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弁護士法人ネクスパート法律事務所

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【弁護士解説】取締役の競業避止義務とは? 退職後の扱いは?

目次

競業避止義務は会社法上現職の取締役に課されている

会社法では取締役が会社の事業の部類に属する取引をすることを禁止しています。これを競業避止義務といっています。

取締役は会社の経営に関与する立場にあることから、会社の利益を犠牲にして自らの利益を図ることが容易であり、会社を保護するためにこのような規制が設けられています。

会社法ではこの競業避止義務は現在の取締役に課されています。そのため退職後の取締役には会社法でいう競業避止義務は課されません。

競業取引にあたるかは現在だけでなく将来も含めて考える

「会社の事業の部類に属する取引」とは具体的にはどのようなものをいうのでしょうか。

一般的には、現在だけでなく将来も含めて、会社の実際に行う事業と市場において取引先が競合し、会社と取締役との間に利益衝突のおそれのある取引をいうと考えられています。

実際の裁判例では、関東で製パン業を営んでいた会社が関西への進出を計画し市場調査などを行っていた段階で、代表取締役が別会社を作り関西で製パン業を営んだというケースがあります。

このケースでは代表取締役の行為は競業取引にあたると認定されました。このように現在ではまだ市場を形成していなくとも、将来市場で取引先が競合する可能性がある場合には競業取引とされることがあるので注意が必要です。

競業取引を行うには株主総会または取締役会の承認が必要

取締役が競業避止義務を負っているといっても、全く競業取引が許されないというわけではありません。会社に害が及ばないとして認められれば取締役は競業取引をすることができます。

取締役会を設置していれば取締役会で、設置していなければ株主総会で承認を得る必要があります。その際、競業取引に関して重要な事実を開示しなければなりません。

注意しなければならないのは、競業取引をする予定の取締役は、取締役会において議決に参加することができません。

また、その取締役が会社の株主である場合、株主総会で議決権を行使することはできますが、決議の結果が著しく不当とされた場合株主総会の決議自体が取り消される可能性があるので気をつけましょう。

退職後の競業避止義務は会社と取締役との間の契約 無効な契約になるおそれに注意

上で見たように退職した取締役は会社法にいう競業避止義務を負いません。

しかし、会社との間で退職後も競業避止義務を負うとする契約が結ばれることもあります。この退職後も競業避止義務を負うとする契約は、一応有効であると考えられていますが、認められないケースもあり注意が必要です。

取締役が退職後も競業避止義務を負うとすると、その取締役は退職後の生活に困ることが十分に考えられます。

それではあまりに取締役に酷であることから、競業避止義務の範囲が限定されていたり、義務負っても仕方がないような待遇を在職中に受けていたりした場合には有効であると考えられています。

競業取引にあたるか迷う場合はご相談ください

このように競業避止義務関連では抽象的な概念が多く、具体的な場合に競業にあたるかどうかの判断が難しいことが多くあります。

在職中の競業避止義務については、取締役が得た利益が会社の損害と推定されるという特殊な規定があるため、通常よりも取締役が損害賠償責任を負うリスクが高まってしまいます。

また必要とされる手続も多くあり、特に株主総会で取締役が議決権を行使するときには注意が必要です。思わぬ責任を負わないためにも、裁判例や実務に通じた弁護士に相談されることをおすすめします。

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