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弁護士法人ネクスパート法律事務所

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【発注者必読】フリーランスへの発注が変わる!事業者が対応すべき「取引の適正化」4つの義務と7つの禁止行為

2024年11月1日に施行された「フリーランス保護新法」は、フリーランスに業務を委託するすべての事業者に影響を及ぼす重要な法律です。

特に、発注事業者が遵守すべき「取引の適正化」に関するルールは、これまでの取引慣行の見直しを迫る内容を含んでいます。

本記事では、フリーランス保護新法の中心的な規制である「取引の適正化」に焦点を当て、企業が具体的に対応すべき4つの義務と7つの禁止行為について、弁護士が分かりやすく解説します。

目次

フリーランス保護新法における「取引の適正化」とは?

ここでは、フリーランス保護新法が定める「取引の適正化」の目的と概要について説明します。

本法は、個人として事業を行うフリーランスと、組織である発注事業者との間に生じやすい交渉力や情報収集力の格差を踏まえ、フリーランスが取引上、弱い立場に置かれることを防ぐ目的で制定されました 。

その柱の一つが「取引の適正化」であり、フリーランスとの契約内容や取引過程の公正さを確保するため、発注事業者に対して具体的な義務や禁止行為を定めています 。

【全事業者対象】取引条件の明示義務

ここでは、フリーランスと取引するすべての事業者に課される、最も基本的な義務である「取引条件の明示義務」について説明します。

この義務は、発注事業者の従業員の有無にかかわらず、すべての事業者に適用されます

フリーランスが別のフリーランスに業務を委託する「フリーランス間取引」も対象となるため、注意が必要です。

義務の概要

フリーランスに業務委託をした事業者は、直ちに、以下の事項を書面または電磁的方法(電子メール、SNSのメッセージ機能など)で明示しなければなりません 。口頭での伝達は認められていません 。

明示すべき主な事項

契約書や発注書などの名称を問わず、以下の内容を具体的に記載する必要があります 。

  • 当事者の商号、氏名または名称
  • 業務委託をした日
  • フリーランスの業務内容(仕様、数量など)
  • 納期(給付を受領する期日)
  • 納品場所(給付を受領する場所)
  • 検査を完了する期日(検査を行う場合)
  • 報酬の額と支払期日
  • その他公正取引委員会規則で定める事項

未定事項がある場合の対応

業務委託の時点で報酬額などが確定していない場合でも、安易に空欄とすることはできません 。
その内容が定められない正当な理由と、内容を定める予定期日を明記した上で、内容が確定次第、直ちにその事項を明示する(補充の明示)必要があります。

【従業員がいる事業者対象】期日における報酬支払義務

ここでは、主に従業員を雇用している事業者に課される報酬の支払ルールについて説明します。

この義務は、従業員を使用する個人事業主や法人などの「特定業務委託事業者」が対象です。

報酬支払の「60日ルール」

特定業務委託事業者は、フリーランスから納品物などを受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で報酬の支払期日を定め、その日までに支払わなければなりません。

支払期日を定めなかった場合は「受領した日」が支払期日とみなされ、60日を超える日を定めた場合は「受領日から60日を経過する日」が支払期日とみなされます。

再委託の例外「30日ルール」

例外として、他の事業者から受けた業務をフリーランスに再委託する場合、一定の事項を明示すれば、元委託者からの支払期日(元委託支払期日)から起算して30日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定めることが可能です 。

【1か月以上の取引で適用】特定業務委託事業者の7つの禁止行為

契約期間が政令で定める期間(1か月)以上の業務委託を行う「特定業務委託事業者」に適用されます。契約の更新によって結果的に1か月以上となる場合も含まれます。

発注事業者は、たとえフリーランスの合意を得ていたとしても、以下の行為はできません

  1. 受領拒否
    フリーランスに責任がないにもかかわらず、発注した物品や情報成果物の受領を拒むことです 。発注者側の一方的な都合による発注キャンセルも含まれます 。
  2. 報酬の減額
    フリーランスに責任がないにもかかわらず、発注時に定めた報酬を後から減額することです 。
  3. 返品
    フリーランスに責任がないにもかかわらず、受領した物品などを引き取らせることです 。
  4. 買いたたき
    同種または類似の業務内容に対して通常支払われる対価に比べ、著しく低い報酬額を不当に定めることです 。
  5. 購入・利用強制
    正当な理由なく、自己の指定する物品の購入やサービスの利用を強制することです 。
  6. 不当な経済上の利益の提供要請
    自己のために金銭や無償のサービスなどを提供させ、フリーランスの利益を不当に害することです 。
  7. 不当な給付内容の変更・やり直し
    フリーランスに責任がないにもかかわらず、無償で業務内容の変更ややり直しをさせることで、フリーランスの利益を不当に害することです 。

まとめ:違反しないためのチェックポイント

フリーランス保護新法、特に「取引の適正化」に関するルールは、フリーランスと取引のあるすべての企業が遵守すべきものです。

これらの義務や禁止行為に違反した場合、行政による助言・指導、勧告、公表、命令の対象となり、命令違反には50万円以下の罰金が科される可能性があります。

未対応の企業は、以下の点を早急に確認・整備することが不可欠です。

  • 契約書や発注書のひな形の見直し(明示事項は網羅されているか)
  • 発注から支払いまでの社内プロセスの確認(支払期日は遵守されているか)
  • 購買・外注担当者への周知徹底(禁止行為を理解しているか)

自社の取引が新法の対象になるか、現在の社内体制で法的に問題ないかなど、ご不明な点やご不安がございましたら、お早めに弁護士にご相談ください。

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