自己破産で財産隠しはバレない?財産隠しがバレる理由や時効も解説! - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産で財産隠しはバレない?財産隠しがバレる理由や時効も解説!

自己破産をして裁判所から免責を許可されれば、借金の返済義務が免除されます(非免責債権を除く)。しかし、その代わりに一定の財産が処分されます。

財産をできるだけ手元に残したいと思っても、財産を隠してはいけません。

破産手続きで財産隠しが発覚した場合、免責が許可されなくなる可能性があります。悪質な場合は、詐欺破産罪(破産法265条1項1号)を問われる可能性もあります。

この記事では、次の点について解説します。

  • 自己破産で財産隠しとみなされる行為とは?
  • 自己破産で財産隠しをしたらどうなる?
  • 自己破産で財産隠しはバレない?バレる理由は?
  • 自己破産で財産を隠した場合の時効

自己破産を検討中の方が、財産隠しとみなされる行為を正しく理解するための参考になれば幸いです。

佐藤弁護士
佐藤弁護士
財産隠しをすると借金が免除されなくなるどころか詐欺破産罪に問われるおそれがあります。残したい財産がある方は自己破産以外の方法をご検討ください。財産を残しつつ借金を減らしたい方は一度ご相談ください。

自己破産で財産隠しとみなされる行為とは?

ここでは、自己破産で財産隠しとみなされる行為の典型例を紹介します。

財産目録への不実記載

自己破産申立ての際、財産目録を提出します。この財産目録に記載漏れや虚偽記載があった場合、財産隠しとみなされます。

その他、財産に関する資料を提出しなかったり、資料を改ざんしたりする行為も免責不許可事由に該当します。

申立前の名義変更

自己破産では、家族や同居人の財産は処分の対象とならないことから、申立前に自己の財産を家族名義に変更しようと考える方も珍しくありません。しかし、申立前の名義変更は財産隠しとみなされます。

財産隠しとみなされると免責が認められない可能性があります。

次のような行為は、絶対にしてはいけません。

  • 不動産の名義を家族に変更する
  • 車・バイクの名義を家族に変更する
  • 生命保険の契約者を家族に変更する

申立前の資金移動

申立前に資金移動があった場合、財産隠しとみなされる可能性があります。

具体的には次のような行為です。

  • 預貯金を家族名義の口座に移す
  • 口座から引き出した現金を隠す

預貯金を隠す目的で資金移動したと判断された場合、免責されない可能性があります。

過大な財産分与

申立前の離婚・財産分与について、その離婚が真実の離婚でない場合や、不相当な財産分与があった場合は、財産隠しとみなされる可能性があります。

具体的には、次のようなケースです。

  • 離婚した元配偶者に過大な財産分与をした場合
  • 財産隠しのために偽装離婚した場合

過大な財産分与があった場合、破産管財人が財産分与を取り消すことがあります。この場合、元配偶者は分与された財産を返還しなければなりません。

自己破産で財産隠しをしたらどうなる?

自己破産で財産隠しをしたらどうなるのでしょうか?

ここでは、自己破産で財産隠しが発覚した場合のリスクを解説します。

免責不許可事由に該当する

財産隠しは、免責不許可事由に該当します。免責が認められなければ借金はゼロになりません。

免責が得られなければ破産者として資格制限を受け続けることになります。

詐欺破産罪として処罰される可能性がある

財産隠しが悪質な場合は、詐欺破産罪として処罰される可能性があります。

詐欺破産罪は1ヶ月以上10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処せられます。

財産隠しが発覚すれば、自己破産が失敗するだけでなく、刑事罰を受けるおそれがあります。どのような理由があっても、財産は絶対に隠してはいけません。

自己破産で財産隠しはバレない?バレる理由は?

財産隠しがバレなければ大丈夫なのだろうと考える方もいるかもしれません。しかし、財産隠しは、自己破産の手続きの過程でほぼ確実にバレます。

ここでは、自己破産で財産隠しがバレる理由を解説します。

申立代理人による調査

自己破産は、弁護士や司法書士に依頼して申立てるケースがほとんどです。

どちらに依頼した場合も、申立書類の作成・必要書類の収集段階で財産が調査されます。

具体的には、次のような調査を行います。

財産の種類 調査方法
現金 家計収支表に5万円以上の余剰はないか確認する

通帳に多額の出金履歴がないか確認する

預貯金 通帳から過去2年間の入出金履歴を確認する

合算記帳・通帳紛失がある場合は取引明細を確認する

定期預金の自動振替がないか確認する

使途不明の出金・趣旨不明の入金がある場合は依頼者に聴取する

不動産 不動産登記簿謄本を確認する

固定資産評価証明書・査定書を確認する

通帳を確認し住宅ローンの引き落としがないか確認する

相続している不動産(登記未了)がないか確認する

必要に応じて依頼者に無資産証明書の提出を求める

車検証を確認する

査定書を確認する

通帳を確認し車のローンや車両保険の引き落としがないか確認する

家計収支表にガソリン代の支出がないか確認する

退職金 退職金規定・就業規則を確認する

退職金見込額証明書・計算書を確認する

退職金を受給している場合はその金額を明らかにする書類を確認する

積立金 通帳に積立金の引き落としがないか確認する

給与明細書に社内積立・財形貯蓄等の記載がないか確認する

保険 保険証券・解約返戻金証明書を確認する

通帳を確認し保険料の引き落とし・解約返戻金の入金がないか確認する

源泉徴収票や所得証明書の生命保険控除欄・損害保険控除欄を確認する

有価証券 有価証券報告書・特定口座年間取引報告書を確認する

他の口座の通帳を確認して配当金等の資金移動がないか確認する

貸付金 借用証等を確認する

通帳を確認し定期的に入金(貸付先からの返済)がないか確認する

保証債務を履行していないか確認する

その他 給与明細書に社員持株会の控除がないか確認する

通帳に家財保険や動産保険の引き落としがないか確認する

離婚をしていないか、している場合は財産分与の有無を確認する

弁護士や司法書士から財産に関して説明を求められた場合、説明を拒否したり、虚偽の事実を申告したりすると、依頼自体を断られる可能性もあります。

自分で自己破産を申立てる場合も、提出書類はすべて裁判所や破産管財人によってくまなくチェックされます。

裁判所による調査

自己破産を申立てると、裁判所は申立書類を審査します。

申立書類の調査

申立代理人の調査を経て提出した場合も、裁判所でさらに厳しくチェックされます。

財産の流れに不審な点があれば、補正や追加資料の提出が求められます。裁判所の指示に従えない場合は、破産手続きが開始されないこともあります。

裁判官との面談

裁判官との面談において、財産に関する不審な点を指摘されることもあります。提出した書類と辻褄の合わない説明をしたり、虚偽の説明をしたりするとその行為自体が免責不許可事由に該当します。

破産管財人による調査

財産の調査が必要な事案は管財事件として取り扱われます。破産管財人には財産調査に関する一定の権限が認められています。

本人への事情聴取

破産管財人は、申立書類や添付資料に少しでも疑問に思うことがあれば、破産者本人に質問をしたり、追加書類の提出を求めたりします。本人がそれに応じなかったり、あいまいな回答をしたりすると、何か隠しているのではないかとさらに調査を進めます。

なお、破産管財人には、説明請求権が認められています。破産者のみならず、次の者に対して説明を求める権限があります。

  • 破産者の代理人
  • 破産者が法人である場合、当該法人の役員等
  • 破産者の従業者

財産状況の調査

破産管財人は、破産者名義の口座の有無を確認するため金融機関に照会をかけることがあります。したがって、申立前に預金を解約し、引き出した現金をタンス預金にして隠しても、管財人による調査でバレます。

破産管財人には、帳簿等の検査権が認められています。破産者が事業者である場合、帳簿等を隠していても、破産管財人は現地に赴き帳簿等を検査できます。

転送郵便物の調査

破産手続開始後は、破産者あての郵便物は破産管財人に転送されます。

破産管財人は郵便物を開封し中身をチェックします。もし隠している財産があれば、この郵便物からバレる可能性があります。

郵便物が隠れた財産の存在を窺わせる内容であれば、破産管財人は差出人に直接連絡して調査します。

自己破産で財産を隠した場合の時効

財産を隠して自己破産しても、財産隠しの時効が消滅するまでは過去に遡って罪を問われます。

ここでは、自己破産で財産を隠した場合の時効を解説します。

詐害行為取消権の行使|取消しの原因を知った時から2年・行為の時から10年

詐害行為取消権とは、債務者による詐害行為(財産隠し)の取消を請求できる裁判上の権利です。取消請求が認められれば、詐害行為(名義変更等)は取り消され、元の状態に戻ります。

詐害行為取消権の時効は、以下のとおり2年または10年です。

  • 債権者が取消の原因(債務者が詐害行為をしたこと)を知った時から2年
  • 詐害行為がなされたときから10年

否認権の行使|破産手続開始から2年・行為のときから10年

否認権の行使とは、破産者が申立前になした行為が債権者の不利益になる場合、破産管財人がその行為を否認し無効にする権利です。否認権が行使されるとその行為がなかった状態に戻り、流出した財産は回収され債権者への配当にあてられます。

否認権行使の時効は、以下のとおり2年または10年です。

  • 破産手続開始から2年
  • 行為のときから10年

まとめ

自己破産では、財産隠しは絶対にしてはいけません。

免責不許可となり借金が免除されないだけでなく、悪質な場合は詐欺破産罪として処罰される可能性があります。

どうしても残したい財産がある場合は、弁護士に相談しましょう。他の債務整理を選択することで財産を残して借金問題を解決できるかもしれません。

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