判例紹介– category –
-
代表取締役の業務に対する平取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社は、BとY1、Y2らが発起人となって、昭和41年7月6日に電気製品販売・修理業を営むため設立された会社であり、設立後は、Bが代表取締役、Y1、Y2 が取締役に就任しました。 ところがA社では、当初から創立総会も株主総会も、正式な取締役会も... -
一人会社の名目的取締役に対し、商法旧266条1項5号に基づいてなされた損害賠償請求が、信義則に反し許されないとされたケース
【事実関係】 A社は、実質上代表取締役Bの一人会社と見られる実態がありました。A社は、経営に窮し、仕入商品の投売換金をした上で、昭和31年2月9日に倒産しました。 A社の破産管財人Xは、Bの投売換金という違法不当な業務執行行為を抑止する措置をなんら... -
選任決議を欠く取締役の監視義務違反行為について、商法旧266条ノ3等により損害賠償責任が認められたケース
【事実関係】 Xは、A社に対して約137万円の債権を有していましたが、A社が倒産していたためその回収ができなくなり同額の損害を被りました。 A社の代表取締役としてYが登記されていましたが、YはA社設立の際に、Bから名目上の代表取締役就任を依頼されて承... -
有限会社法30条ノ3第1項(取締役の対第三者責任)に関し、他の取締役に業務を任せていた有限会社の代表取締役の職務懈怠と、第三者の被った損害との間に相当因果関係がないとされたケース
【事実関係】 Aは自ら溶接材料販売業の経営を行ってきましたが、会社組織として経営することを考えるようになりました。 そこでAは、有限会社Bを設立しましたが、対外的信用を得るために、当時別会社の代表取締役を務めていたYの承諾を得てYを名目だけの代... -
代表取締役の意思に反して行われた業務担当取締役の取引によって第三者に損害を与えた事案において、代表取締役について商法旧266条ノ3の責任が否定されたケース
【事実関係】 A社は宝石類の輸出入・販売等を目的とする株式会社であり、Yはその代表取締役でした。 Yは業務担当取締役(専務)であるBから、Xよりダイヤモンド原石を購入する提案を受けましたが、Yが強硬に反対し、重役会議ではBの提案は通りませんでした。... -
名目上の代表取締役につき、監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社は、Bがその実権を有し業務一切を担当し経営に当たっていた株式会社です。かねてよりYの父であるCがA社の信用のために名目上の代表取締役に就任していました。 しかし高齢を理由に辞職を申し出たため、B・Cから懇請され、Yはやむなく名義... -
他の代表取締役に業務を任せきりにしていた代表取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社は工器具類の製造販売を営む株式会社であり、Yが代表取締役社長、Bが代表取締役専務を務めていました。 X社は昭和27年3月4日頃、Bから鋼材を買い受けたい旨の申込みを受け、鋼材合計16トンをA社に引き渡しました。A社はその代金支払いの方... -
取締役による仕入品の不正処分について、代表取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社では、Y1が代表取締役、Y2とY3が取締役を務めていました。 A社はX社ほか三社から商品の仕入れを行いましたが、Y2、Y3は共謀してその商品のほとんどを質に入れたり投げ売りするなどして不正に処分しました。 それによって得た金銭の一部はA... -
代表取締役による偽造手形の振り出しについて、他の名目的代表取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A社は、C社の製品の販売を主たる目的として設立された会社であり、YとBが代表取締役を務めています。 もっとも、Yは親しい間柄にあったC社社長のDから名義だけを貸すように頼まれてA社の代表取締役となった、いわゆる名目的代表取締役でした... -
他の代表取締役が行った手形の支払いについて、すでに辞任した代表取締役の監視義務違反が認められなかったケース
【事実関係】 A社では、BとYが代表取締役を務めていましたが、Yは、昭和27年6月30日にA社の取締役を辞任しました。その後、同年7月15日に後任取締役としてCが選任され、同年8月29日にはYの取締役退任登記がなされました。 昭和27年8月23日、A社は、本件手... -
取締役の監視に重大な過失が無いとして賠償責任が否定されたケース(他の取締役による詐欺)
【事実関係】 貿易会社であるA社では、代表取締役Y1のほか、Y2~Y7が取締役を務めていました。 A社はB社に対する生糸の輸出取引に際して、X銀行からいわゆる貿易手形の割引による融資を受けることにしました(本件手形割引)。 本件手形割引には、内国メーカ...