【弁護士解説】社外取締役及び社外監査役の要件 会社法の改正内容も解説

社外取締役は会社・取締役から独立していなければならない
コーポレートガバナンス(企業統治)の観点から社外取締役を入れることを考えている、又は株主からそのような提案があった場合、社外取締役にどのような人を選ばなければいけないのでしょうか。
社外取締役の要件は会社法2条15号に定められています。
- 会社や子会社の業務執行取締役・従業員でなく、かつ就任前の10年間その会社や子会社の業務執行取締役・従業員でないこと
- 就任前の10年間のどこかでその会社や子会社の取締役・会計参与・監査役であった場合、取締役・会計参与・監査役への就任前10年間でその会社や子会社の業務執行取締役・従業員でないこと
- 会社の経営を支配している者でないこと
- 親会社の取締役・従業員でないこと
- 兄弟会社の業務執行取締役・従業員でないこと
- 取締役・重要な従業員・会社の経営を支配している者の配偶者・二親等内の親族でないこと
業務執行取締役とは業務について個別に委託された取締役のことをいい、専務・常務といった呼び方をされる人は業務執行取締役にあたります。
会社法改正で社外取締役の要件が厳しくなった
2014年の会社法改正で社外取締役の社外性を確保するために上の要件の下3つが付け加えられました。
これによりさらに会社から独立した地位にある人でないと社外取締役として認められないようになりました。
社外監査役も会社・取締役からの独立が必要
社外監査役の要件は会社法2条16号に定められています。
- 就任前の10年間でその会社又は子会社の取締役・会計参与・従業員でなかったこと
- 就任前の10年間でその会社又は子会社の監査役だった場合には、監査役就任前10年間で会社又は子会社の取締役・会計参与・従業員でなかったこと
- 会社の経営を支配している者・親会社の取締役・監査役・従業員でないこと
- 兄弟会社の業務執行取締役・従業員でないこと
- 会社の取締役・重要な従業員・会社を支配している者の配偶者・二親等内の親族でないこと
社外監査役についても2014年の改正で下3つの要件が付け加えられ、より独立した地位にあることが求められるようになりました。
社外取締役・社外監査役は必ずしも必要ではない
会社法上、社外取締役・社外監査役は一定の場合のみ置かなければならないとされています。
社外取締役については
- 取締役会設置会社で特別取締役を置くとき(会社法373条)
- 監査等委員会設置会社
- 指名委員会等設置会社
に限って必要とされています。
そのため、通常の取締役会設置会社や取締役会非設置会社の場合は社外取締役を必ず置かなければならないわけではありません。
社外監査役については監査役会を置いた場合に必要となりますが、公開会社(自由に譲渡できる株式が1株でもある会社)でかつ大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の会社)の場合にしか監査役会が必要となりません。
そのため多くの会社では社外監査役を必ず置かなければならないわけではありません。
コーポレートガバナンスの観点から社外取締役・社外監査役を置く場合には経歴や親族関係の調査も必要になるので、早めにご相談いただくことをおすすめします。