2019年– date –
-
営業担当の代表取締役の、経理担当の代表取締役に対する監視義務違反につき、重過失が認められないとして、第三者に対する損害賠償責任が否定されたケース
【事実関係】 A社は、土木・建設用資材の販売等を業とする、従業員十数名からなる株式会社でした。 BはA社の経理担当、Yは営業担当のそれぞれ代表取締役として職務を分担し、互いに他の代表取締役の職務に関与することはありませんでした。 A社では毎月1回... -
取締役に会社の経営を放任していた代表取締役について、商法旧266条ノ3に基づき第三者に対する損害賠償責任が肯定されたケース
【事実関係】 Y1は、昭和45年8月、靴卸商を業とするA社を設立し、妻の父で資力も信用力もあるY2を代表取締役に迎え、自らはA社の取締役に就任しました。 A社は、資本金100万円、従業員数名の小規模な会社で、Y1が、A社の営業全般を実質的に取り仕切ってい... -
倒産会社の代表取締役の業務執行に対する平取締役の監視義務違反につき、重過失が認められないとして、商法旧266条ノ3に基づく損害賠償責任が否定されたケース
【事実関係】 A社は、創業から昭和46年11月に倒産するに至るまで、代表取締役Bは一人で経営方針を決め、Bが独断専行で経営を行っていた、いわゆる「ワンマン会社」でした。 Yは、昭和45年8月、A社において取締役の員数をそろえる必要があるとして、Bからの... -
独断かつ放漫な経営を続けた代表取締役の職務に対する非常勤取締役の監視義務違反が否定されたケース
【事実関係】 A社は、各種洗車機械の製造販売等を営む会社でした。Bは、A社の代表取締役の地位にあり、Yは非常勤の取締役でしたが取締役会長の地位にありました。Yは、C社のある静岡県清水市(当時)に居住していました。 A社の業務執行のすべてはBが独断で... -
偽造手形の受取人である株式会社の取締役に、会社に対し当該手形呈示を控えさせなかったという任務懈怠責任が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は、機械工具、車両部品の製造販売を目的しており、Bが代表取締役を務めていました。 Bは、昭和40年7月末頃、その従業員を介して、取引先企業であるX社の経理一切を取り仕切っている者としてCを紹介され、同人より手形の交換を申し... -
倒産会社の代表取締役の業務執行に関して平取締役の監視義務違反が否定されたケース
【事実関係】 A株式会社は、昭和38年6月5日に設立され、ガソリンスタンド事業を行う、資本金額200万円の会社です。A社はいわゆる「同族会社」であり、Bが代表取締役、その妻C、およびCの弟Yが取締役を務めていました。 A社の経営は当初は順調でしたが、昭... -
代表取締役らによる詐欺的なマンション経営契約勧誘を看過した非常勤取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は、多数の出資者に対し高額な配当利回りや元本保証が得られるとする詐欺的なマンション経営契約を勧誘していました。 しかし、まもなく同社は、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反等の容疑で警察の捜索を受け... -
倒産状態の下で約束手形を振り出した代表取締役に対する、平取締役の監視義務違反が否定されたケース
【事実関係】 A株式会社は、札幌市中央卸売市場において、水産物の仲介業を営み、水産物およびその加工品の販売を目的とする資本金1,000万円の会社であり、代表取締役Y1の一族が経営するいわゆる「同族会社」でした。 昭和49年2月から4月にかけて、Bは、A... -
専務取締役に会社の経営を任せきりにした代表取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 Bは、A株式会社の経営を企画するにあたり、かねてから顔見知りであったYが著名な経済人の子息で、知名度が高く、信用もあることからこれを利用しようと考えました。 そこで、Bは、昭和44年8月頃、Yに対し、鶏卵や青果物等の販売を目的とする... -
取締役の監視義務違反と第三者の被った損害との間に因果関係がないとされたケース
【事実関係】 A株式会社は、昭和45年4月20に土木建築業を目的として設立され、Bはその設立以来の代表取締役でした。 Yは、A社の設立にあたり、Bの懇請を受けて、A社の代表取締役に就任することを承諾し、取締役および代表取締役就任の登記がなされました。... -
不渡りとなった手形の振り出しを放置した代表取締役および平取締役の任務懈怠が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は昭和29年3月に設立され、オルゴール取付製品・宝石箱・化粧品等の製造販売を営んでいました。 ところが、昭和42年頃から運転資金の不足を生じ、昭和43年にはすでに不足額を融通手形の割引きや借入金によって填補していました。 昭... -
会社に融資しその取締役となった金融業者に対し、当該会社の代表取締役に対する監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は設立当初より資金に乏しく、代表取締役であるY1、常務取締役であるY2は、会社の信用を得ることおよび資金の援助を受けることを主たる目的として、もともと取締役であったY6およびY7に加えて、金融業者のY3、Y4、Y5らを取締役とし...