過払い金請求は10年で時効?相談を急ぐべき理由とは
消費者金融やクレジットカード会社のローンで払い過ぎた利息を返してもらう過払金請求ですが、時効にかかると請求ができなくなります。
不当利得の返還請求として請求しないと、10年で消滅してしまいます。
この10年はいつからなのかが大きなポイントですが、基本は取引終了から10年です。
2007年に貸金業者が違法状態を改正したので、それ以前に完済した借金の時効が成立するケースが増えています。
一刻も早く専門家への相談を急ぐ必要があります。
ここでは過払金請求の時効と相談を急がなければならない理由について、わかりやすく解説します。
目次
過払い金請求とは
過払金請求とは、簡単に言えば払い過ぎた利息を返してもらうことです。
払い過ぎた利息が発生した理由ですが、それは利息制限法と出資法という2つの法律において利息の上限とする金利が違っていたからです。
利息制限法での上限金利が20%で罰則がなかったのに対し、出資法での上限金利は29.2%で罰則がありました。
そのため多くの貸金業者は20%~29.2%の金利(グレーゾーン金利)で貸付を行っていました。
その後最高裁の判決によりグレーゾーン金利で貸し付けられた利息が違法となったので、その金利で借金を返していた債務者は貸主に対して払い過ぎた利息を返すように請求できるようになりました。
2010年施行された出資法の上限金利の引き下げにより、このグレーゾーン金利問題は解消しています。
過払い金請求権は10年で消滅
債権の消滅時効
過払い金を請求する権利は、法的にいうと「不当利得返還請求権」という権利になります。
そしてこの権利は相手方の特定の行為(この場合過払金を返還する行為)を要求する権利ですので「債権」として扱われます。
民法上の債権の消滅時効は10年とされているので、過払い金請求権も10年で消滅することになります。
消滅時効の始期
過払い金請求において問題となるのは、10年の消滅時効の始期(起算点)はいつなのかという点です。
借りたり返済したりが繰り返される消費者金融やキャッシングでは、「返済した時」なのか「取引終了した時」なのかが裁判で争われましたが、最終的には2009年1月に最高裁で「取引が終了した時から時効は進行する」と判断されました。
これにより個々の返済において過払い金が発生してもその都度時効は進行せず、取引終了の日を消滅時効の始期とすることが認められたのです。
つまり最終取引から10年以内であれば、当初の契約日が10年以上前であってもすでに借金が完済していても過払い金の返還請求が可能です。
過払い金請求の時効の中断
消滅時効の趣旨は、権利を行使できるのに行使しない場合に権利を消滅させることです。
よく「権利の上にあぐらをかく者は法律の保護するところにあらず」と表現されます。
従って権利を行使すれば、時効は中断されることになります。
2020年4月に施行される新民法では「更新」と表記していますが、実質的な変更はありません。
消滅時効の主な中断事由は裁判上の請求、催告、差し押さえ又は仮処分、債務の承認ですが、過払い金請求でとられる時効中断措置は以下の「裁判上の請求」が多くなっています。
時効が中断されれば時効の進行はリセットされ、中断事由が終了してから時効の進行が最初から始まることになります。
民事訴訟の提起
裁判所へ貸金業者に対しての過払い金返還訴訟を提起します。
支払督促の申立
裁判所へ貸金業者に支払督促という手続きを申し立てます。
貸金業者が異議を申し立てれば通常の裁判に移行しますので、あまりメリットはありません。
民事調停の申立て
調停委員を交え、裁判所で話し合う手続きを行います。
過払い金請求の時効の停止
時効の完成を一定期間猶予する制度を、時効の停止といいます。
確定日付のある内容証明郵便などで貸金業者に過払い金返還を催告すれば、6カ月間時効の完成が猶予されます。
しかしその6カ月以内に裁判上の請求を行わないと、時効の完成猶予はなかったこととされるので注意が必要です。
過払い金返還の相談を急ぐべき理由
2010年に出資法が改正される数年前に、ほとんどの貸金業者は金利を引き下げました。
過払い金が発生したのはそれ以前となりますので、取引がそこで終了していれば2020年現在では時効が完成している恐れがあります。
しかし取引が継続しているか分断されているかによって最終取引日の考え方が変わり、時効が完成しているかに影響を及ぼします。
この取引の継続と分断の判断には高度な法律知識が必要なため、時効が完成しているかの判断は借金問題に注力している法律事務所に相談する必要があるのです。
貸金業者等の利用歴がある場合、一刻も早く過払い金返還の相談をすることをお勧めします。
まとめ
過払い金の返還請求には10年の時効がありますが、その判断には高度な法律知識が必要です。
通常の取引終了では時効にかかっているおそれがありますので、一刻も早く過払い金解決経験が豊富な当事務所にご相談ください。