後遺障害12級13号)の場合の注意点
上記の早見表は、労働能力の喪失が就労可能年齢である67歳まで継続すると評価されるケースを前提としています。
しかし、12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)、いわゆる重度のむちうちや神経痛などの場合は、時間の経過とともに症状が緩和する可能性があるため、実務上、労働能力喪失期間が10年程度に制限される傾向にあります。
| 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数(10年) =年収×14%×8.530 |
|---|
以下は、40歳会社員で、労働能力喪失期間の制限なし(67歳まで就労)のケースと労働能力喪失期間の制限あり(10年)のケースの比較表です。
| 年収 | 67歳まで労働能力喪失が続く場合と | 労働能力喪失期間が10年に制限される場合 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約770万円 | 約358万円 |
| 400万円 | 約1,026万円 | 約478万円 |
| 500万円 | 約1,283万円 | 約597万円 |
| 600万円 | 約1,539万円 | 約717万円 |
| 700万円 | 約1,796万円 | 約836万円 |
| 800万円 | 約2,053万円 | 約955万円 |
このように、同じ12級であっても、労働能力喪失期間の評価によって逸失利益の金額は大きく変わります。
保険会社の提示額が妥当かどうか不安がある場合は、示談前に弁護士へ相談することをおすすめします。
専業主婦(主夫)・兼業主婦の逸失利益早見表
「家事に給料は出ないから、専業主婦(主夫)は逸失利益をもらえないのでは?」と誤解されている方が多いですが、必ずしもそうではありません。
法律上、家事労働は「経済的な価値がある」と認められており、専業主婦(主夫)であっても、日本の女性労働者の平均賃金をベースにした逸失利益が認められるケース傾向にあります。
専業主婦(主夫)の基礎年収はいくらで計算する?
専業主婦(主夫)の基礎年収は、原則として、厚生労働省が発表している賃金センサス(女性労働者の全年齢平均賃金)を使用します。
令和6年の賃金センサスでは、女性労働者の全年齢平均賃金は419万4,400円とされており、専業主婦(主夫)の逸失利益算定においては、この金額が用いられることが多いです。
【ここがポイント】
- 専業主婦の方: 実際の収入がゼロでも、基礎年収419万4,400円として計算します。
- 兼業主婦(パート)の方: パート年収と基礎年収419万4,400円を比較し、高い方の基準をもとに計算します。
【専業主婦(主夫)版】逸失利益早見表
令和6年度の賃金センサス(女性労働者の全年齢平均賃金)・基礎年収419万4,400円をもとに、専業主婦(主夫)の逸失利益の目安を年齢別・等級別で示しました。
※後遺障害12級は67歳まで、14級は労働能力喪失期間5年制限ありで計算しています。
| 年齢 | 12級の目安・67歳まで | 14級の目安・5年制限あり |
|---|---|---|
| 30歳 | 約1,302万円 | 約96万円 |
| 40歳 | 約1,076万円 | 約96万円 |
| 50歳 | 約773万円 | 約96万円 |
| 60歳 | 約585万円 | 約96万円 |
後遺障害14級の逸失利益早見表【むちうちなどの目安】
後遺障害14級9号(むちうちによる神経症状など)の場合、計算方法に実務上のポイントがあります。
裁判実務では、労働能力喪失期間を5年程度と評価する例が多い一方、症状が重い場合や交渉内容によっては期間が延長されるケースもあります。
ここでは、一般的な目安である「喪失期間5年」を基準に計算しています。
【前提条件】
- 後遺障害等級:14級
- 労働能力喪失率:5%
- 労働能力喪失期間の制限あり:5年
| 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数 =年収× 5%×4.580 |
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年収別の逸失利益の目安は下表のとおりです。
| 年収 | 逸失利益(目安) |
|---|---|
| 300万円 | 約69万円 |
| 400万円 | 約92万円 |
| 500万円 | 約115万円 |
| 600万円 | 約137万円 |
| 700万円 | 約160万円 |
| 800万円 | 約183万円 |
| 【ポイント|年齢による金額の減少なし】 労働能力喪失期間が5年や10年のように限定されている場合、年齢に関係なく一律の係数(5年なら4.580、10年なら8.530)を用いて計算します。 そのため、67歳までの制限なし計算とは異なり、年齢が高くても年収が同じであれば、逸失利益の基準額は原則として変わりません。 |
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死亡事故の場合の逸失利益早見表【一家の支柱モデル】
死亡事故の場合、被害者が将来得るはずだった収入から生きていればかかったはずの生活費(生活費控除)を引いて計算します。
| 死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数 |
|---|
生活費控除率は、被害者の性別や扶養の有無などにより異なるため、事案に応じた判断が必要です。
裁判実務では、おおむね下表のとおり算出される傾向にあります。
| 被害者の性別や扶養の有無 | 生活費控除率 |
|---|---|
| 一家の支柱の場合 | 30%~40% |
| 男性(既婚・独身・学生などを含む) | 50% |
| 女性(既婚・独身・学生などを含む) | 30% |
※実際の生活費控除率は、被扶養者の人数や生活実態などを踏まえて個別に判断されます。
以下、早見表の前提条件です。
【前提条件】
- 被害者:一家の支柱(会社員・妻と子1人)
- 就労可能年数:67歳まで
- 生活費控除率:30%
※独身の方や女性の場合は、生活費控除率が変わるため金額が変動します
30歳・一家の支柱の場合の年収別逸失利益
| 死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数 =年収×(1-30%)×22.167 |
|---|
年収別の逸失利益の目安は下表のとおりです。
| 年収 | 死亡逸失利益(目安) |
|---|---|
| 300万円 | 約4,655万円 |
| 400万円 | 約6,207万円 |
| 500万円 | 約7,759万円 |
| 600万円 | 約9,310万円 |
| 700万円 | 約1億862万円 |
| 800万円 | 約1億2,414万円 |
40歳・一家の支柱の場合の年収別逸失利益
| 死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数 =年収×(1-30%)×18.327 |
|---|
年収別の逸失利益の目安は下表のとおりです。
| 年収 | 死亡逸失利益(目安) |
|---|---|
| 300万円 | 約3,849万円 |
| 400万円 | 約5,132万円 |
| 500万円 | 約6,415万円 |
| 600万円 | 約7,697万円 |
| 700万円 | 約8,980万円 |
| 800万円 | 約1億263万円 |
50歳・一家の支柱の場合の年収別逸失利益
| 死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数 =年収×(1-30%)×13.166 |
|---|
年収別の逸失利益の目安は下表のとおりです。
| 年収 | 死亡逸失利益(目安) |
|---|---|
| 300万円 | 約2,765万円 |
| 400万円 | 約3,686万円 |
| 500万円 | 約4,608万円 |
| 600万円 | 約5,530万円 |
| 700万円 | 約6,451万円 |
| 800万円 | 約7,373万円 |
| 【ポイント|死亡逸失利益に影響する家族構成と生活費控除率】 死亡逸失利益は、次のような事情により大きく変動します。 家族構成(配偶者・子どもの人数など) 生活費控除率(一般的に30%~50%程度で変動) 保険会社から提示された金額が妥当か不安な場合には、弁護士に相談することが推奨されます。 |
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逸失利益早見表の計算に用いている前提条件
本記事の早見表は、次の前提条件に基づき算出しています。
- 就労可能年齢:67歳まで
- 対象事故:2020年4月以降(法定利率3%)
実務上、原則として67歳まで働くと仮定しますが、職種や年齢により延長が認められる場合もあります。
ライプニッツ係数は法定利率3%を前提とした数値を使用しています。
早見表より金額が増減するケース
早見表はあくまで目安であり、個別事情によって金額は上下します。
-
金額が増える可能性があるケース
- 将来的な昇給や昇進が確実に見込まれる場合(特に若年層)
- 現実の収入以上の能力があると評価される場合
-
金額が減る可能性があるケース
- 労働能力への影響が軽微と判断される場合
- 既往症が影響しているとして素因減額が適用される場合
逸失利益の正確な計算方法を知りたい方へ
「自分の年収や等級で、もっと正確に計算したい」「計算式の詳細な仕組みを知りたい」という方は、以下の解説記事を合わせてご参照ください。
保険会社から提示された逸失利益に納得できない方へ
もし、保険会社から提示された逸失利益の金額がこの記事の早見表より大幅に低かったりする場合は、注意が必要です。
「等級が低いから出ない」「主婦だから出ない」と説明を受けた場合でも、その判断が妥当かどうかは事案によって異なります。
一度弁護士に相談し、確認することをおすすめします。
逸失利益の計算に関するよくある質問(FAQ)
逸失利益の計算に関するよくある質問についてお答えします。
逸失利益はどのように計算されますか?
逸失利益は、原則として以下のとおり計算されます。
| 基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数 |
|---|
ただし、基礎収入の考え方、労働能力喪失期間、ライプニッツ係数は、後遺障害等級・年齢・職業などによって異なります。
まずは年齢・年収別の早見表で目安を把握し、保険会社の提示額が妥当かどうかの判断材料とすることが有効です。
逸失利益はいくらくらいもらえるのですか?
逸失利益の金額は、年齢・年収・後遺障害等級などによって大きく異なりますが、目安としては以下のとおりです。
- 後遺障害12級:数百万円~1,000万円以上
- 後遺障害14級(むちうち):約70万円~200万円前後
- 死亡事故:数千万円~1億円以上
実際の金額は個別事情により増減するため、記事内の早見表でご自身の条件に近いケースをご確認ください。
むちうち(後遺障害14級)でも逸失利益は認められますか?
後遺障害14級(むちうち)であっても、逸失利益が認められるケースも見られます。
ただし、14級の場合は労働能力への影響が限定的と評価され、労働能力喪失期間が5年程度に制限されることが多いのが実務上の傾向です。
その結果、逸失利益の金額は100万円前後となるケースが一般的です。
専業主婦(主夫)でも逸失利益は請求できますか?
専業主婦(主夫)であっても、逸失利益が認められる傾向にあります。
家事労働は経済的価値があると評価されており、主婦の場合には賃金センサス(女性労働者の平均賃金)を基礎収入として計算されることが一般的です。
ただし、具体的な算定方法は個別事情によって異なります。
死亡事故の場合、逸失利益はどのように計算されますか?
死亡事故の逸失利益は、被害者が将来得るはずだった収入から、生活費として支出されるはずだった金額(生活費控除)を差し引いて計算します。
| 基礎収入 ×(1-生活費控除率)× ライプニッツ係数 |
|---|
生活費控除率は、家族構成や扶養状況によって異なるため、事案ごとに検討が必要です。
まとめ|逸失利益の計算で損をしないために
逸失利益は、年齢・年収・等級によって数百万円〜数千万円になる非常に重要な損害項目です。
後遺障害12級なら1,000万円以上、14級(むちうち)でも100万円以上となる可能性があります。
適正な賠償金を受け取るためには、一度弁護士へ相談することをおすすめします。
特に、この記事の早見表より100万円以上低い金額を提示されている場合は、適正額ではない可能性があります。
ネクスパート法律事務所には、交通事故に精通した弁護士が多数在籍しています。
初回相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。
