契約書のレビューは必要?チェックポイントを解説!

契約書の内容が本当に正しいのか、抜けている項目が無いか、法律に反する項目が無いか等、契約書には確認すべき事項が多数あります。

きちんと確認をしないまま契約を締結すると後のトラブルにつながりかねないため、弁護士や法務担当等の専門家による契約書のチェックを受けるべきでしょう。

 

ここでは契約書のレビューについて解説します。

 

契約書のレビューの目的

契約書のレビューを行う目的は、以下の2点です。

  1. 契約内容の明確化・紛争回避
  2. 自社に不利な項目を洗い出す

 

契約内容の明確化・紛争回避

契約書に記載すべき項目が漏れなく記載されているかどうか、多義的に捉えられる表現が無いか等を確認することで、契約内容を明確化できます。

個人や中小企業等で契約書に関する知識が無い人が契約書を作成する場合に、曖昧な表現を使用してしまうと当事者の解釈によっては誤解が生じ、後のトラブルに発展する恐れがあります。

契約内容を明確に、誰が見ても同じ意味に捉えられるように、分かりやすく簡潔な表現を使用する必要があります。

 

自社に不利な項目を洗い出す

ビジネス上、ある程度の不利な内容の契約を結ぶこともありますが、どうしても受け入れられない項目は相手方に修正の交渉をしましょう。これを見過ごしたまま契約を締結してしまうと、後に損害を被る可能性があります。

当事者のどちらが作成した契約書であっても、自社に不利な項目の洗い出しと、修正の要否について慎重な検討が必要です。

 

契約書のリーガルチェックにおけるポイント

ここでは、契約書のリーガルチェックにおけるポイントを、形式面と内容面に分けて解説します。

  1. 形式面のポイント
  2. 内容面のポイント

 

形式面のポイント

タイトル

「売買契約書」や「金銭消費貸借契約書」等のタイトルです。契約書の具体的な内容により法的拘束力が発生するため、タイトル自体はどのようなものでも構いませんが、一目見てどういう契約内容なのかが分かるタイトルにしましょう。

 

前文

契約の当事者を明確にし、契約内容を簡潔に説明する部分です。一般的な前文としては、「A(以下、「甲」という。)とB(以下、「乙」という。)は、以下の通り●●契約を締結する。」となります。当事者が2者の場合は「甲」・「乙」なりますが、3者以上の場合は、以下「丙・丁・戊・己・庚」と続きます。

 

本文(契約の内容)

契約の内容を箇条書きで記載します。箇条書きの項目を「条」と呼び、「第1条」、「第2条」と並べます。契約書が1ページから数ページ程度の簡単なものもあれば、中には数十枚、数百枚に及ぶ複雑な契約書もあります。一つの条の内容を細かく分けて記載する場合は、条の下に「項」として箇条書きを加えます。項の内容を更に細かく記載する場合は、項の下に「号」として記載します。

 

後文

契約書の作成通数、保有者等を定めます。一般的には「以上の合意成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙が記名押印の上、甲乙各自が1通を保管する。」となります。保有者や保管することを記載するため、後にトラブルになった際に、「契約書を渡されていない。」という主張を避けられます。

また、上記の例では「記名押印」としましたが、例えば「署名」とした場合に記名しかされていない場合、署名するまでは契約が成立していないと判断される恐れがあるため、実際に予定する署名・押印方法と必ず一致させましょう。

 

契約締結日

契約を締結した日付を記載します。契約書の中で契約内容が有効になる日を特別に定めていない限り、ここで記載する日付が契約内容の効果の発生日となります。契約の発生時期をめぐりトラブルになる可能性もあるので、必ず記載しましょう。

 

署名、記名押印

契約当事者が契約書の内容に合意することを示す意思表示になるので、契約当事者の署名は必須です。署名の場合は捺印が無くても効果がありますが、実務上は署名+捺印(自筆で名前を書き、印を押すこと)が一般的です。

署名捺印に対し、記名押印の形もあります。これは「当事者の名前を自筆以外の方法(印刷やゴム印等)で記載し、印を押すこと」で、この場合は署名ではないため、押印が必須になります。

 

内容面のポイント

契約内容や文言が明確になっているか

「何を合意したのか」という内容を明確に記載しましょう。また、後のトラブルを防止するために、誰が見ても分かるような言葉で簡潔に記載する必要があります。内容や文言が不明瞭な場合、契約当事者の間で合意内容について認識の齟齬が発生する恐れがあります。

 

当事者の利益のバランスがとれているか

片方の当事者にあまりにも有利な契約書を作成してしまうと、それだけで相手方から契約を拒否される可能性があります。ビジネスには駆け引きもあるため、多少の有利不利は交渉の中であり得ますが、明らかに当事者の利益のバランスがとれていない契約書は、仮に契約締結したとしても、後の関係性に影響を及ぼすこともあります。当事者間の信頼関係の構築を考慮した内容にするべきでしょう。

 

合意事項の抜けが無いか

当事者間で合意した内容を漏れなく契約書に記載しましょう。契約書に記載すべき項目は契約の内容によって異なります。インターネット等で入手できるひな形をそのまま利用した場合、必ずしも実際の契約内容に沿ったものではないため、合意事項の記載が漏れることもあります。後に契約内容についてトラブルが起きた際に、契約書の記載が漏れていたことを理由に損害を被る可能性があります。

 

強行規定に反する項目が無いか

法律の規定には「任意規定」と「強行規定」の2種類があります。民法には「契約自由の原則」があるため、契約内容は契約当事者が自由に決めることができます。仮に法律では「●●しなければならない。」という規定が定められていても、当事者間の合意があればその規定を無視できます。

ただし、当事者間の合意の如何を問わずに適用される規定のことを「強行規定」といいます。

公の秩序に関する規定の場合、たとえ当事者間の合意があったとしても、強行規定に反した内容が記載された契約書は無効になるので注意が必要です。一般的には公序良俗について規定したものが強行規定に該当します。

 

契約期間の定めがあるか

契約期間が決まっているのか、決まっていないのか、合意事項を達成するために必要な期間がある場合にその期間がしっかりと確保されているか等、契約期間を確認しましょう。契約期間を定めることに合意したにも関わらず契約書に記載しなかった場合、本来契約満了となるはずだった時期に円満に別れることができない可能性があります。

 

価格、支払期限、支払方法が定められているか

誰が、何を、いつまでにいくら支払をするのか等、契約内容の具体的な履行方法に関する定めが記載されているかを確認しましょう。例えば支払期限を定めなかった場合、支払う側がいつまでも支払いをしなくても、「支払期限を決めていなかった」と主張される可能性があります。

単純に「●●を〇〇円で売ります」、「買います」、とだけの契約にしてしまうと、「いつ引き渡すのか」、「いつ支払うのか」といった問題が出てくるので、契約内容の具体的な履行方法を定めておくべきでしょう。

 

損害賠償に関する定めがあるか

契約書に損害賠償の項目が無くても、民法上、不法行為や債務不履行によって発生した損害を相手方に請求できます。ただし、一般的には実際に損害が発生した時の交渉等をスムーズに行えるように、損害賠償に関する定めを記載します。

損害賠償を負担できる限度もあるので、損害賠償の範囲や損害賠償額については、上限を定めておくことも大切です。なお、実際に発生した損害からあまりにもかけ離れた損害賠償額を負担する定めを記載した場合、公序良俗に反する規定として無効となる可能性があります。

 

争いが発生した際にどこの裁判所で手続きをするのか

万が一契約締結後にトラブルが発生し、裁判沙汰になった際に、どの裁判所で争うのかを決めておきましょう。例えば北海道に住むAさんは、沖縄県に住むBさんに200万円を貸付け、半年後に返済をするという内容の金銭消費貸借契約を締結しました。

しかしBさんは半年後どころか1年経過しても全く返済しなかったので、Aさんは札幌地方裁判所に訴訟を提起しようとしました。しかし、Bさんと取り交わした契約書には、「専属的合意管轄裁判所として沖縄地方裁判所とする。」と記載されていたことで、札幌地方裁判所では訴訟を提起できず、沖縄地方裁判所で訴訟を提起しなければなりませんでした。

このような事態を避けるため、自身が訴訟を提起する場合を考えて、どこの裁判所で手続きをするのかについてしっかり確認しておきましょう。

 

 

 

AIによる契約書レビュー

人の手による契約書レビューだけではなく、AIを用いる方法もあります。ここではAIを利用するメリット・デメリットを解説し、主なAIによる契約書レビューサービスを掲載します。

 

  1. AIを利用するメリット
  2. AIを利用するデメリット
  3. 主なAIによる契約書レビューサービス

 

AIを利用するメリット

コストの削減

弁護士等の専門家に契約書のレビューを依頼すると、内容にもよりますが1件5万円以上はかかります。また、企業の場合は法務担当者がチェックを行うこともあり、多くの費用や時間が必要となります。しかし、AIを利用すれば、1件あたりの費用と時間を大幅に削減できます。

 

契約書レビューの時間を短くできる

人間が契約書レビューを行う場合、各種文献や過去の契約書を参照しながら行うため、レビュー完了までに相当の時間を要しますが、AIは早ければ数時間でチェックが完了し、参考にすべきデータも示されるため、レビューにかかる時間を大幅に短縮できます。

 

スムーズに契約締結まで進める

契約書レビューがスムーズに進めば、それだけ契約締結もスムーズに進みます。

あまり時間をかけずに契約を締結したい場合に、AIを利用すれば契約書の確認作業時間を大幅に短縮できるので、スピード感をもって契約を行えます。

 

AIを利用するデメリット

全ての契約書に対応しているわけではない

AIは様々な契約書を記憶・学習することでチェックの精度を上げるものなので、前例の少ない契約や特殊な契約のレビューには向きません。AIが対応していない契約書の場合は、従来通り人間の目による確認が必要です。

 

取引の実態や契約の背景を判断できない

AIは契約書の内容だけを見てレビューをするため、取引の実態や契約の背景を理解することはできません。当事者間の関係性、慣習等は契約内容に影響を及ぼしますが、AIがこれらを踏まえた契約書レビューを行うのは難しいでしょう。

 

 

主なAIによる契約書レビューサービス

主なAIによる契約書レビューサービスは、下記の4種類です。それぞれ特徴が違うため、どのサービスが適しているかを検討してから利用すると良いでしょう。

各サービスのHPリンクを掲載していますので、詳細は下記をご参照ください。

 

LegalForce

 

 

AI-CON

 

LawFlow

 

インテリジェント契約チェッカー

まとめ

契約書レビューの目的、チェックポイント、AIによるレビューサービスについて解説しました。

契約書は1度締結してしまうとその後の修正に非常に手間がかかるため、慎重に確認をする必要があります。当事者間のトラブルを発生させないためにも、専門家やAIを利用して、きちんとした契約書を作成しましょう。

 

 

 

この記事を書いた人

ネクスパート法律事務所