税金も債務整理をすれば減額してもらえる?
債務整理は、借金を免除または減額してもらえたり、支払い期限を延ばしてもらうことができるなど、借金の返済が厳しくなってきたときに利用することのできる手続きです。
税金の支払いを滞納してしまっていた場合にも、債務整理をすれば税金の支払いを減額または免除してもらえるのでしょうか?
税金を滞納するとどうなる?
まずは税金を滞納したらどうなるのかについて見ていきましょう。
税金は、定められた納期限までに納付しなければなりません。
期限までに納付されなかった場合、督促や催告により納付を催促されます。
納期限の翌日から延滞金が加算され、本税が完納するまで加算されるため、納付が遅れれば遅れるほど延滞金が増えてしまいます。
納付されない場合には、税金の種類によって税務署や市区町村などから督促状が送付されます。
督促状が送付されても納付しないときは、電話や文書または訪問により納付の催告をされることもあります。
それでも納付しない場合、財産調査が行われ、財産の差し押さえをされてしまう可能性があります。
一般の債権者が借金の滞納を理由に財産の差し押さえを行う場合、裁判で債務名義(判決など)を取得してから、銀行口座や給与などを差し押さえてくるのですが、税金の場合には裁判を経なくても差し押さえをすることが可能なため、より早い段階で差し押さえをされてしまう可能性があります。
銀行口座を差し押さえられた場合、銀行口座が凍結されてしまいます。
銀行からお金を引き出せなくなりますし、振り込みや引き落としなどもできなくなってしまいます。
給与を差し押さえられてしまうと、勤務先から給与の一部を受け取ることができなくなります。
完納するまで毎月給与等から差し押さえされ、税金の納付に充てられることになります。
その他、不動産や自動車、動産なども差し押さえられる可能性があります。
債務整理をすれば税金は減額できる?
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3種類の手続きがあります。
税金を滞納している場合、任意整理や個人再生をしても減額することができません。
また、借金の返済が免除される自己破産をしても、税金の支払い義務は免除されません。
自己破産には、非免責債権と呼ばれる自己破産をしても支払い義務が免除されない債権がいくつかあります。
たとえば、
- 税金や社会保険料
- 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償の支払い
- 故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償の支払い
- 自己破産手続の中でわざと債権者一覧に記載しなかった債権者への支払い
- 刑罰による罰金の支払い
- 養育費や婚姻費用
などが非免責債権になります。
税金を払えない場合にはどうすればいい?
債務整理をしても減額・免除されない税金を払えない場合、どうすればよいのでしょうか。
税金を納付できないからといって放置してはいけません。
催促の電話や手紙、督促状などを無視し続けてしまうと、差し押さえをされる可能性が高くなってしまいます。
また、たとえば住民税は、やむを得ない事情により生計を維持することが著しく困難になったような場合、住民税を減免してもらえる可能性もあります。
滞納しているのが税金だけの場合、債務整理をしても減額・免除されないため、弁護士が法律的に解決することは難しいです。
ただし、税金以外の借金の返済に追われ税金の納付ができない場合には、債務整理をして税金以外の借金を減額・免除してもらうことで、税金の納付ができるようになる可能性もあります。
税金以外の借金の返済が苦しい場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。
まとめ
税金は、債務整理をしても減額・免除してもらうことはできません。
税金の滞納を続けると、銀行口座や給与などを差し押さえられてしまう可能性があるので、放置せず、必ず税務署や市区町村など、滞納してしまっている税金の担当部署に相談をしましょう。
もし税金以外の借金の返済に追われて税金まで納付ができない場合には、債務整理を検討しましょう。
貸金業者などからの借金が減額・免除されれば、税金の納付ができる可能性もあります。
債務整理を検討する場合、個別の事情については弁護士に相談することをおすすめします。