個人再生の履行テストとは?トレーニング期間や返金時期も解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

個人再生の履行テストとは?トレーニング期間や返金時期も解説

個人再生とは、裁判所に申立てて、再生計画の認可を得ることで借金を大幅に減額できる手続きです。借金の額に応じて5分の1から10分の1(下限100万円)まで借金を圧縮できます。減額後の借金は、原則3年(最長5年)で分割返済します。

東京地方裁判所をはじめとする多くの裁判所では、債務者の履行(返済)の確実性を確認するために、履行テストを実施しています。

履行テストは、具体的にどのように実施されるのでしょうか?

この記事では、個人再生の履行テストについて、次のとおり解説します。

  • 個人再生の履行テストとは?
  • 個人再生における履行テストの期間は?
  • 履行テストで滞納するとどうなる?
  • 個人再生の履行テストで納めたお金はいつ返金される?
  • 履行テストで納めたお金は全額返還される?
  • 大阪地方裁判所では個人再生の履行テストがない?
  • 履行テストが継続できず個人再生に失敗したらどうすればよい?

個人再生を検討中の方は、ぜひご参考になさってください。

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個人再生の履行テストとは?

個人再生は、返済を前提とした債務整理の手続きです。

裁判所は、再生計画案の認可・不認可を決定するにあたり、債務者が再生計画案どおりに返済できるか判断するため、返済能力を確認するテストを実施します。

このテストを履行テストと呼びます。

ここでは、履行テストの具体的な内容、支払金額や支払方法について解説します。

履行テストの具体的な内容

履行テストは、継続的な返済能力を確認するためのテストです。つまり、毎月分割返済を続けられるかをチェックされます。

履行テストでは、指定された期日までに、指定された金額を、指定された口座に振り込まなければなりません。

履行テストの支払金額や支払方法

履行テストで指定される金額は、各債権者に支払う毎月の返済予定額の合計です。

個人再生委員が指定した口座に指定された期日までに、返済予定額を毎月振り込みます(東京地方裁判所の場合)。

裁判所によっては、運用が異なることがあります。

個人再生における履行テストの期間は?

ここでは、個人再生における履行テストの期間について解説します。

履行テストをスタートする時期は?

個人再生を申立てると、すぐに履行テストがスタートします。

東京地方裁判所では、原則としてすべての事件で個人再生委員が選任されるため、個人再生委員が具体的な期日や振り込み先口座を指定します。

1回目の支払いは、再生手続開始決定を出すべきかどうかの判断材料にもなっています。

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履行テストは何カ月続く?

東京地方裁判所の履行テストでは、毎月1回の振り込みを6ヶ月間続けます。

履行テスト期間は、原則6ヶ月ですが、6ヶ月続けなくても継続的な返済能力があると個人再生委員が判断した場合は、早めに切り上げられることもあります。

履行テストで滞納するとどうなる?

ここでは、履行テストで滞納した場合のリスクについて解説します。

再生計画が不認可になる可能性がある

履行テスト中に滞納すると、個人再生の手続きが打ち切られる可能性があります。個人再生委員や裁判所から「返済能力がない」「再生計画に無理がある」と判断されかねないからです。

病気や事故などやむを得ない事情からテストの継続が難しくなった場合は、すぐに申立代理人や個人再生委員に連絡し、誠意をもって事情を説明しましょう。過度な期待は禁物ですが、ある程度は事情を汲んでくれる可能性があります。

どんな事情があるにせよ、何も言わずに滞納することだけは絶対に避けてください。

滞納を避けたくても一括支払いはNG

履行テストで滞納を避けたくても、一括払いは厳禁です。

履行テストは一時的な返済能力をチェックするものではありません。まとまった資金がある場合でも、一括払いは認められていません。

指定された期日に毎月1回、6ヶ月間振り込むトレーニングにより、継続的な返済能力を実証しなければなりません。

個人再生の履行テストで納めたお金はいつ返金される?

ここでは、個人再生における履行テストで納めたお金の返金時期について解説します。

履行テスト終了後に返還される

個人再生委員に振り込んだお金は、履行テスト終了後に返還されます

履行テストで納めたお金は全額返還される?

履行テストで納めたお金は全額返還されるのでしょうか?

ここでは、履行テスト後の返還額について解説します。

個人再生委員の報酬が差し引かれる

履行テスト終了後、納めた金額から個人再生委員の報酬が差し引いた残額が返還されます。

東京地方裁判所における個人再生委員の報酬は、以下のとおりです。

  • 本人申立ての場合:25万円
  • 弁護士が申立代理人に就いている場合:15万円

たとえば、弁護士が申立代理人に就いているケースで、毎月4万円×6ヶ月間の履行テストが行われた場合、振込総額24万円から15万円を差し引いた9万円が返還されます。

大阪地方裁判所では個人再生の履行テストがない?

大阪地方裁判所では、個人再生の履行テストがないのでしょうか?

ここでは、大阪地方裁判所における積立金制度について解説します。

履行テストの代わりに積立金制度がある

大阪地方裁判所では、東京地方裁判所の履行テストに類似した積立金制度が実施されています。積立金制度では、以下の点がチェックされます。

  • 積立専用口座に積み立てているか
  • 毎月、計画弁済額の1ヶ月分以上を積み立てているか
  • 積立途中に出金がないか
  • 一括入金がないか

履行テストと積立金制度の違い

積立金から個人再生委員の報酬が差し引かれない

積立金制度では、積み立てたお金の全額が戻ります。積立金制度では、指定された口座への振込ではなく、申立人本人もしくは申立代理人が開設した積立専用口座に入金する方法で積み立てるからです。

大阪地方裁判所では、原則として弁護士が申立代理人に就く場合、個人再生委員は選任されません。本人申立ての場合に個人再生委員が選任されても、個人再生委員の報酬は別途支払うため、積立金から控除されることもありません。

積立開始時期は遅くとも開始決定日が属する月から

個人再生の申立前に積立を開始していない場合は、遅くとも開始決定日が属する月の末日(給料日後など)から開始しなければなりません。

申立前に申立代理人の指示により積立を開始することもあります。

積立状況を裁判所に報告する

通常、再生計画案の提出時に、積立状況報告書と積立専用口座のコピーを裁判所に提出します。

履行テストが継続できず個人再生に失敗したらどうすればよい?

ここでは、履行テストが継続できず個人再生に失敗した場合の対処法を解説します。

個人再生を再度申立てる

やむを得ない事情(病気・事故、リストラ)によりテストが継続できず、個人再生に失敗した場合は、その事情が解消すれば個人再生を再申立てできます。

再申立て後、継続的な返済能力を履行テストで証明できれば、個人再生が認められる可能性があります。

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自己破産を検討する

個人再生に失敗した場合は、他の債務整理を検討するのも一つです。一般的には、自己破産を検討します。

自己破産では、借金の返済義務はなくなりますが、一定の財産が処分されます。個人再生で守れた家も手放さなければならなくなるため、最終手段として検討しましょう。

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まとめ

個人再生における履行テストは、債務者の履行可能性を判断する上で重要な要素です。

履行テストに失敗すると、個人再生の手続きを打ち切られる可能性があります。履行テストを確実にクリアできるよう心がけましょう。

履行テストは法律で定められているものではなく、裁判所の運用によるものです。履行テストの具体的な流れや内容・期間は各裁判所によって異なります。

ご自身が申立てる裁判所の運用が分からない場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。

個人再生をご検討中の方や、履行テストについて不安がある方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

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