個人再生で裁判所はどこまで調べる?通帳やギャンブルの有無は見られる? - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

個人再生で裁判所はどこまで調べる?通帳やギャンブルの有無は見られる?

個人再生を申し立てると、裁判所は申立者のお金の使い方や財産の動きなどを細かくチェックします。

これは、申告内容に虚偽がないか、個人再生の前に財産を意図的に隠していないかを確認するためです。

多額の借金を抱える申立者にとって、「どこまで調べられるのか、何年分さかのぼって確認されるのか?」は特に気になるところでしょう。

ここでは、裁判所による調査の目的や、具体的にどのような点を調べられるのかをわかりやすく解説します。

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個人再生時に裁判所の調査が入る理由

個人再生の手続きが適正に行われるよう、裁判所は申立内容を細かくチェックします。

ここでは、その調査の目的について説明します。

再生計画が妥当かどうか調べるため

返済計画が現実的かどうか、裁判所は必ず確認します。

例えば、毎月の返済額を高く設定しているのに、生活費や収入とのバランスが取れていなければ、無理な計画と判断されることがあります。

他には、高価な車を手元に残したまま返済を進める場合なども、優先順位に問題ありとみなされる可能性があります。

返済可能な金額や年数に無理がないか、裁判所は収支や生活状況を踏まえて総合的に判断します。

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財産や収入に誤りや偽りがないか調べるため

裁判所は、申立者が申告している収入・財産にウソがないかを確認します。

例えば、複数の銀行口座があるのに一部しか提出していなかったり、通帳から高額の現金引き出しがあったりすれば「資産隠しでは?」と疑われるかもしれません。

給与明細、課税証明書、保険証券などの提出書類も丁寧にチェックされます。

記載ミスや申告漏れがあれば、説明を求められたり、追及を受けたりする可能性があります。

債権者が不利益を受けないようにするため

個人再生では、すべての債権者が公平に取り扱われなければなりません。

もし、ある債権者だけに先に返済していたり、一部の借金を故意に申告していなかったりすると、他の債権者に不利益が生じてしまいます。

こうした不正を防ぐため、裁判所は申立者の財産・支払い履歴・債権者一覧などを厳しく確認します。

不公平な再生計画は認められないため、正しい情報を提供することが大切です。

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個人再生時に裁判所はどこまで調べる?

次に、個人再生に裁判所が行う調査の具体的な内容を紹介します。

収支の状況

毎月の収入と支出のバランスは、再生計画の実現可能性を判断するうえで重要です。

例えば、月収20万円の人が月5万円を返済すると申告しても、生活費との兼ね合いから現実的でないと判断されることがあります。

家計簿の提出を求められることもあり、使途不明な支出やギャンブル・浪費が多いと、手続きの進行に支障をきたすおそれがあります。

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所有している財産

裁判所は、申立者が持っている財産をすべて確認します。調査対象となるものの例は以下の通りです。

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 自動車
  • 保険
  • 退職金 など

例えば、名義変更して親族名義にしていた車があった場合、それも実質的な財産として見なされる可能性があります。

財産が多い場合は、それに応じた返済額を求められるため、申告漏れがないよう注意しましょう。

債務(借金)の一覧

借金の総額や内訳も調査対象になります。

すべての債権者を漏れなく申告しなければならず、1社でも記載漏れがあると手続きが無効になる可能性もあります。

例えば、友人からの借入や、スマホの分割払い、カードのキャッシング残高なども含まれます。

債務の申告漏れは、たとえ故意でなくても手続きに影響するおそれがあります。

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財産処分の履歴

過去にどのような財産を処分したか(売却・譲渡・贈与など)も確認されます。

特に、直近で高額な資産を現金化していたり、他人名義にしていたりした場合は、意図的な隠匿を疑われるおそれがあります。

例えば、破産直前に車を親に無償で譲った場合などが該当します。

個人再生時に裁判所は何年分まで調べる?

裁判所の調査は、現在の収入や財産だけではなく、過去にさかのぼって調査を行います。

ここでは、通帳や証明書などの具体的な調査期間の目安をご紹介します。

給与口座:直近3か月程度

給与振込口座は、直近3か月分の入出金履歴がチェックされるのが一般的です。

継続的な収入があるかどうかを確認するためのもので、会社名・金額・振込日なども見られます。

例えば、急に収入が増減していないか、副業収入や仕送りがあるかなども判断材料になります。

3か月分は必須ですが、収入が不安定な場合には、それ以上の提出を求められることもあります。

課税証明書:直近2年程度

課税証明書(住民税の課税内容を証明する書類)は、過去2年分の提出が基本です。

これによって安定した収入があるか、申告内容に食い違いがないかが確認されます。

例えば、前年に高額な収入があるのに通帳にはその入金が見当たらない場合、説明を求められることがあります。

確定申告をしている個人事業主は、申告内容との整合性もチェックされます。

銀行通帳:1年以上

銀行通帳は、メインの口座だけでなく、持っている全口座の過去1年以上分の取引履歴が調査対象です。

例えば、1年前に高額の出金があり、そのお金の使い道が説明できない場合は、資産隠しや財産の不正処分を疑われる可能性があります。

通帳を複数持っている場合は、すべての通帳の提出が求められることが多いため、早めに整理しておくことが重要です。

財産処分履歴:直近1~2年程度

直近1〜2年の間に売却や譲渡などで処分した財産も調査の対象です。以下に例を挙げます。

  • 車を知人に譲った
  • 保険を解約した
  • 退職金を受け取った など

まとまったお金の動きがあると、資産の使い道や処分理由を詳しく確認されます。

特に財産を他人に無償で渡していた場合は、裁判所から、偏った処分として指摘される可能性があります。

個人再生で裁判所に出頭を求められるケース

個人再生では、状況によって、裁判所に出頭を求められることがあります。

ここでは、出頭が必要になる代表的な場面を解説します。

再生委員との面談を行う場合

東京や大阪などの裁判所では、個人再生の申立てと同時に、再生委員が選任されることが多く、再生委員との面談が義務付けられています。

面談では、収支の状況、生活スタイル、財産の管理状況などについて確認されます。

例えば、通帳の入出金の説明や、なぜ個人再生を選んだのかといった動機を聞かれることもあります。

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裁判所に説明を求められた場合

申立書や提出書類に不備や不明点があると、裁判所から直接呼び出されることがあります。

例えば、収入の変動が大きい、財産の処分履歴に不自然な点がある、通帳の動きに説明がつかない、などの場合です。

事情をしっかり説明することで、誤解を解いたり、不備を修正したりすることができます。

住宅ローン特則を使う場合

住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用して、住宅を手元に残したまま個人再生を行う場合、出頭が求められることがあります。

この特則を利用するには、住宅ローンの返済継続が可能か、裁判所や再生委員によって厳しく確認されるため、面談が必要になることがあります。

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出頭が不要なケース

すべてのケースで出頭が必要なわけではありません。

特に地方の簡易裁判所などでは、書類審査のみで手続きが進むこともあります。

弁護士に依頼している場合は、弁護士が申立人の代理としてやり取りを行うため、本人が裁判所に行かなくても済むケースも多くあります。

面談がないからといって、細かい不備を見逃してもらえるわけではありませんので、注意しましょう。

個人再生前や手続き中のギャンブルはバレる?

通帳やクレカの明細・銀行口座からバレる

ギャンブルをしていたかどうかは、通帳の入出金履歴などから分かることがあります。

たとえ現金で支払っていても、毎週のようにパチンコ店の近くのATMから同じような金額を引き出していれば、「ギャンブルでは?」と疑われる可能性があります。

現金の使い道までは見えなくても、引き出しのタイミングや場所から推測されることがあるため、「現金だからバレない」という考えは危険です。

禁止されてはいないがしない方がいい

個人再生では、ギャンブルをしていたこと自体が法律違反になるわけではありません。

しかし、浪費癖があると見なされると、「計画通りに返済できるのか?」と裁判所に疑われるおそれがあります。

ギャンブルを理由に手続きが却下されるケースは少ないものの、印象が悪くなるのは事実です。申し立て後は、ギャンブルは控えるのが賢明です。

ギャンブル歴は正直に伝えた方がいい

過去にギャンブルをしていたことがあっても、現在はやめていて、再発の可能性が低いと判断されれば、手続きが認められることも多いです。

大切なのは、正直に申告し、反省の姿勢を示すことです。もし指摘された場合には、正直に説明し、今後は浪費しないと示すことが重要です。

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個人再生の通帳提出の期限はいつまで?

通帳の提出は、個人再生の申し立て時に行います。申し立てと同時に裁判所や再生委員が確認できるよう、あらかじめ準備しておきましょう。

インターネットバンキングを利用している場合は、オンライン明細を印刷したものでも問題ありません。

あまり使用していない口座も含めて、名義人であるすべての口座を提出するのが原則です。

使っていないからといって省略すると、後から提出を求められたり、不審に思われたりする可能性があります。

個人再生で口座隠しや申告漏れがあった場合のリスク

個人再生では、すべての財産と債務を正しく申告することが前提です。

通帳や口座を隠したり、申告漏れがあったりすると、手続きの却下や再生計画の不認可につながるおそれがあります。

以下に具体例を挙げます。

裁判所や再生委員から厳しく追及される

提出された資料に不審な点があると、裁判所や再生委員から詳細な説明を求められます。

例えば、申告されていない銀行口座の存在が信用情報などから判明すると、「意図的に隠したのではないか」と疑われることもあります。

そうなると、申立人の誠実さそのものが問題視され、調査がより厳しくなるおそれがあります。

手続きが却下・不認可になることも

重大な申告漏れや資産隠しが発覚すると、個人再生そのものが却下されたり、再生計画が不認可とされる場合があります。

たとえ悪意がなかったとしても、「信用できない」と判断されれば、裁判所は再生手続きを認めてくれません。

正直かつ正確に申告することが、手続きを成功させるための確実な方法です。

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個人再生に関するよくある質問

個人再生で通帳の履歴はバレる?

バレる可能性が高いです。裁判所や再生委員は、提出された通帳をもとにお金の流れを細かく確認します。

隠しても信用情報や書類の整合性などから発覚する可能性が高いので、正直にすべて申告しましょう。

個人再生は裁判所から通知がある?

裁判所から通知はありますが、弁護士に依頼している場合は、基本的にその通知は弁護士宛に送られます。

個人再生はほとんどのケースで弁護士を通じて行われるため、自宅に直接通知が届くことはあまりありません。

まとめ

個人再生を申し立てると、裁判所は通帳や財産、借金の内容などをしっかり確認します。

数か月〜数年分の口座の履歴をさかのぼってチェックされることもあり、かなり細かく見られます。

もし嘘をついたり、大事なことを申告し忘れていたりすると、手続きが通らないおそれもあります。

そうならないように、最初から弁護士に相談して、正しく準備を進めることが大切です。

個人再生は、自己破産とは異なり、一定の収入があることを前提とした再建型の手続きであるため、要件を満たせば利用できる可能性があります。

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