会社・法人の民事再生手続き|メリットとデメリットを5つずつ解説!

会社の経営が悪化しても、破産以外の選択肢も残っています。

 

会社をどうにか立て直したい場合、事業を継続し、再建を目指せる民事再生を裁判所に申し立てる方法があります。ただし、民事再生にももちろんデメリットがあり、会社の状況によっては利用できないケースもあります。

 

この記事では、民事再生のメリットとデメリットについて解説しています。

今後どのような手続きを選択するか、検討する際の参考にしてみてください。

 

民事再生とは?

民事再生のメリットとデメリットを理解するためにも、まず民事再生の概要を確認していきましょう。

 

民事再生とは、債務の返済ができず経営が悪化した場合、裁判所に申立てをして事業の再生を図る手続きです。具体的には、債務の一部を免除してもらうなどする再生計画案を作成し、債権者の同意と裁判所からの認可を受けられたら、その再生計画に沿って返済をしていく手続きです。

 

民事再生の種類

民事再生には以下の3つの種類があります。

 

自力再建型

自力再建型は、文字通り自力で再建を目指す民事再生です。

債務を圧縮してもらい、圧縮された再生債権を事業の利益から返済していく方法です。

多くの場合、不採算部門の廃止や人員整理を行う等の体制改善を行います。

 

スポンサー型

スポンサー型は、資金を提供してくれるスポンサーの力を借りて行う民事再生です。

スポンサーから出資をしてもらい、返済に充てるなどする方法です。同業他社や大企業をスポンサーにつけることができれば、民事再生手続きによる企業のイメージ低下を軽減できます。

 

清算型

清算型は、営業譲渡や会社分割などにより、営業の全部または一部を受け皿会社に移管し、元の会社は清算する民事再生です。

事業譲渡によって得られる譲渡益を債務の返済に充てられます。

 

民事再生をできるのはどんなとき?

民事再生手続きを利用したいからといって、すべての会社が民事再生をできるわけではありません。民事再生を申し立てるには条件があります。

 

民事再生法では、裁判所に再生手続開始の申立てをするための要件を次のように定めています。

①破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき

②債務者が事業の継続に著しい支障をきたすことなく弁済期にある債務を弁済できないとき

 

また、上記申立要件だけでなく、民事再生の手続きが成功するには次のような条件も必要になります。

 

・収益が出せること

・裁判所に納める予納金等の手続費用を用意できること

・債権者からの賛成が得られること

・税金や社会保険料の滞納が少ないこと

 

自分の会社は民事再生ができるかどうか悩まれたら、弁護士に相談してみるとよいでしょう。どの手続きをするのが会社に一番よいか、アドバイスいたします。

 

民事再生のメリット5つ

では、民事再生にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

債務を減らすことができる

民事再生をすると、裁判所の許可のもと、債務の減額と分割での返済が可能になります。また、民事再生申立と同時に弁済禁止の保全処分を申し立てることで、いったん弁済をストップできます。そのため、債務不履行や手形の不渡りも回避できる可能性があります。

 

弁済猶予が受けられる

債務を一部減額してもらえるだけでなく、減額後の債務についても、最大10年間の分割にして返済できます。

 

事業の継続ができる

民事再生では、清算型の倒産手続きである法人破産や特別清算と違い、会社を残して事業を継続できます。

民事再生により債務も減額でき、返済期間も最大10年認められる可能性があるので、事業を継続しながら返済をし、会社の再建を目指せます。

 

経営権は維持できる

民事再生と同じ再建型の倒産手続きに会社更生があります。会社更生では原則として、経営陣は退任しなければなりません。一方、民事再生では、原則経営陣はそのまま経営を続けることが可能です。経営者にとっては、大きなメリットです。

 

資金の確保ができる

民事再生の申立ての通知を受けた金融機関は、口座に入っている預金について、債務と相殺することが禁止されます。そのため、通知後に入金されたお金は確保され、資金繰りに利用できます。

 

民事再生のデメリット5つ

メリットがある一方で、デメリットももちろんあります。

民事再生には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

 

社会的な信用を失う

社会的な信用を失ってしまうでしょう。

取引先や債権者からの信用を失うだけでなく、社会的なイメージも損なわれてしまいます。

事業を続け、再建するために行う民事再生ですが、法人破産や民事再生などの違いは一般の人にはあまり知られていません。経営状態が悪いんだろうという漠然としたネガティブなイメージしか持っていないことが多く、信用やイメージの低下は避けられません。

 

民事再生に費用がかかる

民事再生をするためにも費用がかかります。

裁判所に申立てをする手続きのため、裁判所への予納金の納付が必要です。裁判所によって異なりますが、東京地方裁判所の予納金は以下のとおりです。

負債総額によって予納金の額は異なり、最低でも200万円が必要になります。

 

負債総額 予納金の額
5,000万円未満 200万円
5,000万円~1億円未満 300万円
1億円~5億円未満 400万円
5億円~10億円未満 500万円
10億円~50億円未満 600万円
50億円~100億円未満 700万円
100億円~250億円未満 900万円
250億円~500億円未満 1,000万円
500億円~1,000億円未満 1,200万円
1,000億円以上 1,300万円

 

このほか、申立手数料(収入印紙)と郵便切手の納付が必要です。こちらも裁判所によって異なる場合がありますが、申立手数料は10,000円程度、郵便切手は数千円程度です。

また、民事再生は大変複雑な手続きで、一般的には弁護士に依頼して申立てを行います。そのため弁護士費用も必要になります。

 

債務免除益課税が発生する可能性がある

民事再生では、債務を一部免除してもらうことが可能です。しかし、その免除額に対して債務免除益課税が発生するため注意が必要です。せっかく債務を免除してもらい再建の道筋が見えてきたのに、税金が支払えないことで再生計画が失敗に終わってしまうことのないよう、事前に対策をしておくことが重要です。

 

損金が発生する場合には、債務免除益課税と相殺できます。また、債務免除益が発生する時期を遅らせるよう調節する方法もありますが、会社の状況によりベストな対策は異なります。税務に関する知識も必要です。

個別の事情については弁護士に相談するとよいでしょう。

 

担保権が実行される可能性がある

民事再生では、原則として担保権の実行を阻止することができません。つまり、例えば所有している不動産を担保に借り入れをしていた場合、担保権が実行されるとその不動産を失ってしまう可能性があります。

 

これを阻止するには、担保権者と弁済協定を結ぶ必要があります。事前にこの点も考慮しましょう。

 

失敗すると破産する可能性がある

民事再生では、手続が失敗すると破産手続きに移行する可能性があります。

再生計画が可決される見込みがあるか、裁判所から認可を受けられるかきちんと検討し、申立てを行う必要があります。

 

まとめ

大切に育ててきた会社を消滅させず、できれば再建したいと考える経営者の方は少なくありません。民事再生手続きのメリットとデメリットを正しく理解し、どの手続きを選択するか検討しましょう。

 

民事再生は大変複雑な手続きで、専門的な知識が不可欠です。

経営状態が悪化し、返済や従業員の給与の支払い等に不安があれば、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。個別の事情については弁護士に相談するとよいでしょう。

この記事を書いた人

ネクスパート法律事務所