持株比率と株主の権利 支配株主となるために必要な議決権数や議決権の関係を解説

持株比率によって行使できる株主の権利が異なることがある
株主が会社に対して行使できる権利は会社法に細かく規定されています。その中には、1株でも持っていれば行使できる権利(単独株主権)と一定の割合や数の株を持っていれば行使できる権利(少数株主権)があります。
少数株主権でも、総議決権のうち1%や3%の議決権を持っていると認められる権利があります。具体的には株主総会への議案の提案権や役員の解任請求権などがあります。
単独株主権には剰余金の配当を請求する権利、株主総会での議決権があります。この中でも株主総会での議決権は重要なもので、株主の持つ権利の中でも中核的なものです。
議決権を行使できる株の過半数を持っていれば支配株主となれる
株主総会の決議は原則として出席した株主の議決権の過半数をもって決定されます。そのため議決権を行使することのできる株の過半数を持っていれば、多くの事項について自らの意向に従った決議をすることができます。
ここで株の過半数ではないのか思われるかもしれません。厳密には株の総数(発行済株式総数)と議決権を行使できる株の総数は一致するわけではありません。
会社法上、議決権を行使できない種類の株式の発行も認められており、このような株式については発行株式総数に含まれても議決権を行使できる株式には含まれません。
また会社間で25%の株式を持ち合っていたり、会社がその会社自身が所有している株式(自己株式)には議決権が認められていません。
株主がどうなっているか詳しく調査する必要がありますが、特殊なことをしていない場合は発行済株式総数の過半数を持っていれば支配株主になれます。
会社にとって重要な事項は3分の2の賛成が必要
会社の基礎に重大な影響を与える事項(会社法309条2項)については特別決議が必要とされ、これは出席した株主の総議決権の3分の2の賛成が必要とされています。
この中でも代表的なものは定款の変更です。定款とは会社の憲法ともいわれるもので、会社法上極めて重要なものです。
議決権の3分の2以上を持っていれば、単独で他の株主を追い出して株主を自分だけにする(スクイーズアウト)ことも可能になるほどです。
逆に3分の1の株を持っていれば、スクイーズアウトにも対抗できる、すなわち拒否権を持つことができるともいえます。
合併などを組織再編をする際にもこの特別決議が必要で、会社の根幹に関わることを決定したい場合には3分の2の持株比率にする必要があります。
株を6ヵ月以上持っていないと行使できない権利もある 事前の準備を
公開会社か非公開会社かで変わることもありますが、株を継続して6ヵ月以上保有していないと行使できない権利というのもあります。
支配権争いが顕在化した時にこの保有要件をクリアしていないと、せっかくの権利を行使できないということにもなりかねません。
支配株主として会社に影響を与えられるようにするためにも、争いが顕在化する前から戦略的な対応が求められます。事前準備として弁護士に相談されることをおすすめします。