顧問弁護士とは?役割・サポート内容・依頼のメリットを解説!

顧問弁護士をつけることを検討していても、どのタイミングで依頼すべきか分からない方や、具体的にどのようなサポートを受けられるのか疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、顧問弁護士の役割や仕事内容、依頼するメリット等について、以下のとおり解説します。
- 顧問弁護士の仕事・サポート内容
- 顧問弁護士を利用するメリット・デメリット
- 顧問弁護士がいない場合のリスク
- 顧問契約のタイミング
- 顧問弁護士の費用
弁護士との顧問契約をご検討中の方は、ぜひご参考になさってください。
顧問弁護士とは?
顧問弁護士とは、企業や個人事業主と顧問契約を結び、法律に関わる相談や事務処理などを継続的に提供する弁護士のことです。
顧問弁護士は、医療でいえばかかりつけ医のような存在でもあり、企業や個人事業主の実情を理解した上で、法律問題に対応します。企業や個人事業主にとって、いつでも法律相談できるアドバイザーとしての役割を果たします。

顧問弁護士の仕事・サポート内容
顧問弁護士の主な仕事は、以下のとおりです。
- 契約書のリーガルチェック・作成支援
- 債権回収支援
- 人事・労務トラブル対策
- クレーム対応の法的サポート
- 紛争・トラブル対応
- 知的財産の保護に関する法的サポート
- 社内コンプライアンスの構築
- 新規制度導入時の法的サポート
契約書のリーガルチェック・作成支援
契約書のリーガルチェックとは、契約書の様式や内容が適切であるか法的な観点から確認することです。
リーガルチェックが適切に行われていないと、契約書が無効になったり、自社が不利益を受けたりするおそれがあります。
顧問弁護士は、基本的な法律知識はもちろん、適用されうる法律や判例などを網羅的に調査した上で契約書の内容を検討し、顧問先の企業が不利益を受けないようアドバイスします。
万が一トラブルが発生した際にも、契約書のリーガルチェックを行った弁護士であれば、取引内容や背景事情も把握しているため、スムーズな解決が期待できます。

債権回収支援
弁護士が介入することによって、取引先に心理的なインパクトを与えることができ、場合によっては法的措置をとる前に未払代金が回収できることもあります。
万が一、法的措置を取らざるを得ない場合にも、訴訟代理人としての対応を顧問弁護士に依頼すれば、スムーズな解決が期待できます。
人事・労務トラブル対策
企業が発展していくためには良好な労使関係を築くことが必要です。
顧問弁護士にいつでもご相談できれば、トラブルの芽を早期に発見できます。
顧問弁護士は、以下のようなサポートをします。
- 労働時間や残業対策等の労務管理に関するアドバイス
- ハラスメント防止対策の提案・法的アドバイス
- トラブル予防のための就業規則や雇用契約書の整備・改訂等の支援
- 異動や解雇などトラブルが予想される場面での対応方法の提案・法的アドバイス
- 問題社員への対応方法の提案・法的アドバイス
- 人事労務に関連する法律の情報提供
クレーム対応の法的サポート
顧客や取引先からクレームを受けたときは、契約上の信頼関係を壊さないよう、迅速かつ誠実に対応しなければなりません。
クレームにも、正当な苦情と不当な要求があり、その内容を見極めて適切な初動対応を取る必要があります。初期対応を誤ると、対応が後手に回り、解決の道筋が見えなくなることもあります。
顧問弁護士は、企業に寄せられたクレームが法的に正当か不当かを判断し、適切な対応方法をアドバイスできます。クレームが発生する原因を軽減できるようコンプライアンス体制の整備もサポートします。

紛争・トラブル対応
予防法務に力を入れていても、ビシネスを進める上で紛争やトラブルが全く生じないわけではありません。
顧問弁護士は、従業員や顧客・取引先との間で現実に発生したトラブルを解決する役割も果たします。迅速かつ適切に対応することで、紛争の拡大を防ぎ顧問企業の利益や社会的信用を守ります。
顧問弁護士には、日常的に相談できますので、企業が抱える潜在リスクを把握してもらえるため、紛争が顕在化した場合も、早期から適切な対応が可能です。
知的財産の保護に関する法的サポート
特許権や著作権等の知的財産権を有効に活用するためには、侵害が発生した後の対応のみならず、侵害が発生しないように予防する対策も必要です。
顧問弁護士は、企業が有する知的財産権を守る方策を提案しながら、知的財産権を最大限生かせるようサポートします。
コンプライアンスの構築
顧問弁護士は、コンプライアンス体制の構築・強化に際し、次のようなサポートができます。
- 自社の潜在的リスクの洗い出し・対応策の提案
- 従業員のコンプライアンス研修
- コンプライアンスマニュアルの策定支援
- 社外取締役・社外監査役の設置支援
- 内部通報窓口の設置支援
新規制度導入時の法的サポート・事業内容の法的なチェック
顧問弁護士は、事業内容が適法かどうか確認できます。
顧問弁護士を利用するメリット
顧問契約を結ぶメリットは、以下のとおりです。
- 気軽にいつでも相談できる
- 緊急時も迅速に対応できる
- 経営に専念できる
- 対外的な信頼度が向上する
- トラブルを未然に防げる
- 法務部を設置するよりも低コスト
気軽にいつでも相談できる
顧問弁護士がいれば、いつでも気軽に電話やメールで弁護士に相談できます。
通常の弁護士への相談時のプロセス(弁護士を探す→予約・日程調整→事務所に訪問して面談)を省略できるため、小さな不安も気軽に相談できます。
緊急時も迅速に対応できる
弁護士と顧問契約を結んでいれば、予期せぬトラブルが起こった際にも迅速な対応を得られます。
経営に専念できる
予防法務の整備やトラブル対応を顧問弁護士に任せることで、経営者は日常の業務に専念できます。
対内的・対外的な信頼度が向上する
顧問弁護士がいると、社内外の信頼度が高まります。コンプライアンス(法令順守)をアピールできるため、取引先や金融機関から一定の評価が得られる可能性があります。
トラブルを未然に防げる
企業活動において、トラブルを未然に防ぐことは極めて重要です。
顧問弁護士がいれば、自社に潜むリスクを洗い出して予防策を講じられるため、法的トラブルを回避しやすくなります。
法務部を設置するよりも低コスト
顧問弁護士は、企業の法務部としての役割も果たします。
中小企業やスタートアップ企業の中には法務部を持つ金銭的・人的余裕がない企業も多いでしょう。法務部の設置が難しい場合にも、顧問弁護士がいれば、法務部としての役割を担ってもらえます。
顧問料も月額数万円で収まるのが一般的であるため、自社で法務部を設置する場合にかかる費用や人件費・教育費をカットできます。
顧問弁護士を利用するデメリット
顧問弁護士を利用するデメリットは、毎月顧問料が発生することです。
原則として、利用頻度に応じて顧問料が変動しないため、相談や事務処理が発生しなくても費用が発生します。
顧問弁護士がいない場合のリスクとは?
顧問弁護士がいない企業は、次のようなリスクを抱える可能性があります。
- トラブルの予防やリスク対策ができない
- トラブル発生時にすぐに弁護士に依頼できない可能性がある
- 契約書の不備に気づかずトラブルが発生する可能性がある
- 新制度や法改正の情報の入手が遅れる
トラブルの予防やリスク対策ができない
顧問弁護士がいない場合は、トラブルが起こるまで相談に至らないケースが多くあります。トラブルが起きてから相談すると、時間やコストを費やさなければならない可能性が高くなります。法的トラブルを迅速に解決できなければ、社会的な信頼を失い、業績に悪影響が及ぶ可能性もあります。
トラブル発生時にすぐに弁護士に依頼できない可能性がある
顧問弁護士がいない会社でトラブルが発生した場合は、対応してくれる弁護士を一から探さなければなりません。相談しても、必ず引き受けてもらえるとは限らないため、弁護士探しに時間と手間がかかる可能性があります。
相談を引き受けてくれる弁護士が見つかったとしても、事業内容や会社の状況を一から説明しなければならず、対応に遅れが生じるおそれもあります。
契約書の不備に気づかずトラブルが発生する可能性がある
顧問弁護士がいない場合、経営者や法務担当者の知識が不十分であれば、有効な契約書チェックが行えず、契約書不備によるトラブルが発生する可能性があります。
法律の専門家でなければ、発生しうるトラブルを想定したり、事後対応をあらかじめ検討したりすることも難しいでしょう。
新制度や法改正情報の入手が遅れる
企業活動においては、自社の事業活動に関連する法律のほか、民法・会社法・労働法などの様々な法律の改正を迅速にキャッチアップし、適切に対応することが求められます。
顧問弁護士がいない会社は、新制度や法改正などの新しい情報の入手や、改正に伴う対応が遅れる傾向にあります。
顧問弁護士と契約すべきタイミングとは?
弁護士との顧問契約は、導入を検討した時点でなるべく早く締結することをおすすめします。弁護士のサポートが必要になったタイミングから弁護士を探しても、対応が間に合わないことがあるからです。
顧問弁護士と契約すべきタイミングとしては、以下のような状況が該当します。
- 就業規則を作成・見直したいとき
- 従業員を雇ったとき・従業員が増えたとき
- 法的手段による債権回収が必要なとき
- 不利な契約を回避したいとき
- 大手企業と取引をするとき
- 法的トラブルが発生しやすい事業を開始するとき
- 事業承継やM&Aを検討しているとき
就業規則を作成・見直したいとき
就業規則の作成や見直しを予定しているときは、顧問弁護士の導入を検討するタイミングの一つです。
就業規則は労働紛争を予防するだけでなく、労使間でのトラブルが起きたときには重要な証拠となります。就業規則の内容に不備があったり、常時10名以上の従業員がいるのに就業規則を作成していなかったりした場合、紛争発生時に思わぬ不利益を受けることもあります。
就業規則は、会社の規模や業務内容・労務実態に合わせて作成する必要があるため、ひな形をそのまま使うことはおすすめしません。就業規則の作成・変更は、労働基準法をはじめとした労働法関連の法的知識も必要となるため、弁護士への相談をおすすめします。
従業員を雇ったとき・従業員が増えたとき
従業員を雇用したときや従業員が増えたときも、顧問弁護士の導入を検討するタイミングです。
従業員を雇用する場合、労働基準法などの法令に従った労務管理が必要です。従業員を雇った、あるいは従業員が増えたタイミングで、弁護士と顧問契約を締結すれば、労務管理についての法的アドバイスを受けられます。
万が一労使間トラブルが発生した場合も、その対応をサポートしてもらえます。
法的手段による債権回収が必要なとき
協議や交渉等による売掛金の回収が困難なときも、顧問契約を締結するタイミングとなります。
支払督促や訴訟などの方法で債権回収を図るには、時間や手間がかかります。弁護士と顧問契約を締結すれば、売掛金未払いのトラブルが発生した場合も迅速かつ適切な対応をしてもらえます。
弁護士が介入することで、法的措置を取る前に解決できる可能性もあります。
不利な契約を回避したいとき
契約取引の場面では、相手方が作成した契約書をベースに取引を進めることも珍しくありません。相手方から受け取った契約書の内容が、自社にとって不利な内容になっていないか、実態に即した内容になっているか確認したいときも、顧問弁護士を導入するタイミングの一つです。
顧問弁護士に契約書の内容を確認してもらうことで、トラブルを未然に防げます。
大手企業と取引をするとき
大手企業と取引をする際も、顧問弁護士の存在が大きく役立ちます。
大手企業と取引した経験がない場合、受注金額の規模やタスクの多さに戸惑ってしまうケースも珍しくありません。中小企業が大手企業と対等な立場で取引を進めるためには、法的知識が不可欠です。
法的トラブルが発生しやすい事業を開始するとき
新規事業の開拓や海外展開を予定しているときも、顧問弁護士を活用するタイミングです。
新規事業を立ち上げるためには、その事業が規制に抵触していないか、ビジネスモデルに問題点がないか十分に調査しなければなりません。海外に事業を展開する場合は、展開国の法律や規制を確認し、事業の適法性をチェックする必要があります。
顧問弁護士は、企業の成長ステージに応じて、必要な調査・対策を講じて事業拡大を全面的にサポートします。
事業承継やM&Aを検討しているとき
事業承継やM&Aを検討している場合も、顧問弁護士のサポートが役立ちます。
一口にM&Aといっても様々な手法があり、法的観点からの実施可能性を十分に検討しなければなりません。M&A取引では、秘密保持契約書・基本合意書等の契約書の作成も必要です。
顧問弁護士がいれば、M&A取引のスケジュール管理から取引全般に関するアドバイス・サポートが受けられます。

顧問弁護士の費用
ここでは、弁護士との顧問契約顧問料について解説します。
顧問料の相場は月額5万5,000円(税込)~
顧問弁護士の顧問料の一般的な相場は、月額55,000円(税込)前後です。会社の規模や顧問料の範囲内で受けられるサービスの内容によって異なります。
顧問料は各法律事務所が自由に設定できるので、法律事務所によっても差があります。
顧問料の範囲内でどこまで対応してくれるのか事前に確認しましょう
顧問料の範囲内で対応してもらえる業務の範囲は、法律事務所によって異なります。
多くの法律事務所で、法律問題の業務量・時間・難易度や企業のニーズによって異なる複数のプランが用意されています。
自社の相談頻度や時間に応じて、顧問プランを選定すると良いでしょう。
まとめ
顧問弁護士は、企業にとってかかりつけ医のような存在です。
単発の依頼よりも低価格な料金で、日常的に弁護士に相談ができ、事業内容等を理解してもらうことで、適切なリスクヘッジを実現できます。予期せぬトラブルが発生した場合も、迅速・的確な解決が期待できます。
顧問弁護士の導入をご検討中の方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。
企業法務の実績が豊富な弁護士が、貴社の状況やニーズに応じたプランをご提案いたします。
