パチンコ・スロット・競馬などギャンブルの借金でも自己破産できるのか?
パチンコ・スロット・競馬などギャンブルの借金について自己破産をお考えではありませんか?
債務整理の方法としてよく知られている自己破産には、ギャンブルによる借金は棒引きにならないとの噂があるようです。
確かに自己破産の手続きにおいて借金の支払い義務を免除する免責手続きには、ギャンブルによる借金の場合は免責を許可しないと定められています。
しかし裁判官の判断により、ギャンブルによる借金の免責を認める「裁量免責」という制度があります。
ここではギャンブルによる借金でも自己破産(特に免責)が認められる場合について、わかりやすく解説します。
実際に日本弁護士連合会が2017年に調査した1,238人のデータによると、ギャンブルが原因で破産した人は61人、2017年に免責不許可になった人は0.57%です。
つまり、数多くの方がギャンブルで借金を背負っていても裁量免責できているといえます。
借金の原因がギャンブルだからといって自己破産できないと思い込まず、まずは当事務所にご連絡ください。
当事務所は、24時間無料相談を受け付けしている法律事務所です。
また、借金に関するご相談は5,000件以上あり、数多くの事案を解決してまいりました。
相談者一人一人にあった適切なアドバイスができますので、ギャンブルで作った借金が返済できなくて悩んでいる方も、お気軽にお問い合わせください。
今回は、ギャンブルの借金でも免責が認められている裁量免責や裁量免責が認められない場合についてわかりやすく解説します。
目次
ギャンブルの借金は裁量免責を使えば自己破産できる場合もある
通常、ギャンブルで作った借金は免責不許可事由(※)に該当するため自己破産できませんが、裁量免責によって、借金の支払い義務を免除されることがあります。
(※)免責不許可事由・・・破産法という法律により免責を許可しない事由。免責不許可事由に当てはまれば原則として免責は許可されず、残った借金の支払い義務は免除されない。
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条
四 浪費又は蜉博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
引用:破産法第252条|破産法
ここでいう「射幸行為」とは、偶然の利益や成功を目的とする行為をいいます。
免責不許可自由に該当するものを簡単に言うと、高級ブランド品の購入費、クラブや旅行などの遊興費、競馬やパチンコなどが該当します。
また、FX取引や株式取引、先物取引は通常「投資」でありギャンブルとは違うとされていますが、本人の経済的状況から不相応な取引であればギャンブルと同じとみなされ、免責不許可事由に該当する場合があります。
裁量免責制度とは免責不許可事由の場合も免責を認めてもらえる制度
自己破産の目的は、あくまで借金問題を解決し人生の再スタートを支援することにあります。
この趣旨により、例えギャンブルによる借金がかさみ、支払い不能状態となった状況で免責不許可事由に該当しても、、破産手続に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を認める制度があります。
この制度を「裁量免責」といいます。
裁量免責で破産手続開始を決定する際、免責不許可事由があることが判明していれば、その段階で同時廃止(※1)ではなく管財事件(※2)や少額管財(※3)となり、破産管財人弁護士が裁判所により選任されます。
(※2)管財事件・・・破産管財人を選定して、破産者の資産の調査や処分をして債権者に配当する手続きで費用は50万円ほど必要
(※3)少額管財・・・管財事件より予納金を抑えられ、20万ほどで手続き可能
この破産管財人弁護士が破産者の事情などを調査し、免責不許可事由があるにもかかわらず免責許可決定を行うかにつき裁判所に意見を述べます。
この意見も参考にして、裁判所が免責決定を行うか判断します。
注意点
裁判所は裁量免責を行うにあたり以下の点を重視します。
- 免責不許可事由の性質や程度
- 破産手続きへの協力姿勢
- 破産者の反省の度合いと今後の決意の内容
- 生活再建策の具体的実現性
過去に起こった出来事は変えられませんが、手続きへの協力や反省を示して今後の生活を立て直すことは破産手続き後からでも可能です。
具体的には管財人弁護士に以下の手続きを行います。
管財人弁護士にギャンブルをしない決意を示す
過去にしてしまったことはなかったことにできませんが、正しく反省し今後は二度と過ちを起こさないと決意していることを示します。
多くの場合「反省文」を作成し、提出することになります。
定型的な文面で真摯な反省した態度が見られない、嘘をつく、今後についての決意が見られなければ免責が不許可になるので、弁護士と相談して真剣に取り組むようにしましょう。
管財人弁護士に家計全体の状況を説明する
手続開始後の家計全体の状況を示して収入の範囲で生活を行っていること、ギャンブルはしていないことを客観的に理解してもらいます。
反省と決意が言葉だけでない、客観的に実現していることを示しましょう。
裁量免責が認められそうにない時は他の債務整理を検討する
裁量免責が認めてもらえそうにない時に使える可能性のある、別の債務整理をお伝えいたします。
借金を大幅に減額したいなら個人再生
貸金業者などの債権者から借り入れした借金300万円のうち、ギャンブルによるものが250万円である場合等、裁量免責が認められそうにないケースでは、まず個人再生ができないか検討することになります。
個人再生手続は債務の5分の1から10分の1を3年~5年で支払っていく債務整理(法的整理)の方法ですが、自己破産と違って借金の理由は問われません。
ただし要件が厳格で手続きも複雑ですので、借金問題の専門家である弁護士に相談して行うケースがほとんどです。
借金の利息だけカットしたいのであれば任意整理
ギャンブルが理由で債務整理ができないようであれば、毎月の利息をカットできる任意整理を検討した方がいいでしょう。
任意整理は、債権者から手続きの合意さえいただければ、ギャンブルで作った借金でも問題なく手続きできます。
ただし、自己破産や個人再生とは違い、借金の返済額を大幅に減額できる訳ではありませんので注意してください。
まとめ
ギャンブルなどが原因で自己破産を行う場合、原則は免責不許可となり支払い義務は免除されないとされていますが、裁量免責が認められることがあります。
原則に反する例外制度ですので、手続きには経験の豊富な当事務所にどうぞお任せください。