【弁護士解説】会社破産の方法 会社が倒産したときの流れを徹底解説

倒産には破産と民事再生がある
一般的に「倒産」とひとくくりにされていわれることが多いですが、その中身は破産と民事再生とで分かれており、両者は全く異なるものです。
厳密には会社更生というのも倒産に含まれますが、あまり使われない手続なので、ここでは説明を省略します。
民事再生は再生という名前からも分かる通り、会社の再建を目的とするものです。そのため会社自体は存続したまま債権をカットしてもらうなどの方法で、会社が立ち直れるように計画を立て実行していきます。
これに対して、破産は会社の財産を全てお金に換えて債権者に分配し、会社自体を世の中から無くしてしまうという手続です。
再建することができないだろうという見立ての場合いきなり破産を選択することもあります。
裁判所に破産を申立てる前に資料の準備が必要
破産をする場合には裁判所に申立てを行う必要があります。その申立てを行うにあたって必要な資料などについては事前に準備をしなければなりません。
まず、申立てを行うので破産申立書を作成する必要があります。これには会社の登記、貸借対照表、損益計算書を添付しなければなりません。
また、会社にどのくらいの財産があるのかを把握するために財産目録を作成する必要があります。
債権者が誰なのかどのくらいいるのか把握するために債権者一覧表も作成する必要があります。これだけでなく破産申立てに至った事情を時系列にしたがって書くことも求められます。
申立て後も破産手続に協力する必要
破産を申立て、破産するための要件が整っていると裁判所が判断した場合、破産手続開始決定がなされます。このときに破産管財人という人が選任され、以後取締役に代わって会社の財産の管理を担当します。
これにより取締役は会社財産を処分する権限が無くなるので、勝手に債権者にお金を返済するといったことができなくなるので注意しましょう。
破産管財人と打ち合わせをする必要があったり、財産の処分について協議などをしたりすることがあります。また、財産の処分に関して破産管財人から協力を要請された場合にはこれに応じなければいけないこともあります。
その後は破産管財人主導で破産手続が進んでいき、会社財産をお金に換え、債権者を集めて説明(債権者集会)をし、債権者にお金を分けていきます(配当)。
これが完了すると破産手続が終了し、会社はこの世から消滅します。それと同時に会社が負っていた債務も消滅します。
取締役の破産が必要になるケースも
中小企業の場合、会社が借り入れなどを行うときに社長などの取締役個人に連帯保証を求めることもあります。
このとき会社と取締役個人は法律上別の人格であるため、会社が破産して会社の債務が消滅したとしても取締役個人の連帯保証の債務は残り続けます。
このままだと取締役が多額の債務を負い、生活の再建ができなくなることが考えられます。そのような場合には取締役自身の自己破産が必要になります。
会社の破産のタイミングが難しいことや、破産の手続が複雑なこともあるため、会社の経営が苦しくなってきている時点で弁護士に早急に相談することをおすすめします。
弁護士が受任することで債権者からの取り立てを止めることができ、取り立てに苦しまずに破産手続を進めることができます。破産まで至らなくとも会社の再建を目指すことができるかもしれません。