企業法務とは? 役割・分類・仕事内容を徹底解説

企業法務とは、文字通り企業活動に関する法律業務のことをいいます。この記事では、企業法務の全体像について、役割・分類・仕事内容をそれぞれお伝えします。

 企業法務とは?

企業法務とは、「企業活動に関する法律業務」を指します。クレーム対応や、株主総会の対応、M&Aなどを含め、企業の設立から解散に至るまで、あらゆる場面で必要になります。

そのため、企業活動と非常に密接な関係を持っていると言えるでしょう。 

企業法務の役割

法務には主に「攻め」「守り」の役割があります。この二つがどのような機能を果たすのか紹介します。

 

「攻め」の法務

「攻め」の法務とは、企業価値の最大化を図る観点から、法的支援やアドバイスを他部門に対して行い、会社の事業を戦略的、かつ円滑に進める後押しをする機能です。

 

「守り」の法務

「守り」の法務とは、企業価値を守る観点から、法的リスク管理のために企業活動また、その中での意思決定に関与し、企業の信用や評判の維持を図る機能です。

 

企業法務の分類

企業法務は主に3つに分類されます。

 

臨床法務

臨床法務とは、法務紛争やクレーム等のトラブルを解決する法務を指します。法務の源流でもあります。

既に起きている問題への対応がメインであるため、迅速かつ慎重な対応が求められます。万が一対応に不備があった際、企業が債権の回収ができなくなったり、賠償金を支払う必要が出てきたりする場合があります。

さらに、企業の社会的信用の失墜やイメージダウンにも繋がり、取引先や消費者など、様々なステークホルダーとの関係に影響を及ぼすおそれがあります。

このように、法的紛争が起こった際に被る損害を避けるために臨床法務は必要となってきます。

 

予防法務

予防法務とは、名前の通り、将来じるであろう法的問題をを想定し、あらかじめ法的紛争を未然に防ぐ法務です。

臨床法務から移り変わり、予防法務は1990年代より注目されるようになりました。この時期には金融機関等の不祥事が相次いで発覚し、法的問題や不祥事を防止する機運が高まるようになりました。コンプライアンスという言葉が普及し始めたのもこの時期です。

もっとも、法的紛争は完全に防ぐことはできません。ですが、予防法務によって対策を講じておくことで、万が一提訴された場合に、損害を最小限に抑えることができます。

このことから、会社の社会的信用を維持するためにも予防法務は重要視されています。 

 

戦略法務

戦略法務とは、法的問題に対してアプローチする臨床法務や予防法務とは違い、事業戦略に対し法的知識や見解を用いて、企業利益の最大化を図る法務です。

2000年代に会社法が改正されたり、経営環境変化したことによって、M&Aや組織再編が活発に行われるようになりました。その際に重要性が増したのが戦略法務です。

戦略法務が問われる主な例を挙げると海外進出などです。企業にとっての大きなチャレンジや重要な意思決定には、多くのリスクが付きまといます。そのリスクを法的知見によって軽減し、企業利益の最大化に繋げます。

 

企業法務の仕事内容

企業法務には様々な仕事内容があります。

ここでは各仕事内容について簡潔に説明します。

 

臨床法務の仕事内容

・取引の相手方その他第三者から提訴された場合

企業活動の過程で第三者(取引先や消費者)より提訴された際に、対応する業務であり、臨床法務の基本す。

相手の請求を退けるために、主に証拠や証言収集・提出を行います。

 

取引の相手方その他第三者に対する請求

 第三者から提訴された場合とは逆に、企業側から請求することもあります。 

この場合、相手にどのような手続き・請求をするのか、最適な方法を選択する必要があります。

 

債権回収・保全

 債の回収や、財産の仮押え・仮処分を行います。

正常に行われない場合、「黒字倒産」になりかねないため、非常に重要な業務となります。

 

クレーム対応

消費者からのクレームを処理する業務です。

多くの企業ではクレーム対応用のマニュアルが存在しますが、記載されている対応方法が法的に問題が無いか法務担当者でチェックする必要があります。

また、企業側に法的責任がある場合もあります。適切な方法で対応しないと、訴訟に繋がるおそれがあります。

 

労使紛争

従業員から残業代の請求、人事異動、昇格、解雇などに関する紛争対応や労働組合からの団体交渉の対応です。

 

予防法務へのフィードバック

臨床法務で対処した問題を今後未然に防ぐため、予防法務へのフィードバックを行う場合があります。

 

予防法務の仕事内容

 

リーガルリスクマネジメント

事業活動において、今後起こりうる法的リスクを分析し、顕在化を抑制します。

 

契約書作成と審査

契約内容を円滑に履行するため、後に問題が起こった際の証拠にするため、契約書を作成します。

また、相手方から契約書を提示された際に、自社にとって不利な内容が入っていないかチェックします。

 

社外弁護士の起用

企業によっては社内弁護士がないため、社外の弁護士を法務担当として起用します。

法律業務を行うにあたって法律の専門家は欠かせません。

 

リーガルオペレーション

契約書等のフォーマットやチェックの流れを統一します。

 

株主総会の対応

株主総会の開催は会社法によって定められています。

株主の招集手続きや決議事項・議事録の作成などのサポートが求められます。また、想定質問の協議を弁護士とする必要があります。

総会終了後、決議内容によっては、法務局への登記申請が必要になる場合があります。

 

取締役会の運営

取締役会での決議事項や議事録のチェックをおこない、運営のトラブル回避に繋げます。

 

コンプライアンス法務

コンプライアンス違反を防ぐために就業規則や行動指針を整備し、分かりやすく伝えます。また、社内向けの研修なども行う場合があります。

会社のイメージを保つためにも、非常に重要な業務となります。 

 

戦略法務の仕事内容

新規取引・新規事業におけるリスク検討・実現手段の考案

新規事業を行う上での法的リスクや、既存の法規制を踏まえて、実現可能な事業を検討・考案します。

 

知的財産の戦略的な活用

自社の知的財産を活用し、企業価値を上げる取り組みです。

知的財産の権利化も含まれます。

 

海外展開のサポート

現地の法令調査、競合調査、訴訟リスクなどを検討し、企業の海外進出が円滑に進むようサポートします。

 

M&Aのサポート

デューデリジェンスや、各種契約書の作成、コーポレート手続きの実行、買収後の自社への法的な影響の有無チェックなど幅広い領域を担います。

 

まとめ

 企業法務には様々な業務が存在します。

企業法務は大企業に設立されている法務部だけではなく、企業法務に特化した弁護士事務所にお任せすることも可能です。

企業法務で困ったことがあれば、弁護士に相談するとよいでしょう。

 

この記事を書いた人

ネクスパート法律事務所