妻・旦那に内緒の借金…家族にバレずに債務整理はできる?
妻や夫に内緒で債務整理を行うことは可能です。ただし、絶対にバレないとは言い切れません。債務整理には、自己破産や個人再生などの手続きがあり、それぞれバレるリスクは異なります。
この記事では、家族に内緒で債務整理をしたい方向けに、バレにくい手続きや注意点を解説します。
目次
妻・旦那に内緒の借金をバレずに債務整理できる?
「家族にバレずに債務整理」は可能
結論から言うと、家族にバレずに債務整理を行うことは可能です。妻や夫に内緒で債務整理をしたい方は一定数います。
ただし、絶対にバレないとは言い切れません。債務整理がバレる理由としては、普段利用していた銀行口座やクレジットカードが突然使えなくなった、弁護士や裁判所からの書類を見られた、などが考えられます。
クレジットカードなどの借金を債務整理する場合、通常は強制解約となり、利用ができなくなります。
どの債務整理の方法であっても、ブラックリストに載ることは基本的に避けられません。ブラックリストに載ると、ローンや分割払いなどの審査が通りにくくなります。そのため、債務整理をしてから時間が経った後に、妻や夫にバレてしまうケースもあるでしょう。
弁護士からの書類は、事情を伝えれば配慮してもらうことができるので、債務整理を依頼する弁護士に事前に相談しておきましょう。
任意整理が最もバレにくい
債務整理は、自己破産や個人再生、任意整理などがありますが、最もバレにくいのは任意整理です。任意整理は、裁判所を通さずに債権者と交渉し、利息をカットしたり、返済期間を見直したりすることで、借金の負担を減らすことができます。
任意整理は他の債務整理と比べて、必要書類の準備や手続きの負担が少ないです。裁判所を介した手続きではないため、裁判所から書類が送られてくることもありません。また、複数から借入がある場合、一部の借金だけ任意整理することもできるため、家族にバレるリスクが高い借金は除外することも可能です。
ただし、任意整理の減額効果は利息をカットするだけに留まります。利息が減っても返済できる見込みがない場合は、他の債務整理を検討した方がよいでしょう。
自己破産はバレるリスクが高い
自己破産は、家族に最もバレやすい債務整理の手続きと言えます。自己破産とは、裁判所を通して借金を全額免除にするための手続きです。自己破産が家族にバレやすいのは、主に次の理由があります。
- 裁判所に提出する資料が多い(家族の通帳や保険証書が必要なケースもある)
- 財産を没収される可能性がある(一定以上の財産がある場合。車や家も対象)
- 官報に掲載される(官報は誰でも閲覧できる)
自己破産は、申請をすれば誰でも認められる訳ではありません。自己破産ができる条件としては、まず支払不能であることです。支払不能とは、簡単に言うと借金を返済するのが著しく困難な状態のことを言います。
本当に支払不能なのかを証明するためには、様々な書類を裁判所に提出する必要があります。家族の預金通帳や所得証明書などを提出するケースもあり、家族の協力が必要になることが多いです。
さらに、自己破産では一定以上の財産は処分されるのが原則です。持ち家や車を手放さないといけない可能性もあります。これらの理由から、自己破産は家族に最もバレやすい手続きと言えるでしょう。
債務整理が家族にバレてしまうケース
家族が連帯保証人になっている
家族が連帯保証人になっている場合、基本的に債務整理はバレることになるでしょう。連帯保証人は、本人に代わって借金を返済する義務を負っています。
本人が借金を返済できなければ、連帯保証人に返済義務が移ります。そのため、本人が債務整理をした場合、連帯保証人である家族に請求がいくのが通常です。
家族に内緒で債務整理をしたい方は、迷惑や心配を掛けたくない気持ちであることが多いです。しかし、家族が連帯保証人である場合は、その方に返済義務が移ってしまいますので、それを理解したうえで今後の対応を考えた方がよいでしょう。
家族の協力が必要になった
自己破産では、破産者が本当に支払不能なのか、財産を隠していないか、などを裁判所が調査します。そのため、同居家族の財産に関する書類も提出する必要があります。提出する書類は、世帯全体の家計簿や収入証明書、銀行口座の通帳などです。
これらの書類を用意するためには、家族の協力が必要不可欠です。個人再生も同様に、家計収支表や収入証明書が必要になります。
一方、任意整理に関しては、裁判所を通さない手続きのため、用意しなければいけない書類は少ないです。家族にバレたくない方は、まず第一に任意整理を検討した方がよいでしょう。
債務整理の書類を見られた
債務整理をすると、弁護士事務所や裁判所から書類が届くことがあります。それらの書類を夫や妻に見られて債務整理が発覚するのはよくあるケースです。
弁護士に伝えておけば、法律事務所とわからないように郵便物を送るなどの配慮をしてもらうことは可能です。家族にバレたくないといった事情も、事前に弁護士には説明しておいた方がよいでしょう。
債権者に訴えられた
債務整理の手続き中、債権者が訴えを起こし裁判になることがあります。債権者に訴えられた場合、裁判所から自宅に訴状が届き、家族にもバレてしまう可能性があるでしょう。
債務整理を弁護士に依頼すると、債権者に受任通知が送付され、直接取り立てを行うことができなくなります。しかし、裁判を起こすことは禁止されていません。
裁判に敗訴した場合には、財産の差し押さえができるようになります。そのため、差し押さえられる財産によっては、家族や会社にも知られる可能性があります。
裁判を起こされた場合でも、債務整理をすることは可能です。裁判の判決が下される前に、債権者と和解をしたり、訴えを取り下げてもらったりすることもできます。裁判になった場合は、弁護士と相談しながら一早く対処した方がよいでしょう。
財産が処分された
自己破産の場合、一定以上の財産があれば処分されることになります。持ち家や車も処分される可能性があるため、家族にも大きな影響を及ぼす恐れがあります。
ただし、すべての財産が処分されるわけではありません。自己破産をしても、以下の財産は手元に残すことができます。
- 99万円以下の現金
- 生活必需品などの差し押さえが禁止されている財産
- 破産管財人によって放棄された財産
自己破産をする方の生活状況や財産の種類によっては、上記に該当しない財産も残せる可能性があります。処分しなくてもいい財産のことを自由財産といいますが、裁判所に申立てを行うことで自由財産は拡張することが可能です。
処分されないために財産を隠したりすると、自己破産が認められず、詐欺破産罪にも問われる恐れがあります。どうしても失いたくない財産がある場合には、まずは弁護士に相談しましょう。
債務整理が家族に及ぼす影響
債務整理による家族への影響は少ない
債務整理をすることで、配偶者や子どもが不利益を被ることは基本的にありません。保証人でない限り、借金を返済する義務があるのは本人のみです。例えば、家族がブラックリストに載ったり、借金を肩代わりさせられたりすることはありません。
しかし、家族が連帯保証人になっている場合は除きます。本人が債務整理をしたら、返済義務は連帯保証人である家族に移ります。その方が借金を返済できなければ、同様に債務整理を検討することになるでしょう。
また、自己破産では財産が処分されるため、持ち家や車を失うことになった場合には、家族への影響も大きいと言えます。
自己破産でも生活に必要な財産は残せる
自己破産でも、生活に必要な財産は残すことができます。衣服や家具、家電などを処分されてしまったら、破産者は生活をしていくことができません。自己破産は、破産者の生活を再生させることがひとつの目的です。
第一条 この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
引用元:破産法|e-Gov法令検索
すべての財産を処分し、破産者が再生の機会を失ってしまったら、本来の目的に反するため、一定の財産を残すことは認められています。また、裁判所に申立てを行い認められれば、残す財産の範囲を拡張することも可能です。
持ち家や車がある場合
自己破産や個人再生では、持ち家や車が処分される可能性があります。特に自己破産は、原則としてすべての財産が処分対象です。
一方、任意整理では、持ち家や車が処分されることはありません。どうしても残したい方は、まず任意整理を検討した方がよいでしょう。
妻・旦那に内緒で債務整理する時の注意点
まずは取り立てを早く止める
借金があることを夫や妻に知られたくない場合は、まずは取り立てを早く止めましょう。返済するお金がなく、滞納を続けている以上、基本的に催促の連絡は止まりません。債権者からの電話や書類で、家族に借金がバレてしまうのはよくあるケースです。
取り立てを止めるには、債務整理を弁護士に依頼し、受任通知を送付することで、債権者からの連絡をストップさせる必要があります。そのため、妻や夫に内緒で借金問題を解決したい方は、なるべく早い段階で弁護士に債務整理を依頼したほうがよいでしょう。
弁護士に事情を伝えた上で債務整理の方法を選ぶ
自己破産や任意整理など、債務整理の種類によって残せる財産や返済額も変わってきます。妻や夫にバレたくない、ということを優先したい方は、弁護士にその事情を伝えたうえで、ご自身にとって最適な債務整理の手続きを選ぶとよいでしょう。
また、弁護士に事情を説明することで、自宅に法律事務所名義で書類を送らないなど、家族にもバレないように配慮してもらうことが可能です。
弁護士費用や減額後の借金を滞納しない
妻や夫にバレないように債務整理をするためには、手続きをスムーズに進める必要があります。弁護士費用を滞納すると、債務整理の手続きが進まず、債権者から裁判を起こされる可能性も高まります。
債務整理後の返済についても同様です。債務整理後に返済を滞納すると、債権者と改めて交渉し、再和解をしたり、別の債務整理(任意整理後に自己破産するなど)を検討したりする必要があります。
借金を完済しない限り、妻や夫にバレてしまう可能性は残っています。 債務整理で借金が減ったからと安心せずに、期日を守りながらしっかりと返済していきましょう。
妻・旦那に内緒の借金がバレたらどうなる?
①夫婦関係が悪化する
妻や夫に借金がバレた場合、夫婦関係が悪化する可能性もあるでしょう。借金をした理由にもよるかもしれませんが、少なくともお金に関する信頼は失ってしまうかもしれません。
最悪の場合、離婚話にも繋がってしまう可能性があるでしょう。ただし、借金は法的な離婚事由には含まれません。
また、夫婦生活のためにした借金であれば、配偶者にも責任があり、返済義務が生じます。借金は家族に全く関係のない問題とは言えないので、一早く根本的な解決を目指しましょう。
②返済に協力をしてくれる
妻や夫の借金が発覚した場合、返済に協力的な姿勢を見せてくれることもあるでしょう。妻や夫の協力が得られると、借金問題も早く解決できる可能性があります。
例えば、夫婦で外食するのをやめて返済に当てたり、家事を分担し空いた時間でアルバイトをしたりなど、夫婦で協力し収入と支出を改善することができます。
本来、借金を返済する義務があるのは本人のみです。しかし、生活を共にする夫婦である以上、妻や夫の借金問題を早く解決したいと望む方も多いでしょう。
借金の返済は周りのサポートも重要
借金があると不安を感じ、精神的に不安定な状態になってしまう方もいます。借金の問題は家族や知人にも相談しづらく、ひとりで悩みを抱えてしまうことも多いです。
しかし、借金を返済していくためには、周りの協力やサポートも大切になります。借金に悩む方の中には、借金が原因でうつ病になったり、そもそもギャンブル依存症などの病気が借金の原因だったりするケースもあります。
家族に相談するのが難しい場合は、国が用意している相談窓口に連絡してみてもよいでしょう。ひとりで悩みを抱え込まずに、家族や専門家にも相談し、協力を得ながら借金問題を解決していくことが大切です。
【参考:キャッシングやローン返済でお困りの方へ 借金問題は解決できます。まずは相談を|政府広報オンライン 】
まとめ
妻や夫に内緒の借金をバレずに債務整理することは可能です。まずは、家族に最もバレにくい任意整理の手続きを検討してください。
任意整理は利息をカットすることができるため、最終的な返済総額も大きく減る可能性があります。ただし、ご自身の状況によっては、任意整理以外の方がよい可能性もあるため、まずは弁護士に相談してください。
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