弁護士によるコラム記事です。
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代表取締役の独断専行によりなされた粉飾決算を看過した取締役らの監視義務違反が肯定されたケース
【事実関係】 バルブメーカーであるA社は、代表取締役であるY1が発行部数株式総数の約74%を保有し、その余はY1の一族が保有するいわゆる「同族企業」でした。 Y1は17期にわたり損益計算書、貸借対照表および利益処分計算書につき大幅な粉飾を施して架空の... -
常勤取締役に対する非常勤取締役の監視義務違反が否定されたケース
【事実関係】 X社は大手製鉄会社であるA社を主取引先とする商社であり、B社は各種合成樹脂製品およびゴム製品の製造販売を主たる事業とする株式会社です。Y1はB社の非常勤の代表取締役で、Y2はB社内で唯一の常勤取締役でした。 X社はB社との間で、B社が製... -
名目上の取締役の代表取締役に対する監視義務違反につき、重大な過失による任務懈怠が認められないとして、第三者に対する損害賠償責任が否定されたケース
【事実関係】 A社は、昭和42年に設立された自動金網機の製造販売等を業とする株式会社で、B、Bの妻であるCおよびYの3名が取締役を務めていました。 Yは、土地家屋調査士で、A社の業務上の知識経験はありませんでしたが、CがYの妻の姪であったことから、A社... -
代表取締役による手形振出行為に対する登記簿上の取締役の監視義務違反について、第三者に対する損害賠償責任が否定されたケース
【事実関係】 子供用乗物製造等を業とするA社は、昭和33年に設立された会社で、設立以来Bがその代表取締役の地位にありました。A社はBのいわゆる「個人会社」であり、株主総会も取締役会も開催したことがありませんでした。 Y1は、A社の設立以来、Y2は昭和... -
ワンマン経営を行う代表取締役の職務に対する、取締役および代表取締役の監視義務違反について、第三者に対する損害賠償責任が肯定されたケース
【事実関係】 A社は、プラスチック製品等の製造販売を業とする株式会社であり、代表取締役Bのいわゆる「ワンマン経営」の会社でした。 A社は、昭和42年の新工場建設で投下資本に見合う成果が得られず、昭和43年にはBの弟が経営する会社の債務の引受けや、C... -
会社の経営を放任し他の代表取締役に対する監視義務を怠ったとして代表取締役の第三者に対する損害賠償責任が肯定され、名目的取締役の責任は否定されたケース
【事実関係】 A社は、商業帳簿類および財務書類等の作成を目的として、昭和45年2月に設立された会社であり、出資者は代表取締役Bのみでした。 Bの叔父にあたるY1は、Bの実父が開業していた税理士事務所でその責任者の一人として働いていた者であり、企業診... -
工事担当の代表取締役の、経理担当の代表取締役に対する監視義務違反について、第三者に対する損害賠償責任が肯定されたケース
【事実関係】 A社は、上下水道給排水設備工事の請負等を業とする会社でした。Y1およびY2は、いずれもA社の代表取締役であり、Y1は経理面を、Y2は工事面を担当していました。 A社は、本件各手形振出しの当時、経済不況の影響を受けて、工事の受注が著しく減... -
営業担当の代表取締役の、経理担当の代表取締役に対する監視義務違反につき、重過失が認められないとして、第三者に対する損害賠償責任が否定されたケース
【事実関係】 A社は、土木・建設用資材の販売等を業とする、従業員十数名からなる株式会社でした。 BはA社の経理担当、Yは営業担当のそれぞれ代表取締役として職務を分担し、互いに他の代表取締役の職務に関与することはありませんでした。 A社では毎月1回... -
取締役に会社の経営を放任していた代表取締役について、商法旧266条ノ3に基づき第三者に対する損害賠償責任が肯定されたケース
【事実関係】 Y1は、昭和45年8月、靴卸商を業とするA社を設立し、妻の父で資力も信用力もあるY2を代表取締役に迎え、自らはA社の取締役に就任しました。 A社は、資本金100万円、従業員数名の小規模な会社で、Y1が、A社の営業全般を実質的に取り仕切ってい... -
倒産会社の代表取締役の業務執行に対する平取締役の監視義務違反につき、重過失が認められないとして、商法旧266条ノ3に基づく損害賠償責任が否定されたケース
【事実関係】 A社は、創業から昭和46年11月に倒産するに至るまで、代表取締役Bは一人で経営方針を決め、Bが独断専行で経営を行っていた、いわゆる「ワンマン会社」でした。 Yは、昭和45年8月、A社において取締役の員数をそろえる必要があるとして、Bからの... -
独断かつ放漫な経営を続けた代表取締役の職務に対する非常勤取締役の監視義務違反が否定されたケース
【事実関係】 A社は、各種洗車機械の製造販売等を営む会社でした。Bは、A社の代表取締役の地位にあり、Yは非常勤の取締役でしたが取締役会長の地位にありました。Yは、C社のある静岡県清水市(当時)に居住していました。 A社の業務執行のすべてはBが独断で... -
偽造手形の受取人である株式会社の取締役に、会社に対し当該手形呈示を控えさせなかったという任務懈怠責任が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は、機械工具、車両部品の製造販売を目的しており、Bが代表取締役を務めていました。 Bは、昭和40年7月末頃、その従業員を介して、取引先企業であるX社の経理一切を取り仕切っている者としてCを紹介され、同人より手形の交換を申し...