あなたは今、自転車事故直後に警察を呼ばなかったことを後悔していませんか?
「今からでも警察に届け出た方が良いだろうか」「相手方とトラブルになったらどうしよう」等と悩んでいるかもしれません。
この記事では、自転車事故直後に警察を呼ばなかった場合のリスクや対応方法ついて、詳しく解説します。
今後の事故対応にお役立ていただければ幸いです。
目次
自転車事故直後に警察を呼ばなかったが後日でも連絡すべき?
自転車事故直後に警察を呼ばなかったなら、後日でも連絡すべきです。
自転車は軽車両に該当するため、事故が発生したら、当事者双方は事故を報告する義務があります(道路交通法第72条)。
自転車事故直後に警察を呼ばなかった場合、なるべく早く警察に届け出ましょう。
警察に後日連絡する場合は、原則として事故現場付近の警察署(派出所又は駐在所を含む)に赴いて、以下の情報をわかる範囲で伝えましょう。
- 交通事故の発生日時、場所
- 交通事故による負傷者の人数と負傷の状況
- 交通事故によって損壊させた物および損壊の状況
- 交通事故に関係する車両等の積載物
- 事故後に講じた措置(救急車の要請など)
- 交通事故の当事者の住所・氏名などの情報
遠方で起きた事故などで事故現場付近の警察署に行けない場合は、まずは電話をして情報を伝え、とるべき行動について指示を受けましょう。
自転車事故直後に警察を呼ばなかった理由とそのリスク
自転車事故を警察に届け出ないと、あなたが不利益を被ったり、相手方とのトラブルに発展したりするおそれがあります。
ここでは、自転車事故直後に警察を呼ばなかった以下の5つの理由ごとに、あなたが抱えるリスクを詳しく紹介します。
なお、以下に掲げる理由を問わず、事故直後に警察を呼ばなかった場合は、報告義務違反として罰則を課されたり、ひき逃げを疑われたりするリスクがあります。 自転車事故を起こしたら、必ず警察に報告しましょう。 |
違反を取られたくなかった
違反を取られたくなかったという理由で警察を呼ばないケースもあるようです。
自転車危険行為を反復して行う(3年以内に2回以上)と自転車運転者講習の受講命令が下されるため、違反の指摘を避けようとする方もいるかもしれません。
特に、以下のような違反があった場合、警察を呼ぶことをためらうことがあるようです。
- 信号無視
- 歩道通行時の通行方法違反
- 運転中の携帯電話の使用
- 酒気帯び運転
しかし、交通事故を起こしたにもかかわらず警察に報告しなかった場合、報告義務違反として罰則を科されるおそれがあります。
報告義務違反の罰則は、3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金です(道路交通法第119条1項17号)。
違反行為をしていたとしても、自転車事故に遭ったら警察に報告しましょう。
目立った怪我がなかった
事故直後、「擦り傷程度だから大丈夫だろう」と考え、警察を呼ばなかったというケースもあるでしょう。
しかし、外見上は軽傷に見えても、時間が経ってから症状が出るケースもあります。頭や内臓を損傷していた場合、後遺障害が残る可能性も否定できません。
警察に事故を報告しないと、交通事故証明書が発行されません。この証明書がなければ、事故により傷害を負っても損害賠償を受けられないおそれがあります。
事故直後は軽傷に思えても、後になって深刻な問題につながることもあります。目立った怪我がなくても、自転車事故に遭ったら警察に報告しましょう。
時間がなかった
「事情聴取されたら、次の予定に間に合わない」など、時間がないことを理由に警察を呼ばない方もいるかもしれません。
しかし、警察に事故を報告しないと、事情聴取も実況見分も行われないため、適正な過失割合が算定されないおそれがあります。
警察に事故を報告すると、現場に駆け付けた警察官は、事故の当事者から事故の状況等を聞き取り、現場を検証して、供述調書や実況見分調書等を作成します。
これらの調書は、事故態様や過失割合を判断する際の重要な資料です。これらの資料が作成されなければ、事故の相手方と過失割合について揉めたり、適切な損害賠償金を受け取れなくなったりする可能性があります。
適正な過失割合を算定するためにも、自転車事故に遭ったら警察に報告しましょう。
その場で示談を求められた
その場で示談を求められ、警察を呼ばなかったケースもあります。
事故の相手方が過失や違反を隠したい、または後々の損害賠償を避けたいと考えている場合などには、その場で示談を持ちかけられることもあります。
特に、自転車事故の場合、警察を呼ばずにその場で示談するケースが多いようです。
原則として示談の撤回はできません。
示談後にあなたに重篤な症状が出て後遺障害が残ったとしても、損害賠償金を請求できなくなります。
自転車事故に遭ったらその場で示談するのは避けて、警察に報告しましょう。
とっさに逃げてしまった
気が動転して、とっさに逃げてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
自転車は軽車両に該当するため、事故を起こしたら運転者は直ちに自転車の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する措置を講じる義務があります。
事故を起こしたら、慌てず、その場で必要な措置をすることが大切です。
あなたが逃げた後に相手方が警察に報告している場合、当て逃げやひき逃げとして扱われる可能性もあります。
時間が経つほど状況が不利になる可能性がありますので、その場を離れてしまった場合は、できるだけ早く警察に報告しましょう。
自転車事故に遭ったら警察への届け出以外にすべきこと
自転車事故に遭ったら、警察への届け出に加えて、以下の3つのことも行いましょう。
- なるべく早期に医師の診断を受ける
- 契約している保険会社に連絡する
- 交通事故証明書の交付を受ける
以下で、詳しく紹介します。
なるべく早期に医師の診断を受ける
なるべく早期に医師の診断を受けましょう。
事故から初診までの期間が空きすぎると、傷害を負っても事故との因果関係が認められない可能性があります。
事故と傷害の因果関係が認められないと、事故の相手方や自賠責保険から損害賠償を受けられません。
自覚症状がなくても、内臓を損傷しているケースも見られます。事故に遭ったら早期に医師の診断を受けましょう。
加入している保険会社に連絡する
加入している保険会社に連絡しましょう。
自転車事故により相手方に損害を与えた場合、ご自身が加入している保険会社から補償してもらうことになるため、なるべく早期に保険会社に連絡することが大切です。
保険会社には、主に以下の内容を報告します。
- 保険の契約内容(証券番号や契約者の情報)
- 事故状況(日時・場所・相手方の情報等)
- 損害について(車両の損傷、傷害の有無)
- 事故対応について(相手方とどのようなやり取りをしたか、目撃者の有無等)
保険証券などの契約内容がわかる資料や相手方の情報等を手元に準備して連絡をすると、保険会社にスムーズに報告できます。
その際、ご自身の損害についても補償を受けられる特約等があるか確認すると良いでしょう。
事故に遭ったら、なるべく早期に加入している保険会社に連絡しましょう。
交通事故証明書の交付を受ける
交通事故証明書の交付を受けましょう。
損害賠償金の請求等、交通事故に関する手続きの際に必要になります。
交通事故証明書は、公的機関が交通事故に遭ったことを証明する唯一の書面です。自動車安全運転センターで入手できますが、事故発生から5年が経過すると原則として交付されなくなります。
事故に遭ったら、交通事故証明書を取得しましょう。
自転車事故の損害賠償についてトラブルが生じたら弁護士に相談を
自転車事故の損害賠償について法的トラブルが生じたら、弁護士に相談することをお勧めします。
事故後に警察を呼ばなかった場合、トラブルに発展することが多くあります。警察を呼ばないことで、事故の証拠が不十分になり、過失割合の決定が難航することもあります。
交通事故の過失割合は、損害賠償金の金額を左右するため、示談する際に揉めやすい項目です。
過失割合は、走行時の状況や事故現場の状況等のさまざまな事情を踏まえて、事故の当事者が交渉により決めます。事故後すぐに警察を呼ばなかったことで証拠が不十分となり、相手方の言い分に適切に反論できないことがあります。その結果、納得のいかない過失割合で示談することもあります。
弁護士に依頼すれば、過去の判例等から適切な過失割合を算出し主張してもらえるため、納得のいく解決を図りやすくなるでしょう。
交渉や手続きのすべてを弁護士に一任できるため、精神的な負担も最小限に抑えられます。
自転車事故の損害賠償について法的トラブルが生じたら、弁護士への依頼を積極的に検討しましょう。
まとめ
自転車は軽車両に該当するため、事故が発生したら、当事者双方は事故を報告する義務があります。事故直後に警察を呼ばなかった場合は、なるべく早期に警察に報告しましょう。
事故から受診までに期間があくと、傷害を負っても事故との因果関係が認められないおそれがあるため、自覚症状がなくても医師の診断を受けることも大切です。
自転車事故の損害賠償について法的トラブルが生じたら、弁護士への依頼を積極的に検討しましょう。弁護士に依頼すれば、納得のいく解決が図れる可能性が高まります。
自転車事故の損害賠償にまつわる法的トラブルは、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。