個人再生で家計簿の提出が必要な理由は?書き方や注意点も解説! - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

個人再生で家計簿の提出が必要な理由は?書き方や注意点も解説!

個人再生では、家計収支表と呼ばれる家計簿のような書面を提出する必要があります。

家計簿の提出が必要な理由や、家計簿の付け方を把握しておけば、個人再生申立時に慌てずに済みます。

この記事では、個人再生で裁判所に提出する家計簿について、以下のとおり解説します。

  • 個人再生ではなぜ家計簿の提出が必要なの?
  • 個人再生で提出する家計簿はいつからいつまで書けばいい?
  • 個人再生で提出する家計簿の書き方|フォーマット
  • 家計簿は適当に書いてもいい?家計簿作成時の注意点
  • 家計簿やその記載理由が原因で個人再生に失敗することはある?

家計簿の付け方が分からない方は、ぜひご参考になさってください。

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個人再生ではなぜ家計簿の提出が必要なの?

ここでは、個人再生で家計簿の提出が必要な理由について解説します。

個人再生で家計簿の提出が求められる主な理由は、以下のとおりです。

  • 支払不能のおそれの有無を確認するため
  • 財産隠しや偏頗弁済がないか確認するため
  • 再生計画の履行可能性を確認するため

ひとつずつ説明します。

支払不能のおそれの有無を確認するため

家計収支表は、債務者の収支状況を明らかにするための参考資料として、個人再生の申立時に提出が求められます。

個人再生の手続きは、債務者に支払不能のおそれがある場合に開始されます。支払不能のおそれがあるかどうかは、裁判所が、債務者の借金や財産の状況に加えて、収支状況も考慮して判断します。

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偏頗弁済や財産隠しがないか確認するため

家計収支表は、偏頗弁済財産隠しがないかを確認するための資料としても参照されます。

個人再生では、債権者平等の原則および清算価値保障原則として、以下のルールを守らなければなりません。

  • すべての債権者を平等に扱わなければならない
  • 再生計画による弁済率は破産した場合の配当率以上でなければならない

偏波弁済や財産隠しはルールに反する行為であるため、次のようなペナルティを受ける可能性があります。

  • 個人再生の申立てが棄却される
  • 個人再生後の返済額が増える
  • 再生計画案が認可されなくなる
  • 認可された再生計画が取り消される
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再生計画の履行可能性を確認するため

家計収支表は、裁判所が再生計画の履行可能性を確認するための参考資料にもなります。

個人再生後は、認可された再生計画に基づき、減額後の借金を原則3年(最長5年)で返済しなければなりません。

裁判所は、再生計画の認可・不認可を決定するにあたり、債務者の収支状況を確認して、再生計画どおりの返済が実現可能かどうかを判断します。

個人再生で提出する家計簿はいつからいつまで書けばいい?

ここでは、個人再生で提出する家計簿の記帳期間について解説します。

遅くとも申立日の2か月前から家計簿をつける

個人再生申立時には、直近2か月分の家計簿を裁判所に提出します。そのため、遅くとも個人再生の申立予定日の2か月前から記帳を開始しましょう。申立準備には少なくとも2~3か月以上かかるので、準備と並行して家計簿をつけ始めれば十分間に合います。

弁護士に個人再生の申立てを依頼する場合は、弁護士から家計簿をつける時期について明確な指示があるでしょう。具体的な指示がない場合は、練習もかねて依頼時から家計簿をつけ始めると良いでしょう。

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申立後も家計簿の提出を求められることがある

裁判所が再生計画の履行可能性を確認するために必要と判断した場合は、申立後も家計簿の提出を求められることがあります。

東京地方裁判所などの一部の裁判所では、計画通りの返済が可能かどうかを判断するため、返済予定額を積み立てるテスト(履行テスト)が行われます。この履行テスト期間中に家計簿の追加提出を求められることがあります。

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個人再生で提出する家計簿の書き方|フォーマット

ここでは、個人再生で裁判所に提出する家計簿の書き方について解説します。

家計簿に記載する項目は?

2022年5月20日現在、東京地方裁判所で使用されている家計簿(家計全体の状況)の記載項目は、以下のとおりです。

収 入 支 出
費 目 金額(円) 費 目 金額(円)
前月繰越金(現金)    
    (預貯金)  
前月繰越金計(A)
給料・賞与(申立人)   家賃(管理費含む),地代  
給料・賞与(配偶者)   住宅ローン  
給料・賞与(     )   食費  
自営収入(申立人)   日用品  
自営収入(配偶者)   水道光熱費  
自営収入(      )   通信費(電話代等)  
年金(申立人)   新聞代  
年金(配偶者)   保険料(       )  
年金(        )   駐車場代(      )  
生活保護   ガソリン代(     )  
児童手当   医療費  
他の援助(      )   教育費  
その他(       )   交通費  
    被服費  
    交際費(       )  
    娯楽費(       )  
    返済(対業者)  
    返済(対親戚・知人)  
    返済(        )  
    その他(       )  
       
当月収入計(B) 当月支出計(C)
  次月繰越金(現金)  
    (預貯金)  
次月繰越金計(D)
合計(A+B) 合計(C+D)

裁判所に提出する家計簿は、各項目につき1か月分をまとめて記載するため、日々の収支をノートや市販の家計簿に記録しておくとよいでしょう。

弁護士に個人再生を依頼する場合は、毎月の収支をまとめたメモや市販の家計簿を渡すことで、裁判所書式への転記作業を任せられることもあります。

家計簿は適当に書いてもいい?家計簿作成時の注意点

ここでは、個人再生で裁判所に提出する家計簿作成時の注意点を解説します。

収支は正確に記載しなければならない

収支は、原則として1円単位まで正確に記載しなければなりません。レシートを交付してもらえない支出などは、必ずメモに残しておきましょう。

各月ごとに収支を計算し、前月から繰越残高・次月へ繰り越し金額を正確に記載しましょう。家計収支表の記載と、実際の口座残高や手持ち現金の残高が異なる場合は、収支表の記載に誤りがないかしっかり確認しましょう。

提出を求められたときに備えて水道光熱費の領収証を保管する

裁判所によっては、水道光熱費などの領収証の提出を求められることがありますので、保管しておくことをおすすめします。

家族名義の銀行口座から水道光熱費が引き落とされている場合は、家族名義の通帳のコピーの提出を求められることもあります。

娯楽費や交際費の支出が多いと家計の見直しを求められる

収入に見合わない交際費・娯楽費の支出があると、裁判所から家計の見直しを求められることがあります。ご自身の経済的更生のためにも、節約を心がけましょう。

家計簿の記載内容が原因で個人再生に失敗することはある?

ここでは、家計簿の記載内容が原因で個人再生に失敗する可能性があるかどうかについて解説します。

支払能力の判断において申立ての棄却・再生計画の不認可につながる可能性がある

支出に対して収入があまりに多ければ、再生手続きの開始原因(支払不能のおそれ)がないと判断され、申立てが棄却される可能性があります。

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収支にマイナスが生じると、再生計画どおりの返済が実現できないと判断され、再生計画が不認可となる可能性があります。

履行可能性を示すためには、返済予定額を多少上回る繰越金が残るような家計簿が理想です。

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その他裁判所がチェックするポイント

裁判所がチェックするポイントは以下のとおりです。

  • 収支のバランス
  • 支出の内容が妥当かどうか
  • 家計全体の状況

ひとつずつ説明します。

収支のバランス

裁判所は、支払能力や履行可能性を判断するため、収支の差が開きすぎていないかどうかをチェックします。

毎月3~5万円程度の繰越金が出るように収支のバランスを考えましょう。

支出の内容が妥当かどうか

収入に見合わない支出がある場合や以下の支出が多すぎる場合は、裁判所から家計の見直しを求められることがあります。

  • 交際費
  • 娯楽費
  • 被服費
  • 食費

家計全体の状況

裁判所に提出する家計簿は、原則として同居家族や同居人を含めた家計全体の収支を記載します。次のようなケースでは、同居家族等の支出を見直すよう指導されることもあります。

  • 同居家族等の娯楽費や交際費等が家計を圧迫して返済に支障がでるおそれがある
  • 同居家族等に一定の収入があるのに家計全体の支出を債務者のみが負担している

まとめ

個人再生は、借金を減額することにより債務者の経済的更生を図る手続きです。個人再生後は、借金に頼らず収入の範囲で生活できるよう収支を見直すことが重要です。

家計簿の記帳は面倒かもしれませんが、無駄遣いしているお金や節約できる支出に気づけます。

個人再生を弁護士に依頼すれば、家計簿の書き方や注意点をアドバイスしてもらえます。

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