入社希望者の履歴書を採用担当者以外が閲覧できるか

- 入社希望者の履歴書を採用担当者以外が閲覧できるか。
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個人情報保護法の観点から閲覧は控えた方が良いです。
個人情報保護法について
個人情報保護法上、個人情報とは生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものとされています(個保法2条1項)。
したがって、入社希望者の履歴書に関しては、氏名、生年月日、住所、電話番号等個人を特定できる情報が記載されているため、個保法上の個人情報に該当するものといえます。
このような個人情報が記載された履歴書の提出を受けた個人情報取扱事業者については、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならないものとされています(個保法16条1項)。
なお、個人情報取扱事業者とは、入社希望者を50音順にファイリングしてまとめている等、個人情報をデータベース化している事業者をいい、多くの起業がこれに該当するものと考えられます。
入社希望者の履歴書の閲覧について
以上を前提とすると、通常、履歴書を提出した入社希望者においては、履歴書が採用担当者に閲覧されることは当然のものと理解していると考えられ、採用担当者間でこれが閲覧されることは同意しているものといえます。
一方で、採用担当者でない者にも、履歴書を閲覧されることは、入社希望者において通常予測できるものとはいえず、それらの者に閲覧されることの同意があるとは考え難いです。
したがって、採用担当者以外の者が履歴書を閲覧することは、個人情報の目的外利用といえ、個人情報保護法違反になる可能性があります。
雇用関係に関する個人情報について
個人情報取扱事業者は、その従業者(雇用関係にある従業員(正社員、契約社員、嘱託社員、パート社員、アルバイト社員等)のみならず、取締役、執行役、理事、監査役、監事、派遣社員等も含まれます。)に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないとされています(個保法25条)。
したがって、個人情報取扱事業者は、従業者が利用目的の範囲を超えて、履歴書を閲覧しないよう適切に管理、監督する必要があります。
まとめ
以上のとおり、履歴書等個人情報を含む資料の取扱いに当たっては細心の注意をする必要があります。
ネクスパート法律事務所ではこのような個人情報に関する問題について専門チームで対応させていただいています。
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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)