自転車と接触したかわからない!車の運転手は警察に報告すべき?

自転車と接触の疑い 警察への報告は必要

車を運転中に、自転車が急に飛び出してくることは多々あります。
その時は、「危なかった!」と安心してその場を立ち去ったものの、後になって冷静に考えると、
「もしかして接触していたのでは?」「自転車の人は倒れていなかっただろうか?」
と一気に不安が押し寄せてくることもあるでしょう。
自転車と接触したかわからない場合でも、警察には報告しましょう。
この記事では、警察に報告すべき理由事故現場を離れた場合の適切な事後策について解説しています。
ぜひ参考にしてください。

自転車と接触したかわからない場合でも警察に報告すべき3つの理由

自転車と接触したかわからない場合でも警察に報告しましょう。
警察に報告すべき理由は、次の3つです。

  • 接触がなくても怪我や物損があれば運転手等は4つの義務を負う
  • 警察に届けることが結果的にあなたを守ることになる
  • 警察に届けることで不安の軽減に繋がる

以下、詳しく解説します。

接触がなくても怪我や物損があれば運転手等は4つの義務を負う

接触がなくても怪我や物損があれば運転手等は4つの義務を負います。
交通事故とは、車両等の交通による人の死傷もしくは物の損壊を意味します(道路交通法第67条2項)。
つまり、接触・衝突がなくても相手が負傷したり、物を壊したりした場合は、運転手は、次の4つの義務を負います(道路交通法第72条)。

  • 運転の停止
  • 負傷者の救護
  • 道路における危険の防止
  • 警察への報告

接触したかわからずその場を立ち去った場合、上3つを果たすことは難しいでしょう。
しかし、警察への報告は、事後でも行えます。
したがって、自転車と接触したかわからない場合でも、警察への報告を行いましょう。

警察に届けることが結果的にあなたを守ることになる

警察に届けることが結果的にあなたを守ることになります。

  • 救護義務違反について
  • 自転車と接触していなくても、あなたの運転が原因で相手が転倒したり、急ブレーキをかけたことで身体を痛めたりした場合、停止せずに現場を立ち去る行為は、救護義務違反にあたる可能性があります(道路交通法第117条)。
    救護義務違反にあたる場合に問われる責任は、下表のとおりです。

責任の種類 関連法令 内容・罰則等
刑事上の責任 救護義務違反(道路交通法第117条) ①5年以下の懲役または50万円以下の罰金 ②被害者の死傷が運転者の運転によるものであった場合は10年以下の懲役または100万円以下の罰金
行政上の責任 救護義務違反(道路交通法第117条) 違反点数:35点 免許停止:3年間 ※過去の違反点数がある場合や当該事故の点数が加算された場合は、4年以上となる。

ただし、自転車と接触したことに気づかずにその場を立ち去った場合は、事故を起こした認識がないとして、基本的には、救護義務違反にはあたらないでしょう。
しかし、警察への報告を怠ると、事故を起こした認識があったのではないか、事故を隠そうとしたのではないかと疑われる可能性があります。
警察への報告の際、あなたの事故に対する認識を正確に伝えることで、救護義務違反に問われる可能性が低くなる場合があります。

【補足】 救護義務違反に限らず、交通事故によって相手に怪我などの損害を与えた場合は、民事上の責任(不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709条))を負います。 事故を起こした側に過失があると判断されれば、接触の有無にかかわらず、損害賠償の対象となります。 相手の怪我の有無を確認し、必要な救護を行い、速やかに警察に報告するという義務を怠って現場を離れた場合、慰謝料を増額する事情として考慮される可能性もあります。
  • 交通事故証明書について
  • 警察への報告を怠ると交通事故証明書が作成されません。
    交通事故証明書とは、交通事故が起きたことを証明する公的な書類です。事故発生の日時、場所、当事者の氏名、乗っている車の車両番号などが記載されます。
    保険金の請求をする場合、自賠責保険・任意保険どちらも交通事故証明書の提出が必要です。
    しかし、警察への報告を怠ると交通事故証明書が作成されませんから、保険金の請求ができない場合があります。
    したがって、今後の保険対応に備えて警察に届け出ることが大切です。

交通事故証明書とは|必要になるシーンや取得方法を詳しく解説

  • 相手が後日届け出をした場合
  • 相手が、後日警察に届け出をした場合、あなたが未届けだと対応が不利になる可能性があります。
    警察への報告は、トラブルを未然に防ぐだけでなく、万が一トラブルになった際にあなたを守ってくれるものでもあります。
    したがって、自転車と接触したかわからない場合でも、警察への報告を行いましょう。

警察に届けることで不安の軽減に繋がる

警察に届けることで不安の軽減に繋がります。
この記事にたどり着いたあなたは、何らかの不安を抱えているでしょう。
その不安を軽くするためにも、警察に報告することをおすすめします。
警察に報告するメリットはあっても、デメリットはありません。
あらかじめ警察に報告すれば、接触していたり、相手が怪我をしていたりした場合も、その後の対応がスムーズに進みます。
「事故がバレなければ、警察に自分から報告しない方がよいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、昨今は、防犯カメラも多数設置されており、ドライブレコーダーを付けている車も増えています。そのため、実際に事故を起こしていた場合には、後から警察や相手から連絡がくる可能性は高いでしょう。
実際には事故が起こっていなかった場合でも、警察に報告したことで何らかの不利益が生じるわけではありません。
不安を抱えているときこそ、警察に報告することが大切です。

自転車と接触したかわからず事故現場を離れた場合の適切な事後策

自転車と接触したかわからず事故現場を離れた場合の適切な事後策は、次の2つです。

  • なるべく早く警察に相談する
  • 事故状況をできるだけ具体的に説明する

以下、詳しく説明します。

なるべく早く警察に相談する

なるべく早く警察に相談しましょう。
「事故から〇日経っているのですが、今からでも間に合いますか?」との疑問をよく目にします。
事故直後の報告が望ましいですが、何日以内でなければダメと決まっているわけではありません。事故から数日経っている場合でも、なるべく早く警察に報告しましょう。
事故現場を離れてしばらく経った場合は、110番は使えません。
110番は、事故後、今すぐ警察官に来てもらうために利用する番号です。
事故現場を離れてしばらく経った場合や後日報告する場合は、♯9110を利用しましょう。
♯9110は、警察の総合的な相談窓口です。
最寄りの警察署に直接出向かずに、電話での相談が可能です。
全国どこからでも利用でき、平日の午前8時30分から午後5時15分まで相談を受け付けています(各都道府県警察本部で異なります。)。
したがって、♯9110を利用して警察に相談することをおすすめします。
近くに交番や派出所があれば、そこへ直接届け出る方法もあります。
直接話を聞いてもらったり、車の傷を見てもらったりしたい場合には、こちらの方法が良いでしょう。

事故状況をできるだけ具体的に説明する

事故状況をできるだけ具体的に説明しましょう。
次の項目について、説明できるようにしておきましょう。

  • 事故が発生した日時・場所
  • 事故の状況・程度(接触したかもと思った理由、相手の状況等)
  • 負傷者の数
  • 事故後の措置 等

特に、接触したかわからない場合は、あなたの認識を正確に伝えましょう。

接触したかわからない車と自転車の事故でトラブルが生じたら

接触したかわからない車と自転車の事故でトラブルが生じたら、弁護士に相談することをおすすめします。
接触したかわからない場合でも、相手から慰謝料等を請求されるケースもあります。
相手からの慰謝料請求等でトラブルが生じた場合でも、警察は介入してくれません。
警察は、あくまで事故の捜査や処理を行うのであって、示談交渉等の民事トラブルには介入できません。
相手から慰謝料等の請求をされた場合に、あなたの味方となって示談を進めてくれるのは弁護士の役割です。
特に、接触したかわからない事故の場合には、事故状況が不明確な部分も多く、示談交渉が難航するおそれがあります。
したがって、接触したかわからない車と自転車の事故で相手とトラブルが生じた場合には、早めに弁護士に相談しましょう。

まとめ

自転車と接触したかわからない場合でも、警察に報告しましょう。
警察に報告することで、今後何らかのトラブルが生じた際にあなたを守ることにも繋がります。
接触したかわからない車と自転車の事故でトラブルが生じたら、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
ネクスパート法律事務所では、交通事故事案の解決実績を豊富にもつ弁護士が多数在籍しています。ぜひ一度ご相談ください。

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