サマリー
パルティール債権回収から突然電話がかかってくると、「聞き覚えのない会社だが詐欺ではないか」「なぜ連絡が来たのか」と困惑する方も多いのではないでしょうか。
同社は法務省の許可を受けた債権回収会社であり、過去に利用したクレジットカードなどの未払いに関して連絡している可能性があります。
安易に対応すると時効の主張が難しくなるリスクもあるため、慎重な対応が求められます。
この記事では、パルティール債権回収から電話がくる背景や適切な対処手順、返済が困難な場合の選択肢について分かりやすく解説します。
パルティール債権回収とは?電話がかかってくる主な理由
パルティール債権回収株式会社の基本情報と位置づけ
パルティール債権回収株式会社は、金融機関や信販会社などから委託を受けたり、債権を買い取ったりして債権の管理および回収を行う民間の債権回収会社(サービサー)です。
債権回収業は、弁護士法との関係から厳格な法的規制が設けられており、誰でも自由に営むことができる業種ではありません。
同社は、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」に基づき、2008年に法務大臣の許可を得て営業を開始した正規の事業者です。
資本構成としては、株式会社日本保証が100%出資して設立された会社であり、金融グループの一角を担うサービサーとして位置づけられています。
サービサー法で取り扱うことが認められている債権は「特定金銭債権」に限定されています。
パルティール債権回収では、住宅ローン債権やマイカーローン債権、フリーローン債権、法人および個人事業主向け融資債権、個別割賦債権などを幅広く取り扱っています。
なぜパルティール債権回収から電話がかかってくるのか
パルティール債権回収という会社名に心当たりがないにもかかわらず連絡が届く理由は、過去に利用したクレジットカードやローンの支払いが未払いになっている可能性があるためです。
当初の借入先であるカード会社や信販会社は、支払いの遅延や滞納が長期に及んだ場合、自社での督促を終了し、法務大臣の許可を受けたサービサーへ回収業務を委託することがあります。
あるいは、債権そのものをサービサーへ売却(債権譲渡)するケースも少なくありません。
業務委託や債権譲渡が行われると、督促の連絡窓口は元々の会社からパルティール債権回収へと変更されます。
その結果、契約した覚えのない会社から電話がかかってくるという事態が生じます。
パルティール債権回収からの着信は、過去の未払い債権に関して連絡窓口が移行したことを示すサインといえます。
主な提携先や取り扱い債権の具体例
パルティール債権回収は、日常的に広く利用されている大手の信販会社やクレジットカード会社と複数の提携関係を持っています。
代表的な例として知られているのが楽天カードです。楽天カードの支払いを長期間滞納している場合、同社が債権回収業務を受託したり債権譲受を行ったりして、督促の電話や郵便物を送付してくる事例が見られます。
楽天カード以外にも、以下のようなクレジットカード会社や信販会社の未払い債権を取り扱っている実績があります。
- 楽天カード株式会社
- イオンクレジットサービス株式会社
- 株式会社アプラス
- シティカードジャパン株式会社
- トヨタファイナンス株式会社 など
数年前、場合によっては十数年前に利用していたカードやショッピング枠の分割払いであっても、未払いのまま完済されていない場合には、債権が同社に移って突然電話が入ることがあります。
そのため、心当たりがないと感じた場合でも、過去にこれらの会社が発行するクレジットカードや各種ローンを利用していなかったかを確認することが重要です。
勤務先の会社に電話がかかってくる理由と対応
パルティール債権回収から自身の携帯電話だけでなく、勤務先の会社にまで電話がかかってきて困惑する方も少なくありません。
職場に連絡が入る背景には、督促における一定の経緯が存在することが一般的です。
勤務先に電話がかかってくる主な理由
債権回収会社が勤務先に連絡を入れる大きな理由の一つに、本人宛てに送付された郵便物や個人の携帯電話への着信が、長期間にわたって未対応のまま放置されている状況が挙げられます。
督促の郵便物が届いているのか、あるいは本人が現在も同じ連絡先を使用しているのかが確認できない場合、債権回収会社は契約当初に届け出があった勤務先情報をもとに、所在の確認や連絡を試みることがあります。
ただし、電話口で「パルティール債権回収」という会社名を直接名乗り、借金の事実を職場の同僚に伝えることは通常ありません。
法規制により、正当な理由なく第三者へ借入れの事実を漏らす行為は厳しく制限されているためです。
多くの場合、担当者は個人名を名乗り、本人の在籍確認や取り次ぎを求める形で連絡を入れてきます。
そのため、一度の電話で即座に借金の督促であると周囲に知られる可能性は低いといえます。
職場への連絡による影響と注意点
会社名を伏せて個人名で電話がかかってくる場合であっても、私用と思われる連絡が職場に何度も続けば、同僚や上司から不審に思われる懸念が生じます。
不在時の伝言や取り次ぎが頻繁に発生すると、業務に支障をきたすだけでなく、職場での立場や人間関係において精神的な負担を抱える要因にもなりかねません。
勤務先への電話を控えてもらうための対応
勤務先への連絡を止めてもらうためには、着信や郵便物を完全に無視し続けるのではなく、本人が直接やり取りできる連絡窓口を明確にすることが基本となります。
個人の携帯電話や自宅にかかってきた連絡に対応し、担当者に対して「今後は携帯電話宛てに連絡してほしい」「勤務先への電話は控えてほしい」旨を冷静に伝える方法が実務上よくとられます。
本人と確実に連絡が取れる状況が確認できれば、回収会社側としてもあえて職場へ電話をかける必要性が薄れるため、勤務先への架電が止まるケースが多くみられます。
ただし、電話で直接やり取りをする際には、安易に債務を認める発言をしないよう注意が必要です。
不用意に支払いを約束してしまうと、消滅時効の主張が困難になるおそれがあります。
パルティール債権回収から電話があった場合の対処手順
パルティール債権回収から電話を受けた際、慌ててその場で返済の約束をしてしまったり、逆に心当たりがないからと無視を決め込んだりすることは好ましくありません。
まずは落ち着いて状況を整理し、適切な手順を踏んで対応することが大切です。
放置や無視を避けるべき理由とリスク
身に覚えがない会社からの電話であっても、単に無視を続けることは推奨されません。
連絡が入っているということは、過去に利用したクレジットカードなどの支払いが長期間滞っており、元の債権者から委託または譲渡された債権について請求が行われている可能性があるためです。
連絡を放置し続けると、支払期日の翌日から発生している遅延損害金が日ごとに加算され、請求総額が膨らんでいく恐れがあります。
また、書面や電話による連絡が取れない状態が続くと、担当者が直接自宅を訪問して現況を確認しに来るケースもあります。
さらに放置が長期化した場合、債権回収会社は債権回収のために裁判所へ支払督促の申し立てや民事訴訟の提起といった法的措置を検討することがあります。
裁判所からの通知も放置してしまうと、判決等に基づき財産の差し押さえを受けるリスクが生じます。
督促を無視し続けると遅延損害金が増加するだけでなく、裁判所を通じた法的手続きへ移行するおそれがあります。
安易に返済せず消滅時効の期間を確認する
放置は避けるべきですが、電話口で焦って「近いうちに支払います」「少し待ってください」といった返答をすることは注意が必要です。
クレジットカードや消費者金融などの債権は、法律上、原則として最終返済日や請求期限から5年間が経過している場合、消滅時効が成立している可能性があります。
時効期間が経過しているにもかかわらず、少額でも返済してしまったり、債務の存在を認める発言(債務の承認)をしてしまったりすると、時効の進行がリセットされる「時効の更新」が生じる場合があります。
その結果、本来であれば主張できたはずの時効が主張できなくなるリスクがあります。
そのため、電話がかかってきた際はその場ですぐに支払いの約束をするのではなく、まずは請求されている債権の元々の利用先や、最後に返済した時期がいつであるかを確認することが先決となります。
時効期間が経過している場合は、債権者に対して消滅時効を援用する意思表示を行うことが必要です。
実在の窓口や書面を確認して架空請求を見極める
実在する債権回収会社を名乗り、架空の債権を請求して金銭を詐取しようとする悪質な詐欺業者も存在します。
パルティール債権回収の公式サイトでも、同社の名前を無断で使用した架空請求に関する注意喚起が行われています。
心当たりが全くない場合は、着信した電話番号や送られてきた書面に記載されている電話番号が、公式サイトに掲載されている正規のお客様相談センターや各拠点の番号と一致しているかを照会することが重要です。
公式な連絡先と異なる場合や、振込先口座の名義が個人名になっている場合は、詐欺の可能性が疑われます。
また、正規の手続きで債権が譲渡された場合には、通常、元の債権者から債権譲渡通知書が届きます。
送付されてきた書類の書式や内容が正規のものか確認し、疑問がある場合は公式サイトの注意喚起情報を参照するなどして慎重に見極める必要があります。
返済が難しい場合の選択肢(分割返済の相談と債務整理)
パルティール債権回収から請求を受けた際、請求金額を一括で支払うことが難しいケースは少なくありません。
時効期間が経過しておらず返済義務が残る場合、担当窓口へ事情を説明することで、分割返済の相談に応じてもらえる可能性があります。
また、同社から「一括で支払えば利息や遅延損害金を免除する」「一定額に減額する」といった減額和解の案内が書面等で届くこともあります。
債務者にとって有利な提案に見える内容であっても、慎重な確認を怠ってはなりません。
減額案内に応じて一部でも返済したり返済の約束をしたりすると、債務を承認したとみなされ、それまで進行していた消滅時効の期間がリセットされるおそれがあります。
一度時効援用権を喪失すると、原則としてその時点からさらに5年または10年が経過するまで時効を主張できなくなります。
書面に記載されている最終返済日や契約内容を必ず照合し、時効を迎えていないか確かめることが重要です。
同社では地域別の相談ダイヤルや女性専用ダイヤルなどのフリーダイヤルが設置されていますが、時効の成否が不明確な段階で不用意に連絡を入れることは避けるのが賢明です。
分割返済でも支払いが困難な場合の債務整理
消滅時効が成立しておらず、提示された返済プランや分割払いでも家計状況から返済が極めて厳しい場合には、債務整理を検討することが現実的な選択肢となります。
債務整理は、法的な手続きを通じて借金の減額や支払猶予を図る制度です。
| 手続き | 借金の減額内容 | 主な特徴と留意点 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 将来利息等のカット、元本の3〜5年分割 | 裁判所を通さず債権者と個別に合意を目指す |
| 個人再生 | 総額を概ね5分の1から10分の1程度に減額 | 原則3年で完済、安定収入が必要、住宅維持も可能 |
| 自己破産 | 裁判所から免責を得て返済義務を免除 | 借金の支払い義務が消滅、一定以上の財産は処分 |
任意整理の手続きと特徴
任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉を行う手続きです。
一般的には、合意後の将来利息を免除してもらい、元金を3年から5年程度の長期分割で完済する返済計画を立てます。
整理する債権者を個別に選択できるため、保証人が付いている借入れや自動車ローンなどを除外して手続きを進められる点が大きなメリットです。
ただし、相手方の合意が必要となるため、柔軟な対応が得られない場合もあります。
個人再生の手続きと特徴
個人再生は、地方裁判所に申し立てを行い、借金総額を法律の基準に従って大幅(原則5分の1から10分の1程度)に減額してもらう法的手続きです。
減額後の債務を原則3年(最長5年)かけて分割返済していきます。
住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)を利用すれば、マイホームを手放さずに他の借金のみを整理できる利点があります。
利用には将来にわたり継続的・安定的な収入を得る見込みが必要とされます。
自己破産の手続きと特徴
自己破産は、裁判所に申し立てを行い、原則としてすべての債務の支払義務を免除(免責)してもらう法的手続きです。
支払不能の状態に陥っており、収入面から返済の継続が一切不可能な場合に選択されます。
借金の返済義務そのものがなくなるため生活の再建を図りやすい一方、マイホームや一定基準を超える高価な資産は原則として換価・処分され、債権者への配当に充てられる点に注意が必要です。
パルティール債権回収からの督促に関する弁護士への相談
パルティール債権回収から電話や郵便物による督促を受けた際、どのように対応すべきか迷った場合は、弁護士へ相談することが有効な選択肢の一つとなります。
債権回収会社からの連絡には、消滅時効の成否や取引の正当性など、法的な判断を要する論点が多く含まれているためです。
個人で直接交渉を進めようとすると、法的な権利関係を正確に把握できないまま不利益な合意を結んでしまうリスクもあります。
弁護士の助言を得ることで、客観的な状況分析に基づいた適切な対処が期待できます。
消滅時効の成否判断と時効援用手続きの代理
パルティール債権回収から請求を受けている債権が長期間放置されていたものである場合、消滅時効期間が経過している可能性があります。
しかし、時効が成立しているかどうかは、最終返済日だけでなく、過去に裁判上の請求や支払督促がなされていたかなど、詳細な履歴を確認しなければ判断できません。
弁護士に相談すれば、手元に届いた通知書の記載内容やこれまでの取引経緯を精査し、時効期間が満了している見込みがあるかを法的な観点から慎重に検討してもらえます。
これにより、不用意な発言や一部返済によって時効を更新させてしまうリスクを防ぐことにつながります。
時効の要件を満たしていると判断される場合は、弁護士が代理人として相手方へ消滅時効援用通知書を送付する手続きを一任できます。
内容証明郵便の作成や送達後の相手方との連絡窓口を弁護士に任せられるため、債務者自身が直接相手方とやり取りをする精神的な負担を大幅に軽減できる点も大きなメリットです。
架空請求やなりすまし業者の見極め
心当たりが全くない請求が届いた場合、実在する債権回収会社の名称を悪用したなりすまし詐欺や架空請求である可能性も否定できません。
近年の請求手法は巧妙化しており、送付された書類や連絡先の真偽をご自身だけで判断するのが難しいケースも見られます。
弁護士に書面を確認してもらうことで、請求元の実態や法務省の許可番号、通知内容の適法性を客観的に検証し、架空請求の疑いがあるかどうかの見通しを立てやすくなります。
返済が困難な場合の債務整理手続きのサポート
時効が成立しておらず法的な返済義務が残る場合や、請求額が一括では到底支払えない状況にある場合は、債務整理を視野に入れた対応が必要になります。
弁護士は、相談者の収入、支出、保有資産、他社からの借入総額などを総合的に考慮し、生活再建に向けた手続きの選択を支援します。
将来利息のカットや分割返済を目指す「任意整理」、住宅などの財産を維持しながら借金を大幅に圧縮する「個人再生」、裁判所を通じて返済義務の免責を求める「自己破産」など、複数の手続きの中から状況に応じた適切な方法を検討できます。
弁護士に債務整理を正式に依頼した場合、債権者に対して受任通知が送付されます。
貸金業法やサービサー法の規定により、受任通知を受け取った債権者は債務者本人に対する直接の電話や督促連絡を停止しなければなりません。
日々の督促によるストレスから解放された状態で、和解交渉や裁判所への申立準備に専念できる環境が整うことは、生活の立て直しを進める上で大きな利点といえます。
督促への対応に不安がある場合の対処
パルティール債権回収からの電話や督促状に対しては、放置を続けることも、慌てて連絡して債務を認めることも、それぞれ法的なリスクを伴います。
自身での判断が難しいと感じた段階で、まずは弁護士などの法律の専門家に相談し、適切な助言を受けることが望ましい対応といえます。
コラム監修者
佐藤 塁
所属:代表(東京オフィス)
東京都杉並区出身。明治大学付属中野高校、明治大学法学部を経て、明治大学法科大学院を修了。2011年に新司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を修了(65期)。2012年12月に弁護士登録(東京弁護士会)し、都内の法律事務所での勤務を経て、2016年1月に寺垣俊介とともにネクスパート法律事務所を創業。代表弁護士として一般民事から企業法務まで幅広い分野を手がけるとともに、全国に拠点を持つ事務所の経営にあたる。
早くからテクノロジーと法務の融合に取り組み、2021年にはAIを利用した法律文書作成サービスを開発するLegal AI株式会社の代表取締役に就任(現在は退任)。当時はAI技術が発展途上で技術的な壁に直面したが、この挑戦を通じて「法務業務こそAIの力を借りれば飛躍的に変わる」という確信を得る。以来そのビジョンを持ち続け、生成AIが広く普及した現在は事務所の業務全体でAIの活用を進めている。2026年には日本弁護士連合会「弁護士業務改革シンポジウム」にパネリストとして登壇した。ブロックチェーン・Web3分野の法務や海外法人の設立支援にも取り組み、公益法人主催のセミナー等で講師を務める。
公正取引委員会・中小企業庁「適正取引推進講習会」講師、日本弁護士連合会代議員、東京弁護士会常議員を歴任。弁護士業務のかたわら、2014年に東京青年会議所に入会して以来、10年以上にわたりボランティア活動に取り組む。2017年からは国際的な社会奉仕団体であるライオンズクラブに所属し、2022年には東京数寄屋橋ライオンズクラブ第57代会長を務めた。献血の呼びかけ、障がい者スポーツ大会の支援、保護犬活動のほか、弁護士として小中学生への法教育や薬物乱用防止教育にも携わっている。