MENU
固定ページ
弁護士法人ネクスパート法律事務所

弁護士法人ネクスパート法律事務所は、中小企業の法務に強い法律事務所です。

会社法や労働法に強い弁護士が、「取締役の責任追及」「会社の支配権争い」「法務・財務デューデリジェンス」といった経営者の課題を解決します。

初回相談は無料で、急なトラブルにも積極的に対応致します。 ぜひお気軽にご相談下さい。

グループ会社を通じた支払代行と資金移動業規制――銀行法に抵触するか

グループ会社の1社に支払事務を集約し、取引先への送金をまとめて行わせる。
経理業務の効率化や資金管理の一元化を目的に、こうした仕組みを導入する企業があります。
しかし、法律上「他人のお金を預かって送金する」行為は、銀行だけに認められた「為替取引」に該当する可能性があり、違反すれば刑事罰の対象です。
本記事を読むと、グループ会社による支払代行がこの規制にどう関わるか、なぜ実務上は広く行われているのか、法的にどう整理すればよいかがわかります。

目次

為替取引と資金移動業――何が規制されているのか

ここでは、関係する2つの規制の基本を整理します。
「為替取引」とは、わかりやすくいえば「ある人から依頼を受けて、現金を直接運ばずに離れた場所にいる別の人にお金を届ける仕組み」のことです。
銀行振込が典型例です。
銀行法はこの為替取引を銀行だけが行える業務と定めており(銀行法4条1項)、銀行の免許がない者が行うことは原則違法です。
一方、資金決済法は、銀行以外の事業者にも一定の条件で送金サービスを認める「資金移動業」という登録制度を設けています。
登録なしでこの事業を行えば、銀行法違反として処罰の対象です。

支払代行が規制に抵触しうる場面

ここでは、グループ会社による支払代行がこれらの規制に引っかかる可能性がある場面を解説します。
A社(支払義務者)がB社(グループ会社)にあらかじめお金を預け、B社がそのお金を使ってC社(取引先)に送金する場合を考えます。
この場合、B社は「A社のお金をC社に届ける仕組み」を提供していることになり、為替取引に該当する可能性があります。
では、B社が自分のお金でC社に先に支払い、後からA社に精算してもらう場合はどうでしょうか。
この場合は、A社のお金をC社に届けているわけではなく、B社が自ら判断して支払っている構造です。
為替取引には該当しにくくなりますが、今度はA社とB社の間に「貸付け」の問題が生じます。
この点については「グループ会社間の資金融通は貸金業法に抵触する?適用除外の要件を解説」(【内部リンク】)と「第三者弁済による支払代行は貸金業法違反?法的整理と実務ポイント」(【内部リンク】)で詳しく解説しています。

なぜグループ間の支払代行は実務上許容されているのか

ここでは、法的リスクがありつつもグループ間の支払代行が広く行われている背景を説明します。
為替取引や資金移動業が規制されている最大の理由は、ずさんな送金によって支払った人が「本当に届いたかわからない」「もう一度払えと言われた」といった被害を受けるリスク(二重払いリスク)を防ぐことにあります。
グループ会社間では、親会社が子会社の支払いを管理しており、送金の記録も社内で確認できます。
外部の不特定多数が利用する送金サービスとは状況が全く異なり、二重払いのリスクは極めて低いです。
このため、実務上はグループ会社間の支払代行に対して銀行法や資金決済法の規制が厳密に適用されることは少ないとされています。
参考として、コンビニ決済のような「収納代行」も、消費者がコンビニに支払った時点で債務が消えるため二重払いリスクがなく、資金決済法の規制対象外とされています。
グループ会社の支払代行も同様の理屈で整理されることが多いです。

リスクを下げるための法的構成の工夫

ここでは、為替取引の問題を回避するための法的な整理方法を紹介します。
A社とB社の間で金銭消費貸借契約(お金の貸し借りの契約)を締結し、A社からB社へのお金の移動を「貸付金の支出」、B社からA社への精算を「返済」として整理する方法があります。
こうすれば、お金の動きは「送金」ではなく「貸し借り」という金融取引になるため、為替取引には該当しなくなります
ただし、この方法にはデメリットもあります。
「B社が独自の判断でC社に支払う」という建付けが維持できなくなり、あくまでA社の指示に基づいてB社が支払いを行う構造にする必要があります。
また、A社B社間の貸付け自体が貸金業法の適用除外を受けられるか(グループ会社間の貸付けの要件を満たすか)も別途確認が必要です。

まとめ

  • グループ会社に資金を預けて送金する構造は、銀行法上の「為替取引」に該当する可能性がある
  • 実務上、グループ間の支払代行は二重払いリスクが低いため厳密に規制が適用されることは少ないが、法的リスクはゼロではない
  • 金銭消費貸借契約で「金融取引」として構成する方法もあるが、B社の裁量で支払う建付けは維持できなくなる
  • この仕組みを設計する際は、貸金業法と資金移動業規制の両面から検討が必要である

関連する記事

弁護士に相談して早すぎることはありません

豊富な実績と確かな実力で力になります

弁護士に相談して早すぎることはありません

豊富な実績と確かな実力で力になります

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次