過払金請求8つのデメリット|請求時の注意点もあわせて解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

過払金請求8つのデメリット|請求時の注意点もあわせて解説

過払金請求をすると払い過ぎていたお金が戻ってきます。

しかし、過払金請求をするとクレジットカードが使えなくなるなど、過払金請求にはいくつかデメリットもあります。

この記事では、過払金請求をする前に知っておいた方がよいことを解説します。

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過払金請求のデメリット8つ

基本的に、過払金請求のメリットはデメリットを上回ります。

ただし、現在の借入状況や将来の生活設計などによっては、気を付けなければならない点もあります。

ここでは、過払金請求のデメリット(リスク)を説明します。

①ブラックリストに載る

過払金請求をすると、ブラックリストに載る可能性があります。

いわゆるブラックリストに載るという状態は、信用情報機関に事故情報(債務整理)として記録が残ることを言います。ブラックリストに記録が残ると、借入の申込やクレジットカードの発行の際の与信審査に悪影響を及ぼします。

ブラックリストに載る場合・載らない場合について補足します。

すでに完済している(ブラックリストに載らない)

すでに完済している場合には、過払金請求をしてもブラックリストに載る(信用情報に事故情報が登録される)ことはありません。

2010年までは、完済している場合でも、過払金請求を行うと信用情報に契約見直しと記録が残されていました。しかし、この取り扱いがローン審査等に不利になるため、金融庁が見直し、2010年4月19日に廃止されました。

借金を返済中(ケースバイケース)

借金返済中に、過払金請求をした場合の取り扱いは下記のとおりです。

  1. 過払金が発生してお金が戻ってきた⇒ブラックリストに載らない
  2. 過払金が発生して借金と相殺され、借金が0円になった⇒ブラックリストに載らない
  3. 過払金が発生して借金と相殺したが、借金が残った⇒ブラックリストに債務整理と記録される

ただし、上記1.及び2.の場合、一時的に債務整理として信用情報機関に登録されることがあります。一時的に登録されても、過払金返還の合意に至った後、記録が削除され、何年も残ることはありません。

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実は借金が残っていた(ブラックリストに載る)

自分では完済したと思っていたのに、実際には借金が残っていることがあります。その場合は、返済中の過払金請求と同様ブラックリストに載る可能性があります。

a.ショッピング利用残高が残っている場合

クレジットカードには、ショッピング枠とキャッシング枠があります。過払金請求の対象となるのは、利息制限法の対象となるキャッシング枠のみです。キャッシング利用分を完済しても、ショッピング利用分が過払金を上回っている場合は、債務が残ることになります。

b.関連会社等からの借入がある

・過払金を請求する相手が保証会社の場合

例えば、AさんがB社からの借金を数年前に完済しており、調査すると50万円の過払金が発生していることが判明したとします。AさんはC社からも借入をしており現在も返済中で80万円の借金が残っていました。このような事例で、B社がC社の保証会社であった場合には、返済中の過払金請求として取り扱われることになります。

・過払金を請求する相手が吸収合併されていた場合

同様に、AさんがB社からの借金を数年前に完済しており、調査すると50万円の過払金が発生していることが判明したとします。AさんはC社からも借入をしており現在も返済中で80万円の借金が残っていました。AさんがB社に過払金請求をしようとしたところ、最近になってB社がC社に吸収合併されたことが判明しました。この場合も、返済中の過払金請求として取り扱われることになります。

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②過払金請求した会社のクレジットカードは使用できなくなる

完済後でも、過払金請求を行うと、請求先の会社のクレジットカードは利用停止となる可能性があります。公共料金の支払いにクレジットカードを利用している場合やETCカードを利用している場合は、支払い方法を変更する手間がかかります。

クレジットカードにポイントがある場合、ポイントも同時に消滅しますので、交換可能なポイントがある場合は、過払金請求前に交換しておきましょう。

なお、請求先以外のカード会社のクレジットカードには原則影響はありません。

③新規借入・カード作成ができない

過払金を請求したのに借金が残ってしまった場合には、ブラックリストに載ります。登録が削除されるまでの一定期間は、他の貸金業者からの新たな借入や、新規クレジットカードの契約が難しくなります

④ローンを組めなくなる

過払金を請求したのに借金が残ってしまった場合には、ブラックリストに載ります。登録が削除されるまでの一定期間は、他の金融機関や貸金業者でローンを組めなくなる可能性が高くなります。

住宅ローンの契約を控えている場合は、審査が通りにくくなりますので、過払金請求の時期を検討する必要があるでしょう。

⑤過払金請求した貸金業者を利用できなくなる

過払金を請求した貸金業者は、完済後の請求でも返済中の請求でも、取引できなくなるのが原則です。

ブラックリストの掲載削除後も、貸金業者の社内データで過払金請求をした履歴が残る場合があるため、基本的に同じ貸金業者との再度の取引はできないと考えておきましょう。

⑥家族や会社にばれる

過払金請求は交渉・裁判どちらの場合も、官報には掲載されません。そのため会社に知られる可能性は少ないですが、家族に気づかれる可能性はあります

家族に気付かれる主な理由は以下のとおりです。

  • 請求先の貸金業者からの郵便物・電話
  • 裁判所からの郵便物
  • 過払金の口座への振込

ご自身で過払請求を行う場合には基本的にこれらを避けることは難しいですが、弁護士に依頼すると、家族や会社に知られず過払金請求できます。弁護士との連絡手段(郵便物・電話等)についても、支障のない方法を弁護士への依頼時に相談すると良いでしょう。

⑦生活保護が停止される

生活保護を受けている方が過払金を受領した場合、収入と認定されます。

収入と認定された場合の取り扱いは以下のとおりです。

  • 過払金が生活保護費を上回った場合は、福祉事務所へ返還するか、受給停止となる
  • 過払金が生活保護費を上回らない場合でも、生活保護費が減額調整される

過払金を受領した事実を福祉事務所に報告していなかった場合は、不正受給とみなされて生活保護費の返還を求められる場合があります。

⑧弁護士費用がかかる

過払金請求を弁護士に依頼した場合は、弁護士費用がかかります

過払金請求については、着手金を無料としている事務所もあり、報酬金は回収した過払金で清算することも可能です。

弁護士に依頼せずに自力で過払金請求を行うのは、手間や時間がかかる上、以下のとおりデメリットもあります。

過払金請求を自力で行うデメリット3つ

弁護士費用を節約するために、自力で過払金請求をしようとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、ご自身で過払金請求を行う場合の代表的な3つのデメリットを説明します。

①利息の計算が困難

利息の引き直し計算は簡単な計算ではありません。インターネット上で引き直し計算ができるソフトが公開されていることがありますが、自力で計算をすると間違っていることに気づかない場合もあります。

過払金請求を行う前提として、次のステップがあります。

  1. 取引履歴の開示請求を行う
  2. 利息の引き直し計算を行う

貸金業者によって取引履歴の保存期間が異なりますが、稀に、全ての取引履歴の開示に応じず、不完全な取引履歴を開示される場合もあります。取引履歴が不完全だと、その後の引き直し計算にも影響を及ぼします。

計算方法によっても、過払金の額が異なることもあります。

このような理由で、結果的に、本来請求できる金額よりも少ない金額しか回収できないリスクが生じます。

また、ごく稀に、債権者から取引履歴の開示とともに過払の状況にあることを通知される場合があります。この場合に返済を継続すると、債権者より非債弁済(*)を主張されるおそれもあり、解決が長引くこともあります。

*非債弁済 民法上、債務のないことを知りながら弁済することをいい、この場合は弁済したお金の返還請求ができません。

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②債権者との和解が困難

債権者との交渉では、法律の知識がないと交渉で不利な立場に置かれます。また、過払金が少額の場合、債権者からゼロ和解(過払金を返還しない)を申し出られる場合があります。ご自身で交渉をしていると、債権者の主張に対して正当な権利の主張ができず、ゼロ和解を受けてしまうケースもあります。

また、債権者と直接やり取りをするため、対応に追われ仕事に影響を及ぼすこともあるでしょう。

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③家族に知られるおそれがある

前述のとおり、家族に知られてしまう可能性があります。

家族に知られたくない場合には、弁護士への依頼を検討しましょう。

過払金請求をする際の注意点

過払金請求をする前に知っておくべき注意点は以下のとおりです。

貸金業者の倒産に注意

貸金業者がすでに倒産してしまっている場合

請求先がなくなっているため、過払金請求ができません。

貸金業者が倒産手続中の場合

貸金業者が倒産手続中の場合は、債権届出書を提出し、過払金を請求できます。ただし、倒産手続中の場合、配当率は数パーセント以下もしくは配当なしの場合が多く、回収は期待できません。

倒産を予定している業者が債権譲渡した場合

貸金業者が倒産に伴い、他の業者に債権譲渡をした場合はどうでしょうか。

これについて、最高裁判所は、貸金債権を一括して譲渡したことをもって、過払金債務まで当然に承継されるものではないと平成23年3月22日判決にて示しています。従って、倒産した業者が債権譲渡をしている場合も、原則としては、過払金請求を行えません

なお、倒産手続きの進捗状況や、債権譲渡の内容によっては、取り扱いに例外がある場合があります。倒産のおそれがある場合には早めの対応が必須ですので、速やかに専門家に相談することをおすすめします。

過払金の時効に注意

2020年4月1日の民法改正により、過払金の時効が以下のとおり変更されました。

2020年3月31日までに終了した取引による過払金の時効

最後の取引の日(最後の返済日or最後の借入日)から10年

2020年4月1日以降に終了した取引による過払金の時効

次のいずれか早い方

  • 最後の取引の日(最後の返済日or最後の借入日)から10年
  • 過払金請求ができると知った日から5年

時効が成立すると、過払金請求ができなくなりますので注意しましょう。

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デメリットがあっても過払金請求をするべき?判断基準とは

過払金請求にはデメリットもありますが、それでも過払金請求を行った方がよいケースはどういったケースでしょうか。

デメリットよりもメリットが上回る場合

複数の業者から借入があり、毎月の返済が苦しい状況では、回収した過払金を借金の返済にあてることができます。

また、返済中の借金に過払金が生じる場合にも、借金の減額ないし完済が見込めるため、デメリットよりもメリットが上回る可能性があります。

借金を完済している

借金を完済(クレジットカードの場合はショッピング枠も完済)し、かつ、過払金請求を行う業者の関連会社との取引がない場合には、ブラックリストに載るリスクは低いでしょう。

払いすぎた利息を取り戻したい場合は、過払金請求を検討しましょう。

まとめ

過払金請求のデメリットは、借金完済の有無、取引の状況などによって、大きく異なります。

特に、次のケースではご自身で的確な判断をすることは難しいでしょう。

  • 過払金が発生するか定かでない場合
  • 完済しているはずなのにブラックリストに載る可能性があるケース
  • 貸金業者が倒産した場合

デメリットやリスクを最小限に手続きを進めたい場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。

当事務所では、過払金請求の着手金は無料で対応しております。お気軽にご相談ください。

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