自己破産手続きの流れ・期間や費用とギャンブル・浪費等のNG行為を解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産手続きの流れ・期間や費用とギャンブル・浪費等のNG行為を解説

自己破産には、次の2つの手続きがあります。

  • 同時廃止事件:破産手続開始の決定と同時に破産手続の廃止を決定する手続き
  • 管財事件:裁判所が選任した破産管財人が破産者の財産を処分して配当する手続き
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東京地方裁判所をはじめとした一部の裁判所では、申立人の財産が一定額以下で免責不許可事由がない場合に、少額管財と呼ばれる運用がとられています。裁判所によっては簡易管財S管財と呼ばれることもあります。

少額管財は、破産管財人の業務負担や申立人の費用負担を軽くした制度ですが、破産法の規定に基づくものではなく、あくまで破産管財手続きについての裁判所の運用の一つです。

そのため、裁判所によっては少額管財の運用がないところもあります。

同時廃止と破産管財とでは手続きの流れや所要期間も異なります。

この記事では、自己破産の手続きの流れ・期間と破産手続中の注意点を解説します。

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自己破産手続きの流れ

ここでは、次の3つの自己破産手続きの流れをそれぞれ解説します。

  • 同時廃止
  • 少額管財
  • 通常管財

同時廃止の場合

同時廃止とは、裁判所が破産手続きを開始すると同時に廃止(終了)させる手続きです。

つまり、債権調査や財産の処分換価・配当などの破産手続きが行われません。そのため管財事件よりも手続きが簡素です。

申立て

破産手続開始の申立ては、申立人の住所又は居所を管轄する地方裁判所(個人事業主の場合は、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所)に行います。

申立後、裁判所からの事務連絡(補正要請)の回答などを経て、債務者審尋期日が決定されます。

東京地方裁判所では、弁護士が申立代理人に就いている場合に限り、即日面接制度が利用できます。

債務者審尋

債務者審尋期日では、申立人が破産手続開始や同時廃止の要件をみたしているかどうかを審査するために、裁判官が申立人から直接事情を聴きます。限られた時間内で充実した審理を行うために、事前に資料の提出を求められることもあります。

裁判所によっては、債務者審尋を経ず書面審査により破産手続開始決定がなされる場合もあります。

破産手続開始決定・同時廃止決定

債務者審尋が終わると、審尋記期日から数日のうちに破産手続開始決定・同時廃止決定がなされます。

この決定は官報に公告され、債権者一覧表に記載された債権者には破産手続開始決定通知書が送付されます。

免責審尋

債務者が個人(個人事業主も含む)の場合は、特に反対の意思表示がない限り、破産手続開始の申立てと同時に免責許可の申立てがあったとみなされます。

免責手続きでは、債務者の免責を許可することが適当かどうかについて、債権者の意見を聞いたり破産者本人から事情を聴取したりします。

破産者本人から事情を聴取する手続きを免責審尋といいます。

免責審尋期日では、裁判官が口頭で破産に至った事情や現在の生活状況・今後の生活等を確認します。免責審尋は集団で行われる場合と個別に行われる場合があります。

個別免責審尋が行われる場合には、裁判官が破産者に自らの経済生活について反省し見直してもらうために直接説諭することもあります。

破産者が免責不許可事由のいずれにも該当しないか、その程度が軽微な場合には、審尋を省略する裁判所もあります。

免責許可決定・免責不許可決定

債権者の意見申述期間と免責審尋を経て、裁判所が免責を許可すると判断したら免責許可の決定をします。

免責が不許可となった場合には、申立てをした地方裁判所を管轄する高等裁判所に対して異議の申立てができます。これを即時抗告といいます。

免責許可決定の確定

免責許可決定は、官報公告を経て概ね1か月後に確定します。

免責許可決定が確定すると、非免責債権を除く全ての債務の支払義務が免除されます。

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少額管財の場合

少額管財とは、裁判所に支払う予納金の金額を通常の管財事件よりも少額に定めた運用です。手続きが限定・簡素化されているため、手続きの流れも通常管財とは若干異なります。

申立て

破産手続開始の申立ては、申立人の住所又は居所を管轄する地方裁判所(個人事業主の場合は、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所)に行います。

少額管財として扱われるのは、弁護士が申立代理人として申立てた場合に限られます。

債務者審尋

債務者審尋期日では、申立人が破産手続開始や少額管財の要件をみたしているかどうかを審査するために、裁判官が申立人から直接事情を聴きます。限られた時間内で充実した審理を行うために、事前に資料の提出を求められることもあります。

東京地方裁判所では即日面接制度の運用があり、申立て当日から3日以内(休日を除く)に裁判官と申立代理人弁護士との間で協議が行われるため、債務者審尋は省略されるのが通常です。

管財人候補者との面接

債務者審尋ないし即日面接によって方針が決まると、裁判所は破産手続開始決定に先立ち、管財人候補者を内定します。管財人候補者が決まった段階で、速やかに連絡を取り面談期日を設定します。

管財人候補者との面談では、管財人候補者からヒアリングを受け、財産関係の引継ぎを行います。弁護士が申立代理人に就いている場合は、弁護士も面談に同行します。

破産手続開始決定・破産管財人の選任

裁判所は、破産手続開始決定と同時に管財人候補者を正式に破産管財人に選任します。

破産者は裁判所及び破産管財人の指示に従い、引継予納金を管財人口座への振込又は現金を持参する方法で引継ぎます。

破産管財人による管財業務

破産手続開始決定後、破産管財人は破産財団に属する財産の換価手続きや免責不許可事由等の調査を行います。

債権者集会・免責審尋

少額管財の場合は、裁判所や債権者に財産の換価業務の進捗等を報告するため債権者集会が開かれます。債権者集会には、破産者本人の出頭が必要です。

第1回の債権者集会は、破産手続開始決定から概ね2~3か月後に行われます。

第1回までに換価業務が全て完了していれば、第1回で債権者集会が終了します。それ以外の場合は第2回、第3回と換価業務が完了するまで続きます。

第1回債権者集会で免責審尋が行われる場合は、破産管財人が免責に関する意見書を作成して裁判所に提出します。

破産管財人は免責に関する意見書作成前に、破産者本人と面談して免責不許可事由の有無などについて確認します。

免責審尋を省略する裁判所もあります。

免責許可決定

免責審尋期日から概ね1週間後、裁判所が免責許可又は免責不許可を決定します。

免責が不許可となった場合には、申立てをした地方裁判所を管轄する高等裁判所に対して異議申立てができます。

免責許可決定の確定

免責許可決定は、官報公告を経て概ね1か月後に確定します。

免責許可決定が確定すると、破産者は、破産手続きによる配当を除いて破産債権についてその責任を免れます(非免責債権を除く)。

債権者への配当・任務終了報告集会

破産債権者に対する配当がある場合には、破産管財人において各債権者に対して配当を行い、配当による任務終了の報告集会が行われます。

配当するほどの財団組成ができない場合は、不足廃止による任務終了報告集会を経ることで破産管財人の任務が終了します。

いずれの期日も、破産者本人の出頭は不要とされることが多いです。

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通常管財の場合

通常管財は、破産管財人の業務が簡素化されていない従来型の破産手続きです。少額管財よりも費用が高額となり、手続きにかかる期間も長くなります。

申立て

破産手続開始の申立ては、申立人の住所又は居所を管轄する地方裁判所(個人事業主の場合は、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所)に行います。

債務者審尋

債務者審尋期日では、申立人が破産手続開始の要件をみたしているかどうかを審査するために、裁判官が申立人から直接事情を聴きます。限られた時間内で充実した審理を行うために、事前に資料の提出を求められることもあります。

東京地方裁判所では即日面接制度の運用があり、申立て当日から3日以内(休日を除く)に裁判官と申立代理人弁護士との間で協議が行われるため、債務者審尋は省略されるのが通常です。

管財人候補者との面接

債務者審尋ないし即日面接によって方針が決まると、裁判所は破産手続開始決定に先立ち、管財人候補者を内定します。管財人候補者が決まった段階で、速やかに連絡を取り面談期日を設定します。

管財人候補者との面談には、申立人と申立代理人が同行し、管財人候補者からヒアリングを受け、財産関係の引継ぎを行います。

破産手続開始決定・破産管財人の選任

裁判所は、破産手続開始決定と同時に管財人候補者を正式に破産管財人に選任します。

破産者は裁判所及び破産管財人の指示に従い、引継予納金を管財人口座への振込又は現金を持参する方法で引継ぎます。

破産管財人による管財業務

破産手続開始決定後、破産管財人は速やかに管財業務に取りかかります。

通常管財では、少額管財よりも破産管財人による調査が詳細に行われます。

債権者集会

通常管財では、原則として財産状況報告集会を開催する扱いとなっており、その時期は破産手続開始決定の約3か月後とされています。

出席債権者がいない場合は書面の提出で簡単に進行しますが、出席債権者がいる場合には、破産管財人が口頭で以下の事項を債権者に報告します。

  • 破産財団の現状
  • 配当の有無
  • 配当率
  • 配当時期の見込み等

破産管財人からの口頭での報告後、出席債権者との質疑応答が行われます。

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債権確定・配当

破産財団に属する財産全ての換価が終了し、破産債権も確定すると、原則として債権者への配当を実施します。

財団が組成できなかった場合や財団債権が多くて配当原資がない場合には、財団債権を支払い、破産手続きを廃止します。財団債権を全額弁済できない事案もあります。

破産手続終結決定

破産管財人が配当を実施し、任務終了の計算報告のための債権者集会が行われると、裁判所が破産手続終結決定をして破産手続きが終了します。

破産債権者に配当する原資がなかった場合は、破産管財人の申立て又は職権により、裁判所が異時廃止決定をして破産手続きが終了します。

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免責審尋

破産者が個人又は個人事業主の場合、破産手続終了前の債権者集会で免責審尋が行われるのが一般的です。この場合、破産管財人が免責調査報告書を裁判所に提出します。

報告書では、免責不許可事由の有無、不許可事由がある場合には裁量免責に該当するかについての管財人の意見が書かれています。

免責審尋を省略する裁判所もあります。

免責許可決定

免責審尋期日から概ね1週間後、裁判所が免責許可又は免責不許可を決定します。

免責が不許可となった場合には、申立てをした地方裁判所を管轄する高等裁判所に対して異議申立てができます。

免責許可決定の確定

免責許可決定は、官報公告を経て概ね1か月後に確定します。

免責許可決定が確定すると、破産者は、破産手続きによる配当を除いて破産債権についてその責任を免れます(非免責債権を除く)。

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自己破産手続きの期間はどのくらい?

ここでは、自己破産手続きにはどのくらいの期間がかかるのかを解説します。

同時廃止は3~4か月程度

同時廃止の場合は、破産管財人が選任されず、破産手続きが開始と同時に廃止します。そのため、管財事件に比べて手続きにかかる期間が短くなります。

申立てから免責許可決定確定までの期間は3~4か月程度です。

少額管財は4~6か月程度

少額管財は、通常管財よりも手続きが簡素化されています。

申立てから免責決定確定までの期間は概ね4~6か月程度です。破産管財人による換価手続きに時間を要する場合は、6か月以上かかることもあります。

通常管財は6か月以上

通常管財の場合は、申立てから免責許可決定確定まで6か月~1年程度かかります。

債権者が300人を超える大規模な破産事件の場合は、2年、3年以上かかることもあります。

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自己破産の手続きの費用・弁護士費用はいくらくらい?

ここでは、自己破産手続きの費用や弁護士費用の相場を解説します。

同時廃止

手続き費用

同時廃止の場合は、申立時に裁判所に以下の費用を納めます。

  • 申立手数料(収入印紙代):1,500円
  • 予納郵券(連絡用郵便切手代): 数千円程度(裁判所によって異なる)
  • 官報公告費:1万円前後(裁判所によって異なる)

弁護士費用

弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

費   目

相   場

法律相談料 30分5,500円~1万1,000円程度
着手金 30万円~50万円程度
報酬金 0円~30万円程度

負債総額や債権者数などによっては、相場以上の弁護士費用がかかることがあります。

少額管財

手続き費用

少額管財の手続き費用は以下のとおりです。

  • 申立手数料(収入印紙代): 1,500円
  • 予納郵券(連絡用郵便切手代):数千円程度(裁判所によって異なる)
  • 官報公告費:約2万円(裁判所によって異なる)
  • 引継予納金(管財人報酬):最低20万円

弁護士費用

弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

費   目 相   場
法律相談料 30分5,500円~1万1,000円程度
着手金 30万円~50万円程度
報酬金 0円~30万円程度

負債総額や債権者数などによっては、相場以上の弁護士費用がかかることがあります。

通常管財

手続き費用

通常管財の手続き費用は以下のとおりです。

  • 申立手数料(収入印紙代): 1,500円
  • 予納郵券(連絡用郵便切手代):数千円程度(裁判所によって異なる)
  • 官報公告費:約2万円(裁判所によって異なる)
  • 引継予納金(管財人報酬):最低50万円

通常管財事件の引継予納金の額は、裁判所の運用や負債総額・事案によって異なります。

東京地方裁判所における個人破産の引継予納金の最低額の基準は、負債総額に応じて以下のとおり定められています。

負 債 総 額 予 納 金
5,000万円未満 50万円
5,000万以上1億円未満 80万円
1億以上5億円未満 150万円
5億以上10億円未満 250万円
10億以上50億円未満 400万円
50億以上100億円未満 500万円
100億以上250億円未満 700万円
250億以上500円未満 800万円
500億以上1,000億円未満 1,000万円
1,000億円以上 1,000万円以上

 

弁護士費用

弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

費   目 相   場
法律相談料 30分5,500円~1万1,000円程度
着手金 30万円~60万円程度
報酬金 0円~50万円程度

負債総額や債権者数などによっては、相場以上の弁護士費用がかかることがあります。

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自己破産手続き中も仕事は続けられる?

自己破産手続中は仕事を続けられるのでしょうか。

ここでは、自己破産の仕事への影響について解説します。

一般の会社員等は仕事を続けられる

一般の会社員であれば、仕事に影響が出ることはほとんどありません。自己破産したことが会社に知られることも基本的にはないでしょう。

何らかの理由で自己破産したことが会社に知られても、自己破産したことを理由に解雇されることはありません。自己破産は法律上の解雇事由とならないので、仮に自己破産を理由に解雇された場合は不当解雇にあたります。

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制限を受ける資格や職業に就いている場合は休業せざるを得ないこともある

自己破産により制限を受ける資格や職業に就いている場合、破産手続中はその資格や職業に就けません。制限を受ける資格・職業の主な例は次のとおりです。

  • 士業(弁護士・司法書士・行政書士・税理士・公認会計士・社会保険労務士など)
  • 生命保険募集人・損害保険代理店
  • 警備員・警備業者
  • 不動産鑑定業者
  • 旅行業務取扱主任者・旅行業者
  • 風俗営業を営もうとする者・風俗営業の営業所管理者
  • 一般廃棄物処理業者・産業廃棄物処理業者・特定管理産業廃棄物処理業者
  • 証券取引外務員・証券金融会社の役員
  • 建築設備資格者・一般建設業・特定建設業・宅地建物取引業
  • 漁船保険組合の組合員
  • 卸売業者
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資格・職業の制限期間は、各資格の制限を定める法令ごとに異なります。制限を受ける資格・職業に就いている場合は、当該資格に関する法律を確認しましょう。

多くの場合、資格制限を受ける期間は破産手続開始決定から免責許可決定確定までの3~6か月程度です。場合によっては、勤務先に自己破産する旨報告して休職や他部署への転属を依頼するなどの対応が必要です。

自己破産手続き中に支払督促や訴状が届いたらどうなる?

ここでは、自己破産手続き中に支払督促や訴状が届いた場合の対応について解説します。

破産手続きの開始前は適切な対応が必要

自己破産の申立てを弁護士に依頼すると、弁護士が各債権者に受任通知を送付します。受任通知には債権者からの取り立てを止める効果がありますが、支払督促の申立てや訴訟の提起を禁止するものではありません。

返済停止から長期間が経過していると、自己破産の申立て準備中に、債権者から支払督促や訴訟を起こされることもあります。

この場合、適切な対応をとらなければ、給与などを差し押さえられる可能性があります。

支払督促申立書が届いたら、受領日から2週間以内に異議申立書を提出しましょう。

訴状を受け取った場合は、期日呼出状に記載された答弁書提出期限までに答弁書を提出し、第一回期日に出頭します。

この場合、できるだけ早く自己破産の申立てを進めることが重要です。

破産手続きが開始すれば強制執行は行われない

破産手続きが開始すれば、強制執行(差し押さえ)は行われません。既になされた強制執行も中止されます。

ただし、破産手続開始決定がなされただけでは、強制執行の手続きをしている裁判所にはその情報が伝わりません。そのため、破産手続開始決定がなされたことを、執行裁判所に報告し、執行裁判所から強制執行の手続きが中止したことを債権者や第三債務者に連絡してもらう必要があります。

執行裁判所に破産手続開始決定書を添付して、民事執行中止の上申書を提出します。

自己破産手続き中にしてはいけないこと|浪費やギャンブルはNG

ここでは、自己破産手続き中のNG行為を紹介します。

財産の隠匿・不利益処分

破産手続開始決定の前後を問わず、破産財団に属する財産を隠したり、債権者の不利益に処分したりする行為は、免責不許可事由に該当します。

例えば、破産手続きで車を没収されるのを回避するために、家族に無償で譲渡するなどの行為です。

自己又は他人の利益を目的として財産を隠したり、債権者を害する目的で財産を不当に安く売却したりすると、免責が許可されないおそれがあります。

自己破産手続き中だけでなく、返済が困難になった時期以降は、財産の隠匿・不利益処分は絶対にしてはいけません。

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偏頗弁済

破産手続開始決定の前後を問わず、破産の原因たる事実(支払不能)があることを知りながら、特定の債権者に返済したり、担保を提供したりする行為は、免責不許可事由に該当します。

家族や友人に迷惑をかけたくない思いで返済すると免責が許可されないおそれがあります。そればかりか、後の破産手続きにおいて、破産管財人が返済を受けた家族や友人に返還を求めることとなり、かえって迷惑をかける可能性もあります。

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浪費・ギャンブルによる債務負担

破産手続開始の前後を問わず、浪費やギャンブル等によって著しく財産を減少し、又は過大の債務を負担した場合は、免責不許可事由に該当します。

自己破産手続き中にギャンブルや浪費の事実が明らかになれば、裁判官に「反省の色が見られない」と判断され、裁量免責を受けられない可能性があります。

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裁判所への虚偽説明・虚偽申告

財産状況に関する書類を隠匿・偽造したり、虚偽の債権者一覧表を提出したりする行為も免責不許可事由に該当します。

例えば、特定の債権者を債権者一覧表からわざと外す行為や、退職金債権や生命保険の解約返戻金があるのに、これを財産目録に記載せずにわざと外す行為です。

裁判所に嘘をついたり、曖昧な説明をしたりすると、免責が許可されないおそれがあります。

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破産管財人の業務の妨害

不正の手段により、破産管財人の業務を妨害すると免責不許可事由に該当します。

具体的には、以下のような行為です。

  • 破産管財人に虚偽の説明をしたり、あいまいな説明を繰り返したりする
  • 破産管財人の指示に従わず財産を引き渡さない
  • 破産管財人の調査対象者を脅迫する
  • 債権者に配当すべき財産を勝手に処分する
  • 正当な理由なく債権者集会や免責審尋期日を欠席する

破産管財人の業務には積極的に協力しましょう。

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自己破産手続き中にネットショッピング・メルカリの利用や後払い決済は可能?

ここでは、自己破産手続き中のネットショッピング・メルカリの利用や後払い決済の可否について解説します。

ネットショッピングは先払い・代金引換であれば利用できる

自己破産を申立てると、クレジットカードは利用できなくなります。

そのため、ネットショッピングを利用する際は、支払方法が先払い又は代金引換に限定されます。

生活や仕事に必要不可欠な買い物であれば問題になることはありませんが、日常生活に不用なものに高額な支出があると、裁判所に浪費と判断され、免責を受けられなくなる可能性があります。

自己破産手続き中は、なるべく質素な生活を心がけ、高額な品物や贅沢品の購入は控えましょう。

メルカリへの出品は控えた方がよい

メルカリでの購入もネットショッピングと同様に、生活や仕事に必要不可欠な買い物以外は控えた方が良いでしょう。

メルカリへの出品行為は、財産の不利益処分や財産価値減少行為として免責不許可事由に該当するおそれがあります。お金に換えられる財産があるのなら、債権者への配当にあてるべきと考えられるからです。

免責不許可となるリスクを回避するためにも、自己破産手続き中は、メルカリへの出品は控えた方がよいでしょう。

後払い決済も高リスク行為

自己破産手続き中でも、後払い決済を利用できることがあります。

しかし、後払い決済は実質的には借金と同じ性質のものです。自己破産手続き中に、後払い決済を利用すると、新たな借金とみなされる可能性があります。

後払い決済で商品等を購入すると、支払不能があることを知りながら、その事実がないと信じさせるため詐術を用いて信用取引により財産を取得する行為として免責不許可事由に該当するおそれがあります。

後払い決済により商品代金等を後日返済すると、偏頗弁済とみなされるおそれもあります。

免責不許可となるリスクを回避するためにも、自己破産手続き中は、後払い決済の利用を控えた方がよいでしょう。

まとめ

自己破産の手続きは自分でもできますが、一定の法律知識が必要になるため、弁護士に依頼した方がスムーズに進められます。

弁護士に依頼すれば、煩雑な事務手続きや裁判所とのやり取りを任せられ、免責を得るために必要なアドバイスも受けられます。

弁護士が必要な事前調査を行うことで、同時廃止や少額管財として処理される可能性も高まり、手続き費用を安く抑えられることもあります。

自己破産を検討中の方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

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