キックボード事故被害者の加害者への対応方法を弁護士が解説

近年、街中で電動キックボードを見かけることが多くなりました。ところが、交通安全の意識が薄くルールを守らず利用する人も増えて問題になっています。

このような中、大変遺憾なことですが電動キックボードにぶつけられて重傷を負ってしまった歩行者も出てしまいました。

そこで、この記事では、電動キックボードにぶつけられた場合、被害者が加害者に対してどのような対応をするべきかについて説明します。

また、電動キックボードの加害者の責任を考える上で、電動キックボードが法律上どのような扱いになっているかについても述べたいと思います。

 

電動キックボードの法律上の扱い

電動キックボードは、キックボードに電動式のモーター(定格出力0.6キロワット以下のもの)を取り付けられたもので、このモーターによって走行するものです。したがって、「小型特殊自動車」と認められるものを除き、「原動機付自転車」に該当すると考えられています。

電動キックボードの利用のためには、法律上以下のような規定があります。

 

保安基準への適合(道路運送車両法)

原動機自動車は、前照灯、番号灯、方向指示器等の構造及び装置について、道路運送車両の保安基準に適合していなければ、運行の用に供することができません。

つまり、保安基準を満たさない電動キックボードでは歩道、車道を含め道路を走行することができません。

保安基準に適合しない電動キックボードで走行した場合には、3月以下の懲役または5万円以下の罰金を科される可能性が生じます。

 

自賠責保険(強制加入保険)への加入(自動車損害賠償保障法)

自動車損害賠償保障法に規定する自動車損害賠償責任(自賠責)保険または自賠責共済の契約が締結されていなければ、電動キックボードを走行させることができません。これに違反した場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科される可能性があります。

 

軽自動車税の納付(地方税法)

電動キックボードは原動機付自転車に該当するので、地方税法に規定される軽自動車税(市町村税)を納付する必要があります。

 

標識(ナンバープレート)の取り付け(市町村の条例)

市町村の条例では、電動キックボードには、軽自動車税の納付の際に市町村から交付される標識(ナンバープレート)を取り付けなければならないと規定されています。

 

道路交通法による規制

電動キックボードは原動機付自転車に該当しますので、原動機付自転車を運転できる運転免許を受けないで運転することは無免許運転となります。

また、電動キックボードを運転する際、道路においては車道を通行しなければならず(歩道を通行することができません。)、ヘルメット着用などの原動機付自転車としての通行方法にしたがう必要があります。

また、電動キックボードを走行させて事故を起こした場合、事故の発生を警察署に報告する義務があり、怪我人が出た場合には怪我人を救護する義務があります。

 

事故があった場合の電動キックボードの運転者の責任

電動キックボードを走行させて人を怪我させてしまった場合、運転者には、少なくとも怪我をさせてしまった人に対する損害賠償責任(民事責任)と刑事責任の両方が生じ得ます。

 

損害賠償責任(民事責任)

民法709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

自動車損害賠償保証法3条

自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命または身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。

後述する刑事責任と民事責任は別物ですので、刑事責任を受けたからといって民事責任(賠償義務)を免れるわけではありませんし、刑事責任を問われなかったからといって民事責任を免れるわけではありません。

刑事責任

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役もしくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。

なお、電動キックボードを無免許で運転して人を死傷させたときは、懲役刑の上限が7年から10年に加重されます(同法6条4項)。

行政上の責任(免許の停止・取り消し等)

電動キックボードの運転者が免許を有していた場合については、交通違反の点数がつきます。違反点数が一定の点数を超えると、運転免許の停止や取り消しなどの処分を受けることがあります。

 

電動キックボードにぶつけられたときの対処法

電動キックボードは、量販店でも購入できるなど気軽に入手できることもあり、若年層を中心に利用者が増加していますが、その一方でルール違反も相次いでいます。

令和3年7月現在、無免許運転や整備不良(保安基準の不適合・ナンバープレート未装着)の違反で検挙される件数は増加しており、事故発生件数も増加しています。

令和3年5月には、大阪市大阪市で、電動キックボードのひき逃げ事件が発生しています。

電動キックボードにぶつけられて被害を受けてしまった場合、どのようにするべきなのでしょうか。

 

直ちに事故現場に警察を呼び、事故の発生を報告する

事故が起こった場合、すぐに警察に連絡をして警察官を呼びましょう。その後、現場に臨場した警察官から、事情聴取を受けることになります。交通事故が発生した場合、事故が発生したことの証明として、各都道府県にある自動車安全運転センターによって交通事故証明書が作成されます。

なお、当事者同士が急いでいるなどの場合、事故が軽ければ連絡先だけ交換して警察を呼ばないということもあります。しかし、運転者が嘘の連絡先を教えて連絡が取れないというケースもあるようなので、必ず警察を呼ぶようにしてください。

 

救急車を呼び病院に行く

事故が起こった場合、必ず病院に行って診察を受けてください。事故直後は興奮や動揺により気づいていない可能性もあります。事故の翌日以降に痛みが出ることもありますし、実は骨折していた、ということもあります。事故の日から診察を受けるまでに時間が開くと、事故と症状の因果関係が否定される可能性も生じますので注意が必要です。

交通事故などの第三者行為により負傷した場合の治療費は、本来、加害者が負担するのが原則です。電動キックボードの運転手が保険に加入しており、保険を利用することができる場合は、保険会社に費用を出してもらいます。

しかし、電動キックボードの事故の場合、運転者が保険に加入していないケースも想定されます。このような場合には、ご自身の加入する健康保険組合に申請することで、当面の間、治療費を3割負担とすることができます。

いずれにせよ、症状がなくとも事故直後に病院に行って診察を受けておくことをおすすめいたします。

 

加害者の連絡先をしっかり確認する

今後の治療費の支払いなどの話し合いをする必要があるので、電動キックボードの運転者の連絡先を確認しておきましょう。運転者が保険に加入しており、保険会社の対応がある場合には、保険会社名を確認しておきます。

 

ひき逃げされた場合の対処法

電動キックボードの運転者の中には、責任追求を恐れて、救護義務や報告義務を果たさず逃げてしまう人もいます。そのような場合、電動キックボードにナンバープレートの取り付けがなく、ご自身も運転者の情報を全く有していなかったとしても、運転者を特定する手段が残されています。

 

防犯カメラに写っている映像や目撃者を探す

事故発生直後であれば、ひき逃げの現場を目撃していた人が周辺にいるかもしれません。ひき逃げにあった場合には、周囲に目撃者がいないか、目撃情報がないか、聞き込みをしておいてほうが良いです。

警察官の到着までには時間がかかりますので、警察官の到着まで待っているとその間に目撃者も事故現場から離れてしまう可能性があります。

目撃者がいない場合であっても、周囲の店舗等に設置された防犯カメラ映像に運転者の容姿が写っている可能性があります。

 

政府保障事業制度から治療費等の補填を受ける

先ほどは、交通事故の場合は治療費の支払いは加害者が行うことが原則であるとお伝えしました。

しかし、ひき逃げの場合は、加害者が誰かわからない状態になることもあります。加害者が無保険であり、資力もないとなると、加害者から治療費等の支払いを受けることも難しくなります。この場合、被害者が治療費を全額負担しなければならないのでしょうか。

 

このような場合に備えて、国は、「政府保障事業制度」を設けています。

 

自動車損害賠償補償法72条(自動車損害賠償保障事業)

政府は、ひき逃げ事故などによって被害者が自賠法3条の規定による損害賠償の請求をすることができない場合は、被害者からの請求によって、その受けた損害をてん補する。

 

詳しくはこちらの記事を参考ください。

政府保障事業制度とは?加害者が無保険だった場合に知っておきたい知識

キックボード事故に遭った方は、ネクスパート法律事務所にご相談ください

例えば以下のような点でお困りの場合、弁護士であれば解決を目指せることがあります。

  • 保険会社から提示された慰謝料の額に納得できない

弁護士に依頼しなかった場合と依頼した場合で慰謝料の計算根拠となる基準が大きく変わります。そのため、保険会社から提示された慰謝料の額に納得できない場合は、弁護士への依頼を検討されるべきです。

  • 保険会社の主張する過失割合に納得できない

過失割合は、基本的には事故態様から客観的に決定されます。保険会社も、過去の同種の事故態様で裁判所が示している過失割合をもとに主張してきますが、保険会社が指摘する裁判例が常に正しいとは限りません。

保険会社から主張された過失割合に納得できない場合は、一度弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

  • 保険会社の担当者が高圧的で、話をするのにストレスを感じる

全ての保険会社の担当者に当てはまるわけではありませんが、保険会社の担当者の中には、交通事故の被害者に対して高圧的な態度をとって言いくるめようとしたり、無理矢理同意させようとしたりする方もいらっしゃいます。また、高圧的ではなかったとしても、専門用語を用いて話すことで、被害者に理解をさせないようにする担当者もいます。そういった担当者とのやりとりに大きなストレスを感じられる方は少なくありません。

このような場合、弁護士に依頼することで、弁護士が担当者との交渉の矢面に立ってくれるようになります。

  • 保険会社と連絡を取る時間がなかなか取れない

担当者とのやりとりは、保険会社の営業時間の間でしかできません。ですので。仕事・家事・育児などで日中連絡が取りづらい方はなかなか連絡を取ることができず、話が進まないということもあります。

弁護士に依頼すれば、基本的な方針を弁護士と協議したのちは、弁護士が保険会社とのやりとりを進めてくれますので、時間ができたときに弁護士に連絡をとって状況を確認する、ということが可能になります。

  • 保険会社から治療費の支払いを今月で打ち切るとの連絡を受けた

まだ症状が残っていて、医師からはまだ通院を続けるように言われているのに、「通院期間がこれだけ経ったので今月末で治療費の支払いを打ち切る」などと一方的に言われることがあります。このようなときに弁護士に依頼することで、治療費の支払いの継続を打診したり、治療費支払いの打ち切り後の適切な対応についてアドバイスを受けたりできます。

  • 後遺障害が残っているが、今後どうしたら良いのかわからない

後遺障害が残存した場合、後遺障害等級の認定を受けることを検討することになります。後遺障害等級認定で後遺障害の等級を得るためには、提出書類の準備が重要です。このような書類の準備に手間取らないためにも、弁護士のサポートは受けた方が良いです。

 

初回相談は無料です。「今後の対応方法について検討したい」という方は一度ご相談ください。また、ご自身の所有される自動車の保険に弁護士費用特約が付帯されている場合には、弁護士費用特約を利用できる可能性がありますので、一度ご自身の加入されている保険会社に確認を取られてみてはいかがでしょうか。

 

 

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