IPOの費用|上場準備・上場時・上場後それぞれの費用目安

IPOを目指す場合どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

この記事では、IPOのためにかかる費用を、以下3段階に分けてご説明します。

 

  1. 上場準備
  2. 上場時
  3. 上場後

IPO費用① 上場準備

IPOのための準備期間は最短2年、平均3~5年を要すると言われています。この間、どの機関に対していくらくらいの支出が見込まれるかを説明します。

監査法人|数十万~数千万円程度

上場審査基準で求められる「会計監査」を行い、必要となる最新の会計基準の適用と会計処理の適正化についての指導やアドバイスをします。上場直近2決算期間の監査証明が必須のため、上場申請直前2期前より前に契約する企業が多くみられます。

監査報酬は、企業の規模、業務の特殊性や管理状況によって必要な時間数が異なり、金額に影響します。上場前々期より上場前期の金額が高くなることが一般的で、その金額が倍以上となることもあります。

会計監査の契約の前に、「ショート・レビュー」を受けて、IPOを準備する段階にあるか判断できます。

 

証券会社|年間500万前後

発行する株式を引受け、販売してもらうため、契約は複数の証券会社と行うのが一般的です。その中でも、中心となって株式を引き受ける証券会社を主幹事証券会社と呼びます。

証券取引所に上場申請する際には主幹事証券会社からの推薦が必須です。

証券取引所の上場審査は、上場適格性について事前に主幹事が充分に確認していることを前提にしているため比較的短期間で行われます。よって、監査法人と同様に上場申請直前2期前より前に契約する企業が多くみられます。

主幹事証券会社報酬として、年間500万前後の支払いが予想されます。

 

証券印刷会社|年間おおよそ500万円前後

申請資料に記載する内容は、専門的かつ膨大な内容となるため、機密保持機能が万全な専門の印刷会社へ依頼するのが一般的です。

また、企業情報の開示は、会社法、証券取引法、各証券取引所の規程に基づいて行う必要があります。証券印刷会社はこれらの規定に精通しているため、書類作成のサポートが必要な場合は依頼を検討することになります。

 

株式事務代行機関|年間400万円前後

株式事務代行機関(証券代行機関)は、株式上場審査基準によって設置が義務づけられている機関です。各証券取引所の指定する信託銀行か証券代行会社と上場前に契約を結ぶ必要があり、株主名簿の管理や株主総会招集通知の発送など、株式に係る事務処理全般を代行してくれます。

 

コンサルティング会社|年間500〜 1,500万円程度

IPOコンサルティングには主に2種類あります。

・証券会社系コンサル会社

証券取引所の審査通過に長けており、ときには主幹事証券会社の対応について判断するセカンドオピニオンの役割を担うこともあります。

・会計士系コンサル会社

内部統制や社内体制の整備に長けており、監査法人と企業を繋ぐ役割が期待できます。

 

それぞれどこにどの程度依頼するかにより料金が異なりますがその相場は、年間500〜 1,500万円程度と言われています。

 

その他の各専門家

弁護士

会社法や独占禁止法、金融商品取引法など法律面での精査が重要となります。

また、労働契約や取引に関する契約など個々の行為が法的に違反していないかチェックしたり、有効な書類作成のサポートをしたりすることが可能です。顧問弁護士契約を結ぶことで、軽微な法律相談については顧問料のみで迅速に対応することが可能であり、その相場は月額5万円程度が多いでしょう。

税理士、社会労務士、司法書士

税務処理の難易度が高い取引に対応できる税理士、労務に特化した社会保険労務士、商業登記に慣れた司法書士などの各専門家のサポートも有効です。

 

IPO費用② 上場時

新規上場時には、上場審査料および新規上場料、公募または売出に係る料金、登録免許税がかかります。

上場審査料および新規上場料|100万円〜1,500万円

上場申請時には、上場審査料が、新規上場時には、新規上場料が以下のとおりです。

 

東証第1部

東証第2部

マザーズ

JASDAQ

上場審査料

400万円

400万円

200万円

200万円

新規上場料

1,500万円

1,200万円

100万円

600万円

引用元:日本取引所グループ 新規上場ガイドブック

 

公募または売出に係る料金|本文詳細

東証1部市場、東証2部市場、マザーズにおいては、上場した株式の公募または売出について、以下の料金を支払う必要があります。なお、JASDAQへの上場の場合のみ、公募または売出に係る料金は発生しません。

・上場申請に係る株券等の公募→公募株式数×公募価格×1万分の9

・上場申請に係る株券等の売出の場合→売出株式数×売出価格×1万分の1

※マザーズへの上場の場合は、新規上場料と合計して2000万円が上限となります。

登録免許税|資本組入額×7/1000

不動産や会社の登記・登録の際に課税される税金です。登録免許税は、資本金額によって変化します。資本金額が2,143万円未満の場合は15万円、2,143万円以上の場合は資本金額×0.7%の料金を支払わなければなりません。

 

IPOの費用③ 上場後

上場が実現しても証券取引所へは年間上場料、株券の発行などにかかる料金、新株の上場にかかる料金などがあります。さらに、上場を維持するために引き続き各サポート機関への費用がかかります。

上場維持費 

年間上場料|48万円〜456万円

上場時の時価総額

東証一部

東証二部

マザーズ

JASDAQ

50億円以下

96万円

72万円

48万円

100万円

250億円以下

168万円

144万円

120万円

100万円

500億円以下

240万円

216万円

192万円

100万円

2,500億円以下

 

 

312万円

 

 

288万円

 

 

264万円

 

 

1000億円以下100万円

1000億円以上120万円

5,000億円以下

384万円

360万円

336万円

120万円

5,000億円超

456万円

432万円

408万円

120万円

引用元:日本取引所グループ 新規上場ガイドブック

 

マザーズにおいては、年間上場料に TDnet 利用料として12万円を加算した金額がかかりますが、上場後3年間を経過するまでは、表に定める額の半額に TDnet 利用料 12 万円を加算した金額となります。

新株の発行等で発生する料金|本文詳細

①上場株券等を発行又は処分する場合

→1株当たりの発行価格×発行又は処分する株券等×1万分の1

②新株予約権の目的となる株式が上場株式である新たな新株予約権を発行する場合

→(新株予約権の発行価格×新株予約権の総数+新株予約権の行使に係る払込金額×新株予約権の目的となる株式の数)×1万分の1

③上場株券等の売出しをする場合

→売出株式数×売出価格×1万分の1

新株の上場に係る料金

1株当たりの発行価格×新たに発行する株券等の数×1万分の8

合併する際に生じる料金

(その合併等に際して発行する株券等の数+交付する自己株式の株券等の数)

        ×合併等の効力発生日の売買立会におけるその株式の最終価格×1万分の2

※JASDAQの場合は、

1株券等当たりの資本組入れ額×その合併等に際して新たに発行する株券等の数×万分の8

監査報酬等

上場後も監査法人への監査証明業務にかかる報酬が発生します。また、コンプライアンスを意識し、内部統制による透明性のある企業活動を行い、企業実績を開示し続けるためには、より法的なサポートが重要となってきます。

株主総会運営費

株式事務代行手数料が発生することはもちろんですが、決算期末から3ヶ月以内に株主総会を開催し、株主を招集しなければなりません。細かいですが、株主総会の会場費用・弁当代やお茶代、懇親会費用、手土産代などの費用も発生します。

 

まとめ

IPOのためには年間5000万円程度はかかると思ってよいでしょう。

莫大な費用を支払っても途中で断念せざるを得なかったり、IPOしたはいいが維持できなくなったりしてしまっては元も子もありません。IPOを準備する前から顧問弁護士を就け、法令遵守や内部統制の実現を意識することは、IPOへのはじめの一歩となるでしょう。

この記事を書いた人

ネクスパート法律事務所