業務中や通勤中に交通事故に遭った場合、支給要件を満たす休業日について、労災保険から休業(補償)給付を受けられます。
労災保険の休業(補償)給付は、いつからいつまでもらえるのでしょうか?
この記事では、労災保険の休業(補償)給付の支給期間について解説します。
目次
休業(補償)給付はいつからいつまでもらえる?
ここでは、労災保険の休業(補償)給付の支給期間を解説します。
休業日の4日目以降~療養のために休業している間
労災保険の休業(補償)給付は、以下の要件を全て満たした場合に、休業日の第4日目から休業している間支給されます。
- 労働者が業務上または通勤中の負傷・傷病により療養していること
- 療養のため労働できない日であること
- 労働できないために賃金を受けない日であること
支給期間に上限はない
休業(補償)給付の支給期間に上限はありません。支給要件を全て満たしている限り、休業(補償)給付を受けられます。
ただし、療養開始後1年6か月を経過した日または同日後において、以下のいずれにも該当する場合は、休業(補償)給付が打ち切られ、傷病(補償)年金が支給されます。
- 負傷・疾病が治っていない
- 障害の程度が傷病等級第1級から第3級に該当する
障害の程度が軽くなって傷病等級に該当しなくなった場合は、傷病(補償)年金の受給権は消滅します。ただし、当該傷病が治ゆせず休業している場合は、傷病(補償)年金の受給権が消滅した月の翌月から、再び休業(補償)給付が支給されます。
※労災保険における治ゆとは、傷病が完治して元通りになることだけを指すものではありません。治療を続けても症状の改善を期待できなくなった状態(症状固定の状態)を治ゆとし、その判断は医師によって行われます。
【具体例】骨折の場合はいつまで休業(補償)給付が受けられる?
ここでは、業務上または通勤中の交通事故で骨折したケースを想定して、休業(補償)給付の支給期間を具体的に解説します。
療養のために休業している間は受けられる
業務上または通勤中の交通事故で骨折した場合は、支給要件を満たす休業日がある限り、骨折が治るまで休業(補償)給付が支給されます。
治っていなくても働ける場合は打ち切られる
骨折が治っていなくても仕事に復帰できる場合は、休業(補償)給付の支給が打ち切られます。
骨折が治っても痛みや痺れなどの症状が残って仕事に復帰できない場合でも、医師に症状固定(これ以上治療しても良くならない)と診断されると休業(補償)給付は打ち切られます。ただし、残った障害の程度が後遺障害等級に該当する場合は、障害(補償)給付や障害(補償)一時金が支給されます。
所定労働時間の一部だけ出勤した場合は?
所定労働時間の一部だけ出勤した場合でも、以下のいずれかに該当すれば、休業(補償)給付が支給されます。
- 所定労働時間の一部労働不能で、その労働不能の時間について全く賃金を受けない日
- 所定労働時間の一部労働不能で、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満の賃金しか受けない日
ただし、所定労働時間の一部だけ出勤した場合の休業(補償)給付の額は、休業1日につき給付基礎日額から支払われる賃金(一部労働の賃金)を差し引いた額の100分の60に相当する額となります。
退職したら休業(補償)給付は打ち切られる?いつまで延長できる?
ここでは、休業(補償)給付を受給中に退職した場合の取り扱いについて解説します。
労災保険の保険給付を受ける権利は、労働者退職により変更されることはありません。
そのため、勤務先を退職しても支給要件を満たす休業日がある限り、休業(補償)給付が受けられます。
負傷や疾病の治った後、その傷病が再発したら再び休業(補償)給付を受けられる?
ここでは、労災保険における再発の取り扱いについて解説します。
業務上または通勤中の負傷が治った後、再び症状が悪化して休業した場合も、休業(補償)給付を受けられる可能性があります。
労災保険では、以下の要件を満たした場合に再発として取り扱われます。
- 症状の悪化が当初の業務上または通勤中の負傷と相当因果関係があると認められる
- 症状固定時からみて明らかに症状が悪化している
- 治療をすれば、その症状の改善が期待できると医学的に認められる
例えば、骨折の治療でプレートやボルトを体内に挿入している場合、それらが運動障害とならない場合は、治療の必要がなくなった時点で症状固定となり休業(補償)給付が打ち切られます。しかし、その後、プレートやボルトを抜去する手術を受け、術後の療養のため休業する場合は、再発として取り扱われるため、休業(補償)給付が受けられます。
休業日の数え方はいつからいつまで?休業3日目までの休業補償はどうなる?
ここでは、休業初日から3日目までの休業期間の取り扱いについて解説します。
休業日には所定休日も含まれる?
業務災害または通勤災害による休業初日から3日目までの期間を待期期間といいます。
待期期間は、継続・断続を問わず通算して3日間とされるため、事業場の所定休日に関係なく、暦日数で待期期間をカウントします。
業務上の交通事故であれば事業主から待機期間中の休業補償が受けられる
業務災害の場合、事業主は休業補償給付の待機期間について、労働基準法第76条に基づく休業補償を行わなければなりません。
そのため、休業3日目までは、事業主から1日につき平均賃金の100分の60に相当する額の休業補償を受けられます。
通勤中の交通事故であれば加害者に請求する
通勤災害の場合は、休業給付の待期期間について、事業主に休業補償の義務は生じません。
そのため、通勤中の交通事故による負傷で休業した場合は、休業3日目までの休業補償は受けられません。
なお、待期期間中の休業損害は、交通事故の加害者に対して損害賠償請求できます。
まとめ
労災保険の休業(補償)給付は、休業日の4日目から支給されます。支給期間に上限はなく、以下の要件を満たす休業日がある限り打ち切られることはありません。
- 労働者が業務上または通勤中の負傷・傷病により療養していること
- 療養のため労働できない日であること
- 労働できないために賃金を受けない日であること
以下のいずれかに該当する場合は、休業(補償)給付が打ち切られます。
- 怪我や病気が治ってなくても仕事に復帰できる場合
- 怪我や病気が治ったが、仕事に復帰できない場合
療養開始後1年6か月経過した日または同日後、怪我や病気が治っておらず傷病等級表の傷病等級に該当する程度の障害がある場合は、傷病(補償)年金が支給されます。
支給漏れのないよう適切な申請を行うためには、専門家に相談することをおすすめします。