判例紹介– category –
-
独断かつ放漫な経営を続けた代表取締役の職務に対する非常勤取締役の監視義務違反が否定されたケース
【事実関係】 A社は、各種洗車機械の製造販売等を営む会社でした。Bは、A社の代表取締役の地位にあり、Yは非常勤の取締役でしたが取締役会長の地位にありました。Yは、C社のある静岡県清水市(当時)に居住していました。 A社の業務執行のすべてはBが独断で... -
偽造手形の受取人である株式会社の取締役に、会社に対し当該手形呈示を控えさせなかったという任務懈怠責任が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は、機械工具、車両部品の製造販売を目的しており、Bが代表取締役を務めていました。 Bは、昭和40年7月末頃、その従業員を介して、取引先企業であるX社の経理一切を取り仕切っている者としてCを紹介され、同人より手形の交換を申し... -
倒産会社の代表取締役の業務執行に関して平取締役の監視義務違反が否定されたケース
【事実関係】 A株式会社は、昭和38年6月5日に設立され、ガソリンスタンド事業を行う、資本金額200万円の会社です。A社はいわゆる「同族会社」であり、Bが代表取締役、その妻C、およびCの弟Yが取締役を務めていました。 A社の経営は当初は順調でしたが、昭... -
代表取締役らによる詐欺的なマンション経営契約勧誘を看過した非常勤取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は、多数の出資者に対し高額な配当利回りや元本保証が得られるとする詐欺的なマンション経営契約を勧誘していました。 しかし、まもなく同社は、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反等の容疑で警察の捜索を受け... -
倒産状態の下で約束手形を振り出した代表取締役に対する、平取締役の監視義務違反が否定されたケース
【事実関係】 A株式会社は、札幌市中央卸売市場において、水産物の仲介業を営み、水産物およびその加工品の販売を目的とする資本金1,000万円の会社であり、代表取締役Y1の一族が経営するいわゆる「同族会社」でした。 昭和49年2月から4月にかけて、Bは、A... -
専務取締役に会社の経営を任せきりにした代表取締役の監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 Bは、A株式会社の経営を企画するにあたり、かねてから顔見知りであったYが著名な経済人の子息で、知名度が高く、信用もあることからこれを利用しようと考えました。 そこで、Bは、昭和44年8月頃、Yに対し、鶏卵や青果物等の販売を目的とする... -
取締役の監視義務違反と第三者の被った損害との間に因果関係がないとされたケース
【事実関係】 A株式会社は、昭和45年4月20に土木建築業を目的として設立され、Bはその設立以来の代表取締役でした。 Yは、A社の設立にあたり、Bの懇請を受けて、A社の代表取締役に就任することを承諾し、取締役および代表取締役就任の登記がなされました。... -
不渡りとなった手形の振り出しを放置した代表取締役および平取締役の任務懈怠が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は昭和29年3月に設立され、オルゴール取付製品・宝石箱・化粧品等の製造販売を営んでいました。 ところが、昭和42年頃から運転資金の不足を生じ、昭和43年にはすでに不足額を融通手形の割引きや借入金によって填補していました。 昭... -
会社に融資しその取締役となった金融業者に対し、当該会社の代表取締役に対する監視義務違反が認められたケース
【事実関係】 A株式会社は設立当初より資金に乏しく、代表取締役であるY1、常務取締役であるY2は、会社の信用を得ることおよび資金の援助を受けることを主たる目的として、もともと取締役であったY6およびY7に加えて、金融業者のY3、Y4、Y5らを取締役とし... -
会社の経営を専務取締役に任せきりにしていた代表取締役の任務懈怠が認められたケース
【事実関係】 昭和46年11月26日、Y1株式会社は、専務取締役Aを通じて、Xに対し額面100万円の約束手形を振り出しました。Y1社は、昭和41年5月に各種電気製品の販売・修理等を目的として資本金30万円で設立されました。 Y1社には、会社財産としてはみるべき... -
実質的経営者である取締役による会社に損害を与える行為を防止すべき監視義務を怠ったとして、取締役・監査役に商法旧266条の責任が認められたケース
【事実関係】 A社は、昭和42年4月14日に破産宣告を受けました。 Y1は、昭和40年2月4日から昭和41年12月4日までは同社の取締役、同月5から昭和42年4月14日まで監査役の地位にあり、その間同社の営業経理関係一切を委任され、その業務に従事していました。と... -
他の代表取締役に会社業務の一切を任せていた代表取締役について、商法旧266条ノ3の責任が認められたケース
【事実関係】 YはAから、雑貨類販売の会社設立を持ちかけられました。 Yは、雑貨類販売に関する経験がなかったため、Aが共に代表取締役になること、Aが業務一切を執行しYは事業上の責任を一切負わないことをAに求め、Aの了解の下、代表取締役となることを...