多重債務は弁護士に相談!解決方法・相談のタイミング・費用を解説
多重債務とは、複数の金融機関から借金をしていることを指します。
複数の金融機関から借入れを重ねると、返済の管理が難しくなるため、返済のための借金をする状況に陥る傾向があります。
自転車操業のような悪循環が続くと、時間が経過するほど借金が膨らむため、収入の範囲で返済を行える状況に自力で戻すことが難しくなります。
多重債務を抱えて、返済のために借入れをする状態にある場合は、1日も早く債務整理を検討することをおすすめします。
この記事では、多重債務問題を早期に弁護士に相談すべき理由や弁護士に相談するメリットについて解説します。
目次
多重債務問題を早期に弁護士に相談すべき理由
ここでは、多重債務問題を早期に弁護士に相談すべき理由を解説します。
返済が遅れると遅延損害金が発生する
期日までに返済できなかった場合は、その翌日から遅延損害金が発生します。遅延損害金とは、返済期日を過ぎた場合に上乗せされる損害賠償金です。
遅延損害金の上限利率は、以下のとおり利息よりも高く、消費者金融の多くが年20%に設定しています。
- 元本10万円未満:2%
- 元本10万円以上100万円未満:28%
- 元本100万以上:9%
遅延損害金は、以下の計算式で求められます。
遅延損害金=滞納額(元金)×遅延損害金率(年率)×滞納日数÷365日 |
借金を完済するまで、滞納した金額に対して遅延損害利率で計算した金額が上乗せされます。延滞日数が長くなるほど、遅延損害金は増えるため、返済がさらに難しくなります。
返済と借入れを繰り返すと借金が膨れ上がる
多重債務に陥ると、返済のために借入れを繰り返す傾向があります。
自転車操業を続けると、雪だるま式に借金が膨らみ、近い将来、どこからも借入れができなくなります。そのような状態に至ると、自力での借金返済が困難になります。
日常生活に支障が生じる
貸金業法では、年収の3分の1以上を超える個人への貸付が禁止されています。これを総量規制といいます。総量規制の対象となるのは、消費者金融やクレジットカード会社等の貸金業者に限られますが、規制対象外の銀行でも総量規制に類似する自主規制を設けているところもあります。
年収の3分の1は、これを超えると返済不能となる確率が高く、これを超えない借入れなら家計を圧迫せず返済を継続できると金融庁が判断した数値です。
収入の3分の1以上を返済にあてている場合は、いずれは返済額が家計を圧迫し、日常生活に支障が生じるおそれがあります。
利息だけの返済では完済できない
月々の返済額を抑えると、そのほとんどが利息に充当されるため、いつまでたっても元本を減らせません。
毎月返済を続けていても元本が減らない場合は、月々の返済額を増額しない限り、完済できる見込みがありません。
闇金や犯罪に巻き込まれるおそれもある
借金総額が年収の3分の1を超えると、消費者金融やクレジットカード会社から追加融資を受けられなくなります。
借金総額が3分の1未満でも、2〜3か月以上返済を滞納すると、信用情報機関に遅延情報が登録され、新たな借入れやクレジットカードの作成が困難になります。
そのような状況に陥ったとき、「ブラックOK」「審査不要」という甘い言葉に誘われて闇金を利用する方も少なくありません。
俗に「トイチ」「トサン」といわれる10日で1割、3割の高利で貸し付ける無登録業者は、法外な利息を長期間取り続けることを目的としてお金を貸しています。
ほんの数万円でも一度借りたら法外な利息を要求され、返済を一度でも怠ると執拗な取り立てや嫌がらせを受ける可能性があります。
弁護士による多重債務の解決方法とは?
ここでは、弁護士による多重債務の解決方法を紹介します。
多重債務の解決手段の一つに債務整理があります。債務整理とは、裁判所の手続きや債権者との話し合いにより、借金を減額したり返済義務を免除してもらったりする手続きです。
債務整理には、主に次の3つの手続きがあります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
任意整理
任意整理とは、裁判外で、債権者との交渉により返済方法を変更する手続きです。
将来利息や遅延損害金の免除による総返済額の減額や返済期間の延長による月々の負担軽減が望めます。
任意整理のメリット・デメリットは、下表のとおりです。
メリット | デメリット |
・返済総額や毎月の負担を減らせる
・交渉する債権者を自由に選べる ・財産を手放す必要がない ・資格制限を受けない ・周囲の人にバレにくい ・法外な利息を払っていた場合は過払金が戻る可能性がある |
・信用情報機関に事故情報が登録される
・強制力がないため、債権者が和解に応じないこともある ・差し押さえを阻止できない |
個人再生
個人再生とは、概ね5分の1に減額した借金を原則3年(最長5年)で分割払いする手続きです。債務者が返済計画を立て、裁判所に認可されれば残りの借金の返済義務が免除されます。
個人再生のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・借金総額を概ね5分の1に減らせる
・マイホームを手放さずに手続きできる ・借金の理由は問われない ・資格や職業の制限を受けない ・強制執行を回避・中止できる |
・信用情報機関に事故情報が登録される
・官報に3回掲載される ・ローン返済中の車は原則として債権者に引き揚げられる ・財産が多いと弁済額が増額することがある ・保証人や連帯保証人に迷惑がかかることがある |
自己破産
自己破産は、借金(非免責債権を除く)の返済義務を免除してもらう裁判所の手続きです。借金が全額免除される代わりに、債務者が保有する財産(生活必需品等の一定の財産を除く)は換価され、債権者に配当されます。
自己破産のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・借金がゼロになる | ・信用情報機関に事故情報が登録される
・官報に2回掲載される ・借金の理由が問われる ・一定の財産が処分される ・資格制限を受ける ・保証人や連帯保証人に迷惑がかかることがある |
多重債務問題を弁護士に相談するメリット
ここでは、多重債務問題を弁護士に相談するメリットを紹介します。
自分に適した解決方法を提案してくれる
債務整理のどの手続きが適しているかは、借金の総額や収入・資産の状況によって異なります。適切な解決方法を選択しなければ、借金問題を根本的に解決できなかったり、今後のライフプランに影響を及ぼしたりすることもあります。
弁護士に相談すれば、個々の事情に適した解決方法を提案してもらえます。
催促や取立てを止められる
弁護士に債務整理を依頼すれば、受任通知の送付により、債権者からの取立てや催促が止まります。
自己破産の場合はもちろん、任意整理や個人再生の場合でも、債権調査のため一時的に返済を停止できます。
経済的にも精神的にも負担が軽減されるため、平穏な日常生活を取り戻せます。
誰にも知られずに借金問題を解決できる可能性がある
弁護士への依頼後は、債権者や裁判所からの連絡・通知は弁護士に宛てられるので、電話や郵便物が原因で家族や職場にバレる可能性を低くできます。
依頼時に家族に内緒で手続きを進めたいと弁護士に伝えれば、弁護士との連絡手段なども希望に合わせて柔軟に対応してもらえます。
債務整理の煩雑な手続きや交渉を任せられる
債務整理では、様々な資料を収集したり、難解な法律用語を読み解きながら書面を作成したりしなければなりません。債権者や裁判所とのやり取りには、法的知識や交渉力も不可欠です。
弁護士に依頼すれば、必要書類の収集・作成から債権者・裁判所とのやり取りも、迅速かつ正確に進めてもらえるため、手間や時間を大幅に削減できます。
多重債務問題を弁護士に相談するタイミングは?
ご自身が多重債務に陥っているかどうか判断できないこともあるでしょう。
ここでは、弁護士に相談するタイミングを紹介します。
3社以上から借金している
借入先が3社以上になると、借入・返済状況を把握しづらくなるため、完済の目途が立てられなくなる傾向があります。
収入の範囲で返済ができなくなったら、なるべく早く弁護士に相談して債務整理を検討しましょう。
借金の総額が年収の3分の1以上
同居家族がいる場合の家計の負担割合にもよりますが、借金の総額が年収の3分の1を超えていると、返済額が家計を圧迫するおそれがあります。
借金の総額が年収の3分の1を超えたら、弁護士に相談して債務整理を検討しましょう。
新規借入れや追加融資を断られた
新規借入れや追加融資を断られた場合は、次のいずれかに該当している可能性があります。
- 借金の総額が年収の3分の1を超えている
- 金融機関独自のデータに遅延情報が記録されている
- 信用情報機関に事故情報が登録されている
新規借入れや追加融資を受けなければ返済できない状況にある場合は、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
返済のために借入れている
返済のために借入れを繰り返していると、雪だるま式に借金の総額が増え、事態は悪化します。自転車操業に陥った場合は、1日も早く弁護士に相談しましょう。
真面目に返済しているのに借金が減らない
真面目に返済を続けていても、元本が減らないことがあります。
月々の返済額を抑えると利息分しか払えなくなるからです。元金が減らない返済方法では将来的に完済できる見込みがありません。
返済額の増額や繰上げ返済・ボーナス返済を検討できる経済的余裕がなければ、弁護士に相談して債務整理を検討した方がよいでしょう。
闇金からお金を借りている
闇金からお金を借りるということは、すでに家計が深刻な状況にあることが窺えます。
闇金からの借金は法律上返済する義務がありませんが、放置していても問題は解決しません。法外な利息の支払いを強要されるだけではなく、犯罪行為への加担を持ち掛けられるおそれもあります。
闇金からお金を借りた場合は、1日も早く弁護士にご相談して正しく対処しましょう。
多重債務を債務整理で解決する場合の弁護士費用の相場は?
ここでは、債務整理の弁護士費用の相場や弁護士費用を払えない場合の対処法を紹介します。
弁護士費用の相場
債務整理の弁護士費用の相場は以下のとおりです。
弁護士費用 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
着手金 | 1社につき
3~5万円程度 |
30万円~60万円程度 | 30万円~50万円程度 |
報酬金 | 1社につき
2~4万円程度 |
0円~30万円程度 | 0万円~30万円程度 |
合計 | 1社につき
5万円~10万円程度 |
30万円~60万円程度 | 30万円~50万円程度 |
事案によっては、相場よりも高くなることがあります。
弁護士費用は弁護士・法律事務所が自由に決められるため、依頼前に見積もりをとることをおすすめします。
弁護士費用が払えない場合はどうすればいい?
弁護士に分割払いを相談する
債務整理を積極的に取り扱っている法律事務所の多くが、着手金の分割払いに対応しています。弁護士費用を一括で払えない場合は、弁護士に分割払いが可能か相談してみましょう。
法テラスを利用する
収入や資産が一定以下であれば、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。
民事法律扶助制度が利用できれば、法テラスに弁護士費用を立て替えてもらえます。
法テラスに立て替えてもらった費用は、毎月5,000円~10,000円の範囲で分割払いが可能です。
参考:費用を立て替えてもらいたい|法テラス (houterasu.or.jp)
多重債務を相談する弁護士の選び方
ここでは、多重債務問題を相談する弁護士の選び方を紹介します。
債務整理の実績が豊富か
債務整理の知識・実績が豊富な弁護士を探しましょう。
ホームページ等で解決実績を掲載している事務所や、債務整理に関するコンテンツが豊富に掲載されている事務所を探すのも有効な手段です。
親身に対応してくれるか
問い合わせや面談時に、迅速・丁寧な対応をしてくれる弁護士を選びましょう。
なるべく専門用語を使わずにわかりやすく説明してくれるか、親身になって解決方法を考えてくれるかなど話しやすさを確認するのも重要です。
複数の事務所の無料相談を利用して、ご自身の悩みに最も適切なアドバイスをしてくれた弁護士に依頼すると良いでしょう。
メリット・デメリットをしっかり説明してくれるか
債務整理には、それぞれメリット・デメリットがあります。それらを正しく理解しなければ、期待通りの結果が得られないこともあります。
リスクやデメリットを丁寧に説明してくれる弁護士に依頼することをおすすめします。
料金体系が明確か
料金体系が明瞭な法律事務所を選びましょう。どの手続きを依頼すればいくらかかるのか明確に料金を説明してくれる事務所であれば、安心して任せられます。
相性が合うか
債務整理では、年収や家計収支等のプライベートな情報も弁護士に共有しなければなりません。手続き中は、一定期間弁護士と連絡を取り合う必要があります。
相性がいい弁護士に依頼をした方が、債務整理が終わるまでの期間を安心して過ごせます。
初回相談は無料で行なっている事務所も多いので、弁護士との相性を確認しましょう。
多重債務問題を弁護士に相談する流れ
ここでは、多重債務問題を弁護士に相談する流れを解説します。
問い合わせ・面談予約
電話やメールで法律事務所に問い合わせ、初回面談の予約を取りましょう。
問い合わせ時には、弁護士やスタッフから簡単なヒアリングが行われることがあります。
借入件数や総借入額、現在の収入状況等を答えられるようにメモを用意して連絡すると良いでしょう。
初回面談
予約日時に法律事務所に出向き、初回面談を行います。
限られた時間の中で効率的なアドバイスを受けるために、事前に相談内容や質問事項等の要点をまとめたメモを用意しましょう。
依頼するかどうかの判断
面談時に弁護士に提案された解決方針や費用を踏まえ、依頼を検討します。
一度の相談で不安や疑問を解消できなければ、納得がいくまで相談を受けましょう。複数の法律事務所の無料相談を利用して、比較検討するのもよいでしょう。
提案された解決方針や費用に納得できれば、委任契約を締結します。
弁護士への多重債務相談に関するQ&A
ここでは、弁護士への多重債務相談に関してよくある質問とその回答を紹介します。
どんなことを聞かれる?
多重債務に関する法律相談では、弁護士が主に以下の事項を聴き取ります。
- 借入先の名称
- 借金の総額
- 月々の返済額
- 初めて借金をした理由
- 借金が膨らんだ理由
- 返済ができなくなった理由
- 収入・勤務状況
- 家計の状況・家族構成
- 最低限必要な生活費の月額
- 持っている財産の内容
これらの質問にすぐに答えられるよう準備しておけば、スムーズに相談を進められます。
弁護士に説教されない?
弁護士に多重債務の相談をすると、「怒られそう」、「説教されそう」というイメージを持たれている方が多いようです。
弁護士は、相談者が長い間多重債務問題に悩み、藁にもすがる思いで相談に来ていることを理解しています。
相談者が必要としているのは説教ではなく法的サポートであることを念頭に置いているため、借金の理由を問いただして説教したり、怒ったりしません。
安心してご相談ください。
相談したら必ず依頼しなければならない?
無料相談・有料相談のいずれの場合も、相談した弁護士に必ず依頼しなければならないわけではありません。
初めて弁護士に相談する方は、複数の事務所の無料相談を利用して、誰に依頼するのが一番よいかを比較検討するのもよいでしょう。
本人以外の家族も相談できる?
債務者本人に債務整理をする意思がなければ、家族でも勝手に手続きを進められません。そのため、原則として本人以外の方からの債務整理の相談は受け付けられません。
ただし、ご本人の承諾があれば、ご家族が相談に同席することを可能とする事務所もあります。
まとめ
多重債務に陥ると、借入れと返済を繰り返す傾向があります。
借金が膨らみ過ぎると解決方法も限られるので、収入の範囲内で返済ができなくなったときは、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
ネクスパート法律事務所は、多重債務に関するご相談は初回30無料で対応しております。
弁護士費用の分割払いにも対応しておりますので、お気軽にお問合せください。