【動物病院のM&Aについて】法務デューデリジェンスの重要ポイント

近年、動物医療の需要増加や獣医業界の高齢化に伴い、動物病院のM&A(合併・買収)が活発化 しています。動物病院は医療機関としての特性を持ち、獣医療法、獣医師法、麻薬及び向精神薬取締法など多くの法令の規制を受けるため、通常の事業買収とは異なり慎重な対応が求められます。
本記事では、動物病院のM&Aにおいて特に重要な許認可や法令順守に関する法務デューデリジェンス(法務DD)のポイントを詳しく解説します。
獣医療法 動物病院の適法運営の確認
広告規制の適用
獣医療法では、動物病院の広告内容に厳格な制限が設けられています。
したがって、ホームページやパンフレットが獣医療法の基準に適合しているか等をチェックする必要があります。
獣医師法 獣医師の資格管理と診療記録の適法性
動物病院の買収では、所属する獣医師の資格管理が特に重要です。
獣医師免許の確認
- 獣医師が適法に免許を取得しているか。
- 獣医師の2年ごとの届出が適切に行われているか。
診療記録(カルテ)の保存義務
- 診療録(カルテ)の作成・保存義務を遵守しているか。
獣医療法 診療施設の適法性
診療施設の届出
- 開設後に都道府県知事への届出が必要。
- 未届出の施設がないかを法務DDで確認し、必要に応じて是正措置を講じる。
診療施設の設備基準
- 放射線漏えい量の測定が定期的に行われているか。
- 放射線管理区域が適正に設定されているか。
麻薬及び向精神薬取締法 麻酔薬の適正管理
動物病院では、ケタミンなどの麻酔薬を使用するため、麻薬及び向精神薬取締法の規制を受けます。
麻薬管理責任者の選任
- 麻薬管理責任者が選任されているか。
- 麻薬取扱者免許が適切に取得されているか。
麻薬の適正管理
- 在庫・使用記録が適正に保管されているか。
- 麻薬の施錠管理が適切に行われ、定期的な監査が実施されているか。
毒物及び劇物取締法(毒劇法)
毒薬・劇薬の管理方法
- 毒物・劇薬の保管場所が法律の基準を満たしているか。
- 毒劇物の譲渡・使用記録が適切に保存されているか。
動物愛護法(動愛法) ペットホテル業務の許認可
動物病院が ペットホテルサービスを行っている場合、動物取扱業の登録が必要です。
- 動物取扱業の登録が適切に行われているか。
- 動物取扱責任者が適法に選任され、必要な手続を経ているか。
廃棄物処理法 動物医療廃棄物の適正処理
- 感染性廃棄物が、適切な方法で処分されているか確認。
まとめ
動物病院のM&Aでは、許認可の適切な承継と法令順守が事業継続の鍵となります。獣医療法、獣医師法、麻薬及び向精神薬取締法など、多岐にわたる法規制を正しく理解し、慎重な法務デューデリジェンス(法務DD)を実施することが不可欠です。特に、診療施設の届出、獣医師免許の管理、麻薬や毒劇物の適正管理、広告規制の順守など、M&A後のリスクを最小限に抑えるための徹底した事前調査が求められます。
また、M&A契約書においては、表明保証条項や損害賠償条項の適切な設定により、買収後のトラブルを回避し、安全に事業を引き継ぐための法的措置を講じることが重要です。
動物病院M&Aに精通した弁護士が関与することで、許認可の適正な引継ぎや契約リスクの最小化を図ることが可能です。 弊所では、動物病院のM&Aに関する法務デューデリジェンス、契約書の作成・レビュー、許認可手続のサポートを行っております。
動物病院のM&Aを検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。適切な法務サポートで、安全かつスムーズなM&Aを実現します。

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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)