任意整理したい人必見!条件・費用・デメリットなどの初心者ガイド
任意整理は、他の債務整理に比べて手続きが簡易で、デメリットが少ない方法です。
以下のような場合でも、手続きの対象とする債権者を適切に選ぶことで、周囲の人や生活への影響を最低限に抑えて借金を整理できる可能性があります。
- 保証人に迷惑をかけたくない
- ローンで購入した車を使い続けたい
- 会社からの借入れは従前どおり返済を続けたい
ただし、任意整理は裁判外の手続きであるため、強制力がありません。
任意整理に応じるかどうかは債権者の意向次第であるため、必ずしも希望どおりに解決できるとは限りません。
この記事では、任意整理の利用条件やデメリット・注意点などを解説します。
任意整理を検討中の方は、ぜひご参考になさってください。
目次
任意整理したいけど、できないことってある?
ここでは、任意整理の利用条件を解説します。
任意整理できる条件
任意整理は、法律で利用条件が定められているわけではありません。ただし、任意整理ができるかどうかの判断基準がいくつかあります。
ここでは、任意整理できる条件とできない可能性があるケースを解説します。
返済原資を確保できる
任意整理は、将来利息や遅延損害金をカットして残元金を返済する手続きであるため、返済原資を確保できることが必要です。
返済原資は、債務者自身の収入に限らず、家族等の経済的援助者からの援助でも構いません。
専業主婦の方でも、同居家族に安定した収入があり、家計から返済原資を調達できれば任意整理できることもあります。
3~5年で完済できる見込みがある
残元金を3~5年で完済できる見込みがある場合は、任意整理での解決を望めます。
任意整理後の分割返済期間は、概ね3年から5年と定めることが一般的です。
無理なく返済を継続するためには、月々の返済額を手取収入の2~3割以内におさめて、3~5年で完済可能な返済計画を立てるのが理想的です。
任意整理できない可能性があるケース
以下のようなケースでは、任意整理による解決が困難な場合があります。
安定した収入がない
安定した収入がなく、資力や家族・友人等からの経済的援助も見込めない場合は、自己破産を選択した方がよいでしょう。
ただし、任意整理を検討している段階で収入がなくても、就職先や転職先から内定を受け、近い将来、安定した収入が見込める場合は、任意整理を利用できる可能性もあります。
借金が年収を超えている
借金の総額が年収を超えている場合は、任意整理をしても、返済計画が破綻する可能性があります。年収の2倍を超えるような借金を抱えている場合は、他の債務整理を検討した方がよいでしょう。
生活保護を受給している
生活保護受給者は、原則として任意整理を利用できません。
生活保護費は、最低限度の文化的な生活を送るために支給されるものであるため、借金の返済にあてることができません。
生活保護受給中に借金をしたり、返済原資を確保するために隠れて働いたりすると、生活保護費の減額・打ち切りがなされる可能性があります。
債権者から合意を得られる見込みがない
任意整理に応じるかどうかは債権者次第であるため、交渉に応じてもらえない場合は、他の債務整理を検討せざるを得ないこともあります。
取引期間が短い、借りてから一度も返済していない借金がある場合は、その債権者との交渉が難航する可能性が高いです。
奨学金や税金・社保の滞納以外の借金がない
奨学金や滞納税・滞納社会保険料以外の借金がない場合は、任意整理では解決できません。
日本学生支援機構をはじめとした奨学金の実施団体の多くは、任意整理に応じない姿勢をとっています。その理由としては、奨学金の金利はかなり低めに設定されていることや、実施団体に独自の救済制度が用意されていることなどが考えられます。
税金や国民年金保険料・国民健康保険料を滞納していても、任意整理では解決できません。滞納税や滞納社会保険料は、税務署や市町村役場の担当課に相談の上、分納や納付猶予の合意を得ることをおすすめします。
すでに差し押さえを受けている
借金を長期間滞納していると、最終的に財産が差し押さえられることがあります。
いったん差し押さえを受けてしまうと、その後に任意整理をしても、債権者が差し押さえの解除に応じることはほとんどありません。
任意整理したい人が知っておくべきデメリットや注意点
ここでは、任意整理のデメリットや注意点を解説します。
ブラックリストに載る
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。
そのため、任意整理後の返済を終了してから5年間は、新たな借入やクレジットカードの作成が困難になります。
申込審査時に、信用情報を照会する以下の手続きも利用できなくなる可能性があります。
- 信販系保証会社の利用を義務付ける賃貸借契約
- 携帯電話やスマートフォンの割賦契約
- 他者の債務を保証する保証契約
保証人に迷惑をかけることがある
保証人のいる借金を任意整理すると、債権者が保証人に対し残債務を一括請求する可能性があります。
保証人が一括で返済できない場合や、債権者から分割返済の合意を得られない場合は、主債務者と連名で任意整理を行うなど、保証人自身も債務整理を検討しなければならないことがあります。
希望通りの内容で合意できないこともある
任意整理に応じるかどうかは債権者の意向に委ねられています。交渉に応じてもらえなければ、任意整理できません。
交渉に応じてもらえても、債務者の希望する条件で合意ができるとは限りません。
早期円満解決のためには、債権者と債務者の双方が妥協できる着地点を探さなければならないこともあります。
任意整理したいけど費用が心配…なにか良い方法はある?
ここでは、任意整理にかかる費用や費用が払えない場合の対象法について解説します。
任意整理の費用相場|1社あたり3〜10万円程度
任意整理にかかる費用は、大きく分けて、実費と弁護士費用です。
実費|数千〜1万円程度
実費とは、手続きを進める過程で実際に支出が必要な費用です。
具体的には、以下の費用として、債権者1社あたり数千円程度の費用がかかります。
- 債権者との書面のやり取りに必要な郵便代
- 合意書に貼り付ける収入印紙代
交渉する債権者の数が多い場合は、実費が1万円以上になることもあります。
弁護士費用|1社あたり3〜10万円程度
任意整理の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。
- 着手金:3~5万円程度
- 報酬金:2~4万円程度
法律事務所によっては、減額報酬として経済的利益の10~20%の報酬金がかかることもあります。
法テラスを利用する
弁護士費用を用意できない場合、収入や資産が一定以下であれば、法テラスの民事法律扶助制度を利用することで、弁護士費用を立て替えてもらえることがあります。
法テラスに立て替えてもらったお金は、分割で返せるので負担を小さくできます。
司法書士に依頼する
1社あたりの借金の元本が140万円以下であれば、司法書士にも任意整理を依頼できます。
事務所にもよりますが、司法書士費用は弁護士費用に比べて、若干安く設定されているため、元本が140万円以下の借金を任意整理する場合は、司法書士に依頼するのも一つの手段です。
弁護士に分割払いを相談する
債務整理を積極的に取り扱う法律事務所の中には、弁護士費用の分割払いに応じている事務所もあります。弁護士に依頼すれば、債権者からの取り立てがストップでき、返済も一時的に停止できます。
手続が終了するまでの間は、これまで交渉先債権者への返済にあてていたお金を弁護士費用にあてかえられるので、無理なく支払えます。
費用節約のために自分で任意整理したいけど、できる?
ここでは、任意整理を自分でする場合の手続きの負担と注意点について解説します。
取引履歴の開示の必要性
任意整理では債権者との交渉に先立ち、利息制限法に基づき残債務を確定するために、各債権者に対して取引履歴の開示を求める必要があります。
自分で手続きすると、債権者から以下のような対応をとられることがあります。
- 債務残高しか開示されない
- 直近取引や途中の取引だけしか開示されない
- 完済した取引の履歴開示を拒絶される
債権者から開示された取引履歴を鵜呑みにして、そのまま交渉の基礎としたり、一部開示を看過したりすると、不利な条件での和解に至る可能性があります。
粘り強く開示請求を行っても、債権者の協力が得られず、長期間手続きが停滞するおそれもあります。
引き直し計算が難しい
利息制限法に基づく引き直し計算を行う際には、専用の計算ソフトを用いますが、計算ソフトはインターネットで検索すると無料でダウンロードできます。
ソフトがあるなら簡単にできると思いがちですが、全ての取引の借入日・借入額・返済日・返済額を一つ一つ正確に入力しなければなりません。
債権者から債務者本人に開示される取引履歴は、弁護士が開示請求した場合と異なり、借入日・借入金額・返済日・返済金額に一覧性のあるものではないこともあります。
クレジットカード会社から開示される取引明細は、利用額・支払額を記載した月別利用明細書が大量に送付されることもあります。
そのため、入力作業に多大な時間を要したり、誤入力により計算ミスが生じたりするおそれがあります。
不利な条件を提示される可能性もある
債務者本人からの任意整理の申出に対し、消極的な姿勢を示す金融機関も少なくありません。
交渉に応じてもらえたとしても、不利な条件を提示されることがあります。
ご自身が策定した返済計画案に対して、「返済期間が長すぎる」「毎月の返済額が低すぎる」として変更を求めてくることも往々にあります。
知識や交渉力の差から、債権者の要望を聞き入れざるを得ない状況になり、合意に至ったとしても、最終的にその返済案を履行できなくなるおそれも生じます。
任意整理したい人は弁護士に相談を
任意整理を有利に進めるためには、債権者を上回る知識や交渉力を持つ弁護士に依頼することをおすすめします。
ここでは、任意整理を弁護士に依頼するメリットを紹介します。
利息や遅延損害金の免除が望める
弁護士に依頼すれば、将来の利息や遅延損害金のカットが望めます。
弁護士が代理人として任意整理を行う場合は、東京弁護士三会が定めた以下の統一基準を満たせるよう、債権者と交渉します。
- 全取引の履歴の開示を求める
- 利息制限法の利率によって元本充当計算を行い、債権額を確定する
- 返済案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金や将来の利息を付けない
弁護士の粘り強い交渉により、将来利息だけでなく、和解日までの経過利息を免除してもらえる可能性もあります。
面倒な手続きを任せられる
任意整理は、以下の手順で進めます。
- 取引履歴の開示を請求する
- すべての取引を利息制限法の利率で引き直し計算する
- 実現可能な返済計画を立てる
- 債権者に返済案を提示して交渉を開始する
- 債権者の合意が得られたら契約書を締結する
弁護士に依頼すれば、これらの面倒な手続きをすべて任せられます。
過払金の有無も調査してもらえる
金融機関によっては、取引履歴の開示時に、利息制限法に基づく充当計算表を同封してくることがあります。ところが、債権者が行った充当計算では、債務者に不利な計算がなされていることもあります。
弁護士は、債務者と債権者との間の継続的な取引につき、個々の借入・返済を独立の取引とみるのではなく、借入れについては総借入額の増加として全体の利息を計算し、返済については総借入額とその利息に対する返済として計算する方法(一連一体計算)を行います。
過去の判例に基づき適正な計算方法で引き直し計算を行えるので、過払金の有無もきちんと調べてもらえます。
任意整理で解決できない場合も安心
借入状況や収入・家計の状況によっては、任意整理での解決が困難なケースもあります。
そのような場合でも、弁護士に相談すれば、ご自身に最適な解決方法を提案してもらえます。
弁護士は、個人再生や自己破産の手続きを代理できるので、書類の収集・作成はもちろん、裁判所とのやり取りも全て任せられます。
まとめ
任意整理は、債務整理の中でも少ない手間と費用で行える比較的簡易な手続きです。
とはいえ、債権者との交渉には、専門的な知識や交渉力が必要です。
弁護士に依頼すれば、面倒な手続きは全て任せられ、取り立ても止められるので、債権者からの連絡に煩わされることがなくなります。
任意整理をご検討の方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。
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