死亡事故の損害賠償請求をわかりやすく解説!慰謝料・逸失利益とは?

死亡事故の損害賠償請求 慰謝料・逸失利益とは?

交通事故の死亡事故で受け取れる損害賠償金の額は、事故の状況や被害者の年齢、職業、家族構成などによって異なります。
請求できる損害項目も多岐にわたるため、一つでも見落とすと、本来受け取れるはずの適正な補償を逃すことになります。
この記事では、死亡事故の損害賠償請求の基本的事項をわかりやすく網羅的に解説します。
ぜひ参考にしてください。

目次

死亡事故の損害賠償請求の基本を理解しよう

死亡事故の損害賠償請求を適切に行うためには、請求できる項目金額を算定するための基準を正確に理解することが不可欠です。
死亡事故で請求できる損害賠償金の主な項目は、次の3つです。

    1. 死亡慰謝料|精神的苦痛を償うもの
    1. 死亡逸失利益|将来の収入を補うもの
    1. その他費用|葬儀費用や近親者の交通費など

死亡事故の損害賠償金は、単に慰謝料だけではありません。
故人が被った損害、そしてご遺族が被った損害を金銭的に補償する様々な項目から構成されています。
事故による受傷後、死亡に至るまでに傷害を負った状態が一定期間続いた場合には、治療関係費や入通院慰謝料なども請求できます。

死亡事故で請求できる損害賠償金の種類は?請求の流れと注意点を解説

これらを漏れなく加害者側に請求することが、適切な補償を受け取るための第一歩となります。

交通事故の死亡慰謝料|精神的苦痛を償うもの

死亡慰謝料とは、被害者本人が死亡したことによる精神的苦痛と、ご遺族が故人を亡くしたことによる精神的苦痛の補償です。

死亡慰謝料は2種類に分けられる

死亡慰謝料は、被害者本人の慰謝料遺族固有の慰謝料の2種類に分けられます。

【死亡慰謝料の種類と請求権者】

種類概要請求者
被害者本人の慰謝料被害者本人が命を奪われたことに対する精神的苦痛の補償被害者の相続人(配偶者、子、父母、兄弟姉妹など)が請求権を相続
遺族固有の慰謝料ご遺族が被害者の死亡によって受けた精神的苦痛への補償原則として、被害者の父母、配偶者、子
過去の判例では、内縁の配偶者や兄弟姉妹にも認められたケースがある。

被害者本人の慰謝料

被害者本人の慰謝料とは、被害者本人が命を奪われたことに対する精神的苦痛の補償です。
その請求権は、法律に基づいてご遺族が相続します。

遺族固有の慰謝料

遺族固有の慰謝料とは、遺族が被害者の死亡によって受けた精神的苦痛への補償です。
遺族自身に認められた固有の権利民法第711条)で、この固有の権利は相続とは別のものです。
したがって、もし故人に多額の借金がある等により、ご遺族が相続放棄をした場合でも、遺族固有の慰謝料の請求は可能です。
遺族固有の慰謝料を請求できるのは、原則として、被害者の父母、配偶者、子です(民法第711条)。
ただし、過去の裁判例では、内縁の配偶者に固有の慰謝料が認められた事例(東京地裁平成12年9月13日判決)や、兄弟姉妹に固有の慰謝料が認められた事例(神戸地裁平成29年1月27日判決)も存在します。
裁判所は、民法第711条の該当者に限らず、請求者と被害者との身分関係や同居・扶養状況等の生活状況、事案の重大性を総合的に考慮して判断を下します。
ご自身が慰謝料を請求できる範囲に該当するかどうか不安な場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

知っておくべき死亡慰謝料の3つの算定基準

死亡慰謝料の算定には3つの基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)が存在し、どの基準を用いるかによって金額に差が生じます。
このうち、弁護士基準により算定した慰謝料が一番高くなります。

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通常、保険会社が最初に提示してくる慰謝料は、任意保険基準により算定した金額で、自賠責基準に近く、最低限の補償に過ぎません。
しかし、弁護士に依頼した場合、弁護士基準により算定した慰謝料を請求します。
適切な慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼し、弁護士基準による慰謝料の獲得を目指すことが重要です。
実際に、どのくらい慰謝料に差が生じるのか、次章で解説します。

死亡慰謝料の具体的な金額|弁護士基準でどのくらい増額する?

自賠責基準と弁護士基準の死亡慰謝料の金額は、下表のとおりです。

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なお、任意保険基準は、各保険会社独自の基準により算定されており、その基準は非公開なため、自賠責基準と弁護士基準とを比較しています。

自賠責基準による死亡慰謝料

自賠責基準による死亡慰謝料の具体的な金額は、次のとおりです(ただし、2020年4月1日以降に発生した事故の場合。)。
被害者本人の慰謝料は、400万円です。
ご遺族の慰謝料は、請求者の人数によって金額が異なります。

  • 請求者が1名の場合:550万円
  • 請求者が2名の場合:650万円
  • 請求者が3名以上の場合:750万円

さらに、被害者に被扶養者がいる場合には、上記の金額に加えて200万円が加算されます。
具体的な計算方法は、次のとおりです。

【例:被害者に配偶者と未成年の子2人がいる場合】
被害者本人の慰謝料:400万円
遺族固有の慰謝料:750万円(請求者3名)+200万円(被扶養者加算)
合計:1,350万円

ただし、自賠責保険の死亡事故の支払い限度額は、被害者1人あたり3,000万円です。
これは、死亡慰謝料や死亡逸失利益、葬儀費用など、死亡によって発生したすべての損害を合計した上限額です。

弁護士基準による死亡慰謝料

弁護士基準による死亡慰謝料の具体的な金額は、被害者の立場によって異なります。

  • 被害者が一家の支柱(家計を支える人):2,800万円
  • 被害者が母親配偶者2,500万円
  • その他(独身の男女、子ども、幼児など):2,000万円〜2,500万円

弁護士基準の死亡慰謝料には、遺族固有の慰謝料も含められています。つまり、上記の目安額は、被害者本人とご遺族の慰謝料が合わさった金額です。
通常、慰謝料の金額は、自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準の順で高くなります。
弁護士基準で請求することで、死亡慰謝料の増額を見込めます。

死亡慰謝料が増額される可能性のあるケース

死亡慰謝料は、被害者の立場に応じて算定される基準額(弁護士基準で約2,000万円〜2,800万円)を基本としますが、次の3つのケースでは、慰謝料が増額される可能性があります。

  • 加害者の行為が悪質な場合
  • 加害者の態度が悪質な場合
  • 被害者の遺族が精神疾患を発症した場合

以下、詳しく解説します。

加害者の行為が悪質な場合

加害者の行為が悪質な場合には、被害者やご遺族の精神的苦痛を増大させると判断され、慰謝料が増額される可能性があります。

  • 無免許運転・飲酒運転
  • ひき逃げ
  • 著しいスピード違反・信号無視
  • 故意による事故(殺人目的や嫌がらせなど)

加害者の態度が悪質な場合

加害者の態度が悪質な場合には、被害者やご遺族の精神的苦痛を増大させると判断され、慰謝料が増額される可能性があります。

  • 反省が見られない
  • 虚偽の供述・証拠隠滅

被害者の遺族が精神疾患を発症した場合

被害者の死亡によって精神的苦痛を受けたご遺族が、精神疾患を発症した場合は、慰謝料が増額される可能性があります。

交通事故の死亡逸失利益|将来の収入を補うもの

死亡逸失利益とは、事故により被害者の方が亡くならなければ、将来にわたって得られたであろう利益(収入)です。
事故により死亡した場合、生きていれば得られたはずの収入が全く得られなくなることから、死亡逸失利益が認められます。
死亡逸失利益は、被害者本人が亡くなっていることから、被害者の相続人(被害者の遺族)が請求します。
死亡逸失利益は、損害賠償金の中でも、死亡慰謝料と並んで相当な割合を占める重要な項目です。

死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益の計算方法は、次のとおりです。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

これを見ると、専門用語と複雑な計算式に困惑するかもしれません。
以下では、各項目についてわかりやすく解説します。

基礎収入

基礎収入とは、死亡逸失利益を計算するにあたりベースとなる収入で、原則として、被害者の事故前年度の収入です。
死亡逸失利益は、被害者が事故に遭わなければ将来得られたであろう収入なわけですから、計算するにあたっては、被害者の収入を基準に考える必要があります。
基礎収入の算出方法は、職業によって異なります。
以下、職業別の基礎収入の算出方法について見ていきましょう。

会社員(給与所得者)の場合

会社員(給与所得者)の場合は、原則として、事故前年度の年収が基礎収入です。
給与のほか、ボーナスや各種手当て等も含まれ、源泉徴収票をもとに算出します。
ただし、若年者(おおむね30歳未満)の場合で、事故前年度の年収が賃金センサス(※)の平均賃金を下回っている場合には、賃金センサスの平均賃金を基礎収入とすることもあります。
30歳未満の若さであれば、将来収入が増加する可能性が高いと考えられるからです。

賃金センサスとは、毎年実施されている政府の賃金構造基本統計調査の結果に基づき、労働者の性別、年齢、学歴等の別に、その平均収入をまとめた資料です。

自営業の場合

自営業の場合は、原則として、事故前年度の確定申告の所得額が基礎収入です。
確定申告書をもとに算出します。
確定申告をしていない場合や申告額以上の所得があったことを主張する場合、実際の所得がわかる帳簿等の資料でその所得額を証明できれば、その所得額を基礎収入とできます。

無職の場合

事故当時、無職の場合(収入がない場合)は、基本的に逸失利益は認められません。
ただし、たまたま転職活動中であったケースも考えられるでしょう。
事故当時無職の場合でも、次の要件を満たす場合には、賃金センサスの平均賃金失業前の収入から算出した基礎収入が認められることもあります。

  • 就労意欲がある
  • 就労能力がある
  • 就労する蓋然性が高い

専業主婦(主夫)の場合

専業主婦(主夫)の場合は、性別を問わず、賃金センサスの女性の全年齢平均賃金が基礎収入です。
専業主婦は、給料のような現実的な金銭を得ているわけではないことから、逸失利益もないのではと考える人もいるでしょう。
しかし、家事労働にも経済的価値があると考えられることから、専業主婦の場合も逸失利益が認められます。
ただし、ひとり暮らしの場合は、自分のために家事を行っているのであって、家族のために家事を行っているわけではありませんから、家事従業者にあたりません
したがって、ひとり暮らしの場合は、主婦としての逸失利益は認められません。

兼業主婦(主夫)の場合

兼業主婦(主夫)の場合は、賃金センサスの女性の全年齢平均賃金仕事による実際の収入を比較して、どちらか高い方が基礎収入です。

学生・子どもの場合

学生・子どもの場合は、賃金センサスの男女別の全年齢平均賃金が基礎収入です。
事故時点では職に就いていなくても、将来職に就く可能性が高いことから、賃金センサスをもとに算出します。
事故当時、大学生または大学に進学する蓋然性が認められる場合には、大学卒の全年齢平均賃金を基礎とします。
幼児等の年少者の場合には、男女で算出に用いる基準データが異なります。

  • 年少男子:男性の全年齢平均賃金
  • 年少女子:男女の全年齢平均賃金

男女の平均賃金には格差があり、年少者にもそれを適用すると、実態よりもさらに差が生じてしまうことから、年少女子には男女の全年齢平均賃金を用います。

年金受給者(年金以外に収入のない高齢者)の場合

年金受給者(年金以外に収入のない高齢者)の場合は、将来得られるはずだった年金収入(老齢年金や障害年金)について逸失利益が認められます。
ただし、遺族年金は、通常、受給権者の家族の生活保障のためではなく、受給権者自身の生活維持を目的とした給付であるものと考えられるため、逸失利益性は認められません。

生活費控除率

生活費控除率とは、生きていれば消費したであろう生活費の控除率を示したものです。
死亡により将来得られたであろう収入がなくなる一方で、将来かかったであろう生活費がかからなくなります。そのため、将来の生活費分を差し引く必要があります。
生活費控除率は、被害者の性別や扶養の有無によって異なることから、算出が困難です。
裁判実務では、おおむね下表のとおり算出される傾向にあります。

被害者の性別や扶養の有無生活費控除率
一家の支柱の場合30%~40%
男性(既婚・独身・学生等を含む)50%
女性(既婚・独身・学生等を含む)30~40%

年金生活者は、生活費控除率を50~60%として算定されるケースが多いです。

就労可能年数に対応するライプニッツ係数

就労可能年数とは、死亡しなければ働けたであろう期間で、原則として67歳までの期間とされています。
ライプニッツ係数とは、中間利息を控除するための係数です。
逸失利益は、将来得られたであろう収入を先に一括で受け取るため、通常、将来受け取るよりも多くの利息が発生します。なぜなら、受け取った段階からお金の運用が可能だからです。
そのため、将来受け取るよりも多く発生する利息分を控除すべきとの考え方から、将来の利息分(中間利息)を差し引くためにライプニッツ係数を用いて計算します。
ライプニッツ係数は、就労可能年数に対応して定められています。

就労可能年数ライプニッツ係数
1年0.971
5年4.580
10年8.530
15年11.938
20年14.877
25年17.413
30年19.600

※上表は一部を抜粋したものであるため、詳細は以下をご参照ください。
参照: 就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

18歳未満のライプニッツ係数は、18歳以上に適用される対応表と異なります。

事故当時の年齢ライプニッツ係数
0歳14.980
1歳15.429
2歳15.892
3歳16.369
4歳16.860
5歳17.365
6歳17.886
7歳18.423
8歳18.976
9歳19.545
10歳20.131
11歳20.735
12歳21.357
13歳21.998
14歳22.658
15歳23.338
16歳24.038
17歳24.759

なお、労働能力喪失期間の始期は、原則18歳ですが、大学進学や卒業が確実とみられる場合は、大学卒業予定時とされます。
就労可能年数は、原則満67歳ですが、高齢者の場合は、以下のいずれか長い方を就労可能年数とします。

  • 67歳までの就労可能年数
  • 簡易生命表の余命年数の2分の1

死亡逸失利益の具体的な計算例

具体的なケースで、計算方法を見ていきましょう。

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これらの計算例はあくまで目安ですが、被害者の立場や状況によって金額が変わることがお分かりいただけるかと思います。

その他費用|葬儀費用や近親者の交通費など

死亡事故では、死亡慰謝料や死亡逸失利益以外にも、以下の費用を損害として請求できます。

葬儀関係費用

葬儀費用は、自賠責保険では上限100万円(ただし、2020年4月1日以降に発生した事故の場合。)、弁護士基準では原則150万円が認められるのが一般的です。
ただし、弁護士基準による請求の場合は、領収書などの証拠に基づいて行うため、実際の支出額が150万円を超える場合は、その金額が認められる場合もあります。
葬儀費用として認められる範囲は、一般的に以下のものが含まれます。

費目詳細
・葬儀、火葬、埋葬にかかる費用・お通夜、告別式、火葬、埋葬にかかる費用全般
・祭壇の設営費、棺桶代、遺影代、火葬費用、骨壺代、墓地使用料など
・お布施、戒名料僧侶や神主などへの謝礼(お布施)や、戒名料も含まれます。
・読経料、お車代読経を依頼した場合の費用や、僧侶などの交通費(お車代)も含まれます。

ただし、事案によって認められる項目は異なる場合があります。

【Point①|領収書や明細の保管】
葬儀費用を請求するには、実際に支出したことを証明する領収書や請求明細が必要です。全ての費用の領収書を忘れずに保管しましょう。
【Point②|香典との関係】
香典は、損益相殺(受け取った利益を差し引くこと)の対象とはなりません。
これは、香典が加害者からの賠償とは無関係に、故人への弔意として贈られるものだからです。
【Point③|仏壇・仏具の購入費用】
仏壇や仏具の購入費用は、一般的に葬儀費用には含まれません。
ただし、例外的に、一部認められる可能性もあります。

近親者の交通費

近親者の交通費は、原則として実費を請求できます。

被害者が死亡するまでの治療費・入院雑費・付添費用など

事故による受傷後、死亡に至るまで傷害を負った状態が一定期間続いた場合、治療費、入院中の雑費、ご家族の付添費用なども請求できます。

死亡事故の損害賠償金は誰が受け取れる?|相続人の確認

死亡事故の損害賠償金は、ご遺族であれば誰でも受け取れるわけではありません。
法律上、損害賠償金を受け取れるのは、原則として故人の相続人と定められています。

相続人の範囲と法定相続分

交通事故の損害賠償請求権などの可分債権(分割が可能な債権)は、相続開始により、法定相続分で各相続人に分割されて帰属するため、各相続人が、法定相続分の割合で、個別に請求ができます。
相続人の範囲と法定相続分は以下の表のとおりです。

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※同順位(子、父母、兄弟姉妹)がそれぞれ2人以上いるときは、上記の割合を均等に割った割合が1人あたりの法定相続分となります。
民法で定められた法定相続人には、以下の順位があります。

  • 常に相続人となる人:配偶者
  • 第1順位:子(子がすでに死亡している場合は孫が相続人となります)
  • 第2順位:父母(被害者に子や孫がいない場合)
  • 第3順位:兄弟姉妹(被害者に子や孫、父母がいない場合)

法定相続分として、それぞれの相続人の分配割合も定められています。

  • 相続人が配偶者と子の場合:配偶者が2分の1、子が2分の1
  • 相続人が配偶者と父母の場合:配偶者が3分の2、父母が3分の1
  • 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合:配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

ただし、相続人全員で協議し、法定相続分と異なる割合で分配することに合意した場合には、その合意した割合で請求が可能です。
ただし、協議がまとまらない状態が続くと、損害賠償請求権が時効で消滅するおそれがあります。
死亡事故の損害賠償請求権の時効は、原則として、被害者が死亡した日から5年です(ただし、2020年4月1日以降に発生した事故の場合。)。
遺産分割協議の難航を理由に時効が延長されることはありません。
したがって、協議をする際には、時効についても念頭に置きましょう。

遺族固有の慰謝料は相続人以外も受け取れる

遺族固有の慰謝料は相続人以外も受け取れます。
遺族固有の慰謝料(第1章で解説)は、被害者の父母、配偶者、子が受け取るのが原則ですが、内縁の夫や妻、兄弟姉妹にも認められるケースもあります。
この場合には、法定相続分は関係なく、該当者がその範囲の慰謝料を受け取れます。

死亡事故の示談交渉のタイミング

死亡事故の示談は、すべての損害が確定した段階で開始すべきです。
具体的なタイミングとしては、以下のケースが一般的です。

四十九日や納骨が過ぎてから

事故直後は、葬儀や各種手続きに追われ、ご遺族の精神的な負担も大きいため、冷静な話し合いは困難です。
葬儀や四十九日、納骨などの一連の行事が落ち着き、ある程度気持ちの整理がついてから始めるのが一般的です。

損害額が確定してから

死亡事故では、死亡慰謝料や死亡逸失利益、葬儀費用など、様々な項目について損害額を算定する必要があります。
これらの金額がすべて確定しないうちに示談を成立させると、後から見落としがあったとしても、原則として追加請求はできません。
したがって、全ての損害額が確定してから示談を開始する必要があります。

刑事手続きの状況を見てから

加害者の方の中には、自身の刑事処分を少しでも軽くしたいと考え、示談を急いでくる人もいます。
しかし、加害者の刑事処分が決定する前に示談に応じると、適正な賠償額を受け取れないリスクがあります。
したがって、刑事手続きの状況を把握しながら、慎重に示談を進めるべきです。
死亡事故の示談は、ご遺族にとって重要な手続きです。
後悔しないためにも、ご自身だけで判断せず、まずは弁護士に相談し、適切なタイミングと方法で交渉を進めることをおすすめします。

死亡事故と刑事裁判との関係

交通事故で被害者がなくなった場合、加害者は民事責任(損害賠償)だけでなく、刑事責任(刑罰)にも問われる場合があります。
民事責任は被害者やその遺族に対する損害賠償であり、刑事責任は国家に対する犯罪行為として裁かれるものです。

刑事裁判の流れ

刑事裁判は、おおむね次の流れで進みます。

① 逮捕・書類送検

事故後、警察は捜査を行い、加害者を逮捕または書類送検します。

② 検察官による起訴

検察官は、捜査結果に基づいて、加害者を起訴するかどうかを判断します。
起訴されれば刑事裁判が始まり、不起訴となれば、刑事責任は問われません。

③ 刑事裁判

裁判所は、検察官が提出した証拠に基づいて、加害者の有罪・無罪と、有罪の場合の刑罰を決定します。

刑事裁判と示談の関係

刑事裁判は国家が加害者の罪を裁くものであり、示談は民事上の和解ですが、両者は無関係ではありません。
示談の成立は、加害者の刑事処分に影響を与える重要な要素となります。
検察官や裁判官は、加害者の量刑を判断する際に、加害者が反省し、被害者遺族に対して誠意を尽くしているかを重視します。
この段階で、既に示談が成立している場合、加害者が民事上の責任を果たす意思があることを示すため、刑事処分が軽くなる可能性があります。
具体的には、不起訴になったり、執行猶予が付いたりする可能性があります。
したがって、示談交渉のタイミングは刑事裁判とも関係するでしょう。

死亡事故の損害賠償請求は弁護士に依頼すべき理由

死亡事故の損害賠償請求は弁護士に依頼することをおすすめします。
以下では、その理由について解説します。

遺族の精神的負担が大きいため

遺族は、愛する人を突然失った悲しみの中で、葬儀や各種手続きに追われ、精神的に不安定な状態にあります。
加害者側の保険会社は、交渉の代理人として業務的な対応をする可能性は否めません。
遺族の悲しみを構わず、交渉を急かしたり、心ない言動をとったりすることもあるかもしれません。
愛する人を突然失った悲しみに加えて、さらなる精神的負担を被ることは避けるべきです。
弁護士に依頼することで、ご遺族は加害者側と直接やり取りする必要がなくなり、精神的な負担から解放されるでしょう。

死亡事故の損害賠償額は高額になる傾向のため

死亡事故の損害賠償額は、死亡慰謝料だけでなく、死亡逸失利益、葬儀費用などを含め、数千万円に及ぶケースもあります。
つまり、弁護士基準で請求するか否かによっての差も大きくなります。
加害者側の任意保険会社は、通常、自社に有利な基準(任意保険基準)で賠償金を提示します。
しかし、弁護士に依頼すれば、過去の裁判例に基づいた弁護士基準で交渉・請求できるため、賠償額が増額する可能性が高まるでしょう。

加害者の嘘や不誠実な対応に対処するため

加害者が事故の状況について嘘をついたり 、不誠実な態度を取ったりするケースは少なくありません。
死亡事故は、既に被害者側が亡くなっていることから、加害者側の嘘の供述を覆しにくい点が特徴です。
そのため、ご遺族だけで事実関係を証明するのは難しいでしょう。
弁護士は、加害者の虚偽の主張に対抗するため、事故現場の検証、目撃者の情報収集、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像解析などを行い、客観的な証拠に基づいて主張を展開します。
加害者の嘘や不誠実な対応に適切に対処するためにも、弁護士に依頼することが重要です。

死亡事故の弁護士費用を気にせず相談できる弁護士費用特約

弁護士への依頼を躊躇される理由の一つに、高額な弁護士費用への懸念があるかもしれません。
しかし、弁護士費用特約が付帯している場合には、費用負担を軽減できます。 弁護士費用特約とは、弁護士に支払う費用をあなたが加入する保険会社が代わりに支払うサービスです。
一般的に、弁護士費用は1事故1名あたり300万円、法律相談料は1名あたり10万円限度として補償されます。
弁護士費用特約が利用できれば、事故負担を抑えつつ、弁護士に依頼できます。
ご自身の保険契約を一度確認しましょう。

交通事故における弁護士費用特約について詳しく解説

まとめ

突然の悲劇によって、かけがえのない大切な人を失った悲しみは、言葉に尽くせません。
残されたご遺族は、深い悲しみと向き合いながら、葬儀や、様々な手続きに追われるでしょう。
その悲しみや混乱の中で、冷静に加害者側の保険会社と交渉を進めることは、容易なことではありません。
弁護士は、ご遺族の心に寄り添いながら、法的手続きや交渉を引き受けます。
ネクスパート法律事務所では、交通事故事案の解決実績を豊富にもつ弁護士が多数在籍しています。
初回相談は30分無料です。ぜひ一度ご相談ください。

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