銀行口座の差し押さえはいきなり?なぜわかる?生活できない場合の対処法 | 債務整理の相談は弁護士法人ネクスパート法律事務所

銀行口座の差し押さえはいきなり?なぜわかる?生活できない場合の対処法

借金や税金を滞納したままにしていると、ある日突然、銀行口座からお金が引き出せなくなることがあります。

これは差し押さえと呼ばれる強制的な回収手続きによるものです。

差し押さえは、原則として予告なしに突然実行されるため、預金が引き出せず生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。

この記事では、口座差し押さえの基本知識、差し押さえられたかどうかの確認方法、そして差し押さえを受けたときの対処法について、わかりやすく解説します。

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目次

口座の差し押さえとは

まずは、差し押さえの概要を理解しましょう。

口座を凍結して未払い金を強制的に回収する行為

口座の差し押さえとは、借金や税金などの未払い債務を強制的に回収するための行為です。

具体的には、預金の引き出しや使用を禁止させます。

差し押さえが実行されると、該当する銀行口座は凍結され、預金の出金や振込などの操作ができなくなります。

口座内の残高の一部または全部が、債権者(貸主)に回収される形で差し引かれます。

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口座の差し押さえを実行するのは裁判所や税務署

誰が差し押さえを実行するのかは、未払いの内容によります。

借金や養育費など、民間の債権が原因の場合は、債権者が裁判所に申し立てて、裁判所の命令によって差し押さえが実施されます。

一方、税金や社会保険料の滞納など公的な債務に対しては、税務署や市区町村などの行政機関は、法令に基づき差し押さえを行うことができます。

借金の場合、差し押さえ分は債権者に配当される

借金などの私的な債務(支払い義務)が原因で差し押さえが実施された場合、回収された分は債権者に分配されます。

差し押さえ対象となった金額は、銀行を通じて裁判所に送金され、そこから債権者に分配されるのが一般的です。

なお、差し押さえ可能な金額は債務額の範囲内に限定されており、生活に最低限必要な分は残せるようになっています。

口座が差し押さえられる主な理由

次に、口座の差し押さえが行われる主な理由について説明します。

借金の滞納

カードローンや消費者金融などの借金を、長い間返さずにいると、差し押さえになることがあります。

借主から一向に支払いがない場合、最終手段として、貸主は裁判所を通じて法的措置を取ります。

裁判所からの命令に従わないでいると、強制執行として差し押さえが実行される可能性があります。

借金をそのままにしていると、利息や遅れた分のペナルティも加わり、どんどん負担が大きくなってしまいます。

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税金の滞納

住民税や国民健康保険料などの税金を払っていないと、役所や税務署から差し押さえを受けることがあります。

税金の場合は、裁判をしなくても差し押さえができるので、より早い段階で実行されることも考えられます。

もしすぐに払えない場合は、分割払いにできることもあるので、早めに相談するのがおすすめです。

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養育費や慰謝料の未払い

離婚後に決めた養育費や慰謝料を払っていないと、相手から差し押さえの手続きを取られることがあります。

とくに公正証書で取り決めをしている場合、裁判をしなくても、すぐに強制執行ができるのが特徴です。

子どもの将来のために使われるお金でもあるので、きちんと払わなければ、法的な手段で口座を差し押さえられる可能性があります。

支払いが難しいときは、無視せずに早めに相談しましょう。

その他損害賠償金の未払い

交通事故の相手に払う賠償金や、裁判で決まった慰謝料などを払っていないと、差し押さえになることがあります。

たとえば、けがの治療費や車の修理代なども対象です。

「あとで払えばいい」と放っておくと、裁判所を通じて預金を取られてしまうこともあるので注意が必要です。

口座の差し押さえは通知なしでいきなり行われる?

差し押さえは突然行われるため、実行されるとショックを受ける人が多いです。ここでは、差し押さえが通知なく行われる理由について説明します。

財産隠しを防ぐため通知なしで実行される

差し押さえは、事前に予告してしまうと、預金を引き出されるなどして回収が難しくなります。

そのため、原則として債務者(支払い義務のある者)に通知されることなく実行されます。

突然口座が凍結されるのは、この財産隠しの防止という実務上の理由によるものです。いきなり実行されるのは違法ではなく、正規の手続きです。

差し押さえ後に通知が届く仕組みになっている

差し押さえが実行された後は、裁判所から債権差押命令などの通知書が届くことになります。

税金の滞納であれば、市区町村などから差押通知書が送られてくるケースもあります。

つまり、差し押さえは事後的に通知されるのが基本です。

普段使ってない口座から差し押さえをされた場合、気づくのが遅れることもありえます。

口座が差し押さえられたかの確認方法は?

次に、口座が差し押さえられたかを確認する方法を説明します。

銀行に直接問い合わせる

差し押さえがあったかどうかの確認は、まず取引のある銀行に直接問い合わせるのが確実です。

本人確認のうえで、口座の凍結や差し押さえの有無について教えてもらえる場合があります。

特に、ATMで急に引き出しができなくなったときなどは、早めに窓口で確認することをおすすめします。

通帳に記帳すると記録が残っている

通帳に記帳すると、差し押さえに関する処理が、差押や出金不能などの形で表示されていることがあります。

残高が減っているなど記帳結果に不自然な動きがあれば、それが差し押さえのサインかもしれません。

差し押さえが疑われるときはまず記帳してみましょう。

債権差押命令正本が届く

借金やローンの滞納が原因で差し押さえが行われた場合、裁判所から債権差押命令正本が届きます。

これは、差し押さえが正式に行われた証拠です。

届いた書類には、債権者の名前や差し押さえの内容が記載されているので、必ず確認しましょう。

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役所から差押通知書が届く

税金や保険料の滞納による差し押さえでは、市区町村や税務署から、差押通知書などの書類が自宅に届きます。

これは差し押さえの事後通知であり、この時点で差し押さえはすでに確定しています。

内容に身に覚えがある場合は、すぐに役所や税務署に連絡して今後の対応を検討しましょう。

差し押さえ時に個人の口座はなぜわかる?

差し押さえは、1つの口座だけでなく、名義人のすべての口座が対象になる可能性があります。

では、なぜ金融機関や行政機関がその人の口座情報を把握できるのでしょうか。ここでは、その仕組みを解説します。

裁判所を通じた情報照会制度があるから

民間の債権者(貸金業者や個人など)が差し押さえを求める場合、裁判所を通じて情報照会制度を使うことで、金融機関に対し、債務者の口座情報の提供を求めることができます。

これにより、たとえ債権者が知らなかった口座であっても、裁判所の手続きを通じて差し押さえが実行されるケースがあります。

税務署や役所は口座照会の権限があるから

税金の滞納に対して差し押さえを行う国税庁や地方自治体は、民間とは違って裁判所の許可を得ずに、直接金融機関に口座情報を照会する権限があります。

これにより、普段利用していないサブ口座であっても特定されて差し押さえの対象になることがあります。

税金の滞納による差し押さえの回避は、普通の借金などと比べても難しいです。

口座が差し押さえられて生活ができない!返金は望めない?

ここでは、口座が差し押さえられて生活ができない場合、どうすればよいか解説します。

原則として返金は望めない

口座が差し押さえられたら、原則として返金は望めません。債権者に差し押さえを取り下げてもらうようにお願いする、裁判所に不服申し立て(請求異議の訴え・執行抗告)を行う方法はありますが、いずれも現実的ではありません。

口座の差し押さえで生活ができない場合はどうすればいい?

口座の差し押さえによって預金残高がゼロになり、生活に困ったら下記の方法を検討しましょう。

税金を滞納しているなら税務署に滞納処分の停止を相談する

滞納処分の停止とは、一定の条件に該当したら滞納処分の執行を停止する制度です。停止されてから3年後に納税義務が消滅する制度ですが、適用するための要件が厳しいです。

借金を滞納しているなら差押禁止債権の範囲変更申立てをする

口座を差し押さえられて請求額が引き落とされたら、そのお金が債権者に支払われるまで1週間ほどかかります。

すぐに債権者に支払われないのは、債務者が差し押さえに対して反論する機会を与えるためです。

差し押さえに不服があれば、差し押さえ禁止債権の範囲変更申立てが可能です。

生活保護費や公的年金などを差し押さえられたら生活が成り立たない旨を裁判所に申し立て、差し押さえの範囲を減縮してもらいます。

しかし、この手続きは、弁護士のサポートなしで行うのは難しいです。範囲の変更を申立てても認められるとも限りません。

差し押さえ禁止債権の範囲変更申立てが最善の方法なのか、債務整理を選択したほうがよいのかを含め、弁護士に相談をしましょう。

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口座差し押さえのタイミング・時間帯は?

差し押さえは平日の日中に行われるのが一般的

口座の差し押さえは、金融機関の営業時間にあわせて処理されます。

通常、銀行の営業日は平日であり、業務時間も昼間に限られているため、差し押さえもその時間帯に実行されます。

土日祝日や夜間に処理されることは基本的になく、差押命令が届いても、実際の手続きは次の平日営業日に行われるのが一般的です。

差し押さえの実行は銀行営業開始直後が多い

実務上、差押命令が金融機関に届くと、銀行は通常、翌営業日の朝に差し押さえを処理します。

多くのケースで、営業開始と同時またはその直後に、口座の凍結や残高の引き落としが実行されます。

そのため、前日まで普通に使えていた口座が、朝になって急に使えなくなる、残高が0円になっているといった状況に陥ることがあります。

口座を差し押さえられた時の解除方法は?

ここでは、口座を差し押さえられた時の解除方法について解説します。

口座を差し押さえている相手を特定する

口座が差し押さえられた場合、明細にはサシオサエとしか記帳されないため、通帳記入や取引履歴から相手を特定することはできません。

前触れなく口座を差し押さえられることはないので、督促状や裁判所から訴状が届いていないか確認をしましょう。

税金や借金を滞納しているなら支払いをする

滞納している借金や税金を全額支払えば、借金完済を証明する弁済証明を裁判所へ提出することで、差し押さえの取消しをしてもらえます。

ただし、債権差押命令が債務者に送達されてから1週間以内に執行停止文書を執行裁判所に提出して執行を停止してもらえなければ、債権者に取立権が発生するため、返金を求める手続きが煩雑になります。

自己破産をして差し押さえを中止する

債務整理の一つである自己破産の申立てをして、裁判所が破産手続開始決定を出すと、その決定正本およびこれを停止文書とする旨の上申書を執行裁判所に提出することで、差し押さえは中止されます。

ただし、自己破産は原則、所有している財産をすべて処分しなければならないので、デメリットが大きいことも念頭にいれましょう。

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口座の差し押さえを回避するためにとれる行動とは

ここでは、口座の差し押さえを回避するためにできることについて解説します。

税金を滞納している場合は税務署に分納や猶予・免除を相談する

税金を滞納しているなら、税務署等に分割で支払いができるか、支払いの猶予を求める相談をしましょう。

支払いが難しい事情を説明すれば、相談に応じてくれる場合があります。

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借金を滞納しているなら債権者に返済猶予や分割返済を相談する

借金を滞納しているなら、債権者に支払い方法について相談をしましょう。

なぜ支払いができないのか、理由によっては相談に応じてくれる場合があります。

弁護士に相談して債務整理を検討する

弁護士に相談をして、債務整理を検討しましょう。弁護士であればそれぞれの状況によって最適な債務整理の方法をアドバイスできます。

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口座を差し押さえられたら、弁護士に相談・依頼するメリットは?

ここでは、口座を差し押さえられたら弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。

滞納している借金について、的確なアドバイスができる

口座を差し押さえられた原因となっている滞納している借金について、的確なアドバイスができます。口座の差し押さえを解除するための具体的な行動がとれます。

代理人として債務整理に対応ができる

弁護士であれば、代理人として債務整理に対応できます。債務整理は主に任意整理、個人再生、自己破産と3つの方法があります。それぞれメリットとデメリットがあり、どれを選択すればいいのか的確なアドバイスができます。

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まとめ

借金や税金を滞納し続けると、最終的に口座が差し押さえられる事態に陥る可能性があります。

債権者がこのような強硬手段に出るのは、何度督促をしてもそれに対して反応がないからです。

債権者から何度も支払いの督促をされつつも借金や税金の支払いが難しい場合、まずは債権者や役所に連絡をとって、支払いが難しい旨を相談しましょう。

連絡をしたことで、少なくとも債権者が強硬手段に出る可能性は低くなります。

どうしても借金の支払いが難しい場合は、早めに弁護士に相談をして債務整理を検討しましょう。

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