法人破産で滞納税金・社会保険料は原則免除!支払義務が残る3つの例外

会社・法人を破産させても滞納税金や社会保険料の支払義務は免除されないというような情報を目にすることもあります。
しかしこれは間違いで、法人破産をすれば、滞納税金や社会保険料の支払義務もなくなるのが原則です。もちろん、例外的に支払いを免れない場合もあります。
この記事では、法人破産後の滞納税金や社会保険料の支払義務について解説します。万一支払義務が残った場合の対応についても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
法人破産をすると滞納税金や社会保険料の支払義務はなくなる
ここでは、法人破産をした場合の滞納税金や社会保険料の取り扱いについて説明します。法人の責任と個人の責任がそれぞれどうなるのかを確認していきましょう。
滞納税金や社会保険料は消滅する
法人破産の手続きが終了すると、会社の法人格が消滅します。債務者がいなくなりますので、その会社・法人に対する債権もすべて消滅します。滞納税金や社会保険料の請求権ももちろん同様に消滅するのが原則です。つまり、滞納税金や社会保険料を支払う必要はありません。
法人の代表者も法人の税金の支払義務は負わない
法人は消滅しますが、法人の代表者に納税義務が移るのではないかと考えている人もいるようです。
しかし、法人と自然人である代表者個人は別人格であり、破産した法人の納税義務が代表者に移るわけではありません。後述する例外を除いて、法人の代表者が法人の滞納税金等を支払う必要はありません。
個人の自己破産では税金や社会保険料の支払義務は免除されない
ここで混同されやすいのが、個人の自己破産です。
自己破産をすると金融機関等からの借金は原則すべて返済義務が免除されます。しかし、非免責債権と呼ばれる一部の債権については免責されず、自己破産をしても支払いをしなければなりません。この非免責債権に税金や社会保険料が含まれています。
もし法人破産と同時に、代表者個人の自己破産をした場合、代表者個人に滞納税金があれば、その滞納税金の支払義務は免除されません。
法人破産で滞納税金を支払わなければならない3つのケース
法人破産をすると、滞納税金や社会保険料は消滅するのが原則ですが、例外的に法人破産をしても滞納税金等を支払わなければならないケースもあります。
合名会社・合資会社の無限責任社員の場合
合名会社・合資会社の無限責任社員は、会社が負った債務を会社が返済できない場合、債務を負い弁済しなければなりません。法人が消滅しても、無限責任社員には納税義務が残ります。
財産や事業を無償または廉価で譲り渡している場合
破産する法人の財産や事業を、無償または廉価で第三者に譲渡している場合、その譲り受けた人が第二次納税義務者として滞納税金等を支払わなければならない可能性があります。ただし、この場合、破産管財人の否認権行使により財産が破産財団に組み入れられれば納税はしなくてもよいでしょう。
納税保証をしている場合
納税保証をしているケースは少ないと思いますが、過去に脱税や悪質な申告漏れなどで納税保証書を提出している場合、法人が滞納した税金の納付を請求されます。
法人破産における税金の滞納処分
法人でも個人でも、税金を滞納していると、滞納処分を受けることがあります。
滞納処分とは、財産が差し押さえられて、換金され、滞納税金の納付に充てることです。
一般的な借金の返済が滞り、債権者が債務者の財産を差し押さえる場合には、裁判を起こし、判決を取って、その判決をもとに差し押さえを行います。しかし税金の滞納処分については、この過程が不要で、督促状を送付してから10日を過ぎれば差し押さえられてしまう可能性があります。いつ差し押さえをされるかわかりません。
法人破産の場合、手続きを躊躇している間に税金の滞納処分が行われ、経営が立ち行かなくなってしまうことも考えられます。税金の滞納がある場合にも、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
なお、税金の滞納処分の場合には、他の一般の債権の差し押さえの場合とは異なり、破産手続きが開始しても差し押さえは停止・取り消しされません。
法人破産手続きにおける滞納税金等の取り扱い
破産手続きでは、破産管財人が財産を処分し換金し、債権者に配当します。このとき、滞納税金や社会保険料の債権は、他の一般的な金融機関からの借り入れ等よりも優先的に弁済・配当されます。
以下、弁済・配当の優先度が高い債権を順番にご説明します。
財団債権
財団債権として、もっとも優先される税金や社会保険料の債権は以下のとおりです。
- 破産手続開始前の原因に基づいて発生した、納期限が未到来のものまたは納期限から1年経過していないもの
- 本税が財団債権となる場合の延滞税・利子税等
- 破産手続開始後の原因に基づいて生じた、本税が財団債権となる場合の加算税・加算金
優先的破産債権
財団債権の次に優先され弁済・配当されるのが優先的破産債権です。
財団債権となるものと後述する劣後的破産債権に該当するもの以外が優先的破産債権として取り扱われます。
劣後的破産債権
- 破産手続開始前の原因に基づいて生じた本税が財団債権となる場合の加算税・加算金
- 破産手続開始前の原因に基づいて生じた本税が優先的破産債権となる場合の延滞税・利子税・延滞金または加算税・加算金
- 破産手続開始後の原因に基づいて生じた租税債権のうち財団債権とならないもの
補足:税金の支払い義務が残ってしまった場合はどうする?
以上の順番で弁済・配当され、それでも弁済しきれなかった滞納税金等は法人の消滅にともない消滅します。
ただし、先述したとおり例外的に法人の代表者等が支払義務を負うケースがあります。その場合には、税務署や役所などの担当窓口に相談しましょう。分納に応じてもらえたり、納税の猶予が認められたりする場合もあります。
まとめ
法人破産をした場合、原則として滞納税金や社会保険料は支払わなくてよくなります。例外的に支払義務が残るケースがありますが、限定的です。ご不安な場合には、弁護士に相談することをおすすめします。個別の事情については弁護士に相談するとよいでしょう。