借金の時効援用で失敗するケース・失敗しないためのポイントを解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

借金の時効援用で失敗するケース・失敗しないためのポイントを解説

時効の援用(えんよう)とは、債権者に対して時効の成立を主張し、消滅時効の利益を受ける旨の意思を表示することです。

借金の時効を成立させるためには、時効を援用しなければなりません。

しかし、時効援用に失敗すると、思わぬ不利益を被ることがあります。

この記事では、借金の時効援用について、次のとおり解説します。

  • 借金の時効援用で失敗するケース
  • 借金の時効援用に失敗したらどうなる?
  • 借金の時効援用は難しい?失敗しないためのポイント
  • 借金の時効援用に失敗した場合の対処法

時効援用を検討中の方は、ぜひご参考になさってください。

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借金の時効援用で失敗するケース

借金の時効援用に失敗するのはどのようなケースなのでしょうか。

ここでは、借金の時効援用の失敗例を紹介します。

そもそも時効が成立していなかった

自分では時効が成立していると思っていたのに、実は時効が成立していなかったケースです。時効の起算日を間違えて覚えていたため、消滅時効期間を正しくカウントできなかったことなどが原因です。

時効の成立前に時効援用すると、時効援用通知書の記載から居住地がバレてしまい、債権者からの取り立てが再開したり、裁判を起こされたりする可能性があります。

債権者からの催告(請求)があった

債権者から催告があった場合、催告が債務者に到達した時点から消滅時効期間が6ヶ月間延長されます。これを時効の完成猶予といいます。

催告とは、債権者が債務者に債務の履行を請求する意思を通知することです。

催告の方法について法律上決まりはありませんが、口頭で催告がなされた場合は証拠として残りません。そのため、配達証明付きの内容証明でなされるのが一般的です。

時効の完成を猶予する催告は一度のみ認められています。再度催告がされたからといって、さらに6ヶ月間期間が延長されることはありません。

債権者が裁判上の手続きをとっていた

債権者が、次のような裁判上の手続きをとると時効の完成が猶予されます。

  • 訴えの提起
  • 支払督促の申立て
  • 強制執行の申立て
  • 仮差し押さえ・仮処分

訴えの提起

債権者が訴えを提起すると時効の完成が猶予されます。その後、債権者が勝訴判決を得て、その判決が確定すると、時効の進行がリセットされ、新にゼロからカウントされます。これを時効の更新といいます。時効が更新されると、その後10年間は時効が完成しません。

債権者の請求が認められなかった場合や、訴えの却下・取下げがあった場合は、そのときから6ヶ月間、時効の完成が猶予されます。

債権者に現住所を知らせていない場合は、公示送達により裁判手続きが進められ、知らぬ間に確定判決を取られるケースもあるので注意しましょう。

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支払督促の申立て

債権者が支払督促を申立てると時効の完成が猶予されます。仮執行宣言付き支払い督促が債務者に送達された後、2週間以内に債務者が異議申し立てをしなければ、支払督促が確定します。支払督促が確定すると時効が更新され、その後10年間時効が完成しません。

債務者が裁判所からの郵便物を受け取らなかった場合でも、付郵便送達により手続きが進められます。そのため、訴訟と同様に知らないうちに時効が更新されている可能性があります。

強制執行の申立て

債権者が強制執行を申立てると時効の完成が猶予されます。手続きが終了したときに時効が更新され、その後10年間時効が完成しません。

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仮差し押さえ・仮処分

債権者が、訴えの提起に先立ち仮差し押さえや仮処分を申し立てた場合、その手続きが終了したときから6ヶ月間時効の完成が猶予されます。

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債務を承認した

債務者が、債務を承認すると、承認したときから時効が更新されます。判決確定による更新後の時効期間と異なり、債務承認による更新後の時効期間は5年です

具体的には次のような場合に、債務の承認があったとみなされます。

  • 借金の一部を返済した
  • 返済する旨約束した
  • 返済猶予を依頼した

ひとつずつ説明します。

借金の一部を返済した

時効期間の進行中・時効成立後に、借金の一部を返済したり利息を支払ったりすると、債務を承認したものとみなされます。

返済する旨約束した

債権者に対し「〇月〇日までに支払います。」などと述べると、債務を承認したものとみなされます。

返済猶予を依頼した

債権者に対し、「来月まで返済を待ってもらえませんか?」などと述べると、債務を承認したものとみなされます。

時効援用の通知書に不備があった

時効援用通知書に不備があった場合、時効を援用できない可能性があります。

時効援用通知書から現住所が発覚し、取立てが再開したり、裁判を起こされたりすることもあります。裁判で時効を主張しても、時効援用通知書に不備があると、時効の成立が認められない可能性があります。

借金の時効援用に失敗したらどうなる?

借金の時効援用に失敗したらどうなるのでしょうか。

ここでは、時効援用に失敗した場合のリスクを解説します。

借金の支払い義務が残る

時効が更新されると、借金の支払い義務が残ります。

時効援用を考えるほど借金を長期間滞納している場合は、債権者から残債務を一括請求されるおそれがあります。長期間の滞納により分割で返済できる期限の利益を喪失するからです。

取り立てが再開される

時効援用に失敗すると、債権者からの取り立てが再開されます。時効援用通知書により、債権者に現住所や連絡先が発覚するからです。

遅延損害金が返済額に加算される

借金を長期間滞納している場合は、高額な遅延損害金が発生します。時効援用に失敗すると、元本のみならず積み重なった遅延損害金をすべて支払わなければなりません。

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借金の時効援用は難しい?失敗しないためのポイント

借金の時効を成立させるのは難しいのでしょうか?

ここでは、時効援用を失敗しないためのポイントを解説します。

時効援用を失敗しないためには、次の2点を確認する必要があります。

  • 時効の起算日を確認する
  • 時効の更新事由が発生していないか確認する

ひとつずつ説明します。

時効の起算日を確認する

時効を成立させるためには、最終返済日から5年または10年経過している必要があります。

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時効期間を正確に把握するためには、最終返済日がいつだったかを確認し、その翌日を起算点としてカウントしなければなりません。

最終返済日は、次の2つの方法で確認できます。

  • 債権者から届いた書面を確認する
  • 自分の信用情報を確認する

ひとつずつ説明します。

債権者から届いた書面で確認する

債権者から届く書面(督促状等)には最終返済日が記載されています。最終返済日の翌日から5年経過しているかどうか確認しましょう。

併せて、債権者からの最後に送付された書面を受け取ったときから5年経過しているかどうかもチェックします。

自分の信用情報を確認する

信用情報機関に信用情報の開示を請求します。信用情報開示報告書を確認し、最終返済日から5年以上経過しているかどうか確認しましょう。

保証会社等により代位弁済が行われた場合は、代位弁済日から5年経過しているかどうかも確認しなければなりません。代位弁済がなされた場合、そのときから時効が進行するからです。

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時効の更新事由が発生していないか確認する

時効を成立させるためには、時効の更新事由が発生していないかどうかも確認しなければなりません。具体的には、次の事項を確認しましょう。

  • 債権者から催告されていないか
  • 債権者が仮差し押さえや仮処分を申立ていないか
  • 債権者が裁判や支払督促を起こしていないか
  • 債権者が強制執行を申立てていないか
  • 債権者に対して債務を承認したことがないか

時効の更新事由が発生したかどうかが分からない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。時効期間を正確に把握できなければ、時効援用に失敗する可能性があります。

借金の時効援用に失敗した場合の対処法

ここでは、時効援用に失敗した場合の対処法を解説します。

再度の援用通知で時効が成立する可能性もある

例えば、一度目の時効援用で時効期間のカウントを間違えていたために失敗した場合、時効期間満了後、再度時効援用を通知することで時効が成立することがあります。

ただし、次の場合は再度の時効援用が成功する確率は極めて低くなります。

  • 一度目の時効援用通知書に借金を認める旨記載がある場合
  • 一度目の時効援用後、債権者からの連絡に対し借金を認める旨の発言をした場合

援用通知が債務承認とみなされた場合は債務整理を検討する

時効援用通知が債務承認とみなされた場合は、債務整理を検討します。債務整理には、主に次の3つの手続きがあります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

ひとつずつ確認しましょう。

任意整理

一括返済ができなくても、分割で払える場合は任意整理を検討します。

任意整理は、債権者に対し将来利息のカットや返済回数の延長を交渉し、月々の負担を軽減する手続きです。

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個人再生

借金を減額すれば分割返済できる見込みがある場合は個人再生を検討します。

個人再生は、裁判所を通して借金を概ね5分の1に減額し、減額後の借金を原則3年(最長5年)で分割返済する手続きです。

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自己破産

借金を返済できる見込みがない場合は、自己破産を検討します。

自己破産は、裁判所に認められれば、借金の返済義務を免除してもらえる制度です(非免責債権を除く)。

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まとめ

時効を成立させるためには、時効の成立要件を正しく理解しなければなりません。

消滅時効援用通知書に不備があると、債権者に債務の承認とみなされたり、一括請求されたりすることもあります。

時効援用を検討中の方は、弁護士に相談することをおすすめします。

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