【実例付き】株主総会の招集通知と委任状(弁護士解説)

招集通知は早いと株主総会の2週間前までに出さなければいけない
株主が株主総会にできるだけ出席して議決権を行使するために、会社は株主に対して招集通知を出さなければいけません。
ただし「明日株主総会をします」といきなり言われても株主は困ってしまうので、招集通知を出すべき期限が法律で決められています。
会社の機関設計によって招集通知を発すべき期限が異なっているため確認が必要です。まず、会社が公開会社か非公開会社かという区別があります。
これは株式を上場しているか否かという問題ではなく、株式を自由に譲渡できるか否かという点で区別されています。
1株でも自由に譲渡できる株式がある場合は公開会社、全部の株式が自由に譲渡できない場合には非公開会社となります。
日本の多くの中小企業は非公開会社となっています。これは会社の決めごとである定款で確認できます。公開会社であった場合、株主総会の2週間前までに招集通知を発しなければいけません。
一方、非公開会社で書面投票や電子投票について特に定めていなければ、株主総会の1週間前で足ります。
さらに、非公開会社で取締役会を置いておらず、定款で招集通知の期限を1週間前以下と規定している場合にはその期限となります。
- 公開会社
2週間前 - 非公開会社で書面・電子投票にしている
2週間前 - 非公開会社で書面・電子投票にしていない
1週間前 - 上記かつ取締役会非設置・定款の定めあり
定款で定めた時まで
招集通知の期限は厳守 株主総会での決議が取り消されることも
招集通知を発する期限については厳守しなければいけません。1日でも過ぎてしまうとそれは株主総会の招集手続に欠陥があったものとされます。
また、そのような手続で集められた株主総会で決定された事項は正当でないとされ、裁判で取り消される可能性があります。
株主総会の決議が取り消されると、再び株主総会を招集して決議をしなおさなければいけなくなります。二度手間になるだけでなく、会社の意思決定が遅れる原因にもなるので期限の管理はしっかりしましょう。
委任状は総会ごとに 代理人に代理権があるかしっかり確認
株主は議決権を代理人を使って行使することができるとされています。その際には株主か代理人は会社に対して、代理権を証明する書面、すなわち委任状を会社に提出しなければならないとされています。
この代理権は総会ごとに与えなければならないとされています。株主が代理人に対して「今後一切の株主総会での議決権行使を委任する」ということは認められません。
会社としては代理人が株主総会に現れた際には、委任状が虚偽のものでないか、まとめて株主総会の代理権が与えられていないか確認する必要があります。
委任状は保管して株主からの求めには応じなければならない
株主や代理人が会社に提出した委任状について、会社は株主総会の日から3ヵ月間保管しなければなりません。また、株主から委任状を見せるよう又はコピーさせるよう要求された場合は、これに応じなければいけません。
これは仮に委任状が偽造されて株主が知らない間に議決権行使されていたなどといった場合には、株主総会の決議を裁判で取り消さなければいけなくなるため、代理人に代理権があったか株主がチェックできるようにするという機能があります。
支店を持っている場合には注意が必要で、この委任状は本店に置いておかなければならないとされています。