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弁護士法人ネクスパート法律事務所

弁護士法人ネクスパート法律事務所は、中小企業の法務に強い法律事務所です。

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民事再生手続きの流れを解説!手続きにかかる期間の目安はどのくらい?

会社の資金繰りが悪化し、このまま経営していくことは難しいとなった場合、会社の倒産手続きを検討することになります。

その中でも、会社を消滅させることなく再建を目指せる民事再生手続きをしたいと考える経営者は少なくありません。

 

この記事では、主に以下の3つの点について解説します。

①民事再生手続きの流れ

②民事再生手続きの期間(目安)

③民事再生手続きと、法人破産や会社更生手続きとの違い

 

ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

民事再生手続きの流れ

まずは民事再生手続きの流れから確認していきましょう。

 

・弁護士への相談~裁判所への申立て

・裁判所への申立て~再生手続開始決定

・再生手続開始決定~終結

の3つ段階に分けて解説していきます。

 

弁護士への相談~裁判所への申立て

ここでは、弁護士に相談をしてから民事再生申立をするまでの流れについてご説明します。

弁護士への相談・依頼

民事再生手続きを申し立てる場合、弁護士への相談が必須と考えた方がよいでしょう。

会社の経営が悪化し、倒産手続きをしなければならない状況で、どの方法を選択するか会社が判断するのは難しく、専門的な知識が必要になります。

民事再生申立てを希望しても、すべてのケースで民事再生ができるわけではありません。民事再生の申し立てが可能かどうかを弁護士が判断し、方針を定めます。

相談ののち、弁護士の方針に納得できれば民事再生手続きを依頼しましょう。

 

申立書の作成・必要書類の収集

弁護士に依頼をしたら、民事再生申立に向けた準備が始まります。

 

申立書の作成は弁護士が行いますが、申立書作成に必要な情報は会社からヒアリングするため、会社の協力が不可欠です。債権者一覧表、資金繰り表、財産目録等を作成するために必要な情報や、支払不能に至った経緯の聴取など行い、申立書類を作成します。

 

また、会社が民事再生を申し立てるには、取締役会等で決定しておく必要があります。裁判所には取締役会議事録を提出するので、その準備や資料の収集も並行して行います。

 

裁判所との事前協議

実務上、民事再生申立を行う前に、管轄の裁判所との事前協議を行うのが一般的です。

事前に裁判所の担当部に相談しておくことで、申立予定日までに不備・不足を解消することが可能になり、スムーズに申立てを受理してもらえます。

これは弁護士が裁判所と協議をするものですが、それまでに会社には債権者・債務者リスト、資金繰表、決算書、事業計画書等をご準備いただき、弁護士と密に打ち合わせを行います。

 

裁判所への申立て~再生手続開始決定

次に、民事再生を裁判所へ申し立ててから再生手続き開始決定までの流れをご説明します。

 

再生手続・保全処分の申立て

裁判所との事前協議を経て、裁判所に民事再生手続きの申立てを行います。

このとき申立てに必要な予納金の納付をするので、申立てまでに予納金の準備も必要です。

同時に保全処分の申立てを行い、弁済禁止の保全処分を求めます。

また、多くの場合申立後に審尋(裁判官との面接)が行われますので、会社代表者は弁護士と共に裁判所に出頭し、申立ての経緯・内容について話をすることになります。

 

保全処分の決定

裁判所から保全処分の決定が出ると、申立前に発生した債務の弁済が禁止されますので、会社は借入金や買掛金などの債務の支払いをしなくてよいことになります。これにより、ひとまず資金繰りの破綻による倒産の危機を脱することができます。

 

監督委員の選任

保全処分決定と同時に、監督命令が発令され、今後の民事再生手続きを監督する監督委員が選任されます。

 

裁判所は、会社と利害関係のない弁護士を監督委員に選任します。同時に、監督委員の同意を得なければ再生債務者(会社)がすることができない行為を指定します。監督委員の同意を得ないでした行為は無効となります。

 

監督委員は再生手続開始要件の有無及び再生計画案の内容を調査したり、特定の行為について否認権を行使したりできます。また、再生計画の確定後、再生債務者の再生計画の遂行を監督するなど重要な役割を担います。

 

債権者説明会

申立てから一週間程度で債権者説明会を開催します。

民事再生手続きを成功させるためには債権者の理解と協力が必要です。債権者に対し、民事再生申立てに至った経緯、債務の状況、今後の再建に向けた方針などを説明し協力を求めます。

再生手続開始決定~終結

手続きの最後は、再生手続開始決定から終結までの流れについてです。

 

再生手続開始決定

民事再生が認められ、問題がなければ、通常申立てから1~2週間程度で再生手続開始決定が出ます。

もし主要な債権者からの強い反対があったり、裁判所に会社に再建の可能性がないと判断されたりすると、再生手続きは開始せず申立てが棄却され、破産手続に移行する可能性があります。

 

財産目録・報告書等の提出

会社は自社が有する財産について、価格を評価して財産目録や貸借対照表を作成します。これは再生手続開始後遅滞なく裁判所に提出します。

 

また、民事再生手続申立に至った事情、会社の業務や財産に関する状況等を報告書として提出します。

 

債権認否書の提出

裁判所が再生手続開始決定を出した際、裁判所から債権者宛に再生手続が開始したことを知らせる通知や、債権届出をするよう求める用紙等が送付されます。これにより債権者から届出のあった債権について、債権の存否・金額を確認し、その認否を裁判所に提出します。

 

この手続きによって債務の総額が確定し、このあとの再生計画案の作成に進みます。

 

再生計画案の作成・提出

再生計画案を作成し、裁判所に定められた期日までに提出します。

債権者に、債務のうちどのくらいの金額を免除してもらい、どのように返済していくかを計画し、書面にします。これは、債権者に納得してもらう必要がある一方で、実現可能だと裁判所に判断してもらう必要があり、専門知識が不可欠です。

民事再生手続きの中でも非常に重要な手続きのひとつです。

 

債権者集会・再生計画案決議

作成した再生計画案を債権者集会で多数決によって決議します。

また、投票用紙を郵送する方法による書面決議も併用して行われます。

 

債権者の過半数かつ議決権額の2分の1以上の賛成が得られた場合、再生計画案は可決となります。

 

どちらかの要件のみを満たした場合には、債権者集会を再度開催し集計を行います。どちらの要件も満たさなかった場合には、再生手続きは廃止され、破産手続きに移行します。

 

再生計画の認可

可決された再生計画は、法律上問題がなければ裁判所によって認可されます。

認可された再生計画に対し即時抗告(不服申立て)がなされなければ、再生計画は確定します。

 

再生計画の履行

再生計画が確定したら、計画に従い履行します。

 

再生手続きの終結

再生計画の履行が完了したとき、または再生計画認可決定確定後3年が経過すると、再生手続きは終結し監督委員による監督も終了します。ただし、まだ弁済が終わっていない場合にはその後も再生計画に従い弁済を続ける必要があります。

 

民事再生手続きにかかる期間

では、民事再生手続きにかかる期間はどのくらいなのでしょうか。

東京地方裁判所では以下のとおりです(裁判所により運用が異なる)。

 

民事再生申立から

再生手続開始決定まで:1~2週間程度

再生計画案提出まで:3か月程度

債権者集会(再生計画案決議)まで:5か月程度

再生計画認可決定まで:6か月程度

 

再生計画認可決定確定から弁済完了までは作成した再生計画案によりますが、最長で10年になります。

 

民事再生手続きと他の手続きの違い

最後に、民事再生手続きと他の手続きの違いについて解説していきます。

 

民事再生手続きと破産手続きの違い

会社の倒産手続きには、再建型と清算型2つの手続きの種類があります。

 

民事再生手続きは再建型手続きで、会社の事業は存続させます。

債務の一部を免除してもらったり、返済期間を延ばしてもらったりするなどして、会社の再建を目指します。

 

一方、破産手続きは清算型手続きで、会社は消滅します。

会社の財産をすべて換価し、債権者に配当して清算し、会社を消滅させます。残った債務については、会社自体が消滅するため債務も同様に消滅し、返済の必要はなくなります。

 

民事再生手続きと会社更生手続きの違い

民事再生手続きと会社更生手続きは同じ再建型の倒産手続きです。

 

会社更生手続きの対象となるのは株式会社だけで、さらに大企業の利用を想定した手続きです。そのため、手続自体が厳格で、経営陣も原則退任することになります。

 

これに対し民事再生手続きは、株式会社だけでなく他の法人が利用することも可能です。また、原則として経営陣の退任は必要ありません。会社更生手続きに比べ幅広く利用可能な手続きと考えるとわかりやすいでしょう。

 

まとめ

ここまで民事再生手続きの流れ、手続きにかかる期間、他の手続きとの違いについて解説してきました。

 

民事再生手続きは非常に複雑な手続きです。申立てをするための条件も満たさなければならず、残念ながらどのケースでも民事再生ができるわけではありません。

 

会社の経営が傾いてきてしまったら、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。個別の事情については弁護士に相談するとよいでしょう。

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