弁護士によるコラム記事です。
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名目上の代表取締役につき、監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社は、Bがその実権を有し業務一切を担当し経営に当たっていた株式会社です。かねてよりYの父であるCがA社の信用のために名目上の代表取締役に就任していました。 しかし高齢を理由に辞職を申し出たため、B・Cから懇請され、Yはやむなく名義... -
他の代表取締役に業務を任せきりにしていた代表取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社は工器具類の製造販売を営む株式会社であり、Yが代表取締役社長、Bが代表取締役専務を務めていました。 X社は昭和27年3月4日頃、Bから鋼材を買い受けたい旨の申込みを受け、鋼材合計16トンをA社に引き渡しました。A社はその代金支払いの方... -
取締役による仕入品の不正処分について、代表取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社では、Y1が代表取締役、Y2とY3が取締役を務めていました。 A社はX社ほか三社から商品の仕入れを行いましたが、Y2、Y3は共謀してその商品のほとんどを質に入れたり投げ売りするなどして不正に処分しました。 それによって得た金銭の一部はA... -
代表取締役による偽造手形の振り出しについて、他の名目的代表取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社は、C社の製品の販売を主たる目的として設立された会社であり、YとBが代表取締役を務めています。 もっとも、Yは親しい間柄にあったC社社長のDから名義だけを貸すように頼まれてA社の代表取締役となった、いわゆる名目的代表取締役でした... -
他の代表取締役が行った手形の支払いについて、すでに辞任した代表取締役の監視義務違反が認められなかったケース
【事実関係】 A社では、BとYが代表取締役を務めていましたが、Yは、昭和27年6月30日にA社の取締役を辞任しました。その後、同年7月15日に後任取締役としてCが選任され、同年8月29日にはYの取締役退任登記がなされました。 昭和27年8月23日、A社は、本件手... -
取締役の監視に重大な過失が無いとして賠償責任が否定されたケース(他の取締役による詐欺)
【事実関係】 貿易会社であるA社では、代表取締役Y1のほか、Y2~Y7が取締役を務めていました。 A社はB社に対する生糸の輸出取引に際して、X銀行からいわゆる貿易手形の割引による融資を受けることにしました(本件手形割引)。 本件手形割引には、内国メーカ...