自己破産の免責不許可事由とは?該当しても免責される裁量免責とは? - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産の免責不許可事由とは?該当しても免責される裁量免責とは?

自己破産では、破産手続開始と免責許可の申立てをします(破産法上、破産手続開始を申立てると、免責許可の申立てをしたとみなされます)。自己破産ができても、免責許可を得られなければ、債務の支払いは免除されません。

免責許可決定が出るかどうかは、免責不許可事由があるかが大きく関わってきます。

この記事では、自己破産における免責不許可事由について、次のとおり解説します。

  • 自己破産における免責不許可事由とは?
  • 裁判所は自己破産の免責不許可事由の有無をどのように調べるの?
  • 自己破産で免責不許可事由に該当しても免責されることがある?
  • 自己破産で免責不許可事由に該当し裁量免責も許可されなかった場合の対処法

免責制度や免責不許可事由について、理解を深める助けになれば幸いです。

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自己破産における免責不許可事由とは?

免責不許可事由とは具体的にどういった事由を指すのでしょうか。

ここでは、自己破産における免責不許可事由について解説します。

破産法は、次の11項目の免責不許可事由を定めています。

  • 財産隠し・不利益処分・財団価値減少行為
  • 不利益な条件での債務負担・不利益な条件での処分
  • 偏頗(へんぱ)で、かつ、義務なき弁済等
  • 浪費や賭博その他射幸行為による債務負担
  • 破産申立前1年以内の詐術による借入れ等
  • 書類や帳簿などの隠滅・偽造等
  • 虚偽の債権者名簿の提出等
  • 裁判所が行う調査において、説明を拒んだり虚偽の説明をしたりすること
  • 破産管財人の業務を妨害すること
  • 前回の免責許可決定から7年以内
  • 破産法で定められた義務に違反すること

ひとつずつ説明します。

財産隠し・不利益処分・財団価値減少行為

債権者を害する目的をもって、破産手続開始の前後を問わず、財産を隠したり、壊したり、財産の価値を不当に減少させたりする行為です。

例えば、次のようなケースは財産隠しや財産の価値を不当に減少させる行為にあたります。

  • 自宅の処分を免れるために自己名義の不動産を家族名義に変更すること
  • 100万円の価値がある車を10万円で売却するなど財産を法外に安く処分すること
  • 家族名義の財産に抵当権を設定して融資を受けること

財産隠しが悪質な場合は、免責許可を得られないだけでなく、詐欺破産罪に問われる可能性があります。

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不利益な条件での債務負担・不利益な条件での処分

破産手続きの開始を遅らせる目的で、著しく不利益な条件で借金したり、クレジットカードやローン契約で購入した商品を著しく不利益な条件で処分したりする行為です。

例えば、次のようなケースが不利益な条件での債務負担・不利益な条件での処分にあたります。

  • クレジットカードで購入した商品を質入れしたり、売却して現金化したりすること
  • 闇金のような高利貸しから借金すること
  • 商品券や新幹線のチケットなどを金券ショップで安く売ること

偏頗(へんぱ)で、かつ、義務なき弁済等

破産手続開始の前後を問わず、担保を供与する特約がないのに担保を供与したり、弁済期前に弁済したりする行為です。特定の債権者に優先的に返済する行為も含まれます。

例えば、次のようなケースは偏頗で、かつ、義務なき弁済等にあたります。

  • 親族や友人からの借金だけ返済すること
  • 返済期日が到来してないのに一部の債権者に返済すること
  • 特定の債権者を優遇して担保を提供すること
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浪費や賭博その他射幸行為による債務負担

破産手続開始の前後を問わず、浪費または賭博その他ギャンブル性の高い行為により、著しく財産を減少させたり、多額の借金を負担したりする行為です。

例えば、次のようなケースは浪費や賭博その他射幸行為による債務負担にあたります。

  • 収入に見合わない浪費(高級ブランド品の購入等)がある場合
  • パチンコや競馬などのギャンブルで借金した場合
  • 株やFX、先物取引などが原因で借金した場合
  • ホストやキャバクラ通いで大金をつぎ込んだ場合

浪費やギャンブル等の行為そのものが、財産が減少した原因や多額の借金を作った原因である場合に、この事由に該当します。多少の浪費やギャンブル行為があっても、他の事情によって支払不能に至った場合は、この事由に該当しません。

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破産申立前1年以内の詐術による借入れ等

支払不能の状態にあることを知りながら、その事実がないと信じさせるため、積極的に嘘をついて借入れ等をする行為です。この事由に該当する行為は、破産申立1年前から破産手続開始決定日までの間に行われたものに限定されています。

例えば、次のようなケースは詐術による借入れにあたります。

  • 年収をごまかしてお金を借りた場合
  • 返済の見込みがないのに返済できるふりをしてお金を借りた場合
  • 偽名を使ってお金を借りた場合
  • 多重債務に陥っているのにこれを隠して借金した場合

書類や帳簿などの隠滅・偽造等

破産者が、業務及び財産状況に関する書類・帳簿などを隠したり、偽造したりする行為です。

例えば、次のようなケースは書類や帳簿などの隠滅・偽造等にあたります。

  • 退職金債権や生命保険の解約返戻金があるのに財産目録に記載しなかった場合
  • タンス預金があるのに財産目録の現金欄に記載しなかった場合
  • 自営業の売掛金の存在を隠すために売掛台帳を改ざんして提出した場合

虚偽の債権者名簿の提出等

裁判所に虚偽の債権者名簿を提出することです。

例えば、次のようなケースは虚偽の債権者名簿の提出にあたります。

  • 特定の債権者を意図的に債権者一覧表に記載しなかった場合
  • 勤務先からの借入があるのに債権者一覧表に記載しなかった場合

裁判所が行う調査において、説明を拒んだり虚偽の説明をしたりすること

裁判所が行う調査において、説明を拒んだり、虚偽の説明をしたりする行為です。

次のようなケースは説明拒否行為等にあたります。

  • 裁判官との面接(審尋)で嘘をつく
  • 裁判所から説明を求められたのに回答しない
  • 裁判所に提出する書類に事実に反する記載をする

破産管財人の業務を妨害すること

不正の手段により、破産管財人の業務を妨害することです。

次のようなケースは、破産管財人の業務妨害行為にあたります。

  • 破産管財人に虚偽の説明をしたり、あいまいな説明を繰り返したりする
  • 破産管財人の指示に従わず財産を引き渡さない
  • 破産管財人の調査対象者を脅迫する
  • 債権者に配当すべき財産を勝手に処分する
  • 正当な理由なく免責審尋期日を欠席する
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前回の免責許可決定から7年以内

過去7年以内に、免責許可の決定が確定した場合や給与所得者等再生による再生計画が履行されたことです。免責許可決定をいったん受けると、その確定の日から7年を経過しないと再度の免責許可申立てが認められません。

破産法で定められた義務に違反すること

破産法に定められている義務に違反することです。

破産法で定められた破産者の義務には、次のものがあります。

  • 説明義務
  • 重要財産開示義務
  • 免責調査協力義務

例えば、次のようなケースは破産法上の義務違反行為にあたります。

  • 債権者集会などで説明を拒否したり虚偽の説明をしたりした場合
  • 裁判所や破産管財人に財産に関する書類を提出しない場合
  • 裁判所や破産管財人の免責調査に協力しない場合

裁判所は自己破産の免責不許可事由の有無をどのように調べるの?

裁判所は免責不許可事由の有無をどのように調べるのでしょうか。

ここでは、免責不許可事由の有無を確認する方法について解説します。

免責不許可事由の有無を疎明する資料

裁判所は、債務者が申立時に提出した書類を審査します。

陳述書(報告書)の免責不許可事由の質問欄

陳述書(報告書)には、免責許可事由に関する質問事項が設けられています。

裁判官は、陳述書(報告書)の記載内容を審査し、他の提出書類と照合して免責不許可事由の有無をチェックします。

質問事項は、裁判所によって異なりますので、東京地方裁判所の報告書(一部抜粋)を一例として紹介します。

免責不許可事由

□有  □無  □不明

有又は不明の場合は、以下の質問に答えてください。

 

問1 本件破産申立てに至る経過の中で、申立人が、当時の資産・収入に見合わない過大な支出(本旨弁済を除く)又は賭博その他の射幸行為をしたことがありますか(破産法252条1項4号)。

①内容 ア 飲食 イ 風俗 ウ 買物 エ 旅行 オ パチンコ カ 競馬
キ 競輪 ケ 麻雀 コ 株式投資 サ 商品先物取引 シ FX(外国為替証拠金取引) ス その他(   )

②時期

③支出の合計

(④、⑤、⑥ 略)

 

問2 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担したり、又は信用取引により商品を購入し著しく不利益な条件で処分してしまった、ということがありますか(破産法252条1項2号)。

□ 有(→次の①~③に答えます)    □無

①内容 ア 高利借入  イ 換価行為

ウ その他(                          

② 高利(出資法違反)借入れ                                                (単位:円)

借 入 先 借入時期 借入金額 約定利率

③ 換金行為                                     (単位:円)

品 名 購入価格 購入時期 換金価格 換金時期

問3 一部の債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、義務ではない担保の提供、弁済期が到来していない債務の弁済又は代物弁済をしたことがありますか(破産法252条1項3号)。

 

問4 破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、他人の名前を勝手に使ったり、生年月日、住所、負債額及び信用状態等について誤信させて、借金したり、信用取引をしたことがありますか(破産法252条1項5号)。

 

問5 破産手続開始(免責許可)申立前7年内に以下に該当する事由がありますか(破産法252条1項10号関係)。

□ 有(番号に〇をつけてください)   □無

1 免責決定の確定

免責決定日     年  月  日(決定書写しを添付)

2 給与所得者等再生における再生計画の遂行

再生計画認可決定日   年  月  日(決定書写しを添付)

 

問6 その他、破産法所定の免責不許可事由に該当すると思われる事由がありますか。

□ 有   □無

有の場合は、該当法条を示し、その具体的事実を記載してください。

 

問7 略

 

問8 本件について、免責不許可事由があるとされた場合、裁量免責事由として考えられるものを記載してください。

 

財産に関する資料

裁判所は、債務者が申立時に提出した財産目録や財産に関する資料を精査して、免責不許可事由の有無をチェックします。

具体的には、次のとおり、財産隠しや浪費等がないか確認します。

  • 預貯金の出金履歴から憶測させる未申告の財産(定期預金、積立金等)がないか
  • 預貯金の出金履歴に不自然な出金がないか
  • 預貯金の入金履歴から憶測させる未申告の債務がないか
  • 家計収支表に支出から憶測させる未申告の財産(生命保険等)がないか

破産管財人による調査

破産管財人は、免責不許可事由の有無や裁量免責の可否の判断にあたって考慮すべき事情について調査し、裁判所に報告書を提出します。

管財人が行う免責調査は、次のような方法で行われます。

  • 財産に関する資料を調査する
  • 破産者あて郵便物の調査する
  • 債権者や利害関係者に聴き取り調査する
  • 破産者本人に聴き取り調査する
  • 必要に応じて各種機関に照会する

免責不許可事由がある場合は、破産管財人から生活状況について聞かれたり、追加資料を求められたりすることがあります。

自己破産で免責不許可事由に該当しても免責されることがある?

免責不許可事由があっても、免責されることがあるのでしょうか?

ここでは、裁量免責制度について解説します。

裁量免責制度とは

免責不許可事由に該当する場合でも、特段の事情がある場合は、裁判所の裁量によって免責が認められることがあります。これを裁量免責といいます。

裁量免責が認められる要件

法律上、裁量免責が認められる基準は明確に定められていません。個々の事情や裁判官の裁量によって異なりますが、主に次の点を考慮して判断されます。

  • 免責不許可事由の行為が軽微であるかどうか
  • 債務者に弁済の努力が認められるかどうか
  • 借金の発生について債務者に帰責性があるかどうか
  • 財産を保存・保持した努力のあとが見られるかどうか
  • 破産申立直前の債権者への配慮が見られるかどうか(商品の返却や債権者への謝罪等)
  • 破産管財業務に債務者が協力的であるかどうか
  • 借金の原因を認識して対策が図られているかどうか
  • 免責の必要性があるかどうか

裁量免責を認めてもらうためのポイント

裁量免責を認めてもらうためには、債務者自身も免責を得る努力をしなければなりません。

裁判所や破産管財人の調査に協力する

裁判所の調査や破産管財人の業務には真摯な姿勢で協力しましょう。

裁判所の調査に非協力的であったり、破産管財業務を妨害したりすると、それだけで免責不許可事由に該当します。

反省文を書いて提出する

裁判官が裁量免責の可否を判断する上で、裁判所から反省文を提出するように求められることがあります。一般的に、免責不許可事由の程度が重く、免責を認める根拠が必要な場合に反省文の提出が求められます。

反省文の提出を求められたら、次の点を意識しながら自分の言葉で反省文を作成しましょう。

  • 自己破産に至るまでの心情
  • 借金の原因を自己分析し認識できていること
  • 同じ過ちを繰り返さないための対策
  • 現在の生活状況や家計収支状況
  • 反省と経済的更生の意を表明する

自己破産で免責不許可事由に該当し裁量免責も許可されなかった場合の対処法

ここでは、免責不許事由に該当し裁量免責も得られなかった場合の対処法を解説します。

即時抗告を申立てる

免責不許可の決定がなされた場合、即時抗告による異議申立てが可能です。抗告審で破産者の主張が認められれば、免責が許可されます。

即時抗告は、自己破産を申立てた地方裁判所を管轄する高等裁判所に対して行います。債務者による即時抗告は、免責不許可の通知から1週間以内にしなければなりません。

他の債務整理を検討する

即時抗告をしても免責不許可の決定が覆らなかった場合は、他の債務整理による借金問題の解決を検討しましょう。

任意整理

利息のカットや返済期間の延長により、毎月の負担額を減らせば返済を継続できる場合は、任意整理を検討しましょう。

任意整理は、債権者と交渉により借金の返済方法を変更する手続きです。裁判所を通さないため、免責不許可事由を問われることはありません。

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個人再生

任意整理の減額幅では借金を完済できる見込みがない場合は、個人再生を検討しましょう。

個人再生は、裁判所を通じて借金を概ね5分の1に減額し、減額後の借金を原則3年(最長5年)で返済する手続きです。

個人再生では、免責不許可事由を問われることはありません。

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まとめ

破産法で定められた11つの免責不許可事由をそれぞれ解説しました。

免責不許可事由に該当する心当たりがある方は、弁護士に相談することをおすすめします。

免責不許可事由に該当する場合でも、裁判官の裁量により免責が認められる可能性があります。

当事務所では、借金に関するご相談は何度でも無料です。借金問題にお困りの方はお気軽にご相談ください。

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